不妊・妊娠と鍼灸」カテゴリーアーカイブ

質問にお答えして:卵子の質はよくなるのでしょうか?

このご質問を初めていただいた時に、『卵子の質をあげると言うことは、生命力そのもの、その人の生命の質をあげるということ。可能なんだろうけど、かなり困難ではないのだろうか。そう簡単に『はい、出来ます』とはいえない』と思いました。

 

そして、この方と二人三脚し、鍼灸治療をし、生活の改善をするなかで、
何度も、
何度もやった体外受精での卵の質という壁を乗り越え、
無事に第一子、そして残った凍結胚で第二子をご出産になりました。

ときおり、年賀状などでお二人のお子さんの成長を拝見させていただきますが、
頼もしく、かわいく、ヤンチャに成長なさっていて、
あのときのこの患者さんの真摯な思いが通じ、
人生を大きく変えた症例だと私の胸に深く刻まれています。

そして、その後、多くの患者さん達がやはり

『卵の質をあげることはできる、人生の扉を開け前に進むことは出来る』と私に教えてくださりながら、家族と過ごす人生をあゆまれています。

 

☆体外受精をしていて卵の質という課題に引っかかったら

子供が欲しいと思っている方に届けたい。

『卵の質が悪い』ということで、体外受精が前に進んでいかないのならば、
ただただ、同じ事を繰り返さないでください。

注射の種類を変えた、
薬を変えてみた、
病院を変えた、
漢方を飲んだ。
サプリも飲んだ

それだけの足し算では、あなたの身体の質を上げることにつながっていないケースを
私は多く見ています。

当院は鍼灸院です。提供できる施術は鍼灸です。
しかしながら単に鍼灸をすればいいのではない、
卵の質をあげるには、トータル的なアドバイスをしながら、
その人に必要なこと、
やめた方が良いこと、
ポイントとして絞ることを
東洋医学的な四診を通じた不妊カウンセリングを行い、
『何をすべきか、何をやめるべきか』を明確にしていたら進む必要があると
つよく、
つよく、
強く感じています。

 

☆☆ある培養師さんが説明なさっていたこと

ある培養師さんが患者さんに『今回の体外受精で出来た卵の質がよくないですねえ・・』という説明の中、卵の質ということを説明してくださいました。

排卵誘発剤で改善できるのは、
「卵の成熟度(を上げること)」
です。成熟度があがれば、受精率が高くなります。つまり未成熟の卵では受精しにくいということです。

 この説明はとてもわかりやすく、私も大きく頷いてしまいました。

☆☆卵の質がわるいまま、体外受精の回数を使ってしまわないで!

 

保険適応の場合回数制限があります。
40才以下の方であれば、3回、
40才以上の方であれば1回、

採卵して卵の質が悪いというところで引っかかったら、若い方であれば3回、40代以上であれば1回で、続けて採卵せずに、卵の質を上げる努力を織り込みましょう。

 

☆☆年齢要因は大事、
でも、卵の質が改善できないままでは結局前に進まない!

確かに年齢要因は大事です。
決定的な要因となることがおおいです。
しかしながら、卵の質が改善できないままでは、結局前にすすまず、
保険適応の回数などすぐに終了してしまいます。

 

☆☆卵の質を改善するための東洋医学的不妊カウンセリング

卵の質で引っかかったら、東洋医学的な不妊カウンセリングを受け、何をすべきかと明確にして不妊治療を前に進めてください。

年齢要因は本当にだいじです。
あなたの貴重な時間を無駄にしないために、
まず取り組むべき事は、あなたの身体の状態を知ることだと思います。

 

 

4回にわたるIVF-ETの失敗、温め養い身体の力をup! 43歳出産(0011)

不妊治療に体外受精や顕微授精などの高度生殖医療が保険適応になって1年が経ちましたね。

体外受精や顕微授精などの高度生殖医療をすれば、妊娠出来るのではという思いは、誰にでもあるかと思います。

☆前に進まない不妊治療、そしてストレス

しかしながら、良好胚がとれても、妊娠に結びつかない。
そもそも卵子が取れない。
受精しない、受精してもよい凍結胚にならない。

そんなことが続くと、気持ちも落ち込んでしまいますね。

保険適応になっている体外受精や顕微授精などの高度生殖医療。
しかしながら回数制限があります。

うまくいかない→再度挑戦という繰り返しで、同じ事ばかりしていては、
あっというまに、回数が制限に到達してしまいます。

1,2回やってみて、上手く行かないときには、もう少し振り返って、

妊娠そのものの力を底上げしていきましょう。

今回は、42歳という年齢も高め、すでに4回の体外受精に挑戦し残念ながら結果が出ず。
もう一回再挑戦したいと言う方のお話です。

 

