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食事と東洋医学 しっかり食べて楽しい日々を(0107)

私は東洋医学的な生命観にもとづき、お身体を拝見し、養生の指導をさせていただいています。食事、生活、セルフケアと色々な方法で、少しでも体調アップして、自信の持てるお身体になれるようにと応援しています。

身体の調子がよいということは、なによりも幸せなことですよね。

ご質問は直接ご来店いただいた方のみお返事をさせていただいております。

養生はやはりご本人との直接やりとりが必須です。

メールやLineなどでのご質問は、ブログを通じて一人でも多くの方のお手伝いになればと言うことで書かせていただいております。

さて、最近食事の質問を多く頂きます。

治療時間中、どうやって食事を作っていくのか、考え方、メニュー、具体的な調理方法などの話題になることも多くあります。食べることは人生の楽しみに通じますし、身体作りではとても大事な課題です。

☆食事の問題は大きな課題です。

毎日のことであるのに、食事の問題は案外難しい課題です。

この難しさには、「ご自身では普通と思っていることは表面に出てこない」ということと、
「よいと考える、答えが人によって千差万別」ということにあるのかなと感じます。

「お菓子は健康に悪い」と思っていらっしゃる方は、その情報が問診や食事生活記録を通じてちゃんと出てきます。

お菓子をつい食べちゃうので、体調が悪いのでしょうか?などとご自身の意識に上っているのですよね。

でも、”お菓子が悪いなんて思いもしない”人からは、その情報があがってこないのです。

また、「普通」も案外違います。

こんなことから、何がその人に強く影響を与えているのか、を知るのはとても
難しいのです。

☆食事の鉄板! 食事バランスガイド

食事バランスガイドというのが厚労省のWEBでも農水省のWEBでもとりあげられています。

食事バランスガイド厚労省

で、ホントに鉄板です。
食事に迷ったら、まずこの食事バランスガイドのお勧めカウント数を守ってみてください。

特に、日々の食事での過不足はないかどうか守ってみる。
1ヶ月それですごしてみるのが大事です。

果物は・・とか、乳製品が・・というかというご意見も多いかと思います。
果物の賛否を私は論じません。

色々な立場の方が色々なことをいっていて、決着はつきません。
ただ、もしあなたが、『果物は食べない』ということを決めているのならば

果物でとれるであろうビタミン、ミネラルなどの栄養を他の物でとるという

代替案を必ずもってください。

代替案なきやめるだけは危険です。

☆体調が悪くなったときに、極端な食事を選んでしまった結果・・

少し具体的な症例から考えましょう

二人目不妊 貧血 マクロビ 体重減少(0107)

本症例の患者さんも、体調が悪くなったときに何かしなければと思い、
厳しい食事制限をなさいました。考え方の中心はマクロビだったとおっしゃります。

なぜマクロビなの?と候うと、漠然と肉などを食べない方が健康的だと思ったということでした。考え方に共感なさったのですよね。

しかしながら、この方の場合は、

かえって健康の足を引っ張ってしまったようです。

食事は個別具体的に考えていく問題であろうと感じています。
一般論的に『これがよい、これはいけない』と決めつけるのは問題が
大きくなる可能性が高いと思います。

その方の耳に入りやすい、ご自身が納得しやすい情報だけが入るからです。

私が、『その食事療法はあっていないんじゃないかな?』とアドバイスさせていただくのは、この症例のように東洋医学に基づいた体表観察をし、時系列に沿って問診させていただくなかでおこなっております。

食事は人間にとって大切な栄養源ですし、精神的な支えでもあります。またご本人の『嗜好』に大きく左右されます。頭で考えた情報とご自分の嗜好で、極端な方向に決めつけるのは危険が大きいと思います。

