東洋医学から見た人間観察」カテゴリーアーカイブ

私の受けたい治療⑯ 患者さん側に求められること、施術者に求められること

私の受けたい治療⑯ 患者さん側に求められること、施術者に求められること

いまの私の治療院では、私の受けたい治療である、『人生に寄り添った視点を持った治療/施術』を提供することが可能になっています。

これは、患者さん側の理解があり、そのご理解の上に成り立っていると私は思っています。

私はいままで語ってきたような治療/施術が受けたいです。

これはただ症状をとることを目標にした治療/施術ではないということです。

これは、患者さんに理解していただき、その上で成り立つものなのです。

☆施術者側の課題:観察する技術と、事象への理解力

人生に寄り添った視点を持った治療/施術を提供するには、

施術者として、ただ、提供する技術、つまりマッサージや整体、鍼、お灸などの

テクニックを持つことだけが必須ではありません。

☆☆四診をする技術力と、人間観

患者さんを診る技量、すなわち、四診する力が必須です。

これは深掘りしようとすればいくらでもできますが、

基本的なシンプルなものだけでも持つと本当に違います。

また、もう一つ必要なのは、人間観です。

まるごと一つの人間を生命観を持って理解するという視点を一つ持つ。

これが本当に大事。

世の中には数々の情報が溢れています。

その情報の度に、生命を考える物差しをかえてしまっては、

一体何を診ているのかわからなくなります。

1つ自分の軸となる考え方を身につけてほしいと切に思います。

そしてそこには、東洋医学で言う『まるごと一つの身体』という全体観が

一番役に立つと思います。

全体観を持った上で、患者さんが訴える症状を考えると、違った世界が見えてくると思います。

☆☆業界への苦言(秘密の独り言)

ここで、ひとつだけ私が二十年以上この東洋医学の業界にいて思う独り言の苦言があります。

この四診と人間観を深掘りする先生や、勉強会は非常に多い。
ここがポイントだということは誰でも気がつきます。

ただ、残念なことに、あたりまえに道具としてこの四診の技術を持てるレベルの人が少ない。
また人間観も、教科書的な文字は一杯知っていても、実際にイメージして使えていない人がなんと多いことか。これはひとえに症例でのレッスン(数多くの症例の弁証論治を書いて学ぶという姿勢)が足りていないことにつながります。

そして、また逆にここを深掘りばかり。いうなればそればっかりということがあります。

これらは深掘りすれば果てしなく深掘りできます。
ただ、本来の患者さんをみる、寄り添うといったところからは、離れて行ってしまっているのではないかと私には感じる事もとても多いのです。

実際の患者さんを診るという視点よりも、学問そのものとしての追求。
また、派手な技術ばかりを前面に出し、高い講習会料金で、施術者を食い物にしているセミナー屋さんも多く見かけます。

どっちも本末転倒ではないかと私は思うのです。

もっとシンプルでよい
もっとあっさりでいい
そして、本当にしなくてはいけないこと、本当にして欲しいこと。
ここから目をそらさず、軸をぶれさせず、学び、実践する。

そんなことが、業界の古株になっているいま、思うのです。
シンプルでいい、あっさりでいい、本質を掴んだ治療を!

 

☆☆『観察ー見立てー相談ー方針を決めるーそこから始まる施術』

いまの私の治療院の場では、私が観察して診立ててというプロセスが非常に大きなウエイトをもっています。

米山自身が臨床経験が長く、観察が好きなことと、

患者さんご自身がこのプロセスを踏んだ治療を納得してくださっている。

そんな前提が出来上がっていると思います。

私自身、そんなプロセスがゆるされる治療院を持つ事ができたことが

とても嬉しいですし、またそんなことを理解してくださる多くの患者さんが

来てくださることが嬉しいです。

☆患者さん側の課題

患者さん側の課題もあります。

施術者が診る、観察する、東洋医学的な人間観から理解すると言うことに対して理解していただく。

そのうえで、症状を対応する治療を選んでいるのか、体力貯金の積み増しを考える治療を受けるのか、

この観点からの出発が必要です。

施術者側の観察、つまり身体の状態をみて、一つの東洋医学的な人間観に基づき判断するということが、必須な項目であることを患者さん側も理解することが大切だと私は思います。