☆ご相談内容:42歳です、不妊治療が前に進みません。

 

42歳です 身長158センチ、体重50㎏ 派遣社員として毎日勤務

妊娠したいことと、首や肩の辛さが悩みです。

冷えについては、子供の頃から手足は冷えるなという感じで、足のしもやけは20代になっても続き、冬はとくにつらく、痔にもなってしまいます。

40歳ぐらいから(不妊治療をはじめたころから)首の後ろが緊張して前頭部に痛み、だんだん痛くなっている。また同じ頃から尿切れが悪い感じがしています。

☆普段の状態について

クーラーで体調が悪化
腰から下が冷える
便通は1日1回、小便は10回夜間排尿はない。
寝つきは普通、寝起きはよい、疲れが残ることが時々ある。

☆婦人科的な状態

28日で生理が来ていたが、不妊治療開始後は不規則になってしまっている。
生理前にイライラ、生理がくると腰、下腹部に鈍痛、腫れ、前頭部の頭痛
小指大の塊がまじり、量はとても多い

 

☆不妊治療歴

38歳で結婚し、二年ほど自分たちでタイミングをとっていましたが、妊娠しませんでした。
40歳
・一般的な検査(卵管造影、ホルモン値、精液検査など問題なし)
半年ほどタイミング法(HCGと黄体ホルモン剤並用)-妊娠せず。

41歳
・人工授精をするよりも、体外受精にステップアップした方がよいといわれ、体外受精にステップアップ。
採卵ー移植ー妊娠するものの心拍確認できないままの繋留流産。
凍結胚盤砲移植ー妊娠出来ず。

42歳
・病院を変えてみた。腹腔鏡をし、人工授精を4回するも妊娠せず。
・体外受精に再挑戦。採卵ー凍結胚盤砲移植、妊娠出来ず。

 

☆ご相談にお答えして:不妊カウンセリング 東洋医学的診立て

妊娠したいというご希望ですね。
また、不妊治療もいろいろなことを試されいままで頑張ってきていらっしゃったんだなと思います。

お話を伺うと、40歳頃から不妊治療をスタートすると同時に首などの辛さがめだってきていますね。

☆☆薬や医療介入で身体の力が落ちてしまう悪循環について。

不妊治療をしていると、薬を使ったり、周期に合わせていろいろな医療介入があります。

生殖医療というのは、東洋医学で言うところの、日々の生活を底ささえする腎に負担がかかります。
そして子宮(女子胞)は、腎に支えられています。

腎の力がおちると、その腎に養われている子宮(女子胞)の力も落ちてしまうと言うことです。

Iさんの場合は、不妊治療はそれなりに成立していますが、この腎の力がかなり落ちてしまっているかと思います。そして、この腎気の落ち方が非常にきついため、全身の気虚(生命力不足)さえも招いてしまっています。

夜に布団に入っても身の置き所のない感じで寝付けないという状態というのは、気が裏に帰ろ(これが寝るということです)うとするとき、帰るべき腎陰も肝陰も(つまり腎の力)が不足しているため、納まり所がなくなっていることをしめしています。

もともと、冬になるとしもやけができたり、痔の悪化があるということより、腎の陽気不足(腎の温める力の側面)を思わせる素体が、不妊治療の負荷のため、かなり腎気の虚そのものが明瞭になり、本来腎気が必要とされる妊娠が遠くなってしまい、不妊状態がより深くなるという悪循環が生じています。

そして、腎気の不足が招いた肝気の鬱滞による首肩の痛みという状態を引き起こしていると思われます。

☆東洋医学的な診立て

・弁証:気虚まで進んだ腎虚肝鬱
・論治:益気補腎 疏肝理気
・治療方針
腎気をたてることを中心とする必要に応じて肝鬱を払う

☆☆医療介入のデメリットを受け入れメリットをいかして妊活を前に進めよう

薬を多く使う不妊治療は、どうしても身体の負担にはなります。しかしながら、その薬は妊娠に向けての力強いサポートにはなります。不妊治療のメリットを受け止められる身体の状態が、ご自身の健康度をあげ、不妊治療を前に進めていくコツになると思います。