とくに、肝気が立っている情報に大きく目が行くタイプの方は、ご自身にも厳しい傾向があり、厳しくストイックであることを是としがちです。

そして真面目で頑張り屋さんであるので、ご自分の不調を無視して頑張りがちです。

この方は、身体作りをして、体調が回復し、ほどなくご希望同理の二人目のお子さんを授かり出産なさりました。

二人目不妊 貧血 マクロビ

ご本人様からのメッセージをのせておきますね。

『思えばちょうど1年前、わらにもすがる思いで(笑)ビッグママを訪れました
まさか一年後に我が子をまた胸に抱けることになるとは、思いませんでした

身体の治療だけでなく、精神面や生活面でのアドバイスも参考になりました
本当にお世話になり、ありがとうございました』

色々な迷いがあるときに、

一緒に考えられるといいなあって思っております。

少しでもお役に立てたようでなによりです。

食事は、まず食事バランスガイド。

しっかり食べて健康に。

栄養情報も流行には要注意、話は単純化され盛ってある

佐々木敏先生は、私が栄養に関する考え方で基本とさせていただいている先生です。
尖らない、データーに基づいたお話は「信頼出来る」と思っています。
佐々木先生の基本的な栄養の考え方はこのコープのサイトが参考になります。

さて、今回はこちら↓。
相変わらず話しが面白いです。少し一緒に読んで考えてみましょう。

栄養情報も流行には要注意、話は単純化され盛ってある

栄養情報も流行には要注意、話は単純化され盛ってある

佐々木敏·東京大学大学院医学系研究科教授インタビュー(1松永和紀 (科学ジャーナリスト)

豚肉とビタミンB1は有名、それと夏バテと結びつけるのは疑問と!
まあ、確かにそうですねえ。

ビタミンB1について→

つまり、ビタミンB1はチアミンという名称の化合物で、ブドウ糖をエネルギーに変換する際に必要な栄養素ということですね。

水溶性ビタミンなので摂取基準の上限はありませんが、
サプリなどで取る場合はちょっと注意ですね。
糖をエネルギーにするということで、夏バテによいというイメージを作ったのかも知れませんね。

プレゼンのようにわかりやすく話しをする場合には、こういった事例を使うのは理解出来ます。ただし、それが一人歩きしちゃうのが問題(^_^;)

☆野菜を主食より先に食べるは、唯一の結論か?

佐々木先生は「野菜を主食より先に食べる」についても、

>「有望な選択肢の一つ」くらいに理解しておきたいところです。

と、仰っています。ふむふむ。
これは、野菜を先にたべるということで、

   ・主食の食べ過ぎを防げる
   ・野菜の摂取量が増える
   ・食べる早さが遅くなる、しっかり噛む

速食いの人はゆっくり食べる人よりも糖尿病に2倍もかかりやすいとした報告があるそうです。つまり、この「野菜を先に食べる」ということが、様々な要因から効いている、そして何が効いているのかは判然としないので情報に距離感をもつということかなと。

☆ビッグママ治療室での食事指導

当院でも、食事の話しをするときには、まず生活食事記録をつけていただいています。
そうしないと、目の前の患者さんの語っている「食」のありようがみえてこないのです。
佐々木先生のおっしゃるように、”野菜を先に食べる”という言葉ですら、さまざまな
行動や側面をはらんでいます。その方の本質に迫ったアドバイスをするのは
本当に難しいんです。

 

☆三角食べのよさは日本的な口中調味

さて、このあと日本的な三角食べだって上記要素は満たせるよとお話が展開していきます。
三角食べは、主食、主菜、副菜を順に少しずつ食べる食べ方ですね。
むかし、その図をみたかもっていう記憶がよみがえります。

口の中を空にして次の食べ物を食べるのでなく、両者を口の中で混ぜ合わせて味の広がりを楽しむ「口中調味」を行うもので、日本の食べ方の特徴とのこと。食べ方って世界各国でいろいろあるんですねえ。

この三角食べだと、
・1度に口に入れる量がわずかで、様々な食材を摂取出来る。
このことが、早食いや、野菜不足などなども補い、結果として十分な栄養を摂取し
身体にとって利点の多い食べ方にもなるということです。

☆野菜さき食べと三角食べの結論

佐々木先生は、野菜さき食べと、三角食べの結論として

”ぼくは、食事を体のためのガソリンやオイル、または薬と考えている人や食事にできるだけ時間をかけたくない人には野菜先食べを、そうではない人には三角食べ口内調味を勧めます。”

とおっしゃっています。

食べ方は、これがいい!というスタイルだけはなく、生活や好みにあわせても同じ目的が達せられるよという柔らかさを感じますね。

☆低糖質ダイエットは本当に効くのか?