☆☆肩こりから考えてみましょう

少し例題を出して考えてみましょう

35歳女性 このところ仕事が忙しく肩こりが辛い。
肩こりを楽にしたい

☆☆1)凝りをほぐすー局所のアプローチ

肩こりというのは、肩周辺の筋肉が凝って辛いということですよね。

この凝って辛いを、とりあえず解決するには、なでさすったり、マッサージをしたりして、凝りを解消することが求められます。

☆☆2)凝りをほぐすー全身のアプローチ

この、肩の凝りがなぜおこるのかなということを、症状的な観点から考えれば、背中や頭の筋肉まで広げて考えることもできますね。また全体の血流が悪いということであれば、足や手先を動かして、血流をあげる施術が功を奏すことも考えられます。

この2つの視点は、
患者さん側が、治療/施術側のやっているサービスメニューから選ぶことになります。

ここで、治療/施術に、まるごと一つの人間としてみるという体表観察を中心とした四診の観点をいれます。

☆☆3)肩こりという症状から一歩引いて、
まるごと一つの人間として全体をみる:メタ認知の視点

主訴が肩こりであるので、肩こりだけに注目し、肩こりの治療を考えがちですが、一つ視点をあげて、

・患者さんをそのままみる。そしてその身体に困っている症状である肩こりがあるという事を理解する。

という少し俯瞰した診方でみることが、過去から生き、今を生き、未来を生きる患者さんを診るということであり、人生の今を生きている患者さんのメタ認知的な観察です。

この視点があれば、全体の中で『肩こり』という問題がどの程度の問題なのか、この方に本来必要なこと、はなんなんだろうか?という発想につながり、人生を歩むときの大きな寄り添うとなるちりょうになります。

肩こりの治療という非常に一般的でシンプルな出来事でも、このように視点が変わると見える世界が変わるのです。

私の受けたい治療⑭   治療の種類、道具の選び使い方、お灸が大好き!

私の受けたい治療⑭ 治療の種類、道具の選び使い方、お灸が大好き!

さて、①-⑬まで長らくの私の臨床経験を語ってきました。

私はいつも、『自分が受けたい治療』を治療院でみなさんに提供したいと思っています。

その自分が受けたいという視点が中心。

書いていて、かなり厳しいこというな〜>自分!
とは思います。

うん、患者さんとして、このレベルのリクエストを突きつけられたら

困っちゃう治療者は多いと思います。

それでも、私はこんな治療を受けたいんだもんっていう、視点はぶれず、あえて難しいことも言おうとおもいます。

世の人は、この業界のありようや、鍼灸やマッサージがなにをしてくれるのか、何ができるのかということをご存知ありません。だから、

世の中の宣伝広告にパッと惹かれます。

ニーズに上手く応える、治療院のロケーション、時間設定も大事ですね。

また説明がうまいとか、サービスの点で納得というのもわかります。

わかるんです、それらも必要であってほしいということは理解できます。

それでも、あえて、私自身が、長らくこの東洋医学の施術を受けてきて、自分の身体をいたわり、大事にするために『自分が受けたい治療』があります。そしてそれを提供したいし、提供できる努力を続けたいし、受けたいんです。

さて、具体的に話していきましょう!

☆施術者の技量:人を診る観察力を持っていてほしい。

・ちゃんと、患者の身体をみることの技術と経験を持っていてほしいです。
・課題を解決出来る技量を持っていてほしい
・経験と実践の両輪がある施術者の治療が受けたい

 書いていてあたりまえの事ばかりなのですが、これ案外高いハードルなんです。

鍼灸学校というのは、国家試験の合格をめざすのが一番で、案外、技術的なことはサラッと一巡という感じで、その人の技術と経験をあげるには、そのあとの修行が何よりも大事。

そしてこの修行の道が案外険しいのがこの業界です。

他の医療職と違って、保険診療の枠ではないので、鍼灸学校卒業後も、数年の修行が必須だと思います。私自身も学校3年のあと、大学病院での3年、弟子入りなどをいれて、4年のガチ修業時代があり、その上で、いつまでも勉強であると言う日々はいまもかわりません。

☆治療の針、灸、道具について

・鍼灸ならばディスポの使い捨ての針を使って欲しい。
・お灸も、ただ暖めるだけではなく、しっかりやってほしい。
・鍼とお灸ならばお灸がメインで鍼が補助といった感じの治療がいい。