また、身体の力をあげることは、妊娠が成立後も、しっかりと子宮(女子胞)をサポートし、無事の出産につながる力強い支えとなります。

 

☆☆不妊治療について

・採卵ができ、受精卵ができ、着床までも成立しているということは、もう一工夫で妊娠ー出産まで行く可能性のたかいカップルだと思います。
・不妊治療と同時にでてきている身体の愁訴をケアすることが結局不妊治療を前に進めていくことになります。
・年齢要因が厳しい状態です。身体の力をつけることと、年齢的な卵子の課題は、凍結などの技術の力を借りて乗り越えるということも視野に入れてよいかと思います;

☆☆Iさんの妊活を前に進めるための5つのコツ

具体的に提案させてください。

1)睡眠をしっかりととる(お肌の綺麗になるといわれる午後10時から2時までの睡眠は特に大切です)
2)からだの力を落とさないため、間食は控えましょう
3)あまりストレスをためず、やれることをしたらあとは考えすぎずにのんびりすごしましょう。
4)毎日歩くことを生活の中に取り入れましょう。
5)ご自宅で毎日、セルフケアのお灸をしましょう

 

 

☆☆治療経過

初診:左陽池(TE4)、外関(TE5)、右公孫(SP4) 復溜(KI7)
大巨(ST27)、関元(CV4)、
脾兪(BL20)、右三焦兪(BL22)、左腎兪(BL23) 次髎(BL32)

セルフケア
大巨(ST27)、関元(CV4)(温灸、お灸)
脾兪(BL20)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)

 

☆首の痛みがきついときなどは、上背部の肺兪、大椎、列缺(LU7)などを使用していった。

☆☆体外受精への再挑戦

4ヶ月後5回目のIVF-ETに挑戦し、妊娠。
体外受精胚移植時の鍼灸
1) 肺兪温灸
2) 右胃兪、左脾兪、腎兪、
大腸兪次髎(灸頭鍼)
(申脉温灸+ミニ灸)
3)右外関ー陽池
曲泉ー陰陵泉(パイオネックス+ミニ灸)
三陰交針+ミニ灸
4)臍温石

鍼灸

 

☆☆妊娠〜出産までの治療

妊娠初期は週に3回、その後もも週に1−2度の治療間隔で継続し、無事に自然分娩にて出産43歳。

妊娠中の鍼灸
1)腹部棒灸 臍、大巨(ST27)、関元(CV4)、中注(KI15)など
足三里 陰陵泉 ミニ灸など
2)胆兪 脾兪 胃兪 三焦兪 腎兪 次髎など 鍼して温灸

臍 イラスト

 

☆あとがきにかえて

 

無事に43歳での出産となりました。
おめでとうございます。
本当によかったですねえ。

不妊治療は、年齢要因が重なればあせるのはあたりまえだと思います。
そして妊娠への挑戦は、どんな方法でも結局は月に1度程度でてくる排卵にあわせるしかなく、
あっというまに、年月がすぎさってしまいますね。

また身体に負担のかかる治療ですので、不妊という観点からでは治療になっても、
健康という側面には負担でしかないということも事実です。
その折り合いをつけながら、ご自身の体調をupさせていくなかで、
妊娠、出産という道もあるのかなと思います。
そんなお手伝いをさせていただくことができて、とても嬉しいです。

2)妊娠初期を乗り切り、繰り返す流産から出産を。30代後半での繰り返す流産  0127

流産についての概要をおはなしさせていただきました。

概要の1)はこちら→1)『普通』にすごす『Stay home』が教えてくれた繰り返す流産を切り抜ける方法

ポイントは2つ血流と、子宮(女子胞)の不安定さです。

さて、具体的な症例からお話ししていきましょう

☆☆ご相談:心拍確認が出来ない流産を2回もしています。

 

 

最初の妊娠は、妊娠希望をしてから1年後やっと授かったと思い、病院へ行き胎嚢がみえました。

しかしながら8週になっても心拍が見えずそのまま出血がはじまってしまいました。

二回目は半年後の37歳の時、このときも同じように心拍が見えないまま出血ー流産となってしまいました。

流産後1ヶ月たつのに、出血がすっきり止まりません。

妊娠もなかなかしにくく、はじめの妊娠は1年ほどたってやっとできた妊娠。そして今回も半年たってやっと妊娠したのに、どちらも心拍確認ができず流産と言うことで本当にがっかりしています。

もしかしたら不育症なのかと悩みますが、病院の先生は問題ないとおっしゃります。

どうしたらいいのでしょうか?