佐々木先生は昨今流行の低糖質ダイエットにも言及されています。
結論として

”低糖質にする食事法とバランスよく食べる方法、低脂質の食事法の三つの効果を調べる研究結果を集めまとめて解析(メタ・アナリシス)した結果では、三つとも痩せています。低糖質だからことさらに痩せる、というわけではありません。”

結局、低糖質でも、バランスでも、低脂質でもOKなのですね。

(佐々木先生のあげている論文、英語でした(^_^;)とても読めない)

佐々木先生のスタンスは、「良い食品」「悪い食品」という言い方や分類にも言及されています。ここが佐々木先生の醍醐味ですね。佐々木先生のおっかけとしては、これからも追っかけ続けたいと思います(^^)

母乳がよい!GABAとラクトフェリンの違い:京都女子大学のセミナーから⑥

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその⑥です。

 

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

YouTubeは京都女子大学 食事でこんなに変わる、脳の発達や病気

ブログでは、①、②、③、④、⑤ととりあげています。

その①https://bigmama-odawara.jp/blog/archives/4655

その②https://bigmama-odawara.jp/blog/?p=4661&preview=true

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脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその⑥です。

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食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

 

 

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその⑥です。

YouTubeの18.33から最後のまとめとなっています。学生さん向けのセミナーなので、栄養学の発展について、また面白さについて述べられています。私もこの臨床研究と基礎研究の違いは面白かったです。どうしても、基礎研究の部分や介入試験などは臨床では出来ない部分。学術研究を期待します。

 

☆過去は変えられない、お母さんを責めないで

 低体重で生まれると、iqが低く、多動などの問題をもつかの黄精が高い

 妊娠中に魚を沢山食べたり、母乳育児だと子供のIQが高くなる

 →でも、母乳中のどの成分がよいかは不明

基礎研究(辻先生の研究室)

 低出生体重自と同じ症状のモデルラットを開発した

辻先生は、ここで、いままで人工乳やお母さんが魚を食べないという状態の方々へのフォローを話しています。

栄養学は進歩している、こういったデーターはいままでなかった。かえって昔は魚が水銀を含んでいて危険だと言われ妊婦は食べないようにという警告もあった。だから皆さんのお母さんのせいではないんですよ。

では、基礎研究の話しをしますね。と、お話をつづけられています。

 

☆脳の興奮性を増すグルタミン酸、抑制する増すGABA

スライド33(20.01)では、大脳皮質感覚野の脳地図を出しています。

 

ラットの足。この図は人間の図もよくみかけますね。

親指を刺激すると、脳のある部分が電気的に活性化する。

人差し指を刺激すると隣が反応する。

低出生時で生まれると、感覚野がいびつになり、小さくなる。

これはフランスのジャッコラビコックの研究です。

☆神経伝達物質、グルタミン酸とGABA

そして、スライドの34(21.07)からは、具体的な栄養素でお話が続きます。

細胞と細胞の間はやりとりしている。そのやりとりに神経伝達物質がかかわる。

神経伝達物質としての、グルタミン酸とGABA
低出生体重だと興奮性を増すグルタミン酸が↑、抑制するGABAが↓

低出生体重だと神経細胞の興奮性が増して、抑制性が減るということです。

また、スライド35(21.58)では、脳内物質の分布を可視化し、抑制性神経伝達物質であるGABAは視床下部に集まり、低出生体重で多動のラットでは、GABAの集積がみられないんです、つまりあまり分布がみられないということがわかって何匹もやってみたんですというお話がされています。(再現性が大事なので)

スライド37だと、正常体重で生まれたラットの視床下部にはGABAが視床下部にあるが、低出生体重のラットではほとんどわからないと。

☆低出生体重が多動などの障害をおこす機序(22.44

スライド38では、低出生体重が多動などの障害をおこす機序を図で説明しています。つまり

低出生体重

まず感覚が変わる→大脳感覚野での配置が変化する

次に→神経細胞の興奮性が増して、抑制性が減る

特に→GABA(抑制性神経伝達物質)が視床下部で減る

このような機序で多動がおこると考えられています。

(他の研究室では他の機序も説明しているのでこれはひとつです。)