 鍼はディスポというのは、必須ですね。

色々なメーカーがあるのですが、私は日本のセイリン社製のものをつかっています。

値段は高いですが、やはり信頼。

お灸は、煙の問題があり、案外使うことが出来ない治療院も多いです。

また、お灸には本来、撚って(ひねって)火をつけて、ある程度のところで取るとか消す。リズミカルに施灸するというのは技術が必要で、修行と訓練がないとできません。

まあ代替としてセンネン灸などもありますが、これは治療の方向性として撚るお灸との違いが大きいです。撚るお灸が出来る上で使うセンネン灸タイプという技術は持っていてほしいですね。

温灸は、やはり換気装置が必須です。

当院では、治療院の中に8台の換気扇があります。

これってもうかなりすごい数です。

初めは4台でしたが、温灸の煙のすごさに窓用の換気扇を足しました。

温灸やるならばここまで設備が必要です。

そして換気をどんどんすれば、室内の温度調整もむずかしくなります。

お灸、温灸をするといった前提にたっての治療院作りが必須だと私は思います。

☆治療の刺激量

・鍼の刺激は穏やかなものがいい
・鍼が怖くないと思える治療がいい
・鍼を沢山打つ治療はイヤ。
・強い鍼の刺激の治療はイヤ
・電気でピクピクさせる治療はイヤ
・お灸で火傷ができるのはイヤ
・単なる温灸だけではなく、さまざまなお灸を使った治療がいい。

鍼治療というと、テレビで美容針をみたとか、なにかさしてぐりぐりしているというイメージの方が多いのかなと思います。

この鍼治療というのは、専門家であり、臨床の世界に30年近くいる私でも、『隣は何をする人ぞ』といういぐらい、実際にどんな治療になっているのかは、不透明な世界です。

ただ、どうしても、『治る』を追求すると,『強い刺激』を求めがちで、打った鍼にコードをつけ電気を流し筋肉をピクピクさせたり、神経、筋肉などを深く狙う鍼なども多くあります。山のように鍼を打つ流派、顔にもばあーっと沢山うつ美容針も最近見かけます。

そういったなか、私としては、鍼そのものの刺激は穏やかなものがよいです。

単に『痛くない鍼』や『刺さない鍼』ではなく、鍼を使って、シンプルで穏やかな施術がいいのです。これが私の受けたい治療です。鍼と言いながら痛くないとか、刺さないを追求すると、これはこれで、鍼のよさを難しくしているように私には思えます。シンプルに効かせる事のできる鍼灸を受けたいですし、施術したいです。

お灸は、昔は火傷をつくるのがお灸という時代もありました。

お婆ちゃんの背中に大きなお灸のあとがあったなどという薄い記憶がある方もいらっしゃると思います。これは打膿灸と言いますが、それはそれでその世界がありました。

私は自分が受けたいお灸で、火傷はなるべくない方がよいとおもっています。

ただし、お灸ですので、火傷が出来るリスクがあるのもしょうがないなと思います。

そのうえで、なるべく火傷は少ないお灸を受けたいです。

また、お灸というのは日本の文化に根づいてさまざまなお灸があります。

私はこのさまざまなお灸を楽しんで行きたいと思っています。

私の受けたい治療、だんだん明確になってきて、楽しくなってきました。

私の受けたい治療⑬ 心と身体と生きる意思

私の受けたい治療⑬ 心と身体と生きる意思

☆さまざまな臨床経験を通じて

日々の臨床は、さまざまなお悩みに一緒に解決していく道をさぐることになります。

このなかで、自転車操業的なその日暮らしと、日々をバックアップしてくれる体力の余裕資金があることの違いは非常に大きく、人生を左右するものだということを実感しました。

健康面で、人生の課題ができたときの選択肢は、

・まっすぐに、西洋医学に舵を切るべき方
・東洋医学や、漢方、鍼灸などの手入れが必要な方
・食事の改善、生活改善が必要な方
・目の前の体調だけではなく、余力の積み増しが必要な方、
・時間とタイミングが必要な方

いろいろな要素が、現在の『不調』につながっているのだなと実感するようになりました。そしてまた身体だけではなく、心の不調も身体とひとつとなり私達の健康に大きな関係性をもつことも実感できることです。

そしてもう一つ、『生きる意思』がその人の人生にとても大きな課題となっていることも痛感するようになりました。

☆現代を生きる私達の選択肢と生きる意思

食事は生きるということに直結します。
しかしながら、この食にまつわる、色々な思想信条、選択、そしてその結果を、
東洋医学的な四診の目を通じてみることは非常に興味深いことです。