また、小学校のときから、手足にしもやけができ、昔から足先がとても冷えます。頭痛も結構ひどく、肩こりになりやすいです。いつもなんとなく残尿感があります。

疲労感が強く辛いことが多いです。月経周期が長めで生理が遅れることはよくあります。

☆いままでの経過、時系列

・高校時代から左側頭部頭痛
・36歳妊娠希望ー1年後妊娠−8wで流産
・37歳 流産から半年後妊娠ー心拍見えず流産
・流産後1ヶ月たってもなかなか出血が止まらない

 

☆私からのお返事
:身体の余力がをつけることで妊娠を継続させていきましょう

なかなか妊娠しにくいなか、せっかく妊娠できたのに、2回も連続して8wでの流産、本当に辛かったでしょう、残念でしたね。

また流産後の出血も止まらないというのは身体がだいぶ弱ってしまっているのかとも思います。

残念でしたね。

次の妊娠では一緒に頑張って是非出産まで到達できるようにしていきたいですね。

☆お身体を拝見して

お身体を拝見すると、もともとのベースとなる生命力(腎気)が弱めであると思います。

そのために冷えがきつかったり、残尿感があったり、月経周期が長めでつかれやすかったりしていると思います。

腎気は全身の生命を下支えする縁の下の底力を発揮してくれる存在です。そしてこの腎気が、子宮(女子胞)を養い、赤ちゃんをしっかりと受け止め受容できる身体となるのです。

 

☆子宮(女子胞)だけではなく、全身状態の体力不足、余力不足が子宮への養い不足となっている

イラスト

子宮(女子胞)というのは、赤ちゃんの孵卵器です。その孵卵器の性能がちょっとだけ不安定ならば、孵卵器そのものをしっかりと養い守る必要があります。Uさんのお身体は、孵卵器そのものを守る全身状態が、気虚気味(パワー不足)であることが問題です。全身が気虚気味パワー不足であるので、孵卵器も不安定になり流産となってしまうわけです。妊娠は、女性にとって身体の余力でおこなわれます。余力がないと、どうしても不安定な子宮(女子胞)となるわけです。身体全体に余裕をもち、子宮(女子胞)の生命力が安定するようにしっかりとがんばっていきましょう。また強いストレスも子宮(女子胞)に負担となります。ストレスも鍼灸で調整していきましょうね。

・弁証 腎虚を中心とした気陰肝鬱 風邪の内陥 女子胞の力不足
・論治 益気補腎 疎風散寒 温養女子胞
・治療方針 腎気を中心に気虚気味の素体をたてなおし、パワー不足となっている女子胞を暖め養う。また素体に負担となっている風邪の内陥を払うことを急務とする。

 

☆治療経過、妊娠、出産まで。

治療経過

週に1度の通院、毎日の指導に基づいた自宅施灸

初診
左外関(TE5)左陽池(TE4)、左公孫(SP4)、足三里(ST36)、三陰交、下脘(CV10)、関元(CV4)、
胃兪(BL21)、左腎兪(BL23) 中膂兪(BL29)
セルフケア:下脘(CV10)、関元(CV4)、左外関(TE5)、足三里(ST36)、三陰交。腎兪(BL23)、胃兪(BL21)、中膂兪(BL29)

 

1ヶ月後、今回の生理もだらだらはつづいている
3ヶ月後、生理のだらだらが減ってきた
4ヶ月後、妊娠成立

妊娠 手入れ 棒灸

 