では、最後に治療の話しをします。

 

☆治療は母乳、ラクトフェリン

治療には母乳がよいとお話しされ、ラクトフェリンという成分が非常に大きな役割を果たしているとされています。

·母乳と人工乳の違い

人工乳と母乳の違いを比べ、牛乳で少なく母乳で多いものをさがされています。
また、新生児を対象とする実験は非常に難しい。人の臨床試験の難しさは格別。そして母乳だと非常に研究がしやすいという利点はあるとのこと。だから母乳がよいという実験はしやすいんですねえ。このあたり、他の物をよいものとし難い点もみえてきますね。

つまり、母乳以上によいものがあったとしても、その実験は難しいわけです、倫理的に。

母乳の成分:ラクトフェリンについて

1)牛乳には少ない。母乳に多い。
2) →血管endothelial cell内皮細胞のトランスサイトーシスによって、blood-brain barrierを容易に通過

脳の中にはなかなか成分は行ききにくいですね、blood-brain barrier(血液脳関門)があります。

そのなかで、ラクトフェリンは届きやすいという点が、GABAとの違いとなってきます。
そして、ラクトフェリンは内臓脂肪を減らしやすいと言うことでいまはサプリまででているので手軽にとることができる。

ここで先生は、ラクトフェリンについて、赤ちゃんの脳障害、行動障害によいということがわかれば、すぐに人に応用出来るという可能性を秘めているとされています。ラクトフェリンの摂取を現段階で赤ちゃんの脳障害、行動障害の治療に結びつけられてはいないということなのでしょう。

 

☆まとめ 妊娠中や赤ちゃんの栄養はとても大切

臨床研究では、妊娠中や赤ちゃん時代の栄養は脳の健やかな発達にとって重要である。

基礎研究では、低出生体重児が多動となるのは脳内の抑制性神経伝達物質の減少がひとつの原因です。(2627

母乳の有効性は明確なので、母乳の成分を用いた治療法開発をおこなっている。

最後のスライド(26:40)栄養学の発展には、臨床研究と基礎研究の両方が必要である。

臨床研究では、観察研究と、介入研究との違いを考慮して結果を解釈することが重要である。以上です、これで栄養学に少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。

 

☆98才の隣のおじいちゃんは毎日タバコを吸っている、
だからタバコが健康によい???

ここまでの、辻先生のお話を聞いていると、この話しがおかしいのがわかります。
つまり、臨床としてみれば、

・98才で元気に生きている長寿のおじいちゃんがいる。

・毎日ぷかぷかタバコを吸っている

・だから、タバコを吸うと98才まで生きられる!

ってな論理は大間違いなわけです。

・98才で元気に生きている長寿のおじいちゃんがいる。

この事実に基づき、もっと大規模なデーターをあつめ、同じく長寿グループでのタバコを吸っている率を見るべきでしょうし、同じ対照群でタバコを吸っているグループと吸わないグループのデータ。そして介入実験までするということが求められるといういお話をされているわけです。

世の中には、このような話しは山ほどあります。
私自身も、自分自身の体験から、自分によい、患者さんによいといったことを
お話ししています。それはかなり用心深くしなければならないという戒めだと感じます。

栄養や健康に関する介入は、非常に難しい側面があります。
用心深くしながらも、
私達の生活を前向きに押し進めてくれる可能性のあることを
体験をもとにしながら知り、前に進めていきたいと思います。

ありがとうございました。
それにしても、栄養学の実験、論理って面白いですねえ。
栄養という成分分析しやすいものでも
こんなに研究、観察を積み上げていくことが必要なんですね。

庭の金柑、だんだん色付いてきました。どんな栄養が喉にいいのかな(*^_^*)

akiko yoneyama

 

胎児と栄養、やはり魚:京都女子大学のセミナーから⑤

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその⑤です。

 

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

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脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその⑤です。

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食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

 

多動の障害や低くなったIQをどうやったら治せるのか?