私達には、それぞれ生まれ育った文化があります。
家庭があり、環境があり、その中で生まれ育ちます。

このなかで、『生きる意思』も大きな影響を受けて育ちます。

いつも精一杯がんばりたい
困難がおきても前に進む
勝負にはつねに勝ちたい
誰かと一緒にいたい
いつも自分が頑張らなくてはならない
やりたいことは精一杯やりたい
すっきりできる事が好き
この味が好き
この人が好き
面倒くさいことはイヤ
子どもが欲しい
怖いことはいや、
やったことがないことはいや

などなど

私達はさまざまな価値を持ち、『生きる意思』がその道の歩き方を決めています。

そして時にこの『生きる意思』は、心と身体をもつ私達の心身の器を越えた選択をしたり、無理を重ねる選択もします。

どうやって、この生きる意思が、心と身体をもつ私達を調和のある形で運転手となってくれるのでしょうか?

生きる意思と、心と身体の課題の乖離をよく見かけることも、臨床では多くありました。いや、自分の意思と、身体の課題が調和できていることのほうが少ないために、鍼灸にいらっしゃるということも多いのかなと感じています。

☆心と身体と生きる意思

東洋医学の世界では五臓で身体の状態を捉えます。

五臓:肝、心、脾、肺、腎

この五臓は1つの身体を5つの観点でみていくということです。

そして主に身体のありようをみていきます。

また、同じように5つにわけるときに、対応する感情として五志が考えられています。

肝→怒、
心→喜、
脾(胃腸)→思(思い悩む)、
肺→悲、
腎→恐

感情は、身体と直接的な関連性をもっていると考えています。
さまざまな出来事によってもたらされる感情と、その影響のある臓腑という
考え方はなかなか面白いものです。

そして、これにくわえて、私は、生きる意思ということを考えます。

基本的にこの意思は、肝とつよく関連性を考え、身体の気の昇降出入に大きな影響を与えると考えています。

その上で、私はこの生きる意思が、私達の人生の選択においてさまざまな局面であらわれ、強い影響をもっていると感じます。

つまり、心と身体のある私達を、この生きる意思が方向性を示唆するのです。

 心と身体の運転手

この図は認知行動療法を考えるときにつくりました。

そしてまさに生きる意思とは、この運転手なのです。

☆心と身体の運転手である『生きる意思』

私達は心と身体をもち、さまざまな出来事がある人生を生きています。

この運転手であるのが、生きる意思であり、生き方を選択していく『生きる意思』です。

この運転手である生きる意思は、身体の状態や感情を乗り越え、人生を歩んでいきます。

人生を豊にし、楽しくし、幸福にしてくれるのが『生きる意思』です。

しかしながら、面倒くさがったり、捻くれてみたり、突き進みすぎたり、中途半端にやめてしまうのもこの運転手である生きる意思です。

暴走してしまったり、逆走したり、
はたまた意味のないレースをしたり
高すぎる山を目指したり、
道のないところを走ろうとしたり、
自分の車(身体そのもの)のパワーにあわない運転をしたり、
せっかくの車の性能を生かし切らない走りをしたり。

心と身体の運転手である生きる意思と調和をとって生きることは非常に大切なことです。

私達は、この五臓の観点から身体を考え、感情を考えて養生します。

☆生きる意思である運転手が、自分の心と身体をしっかりと認識すること。

人生の運転をするときに、その目標と、自分の車の性能をしっておくことはとても大切です。またどの様な道を歩むのか研究しておくことも大切です。

たとえば、妊活をしたいひとであり、体力の余裕資金を積み増さなければならない状態なのに、どうしても日々の仕事、イベント、娯楽などを多く重ねる日常があたりまえになっている方がいらっしゃります。どうしても、多くの予定を入れないと満足や安心ができないのです。

このときに、身体と余剰資金の関係をしり、しっかりとご自身の生きる意思をもち、賢明な運転者となり、人生をドライブしていくことで、人生の目標を得て、新しい人生の扉を切り開いていった方と多くの時間を共有させていただきました。

妊活はときに、ご自身のいまある生活パターンをかえ、体力の余裕資金を貯める必要があることもあります。これは難しい、でも、それが達成できると、目標である妊娠にも自然と到達できることがある。そしてその後も、体力の余剰資金があるおかげで、出産も順調にのぞめ、子育ても無理がなく過ごせます。