4ヶ月後に妊娠。

妊娠中も週に1,2度のペースで鍼灸治療を継続

8w つわりがきつい→つわり治療

19w 喉に違和感があり、空気が上がる感じで食事が通りづらい

23wから逆子ー27wまで。28wで治る

30w やっと妊娠前から体重が4キロ増えることが出来た

 →間食も小さな食事として、食事回数を増やすように指導

30w 再び逆子に

31w 治ってきた感じ、お腹が突き上げて苦しい。

33w 赤ちゃんが小さめと言われた

34w 頚管長短め、ウテメリン処方された

35w 頚管長大丈夫と言われた

37w 2600㌘はあると言われて安心

38w 1㎝頚管が開いた

39w 無事に3000㌘弱の赤ちゃんを出産

おめでとうございます。

☆あとがき、無事の出産よかったですねえ。

流産というのは、辛い出来事ですね。しかも、やっとの思いで妊娠して2回も連続と言うこと。本当に辛かったと思います。

お話しを聞いていて、ご本人の辛さが痛いほど伝わってきました。

妊娠や妊娠継続について、色々な情報をお探しになっていらっしゃるようでしたが、なかなかご本人にぴたっとくる情報がないようでした。そのこともご本人の迷いや悩みを大きくされていました。

インターネットでの検索は一般論や、様々な情報は提供されますが、実際のご本人にとって

必要な情報であるのかは判断が難しいところですね。

今回のケースは、不安定な子宮(女子胞)の状態と全身のパワー不足がリンクしていました。つまり、子宮や流産のことだけを考えるのではなく全身の生命力から考えることが大事なケースであったわけです。

妊娠中も一筋縄ではいかず、いろいろなことがおこりました。もともとストレス状態になりやすいという状況があり、気が登りやすい方の妊娠でしたのでつわりもきつかったです。妊娠中は赤ちゃんを守るために、普通の状態でも気が上向きに傾きます。その上向きのベクトルに加え、ご自身の性質もくわわるとなかなか大変になります。この上向きの気を引き下ろすことは流産につながってしまいますので妊娠中の身体の手入れとしては禁じ手です。つわりは辛くとも、つわりを中心に考えずに、やはりご自身の生命力をつけることをしていくことが体調管理のコツなのです。

妊娠中も色々な事がありましたが、無事に充分な大きさの赤ちゃんにめぐりあえたこと、ご本人のコツコツと重ねられた努力とご家族の協力のたまものだと思います。おめでとうございます。

イラスト ビッグママ

1)『普通』にすごす『Stay home』が教えてくれた繰り返す流産を切り抜ける方法。 0127

流産は、本当に辛いですね。

妊娠したのかなと思い、喜んだのはつかのま、出血が始まりそのままということもありますし、

病院でしっかりと胎嚢が確認できたのに、続く検診では残念ながら心拍が見えずということもあります。

妊娠の初期は、”自然の淘汰”の時期であるのは事実です。

そういった卵ちゃん側の理由で、残念ながらということがあるのもいたしかたないところです。

そして、病院でどうして流産になったのでしょうか?という質問をすると、

だいたいこのような『卵のせいでしょう、自然な淘汰ですよ。仕方がないですね』というお返事になることが多いと思います。

これは納得の出来る説明ではあると思います。
あたりまえの自然な淘汰は、生殖においては必ずあります。

私は沢山の妊娠に付き添わせていただいて、この『あたりまえの自然な淘汰』の課題もふまえながら、”もしかしてこの方は少し流産しやすいタイプではないだろうか”ということが、わかるようになってきました。そしてこのポイントは、年齢要因が高い方の場合は非常に大きな課題となります。

なぜならば、妊娠そのものが成立しにくい状況で、高度生殖医療などをおこない、やっと成立した妊娠が、卵の課題はなくとも、なかなか継続出来ないとなると、妊娠そのものの難しさに、継続の難しさも加わり、妊娠の継続がむずかしくなってしまうからです。

そして、この課題は血流と、子宮(女子胞)の不安定さです。

☆東洋医学的な発想の子宮(女子胞)

子宮(女子胞)というのは、赤ちゃんを養い育てる孵卵器です。

 

その孵卵器の性能がちょっとだけパワー不足であったり、不安定な方がいらっしゃります。

 