臨床の話しに戻ります。
どうやったら、低くなったIQや多動の障害を治せるのか?栄養が少し足りないからというお話が始まります。

そして栄養が足りないからIQが低くなったり、多動になるのであれば、治すのも栄養で治せないかと言うことが考えられますということで、論文のデーターをだしています。

そして人を対象とした論文でその答えが見つかっていますとされ、アメリカ食品医薬品局の報告書(8:41)2014をだしています。

 

魚なんですねと思いますが、一筋縄ではいかない論理展開です(^_^;)

魚を食べる人と食べない人の比較

19枚目のスライドでは、魚をほとんど食べない人から食べる人まで10項目で並べたんですと説明(左端の欄) 

 

魚を食べる上位5%は一週間に360グラム(12.7オンス)食べていた

その生まれた子供→ほとんど食べない人を0として、妊娠中にお母さんがたべればたべるほど、IQがあがる

データー的にいうと、3.9上がる。

そして20枚目のスライドでは、魚の摂取とIQというタイトルで、
妊婦が週に2回シーフード(230グラムから340グラム)を食べると、子供のIQ33上昇すると、お話しされています。

妊婦が週に2回シーフード(230グラムから340グラム)を食べると、子供のIQ33上昇する!ううむです。

辻先生の一人突っ込み

ちょっと待った!確かシーフードには水銀などもあり妊婦は控えた方がよかったんじゃなかったですか~という一人突っ込みに、先生は最近分かったことなんですよ、お母さんを恨まないでね(^_^;)と話していました。うううむ。ただし、マグロは、注意が今でも必要ですよね。(きはだまぐろ、びんなが、めじまぐろ、ツナ缶はOKです)

詳しくは厚生労働省のお魚について知って置いて欲しいことというりんくがありますので、参考になさってくださいね。

☆生まれたときに低出生体重児だったらどうすればいいのか。

ただし、これは生まれる前の話し。産まれたときに低体重だった場合はどうすればいいのかという話しが続きます(10/13)

イギリスの研究 早産児300人に7才時点でIQテスト

22枚目のスライドでは、母乳で育った子供は人工乳で育った子供よりもIQが83高かったとされています。偏差値で56の違いです。

じゃあ、みなさん、お母さんが母乳で育ててくれたらIQ83もたかったのかと考えちゃいますよね。でも、それだけでは論文データとしてはダメなんです。(10.13

 

☆観察研究だけではダメ、母乳で育てたら=OKとはいえない。

これは観察研究なので、母乳で育てたら83高いとはわからない。

そもそも、母乳と人工乳で育てようと思ったお母さんは違う。

母乳を選んだ人は、母乳だけの影響かどうかわからない。

最近ではこれだけのデーターだけでは信頼されない!

最近ではこんな論文では信頼されないんです、補正が必要です。

☆補正10項目を入れた母乳栄養と知能、30才の収入の相関関係をみる

家族の月収、両親の学歴、妊娠中の喫煙、母親の年齢、妊娠前のBMI、分娩様式、在胎週数、出生体重、一家の資産至数、祖先(ヨーロッパ系、アフリカ系、先住民系の割合)この10項目の補正をいれてデーターをみていきます。

結論として、(12.36

25枚目のスライドで、母乳栄養の期間

1ヶ月未満 基準
3ヶ月
6ヶ月
12ヶ月

の期間を区切り、母乳で育てた期間が長いほどIQが上がるとしています。
また、30才時点での月収もあがるとしています。でも、まだ観察研究

☆介入試験をせねば、信頼出来るデーターとはならない。

介入試験をせねば! 信頼出来るデータとはならないという説明です。さすが大学の先生、そんじょそこらの、『これをすればバッチリ!』系のお話とは違います。

コインをふって、表がでたら強制的に母乳で育ててくださいと振り分ける。
コインの表裏。

そういった強い介入する。

これで、母乳群と人工郡かがわかれる。

母乳栄養に関する大規模無作為割り付け試験のスライドで、ベラルーシの赤ちゃん17000人。6才児にIQテストをおこなったということを説明し、母乳で育った子供は、6才児にIQ59高かったとしています。

これで、母乳がよいということが結論づけらたとしています。

これはすごい研究だけど、倫理的にできるのか?と。お話ししながらこの実験の経緯を説明されています。そして、結論として、母乳をすごく推奨するとのこと。

また、スライド28(16.15)は、生後10ヶ月から4才までの健康な乳幼児133人において、大脳白質の体積をMRIで計測

母乳対人工乳大脳白質が増えるとの結論を述べています。

☆スライド29(16.53)では、母乳のどの成分がよいのか?