余剰資金がないと、出産時のトラブルが引き起こされ、産後の1ヶ月は気をテンパらせてなんとかなっても、その後にどーんと産後のトラブルであるメンタルやリウマチ、喘息など虚損病を発症してしまうなどということもおこってしまいます。大きな違いです。

上手な人生の運転手であることは、いろいろなことがある、人生の荒波を受け止め、乗り越えていくおおきな助けになるのです。

自らの心と身体をしっかりと認識し、よいドライバーとなって、人生を歩んでいきたいものですねえ。

私の受けたい治療⑫ 2つの暮らし:自転車操業と余裕資金

私の受けたい治療⑫ 2つの暮らし自転車操業と余裕資金

妊活や、体調管理など、多くの患者さんを拝見できるということは、臨床家にとっては非常にありがたいことです。

そして患者さんのさまざまな訴えや、お身体を拝見することから多くの発見がありました。

☆生きることの二つのフェーズ:自転車操業と、体力の余裕資金

生きることは二つのフェーズがあることもこのころ痛感しました。

私達は日々を生きています。

その日々が、ただただ、一日をすごすことが精一杯なのか、

余裕があっての日常なのかは大きな違いがあります。

つまり、

自転車操業的な日々と余裕資金のある日々です。

自転車操業でも、なんとか、一日がすごせれば、生きていけます。

つまり、なんとか、今日食べた食事で、今日生きていける。

そんな状態です。

ただ、ちょっとした出来事、たとえば、『寒い』とか、『仕事がきつかった』『睡眠不足』などがあると、自転車操業的な体力では、このちょっとしたことに対して対応することが大変になり、全身の不調となってしまう方がいらっしゃります。

このちょっとした出来事を柔軟に受け止め、全身の不調にまで波及させないように

するのが、体力の余裕資金です。これは人間の体力でも同じ事です。

人生の様々な場面で、体力の余裕資金は私達の人生をバックアップし、安定させてくれます。

この体力貯金が妊活では、子宮を支え、赤ちゃんをはぐくみ、出産後の授乳、子育てを支えます。

また、寒い、熱い、忙しい、寝不足などがあっても、柔軟に対応出来るようになります。

この体力貯金がないと、ちょっとしたことがきっかけで、重篤な状態に陥ってしまいます。

風邪は万病の元といいますが、風邪がちょっとしたことで終わるのか、万病になっていってしまうのかも、この体力貯金が必要なのだなと気がつき始めました。

☆女性にとっての体力余裕資金

女性にとって、生理があるリズムが日常です。

卵胞が生理周期に并せ育ち、排卵し、子宮内膜を肥厚させ、

妊娠が成立しなければリセットとして生理がきます。

この生殖のプロセスを、しっかりとバックアップをしていくのが

余剰資金の体力預金です。

生殖の場合は腎気が中心となります。

体力預金がなければ、なんとか生理はきますが、

疲れた、緊張していた、冷えた、こんなことによって日常のリズムである

生理は乱れます。

また、生理周期の終わり頃の高温期が辛くなります。

生理そのものに疏通の悪さがあれば、生理痛がひどくなります。

また、妊娠の成立まで致らないということもおきます。

卵胞が充分に養われない、子宮内膜が充分に厚くならない。

こんなことが重なると、なかなか妊娠が成立しなくなります。

また、妊娠ー出産は素体に大きな負荷をかけます。

気血の虚損が生じやすいですし、出産そのものや、産後の夜間も含む育児は

体力を奪います。

体力の余裕資金がなければ、産後にメンタルが辛くなったり

リウマチ喘息などの虚損病が発症したりということもおこってしまいます。

妊娠などの生殖が、女性の人生において一番、体力の余裕資金があるであろう

年代に限られるのも納得ができますし、この時期の充実が強くのぞまれます。

☆なにかあったときの、火事場の馬鹿力が出せるように

この体力の余裕資金はなにかあったときに、私達を力強く守ってくれます。

つまり、『火事場の馬鹿力』です。

火事になった! そんな緊急事態に

ざくっと力をだし、力強く周りを守り、逃げる。

こんな力を密かに備えておくのが人間の身体のつくりです。

☆体力の余裕資金、積み増しの難しさ。

患者さんの話を伺っていると、この二つのフェーズがごっちゃごちゃになっているような方が多くいらっしゃります。

たとえば、『身体の体力をつけたいんです』と仰り、一生懸命マラソンしていますと。

この文脈、もともとの素体の力がある、つまり余裕資金がある方ならば余裕資金の積み増しとなるかもしれません。

しかしながら、体力の余裕資金がない、日々の自転車操業的な日常だけが精一杯な状態だの方が、こんな負荷をかければ、日常に大きな負担となり、単なる過重労働となってしまい、もともと少なかった体力の余裕資金を削ってしまう結果になってしまいます。