そして、パワー不足であっても、不安定であっても、ある一定の時期(着床から妊娠12週まで)を

乗り切ることが出来れば、問題なく経過できます。

妊娠初期が不安定といわれる理由は、確かに胎児側の理由で淘汰があるからですね。

そしてもう一つは、孵卵器である子宮側が血流が悪かったり、筋腫や内膜の状態などで不安定だったりしてしまうのかと思います。

イラスト 子宮

妊娠初期にこのちょっと不安定な孵卵器を安定させ、しっかりと大きな胎盤を作ることができれば、この妊娠初期を切り抜けられます。

そしてこの孵卵器である子宮(女子胞)は、身体の余力が養っています。

女性は妊娠していても、していなくても健康に過ごすことができます。そして妊娠していれば全身の生命力の余力をもって子宮(女子胞)をやしなうことになるのです。

全身状態が、余力のない気虚気味(パワー不足)であれば、孵卵器である子宮(女子胞)を充分に養うことができず、どうしても不安定な子宮(女子胞)となるわけです。

身体全体に余裕をもち、子宮(女子胞)の生命力が安定するようにしていくことが大切なのです。

また強いストレスも子宮(女子胞)に負担となります。ストレスも鍼灸やメンタルケアでの調整が効果的です。

詳しくは12)東洋医学の体力貯金を参照のこと

☆☆いまどきの病院指導

長らく不妊治療にお付き合いしていると、産婦人科事情も変化しているなと思って眺めています。

それは多分、しっかりしたデータや根拠に基づいて、変化しているのかなと思います。
これはあたりまえのことなんだなとは、理解します。でも、統計上の話しや大多数の話しであり、個別具体的なケースになれば違うことも多いのではないのかなと疑問もわきます。

今は病院で妊娠したら、『普通にしていていいですよ』と言われることが鉄板だと思います。

たぶん、普通でいいんだと思います。
そして私は疑問があります。
普通ってどういう状態?と。

☆☆『普通にしていていいですよ』という妊娠の初期

普通というのは、その人の普通。

毎日忙しく立ち回り、忙しく動いている人にとってはそれが普通

毎日、睡眠不足で、ほとんど立ちっぱなしの人にとってはそれが普通

毎日、朝の9時から座り仕事が続き、夜の8時過ぎまで残業する。それが普通の人。

”特別なことをしなくていいんですよ” というのが、この『普通にしていていいですよ』という

言葉の裏返しだと思います。

しかしながら、人によって普通が違う。

妊娠初期の望ましき普通がわからないですよね。

☆☆出歩かない、『Stay home』の緊急事態宣言が教えてくれた『普通の効用』

2020年の4月は緊急事態宣言でしたね。
出歩かない、人と接触しない、引きこもる
多くの人が急にそんな生活を強いられました。

その中にちょうど妊娠の初期を迎えられた方がおふたりいらっしゃりました。

お二人とも、何度も初期流産を経験している方でした。
お仕事がハードで、妊娠、出産をご希望なさるものの、妊娠の初期の段階の安静が
どうしても取れない方でした。

病院からも『普通にしていていい』という指導がなされ、
ご自身の日常である普通にすごす妊娠初期で流産をしてしまい、

『お母さんのせいではないですよ、自然な淘汰でしょう』という説明がくり返されていました。

その中の緊急事態宣言。
このときの『普通の生活』は、電車に乗って通勤しない、会議がない、仕事で出歩くことがない、

『Stay home』家にとどまる普通の生活でした。

ハードなお仕事が『普通』だったお二人は、お二人にとっていままでないような『普通』で『Stay home』をすごされました。

そして、この『Stay home』の普通が、いままでの安静にはできないご自身の『普通』を過ごしていたお二人に妊娠の継続をもたらし、無事に妊娠初期を切り抜け、ご出産にいたりました。

 

☆☆ときどき垣間見ていた、ドクターの安静指示 『Stay home』診断書、心拍確認まで入院

緊急事態宣言での『普通』が流産を繰り返す方の妊娠を継続させ出産へ導きました。

実は私は過去に、ドクターが同じ事をなさっているのをかいまみてきました。
いまでは、そんな指導もみません。ただ、あの時期、過去にその指導をみていて、
『あーこういう指示をなさるのか』と興味深く拝見していました。
つまり、ドクター側でも、『普通』が『普通』ではなく、ぐっと安静生活の『普通』が
妊娠の継続に役立つことがあるのをご存じだったのかと思います。

 