母乳にはいっぱいの栄養素が入っている
多価不飽和脂肪酸→子供の脳の発達によいのではないかというお話をされています。

また、そのなかで次のスライドでは、ω−3脂肪酸(魚などに多く含まれる)の話しをされ、ドコサヘキサエン酸(DHA) エイコサペンタエン酸(EOPA)、Ω−6脂肪酸などの話題を出され、さて、本当にこれはいいのか?ということでの検討がなされているとしています。

多価脂肪酸の説明です。このあたり、私の頭には難しい〜。

そして、スライドの31番目では、沢山の論文がある。すべてまとめて再解析しているということで、次のお話になります。

 

補充による有用性は認めない!

·早産児に対する長鎖多価不飽和脂肪酸の補充

·正期産児に対する長鎖多価不飽和脂肪酸の補充

補充による有用性は認めなかった

なんと!これら多価脂肪酸を補充してもダメなんですねえ。さすがデーターに裏付けられた論文の世界。厳しい現実をちゃんとつきつけていますねえ。

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーから④

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその④です。
③が少し長くなったので補足の④となります。

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

YouTubeは京都女子大学 食事でこんなに変わる、脳の発達や病気

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☆脳の形態:低出生体重ラットの脳は小さく、大脳白質の体積は減る

 

 

15枚目のスライドです。ラットでの脳の大きさを比較しています。

脳の形態について、低出生体重の脳は小さく、大脳白質の体積は減ると語っています。これはなかなか唸ってしまいます。血流が悪く低栄養になり小さく産まれると言うことは脳の形態にも差を生じると言うことをお話ししています。

スライドの中では、

底出生体重ラットの脳は小さく、大脳白質の体積は減る

ということが示され、脳がほんの少し小さいということが、どういうことなのかということを、

大脳白質とは神経細胞と神経細胞をつなぐ、神経線維が通っている部位である。

上記のような説明をしています。

人のMRIでも、同じ。大脳白質が小さい。

脳が小さくなると言うことは、大脳白質が小さいと言うことを意味するというお話です。

大脳白質って何?大脳の白質と灰白質

→大脳の表面は神経細胞が集まっており灰白質と呼ばれます。その奥にある、神経細胞からの命令 を伝える神経線維が束となって走行している部分が大脳白質です。つまり神経線維の束がある場処が大 脳白質ということです。

整理すると、
:灰白質→脳の表面、神経細胞があるところ
:白質→灰白質の内側、神経細胞の連絡路(軸索)

☆子宮血流の低下がもたらす低出生体重モデル動物の特徴4

16枚目のスライドでは、子宮血流の低下がもたらす低出生体重モデル動物の特徴を4つあげています。

血液の流れを減らし=栄養を減らす:子宮血流の低下

この子宮血流の低下がもたらす4つの結果は、

1:低体重で生まれる

2:多動

3:社会性が低下

4:大脳白質の体積が減る

低出生体重児であることのリスクについて、脳が小さいと言うことからわかることをこのように分析し、京都女子大学の辻先生は語っているということです。

日本でいわれる、『小さく産んで大きく育てる』という言葉は、こういったリスクに踏み込んだ言葉ではなく、ただ、小さく産んでも大きく育てればいいんだよと言う言葉だと思います。
それは確かに、

 分娩は先ず第一に安全であること。(母子の生命がかかっていますからね!)

 その上で、母子共に健康であること。

その安全であることが、低体重児とされるほど小さくでもいいに直結しているのならば、ここは少し考えて、『小さく産んで大きく育てる』という言葉をもう一度考えてみるべきではないかと思います。