体力の余裕資金の積み増しは、案外難しいんだなということを痛感しました。

私の受けたい治療⑪ 食事のありようと健康、現代を生きる私達の選択肢

私の受けたい治療⑪ 食事のありようと健康、現代を生きる私達の選択肢

〜全体をみる、文化を考える、人生の文脈を考える。
           私が食事を通して学び考えていったこと〜

食事の問題は私達の健康に大きな影響をもちます。

また情報も多く、それだけ興味や関心の深い課題でもありますね。

人生を歩んでいくときに、食事というのは、人の輪を広げ、楽しみを広げていきます。しかしながら、思想信条も大きく絡み、ゆがみやすいものであるのもよくわかります。

私自身この課題については、自分の臨床の場でもさまざまな場面で相対することとが多く、健康を考える上での大きな柱であると認識しています。

☆子宮筋腫患者の会での動物性タンパク質、乳製品に対する考え方。

私が所属していた子宮筋腫の患者の会では、動物性タンパク質をとらないこと、乳製品を取らないことを推奨、アドバイスしていました。

これはなんらかの根拠があってのアドバイスであるのだろうと思います。
しかしながら、私は自分の臨床の実感として、これら制限のある食事アドバイスは、その制限自体よりも、結果として、食事全体がかなり偏ったものになってしまうきっかけになってしまうのではないかと感じていました。

☆食事において、制限を求める情報のもたらすもの。

私はそれまでも、こういった、かなり偏ったり、きつい制限を実践している患者さんと多く対峙し、食事や食物の摂取に関しては非常に難しい課題だなと感じていました。

何かをやめれば婦人科疾患にならないというほど、単純な問題ではなく食べ物は本当に思想信条にもかかわり、また自分が気がつかない文化や習慣に依存するものであること。そして食事は単品で考えるのではなく食事全体で考えることの大切さを感じていたからです。

・乳製品をやめること
・動物性タンパク質をやめること

これらは案外わかりやすくてやりやすいです。

コレを食べない、あれを食べないと決めればいいだけです。

しかしながら、かなり栄養豊富なこれらの食品を抜いて、バランスを失わない食事をしていくことはかなり難しいことです。

やめた食品で得られていた栄養素を、他の食品で補っていくということは本当に大変です。

これが薬と食事の違いだと思います。薬であれば、この薬を飲む飲まないは薬だけの観点で考えることが可能だと思います。

しかしながら、食事の場合は、短期間ならまだしも長期的に制限の加わった状態にするという事の持つ意味は、食事全体のデザインから考えてみる必要があるのではないかと、食事制限をしている方々の、食事生活記録をみて思いました。

☆☆本当に動物性蛋白や乳製品をやめれば婦人科疾患が軽減するのだろうかという疑問

また、動物性タンパク質や乳製品に対する制限は、私の臨床を通じた実感としては、そうなんだろうか?と大きな疑問を感じていました。

動物性タンパク質を取らない方は、どうしても大豆蛋白の選択が増えています。かなり偏ったお考えの方も、多くいらっしゃりました。

ただ、子宮筋腫の患者の会の方針として私が入会する以前から、明示されていましたのでその部分を指摘する立場でもないと思い、私としては食事に関しては、距離をおくというスタンスでした。

 

☆☆乳製品を摂取した方が子宮筋腫のトラブルが小さい??