☆☆診断書による安静

お一人のドクターは『診断書』でStay homeを指示していました。

私の複数の患者さんが、今まで行っていたクリニックではなかった指示として
妊娠が成立したら、『診断書』をいただき、会社に提出し、無事に妊娠初期を切り抜けるという状況が作られていました。

この状況は私が患者さんを通じて知っている範囲では1年ぐらい続いていたように思います。

私の勝手な想像ですが、やはり『普通』が『普通』ではなく、この指示が効果的な人が一定数いたのかと思います。だから出していた診断書なのでしょう。

☆☆ 『厳格な安静指示と入院』による安静

 

患者さんから、こんな風に指導されましたと言われて見せていただいた安静指示リスト。細かくどういう風に安静にするのかが具体的に羅列されていました。

コピーを取っておけばよかった(^_^;)。走るな、自転車に乗るな、重いものを持つな、車で遠出するななどなどがあったと思います。そして高度生殖医療が介入した妊娠の人には、妊娠判定が陽性がでてから、心拍が確認できるまで入院指示となっていました。

体外受精が広まってきた初期の頃の話しで、症例数も少なかったから出来たことなのかとも思いますが、入院という安静が効いた方も多かったのかなと思います。女性の場合、自宅だと安静がなかなか難しいですからね。

 

☆☆ご相談:心拍確認が出来ない流産を2回もしています。

話しがだいぶ長くなってしまいました。ここからはページを変えてお話ししていきますね。

44歳での出産 生理を何度も止めた子宮内膜症、自然妊娠 0096

生理を何度も止めた子宮内膜症、44歳自然妊娠、出産

あるドクターが

 『医療として不妊治療がなりたつのは、42歳11ヶ月まで』

と仰っていたのが私には非常に印象に残っています。

 

確かに、この数字はシビアではありますが、不妊治療の現状を考えると、肯定せざる終えないところだと思います。とくに、一度も不妊治療に挑戦したことのない人にとっては、『不妊治療そのものが時間がかかるもの』である点を加味すると、この年齢にスタートするのでは遅すぎるというのは自明です。(スタートしてはじめて判明することが沢山存るんですよね)

 

☆43歳を過ぎてしまうと妊娠しないの??

そういったなかで、では、43歳になると妊娠しないのか?といえば、そんなことはないということは言えます。生理のある43歳は避妊する必要はないのか?といえば、『避妊する必要は大いにある』ということは、当たり前であり現実の妊娠をみていれば『妊娠はする』ということでしょう。

この症例は、妊娠の希望はあるが、子宮内膜症がひどく何度も生理を止めている状況。生理を止めれば子宮内膜症は楽ですが、妊娠はできません。そのジレンマにとても悩んでいらっしゃいました。

☆☆不妊治療を主目的にせず、体調をあげることを主目的にして、結果的に妊娠成立

不妊治療を主目的にしなかった理由
1)上のお子さんがすでにいらっしゃる
2)年齢要因的にも積極的な不妊治療そのものはしたくない。

このようなご本人のご希望がありました。いままで積極的な不妊治療で体調を崩すだけで妊娠もしないということが、深くご自身の中に刻み込まれていたのだと思います。

そして、元々の首の辛さや頭痛などに対応していくなかで、体調がよくなり、無事に妊娠ーご出産の運びとなりました。

44歳、やっぱり妊娠するチャンスがある人には、条件が悪くても、医療として成り立つ範囲の外側にいても、コウノトリがくることもあるんだなと思いました。判断が難しいところですが今回のケースでは、妊娠ということを『不妊治療』をテーマにして強く考えなかったことが逆にストレスや過度の負担が排除され、生命力そのものが伸びやかになれたことがよかったのかもしれません。

 

さて、具体的なご相談から紐解いていきましょう
YouTubeでの説明はこちら

ご相談:42歳、妊娠希望ですが、子宮内膜症がひどく前に進みません

42歳から妊娠を希望しています。30歳からの子宮内膜症が非常にひどく、生理痛が重く、手足もひどい冷えを感じます。また18歳の頃からのムチウチや首のコリ、頭痛も辛い状態です。

36歳で自然妊娠をし出産していますが、最近また子宮内膜症が非常に悪化してしまい、すでにリューブリンで6回も生理を止めるー再開すると言うことをくりかえしています。

早く子供をとのぞんでいますが、卵管通気はOKだったものの、生理の度に子宮内膜症や、膀胱の横に感じられる腫瘤は大きくなりっており、この対処と妊娠の間でジレンマに陥っています。

 

ご相談にお答えして
:体調をよくすることが妊娠につながるかもしれません。

かなりお辛そうな子宮内膜症ですね。それでも、いままでに自然妊娠出産をなさっていますから、カップルとしての妊娠する力はかなりあるのでしょう。

子宮内膜症は生理とともに悪化するために、時に生理を止める治療をおこないますが、これでは妊娠そのものが成立しませんね。

子宮周辺の臓器は、子宮の底力を暖め養っていくことで血流が改善し力を取り戻していきます。子宮内膜症の状態もなんとか良好に経緯することができます。そして素早く妊娠して妊娠によって生理をとめ、授乳によってさらに時間稼ぎしていきたいですね。

年齢要因もあり、治療を急いでいきたいと思います。体調そのものがよくなることをめざしてお身体の手入れをしていきましょう。

☆☆東洋医学的な治療方針

東洋医学的な治療方針:
・腎虚を中心とした気虚 オケツ
・補腎 疏肝理気

・治療方針、
腎気をたて全身の気虚を救う。
肝鬱は基本的にいじらない

子宮、卵巣、骨盤内臓器を温め、養い、活力を取り戻していく。
なるべく早期の妊娠成立を目標とし、子宮内膜症の対策とする。

☆治療経過 半年ほどで自然妊娠、出産

☆初診:
・右神門(HT7)、右後溪(SI3)お灸、左湧泉(KI1)お灸、右足三里(ST36)2箇所鍼してお灸、三陰交(SP6)、左公孫(SP4)、
・大巨(ST27)、気海(CV6)(10)

風門(BL12)、霊台(GV10)温灸お灸、
左脾兪(BL20)、左胃兪(BL21)、左陰兪 右三焦兪(BL22) 大腸兪(BL25)

初診雑記:脾気からいこうとおもったけど、首と肺気がきついので(むち打ちの影響か?)、肺大腸でまず風邪の内陥をとる。

→治療後の経過
前回治療後に疲れを感じない。

☆3診、3月花粉症がきつい(花粉症のパイオ→鼻が通る感じ)

治療同じ+天柱(BL10)のお灸
→治療後、鼻が通る簡易。目の痒みも楽になってきた

☆4ヶ月後 立ち仕事が続き、首、腰、背中が辛い
百会7、右の外関(TE5)、臍棒灸、足三里(ST36)、三陰交(SP6)
大椎に三角温灸、左脾兪(BL20)、左胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)鍼、温灸

☆半年ほどで自然妊娠

妊娠中の鍼灸
外関(TE5)、足三里(ST36)、復溜(KI7)、左脾兪(BL20)、右胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)

☆30w-逆子
1)左胃兪、左三焦兪 腎兪 次髎
2)右後谿 湧泉 ミニ灸
三陰交灸頭鍼ミニ灸 至陰ミニ灸2回
翌週の検診で逆子なおる

無事に出産、おめでとうございます。

 

☆あとがき

赤ちゃんを見せに来て下さったときに、上のお子さん達がとてもベビちゃんを歓迎し、楽しそうにワクワクとお世話をしていらっしゃいました。家族が増えることをみんなで喜んでいらっしゃる、とてもステキなことですね。そのお手伝いができたこと、とっても嬉しいです。

 

子宮内膜症はかなり手強く、日常生活にも影響が強いですし、妊娠そのものへの妨げにもなります。症状そのものは、西洋医学の対応の手を借りることも多いかと思います。しかしながら生命力そのものをしっかりさせることもやはり大切ですねえ。

いまの症状に固執しすぎず、もう少し突き放し、ご自身の力をつけるということが、結果的に様々な症状が軽減し、急がば回れの目標達成となることがよくあります。

今回の症例は癒着もひどく妊娠そのものの成立が難しいのではないかと思われましたが、ご本人が気負わず、自分の出来る範囲でナチュラルに対応なさっていたのがとてもよかったなあと思います。ご本人の淡々とした努力ですね。

 

あーパンダ様、このようなリラックスの道に私も進みます〜 急がば回れ リラックス イラスト