あるときに、会員掲示板でとある海外の論文発表で乳製品を摂取した方が筋腫のトラブルが少ないという発表を紹介された方がいらっしゃりました。

そしてかなりの論争となりました。

『実はこんなに我慢していたのに,内膜症はひどくなる一方だったんです』

『がんばって牛乳飲むのをやめてたのに、筋腫はぜんぜん小さくならなくて』

こんな意見が思いのほか多く上がりました。

皆さんそんなにまじめに制限を実践し、それでもひどくなる内膜症や筋腫になやんでいたのかあと、驚きました。

まあ、食事の影響だったのか、病気の進行だったのかは判然としません。

エストロゲン依存性疾患ですので、生理があれば、病気が進行するのも仕方がないことです。

しかしながら、あのときの声は、こんなに我慢したのにという思いが強く伝わってきました。

それだけ、病気に対する悩みが深かったということだったのかと思います。

☆食事生活記録と食事バランスガイド

私は、治療院での実践の場で食事や食物に関する質問をお受けした場合は、

1)食事生活記録を1週間つけていただく。
2)食事バランスガイド、日本人のための食事摂取基準を情報提供する
3)2)に従って、ご自身の食事数をカウントし、食事の現状を知り改善する。

上記のようなプロセスを踏んでいます。

PDF:生活食事記録

 

まず、お話ではなく、記録をつけていただくということがはじまりです。

お話では、どうしても『気になること』が中心になってしまいます。

でも、食事は気にもならない、意識にも上らない、でも習慣になっていることが課題の中心だったりするのです。

ですので、まず書いていただくことをはじめにおこなっています。

そして、食事の改善に関しては、私自身の考えをいれることはなく、あくまでも厚労省のサイト農水省のサイトからの情報提供を主軸として、一緒に改善をめざしていきます。

食事バランスガイド

日本人のための食事摂取基準

☆栄養学の叡智がつまった食事バランスガイド

この食事バランスガイドは栄養学の叡智が集まっていると思います。

そして5年改定し、データーに基づき、その不確実性や、日常への現実感をもった指導は力強いと思っています。

数多の情報がさすらう食事や食品についてこの情報提供は本当に有難いと思います。

☆食事バランスガイドに従い、食事を修正していくということ

私は食事バランスガイドに従い、食事の修正した方のお身体を多く拝見し、妊活や健康状態についての変化を多く観察しました。

その結果、この食事バランスガイドを超える食事改善はないと現時点では思っています。

ご自身の食生活の過不足を1週間単位で把握する。

そして、バランスガイドにある、手のひら3〜5の主菜、手のひら2つ分の乳製品、果物・・・・・。これらの過不足を認識し、食べていないものがあれば食べ、食べ過ぎになっているものを控えるということをしていただければと思います。

少しだけ習慣を変えることの大きさを、多くの症例でみることとなりました。

そして食事をかえるということは、サプリや薬品と違い、家族全員の健康に役立ち、幸せに役立つんだということも多くの患者さんと一緒に経験しました。

小さな積み重ねがもつ大きな力。

本当に力強いと感じます。

☆なんらかの食物を制限し、摂取しないならば、代替を考えよう。

食事に関しては思想信条や、一定の情報提供による説得力のある場合も

おおいかと思います。

この場合、私は無理に指導するというよりは、”なんらかの食物を摂取しない”という方針がある場合には、”代替を考えよう”というアドバイスをしています。

なんらかの食品の摂取を禁ずるという方法は、情報をみていると

説得力があり、やった感があり、取り組みやすいものであり、

こんなに我慢しているのだから、結果もきっと・・・という期待も大きいのかなと

感じるのかなと思いました。

これは子宮筋腫の患者の会でも強く感じました。

なにかにすがりたいようなお気持ちの時、それを遮るのはあまり意味がないのかなと思ったのです。

無理にいま拘わっている部分を変えるよりも、乳製品を取らないのであれば、乳製品から得られるであろう栄養をほかから摂取するように心がけるということです。

これによって偏った食事のバランスがある程度保たれるのかなと思います。

また代替品をとるぐらいならば、そのまま乳製品を取った方がよいのかなあなどという気づきにつながることも多くありました。

☆☆食事は単独で考えるのではなく、食事全体、生活全体のバランスの中で。

私にはいまでも、この食品と筋腫、婦人科疾患の関係はよくわかりません。

ネットをぐぐると、やはりいまでも多く出てきます。栄養情報は出ては消えの繰り返しでもありますね。

私は食事に関しては、まず、ご自身の食事生活記録をかいて、食事バランスガイドが推奨している数と比較してみましょうと、申し上げるのみです。

長らくの数多くの臨床を続ける中で、食品というのは単独で取り出して効果を語ることは非常に難しいということを思うようになりました。

全体をみる、文化を考える、その人の人生の文脈を考える。

私が食事を通して学び考えていったことです。

それにしても、食事バランスガイドは素晴らしいです。