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4回にわたるIVF-ETの失敗、温め養い身体の力をup! 43歳出産(0011)

不妊治療に体外受精や顕微授精などの高度生殖医療が保険適応になって1年が経ちましたね。

体外受精や顕微授精などの高度生殖医療をすれば、妊娠出来るのではという思いは、誰にでもあるかと思います。

☆前に進まない不妊治療、そしてストレス

しかしながら、良好胚がとれても、妊娠に結びつかない。
そもそも卵子が取れない。
受精しない、受精してもよい凍結胚にならない。

そんなことが続くと、気持ちも落ち込んでしまいますね。

保険適応になっている体外受精や顕微授精などの高度生殖医療。
しかしながら回数制限があります。

うまくいかない→再度挑戦という繰り返しで、同じ事ばかりしていては、
あっというまに、回数が制限に到達してしまいます。

1,2回やってみて、上手く行かないときには、もう少し振り返って、

妊娠そのものの力を底上げしていきましょう。

今回は、42歳という年齢も高め、すでに4回の体外受精に挑戦し残念ながら結果が出ず。
もう一回再挑戦したいと言う方のお話です。

 

☆ご相談内容:42歳です、不妊治療が前に進みません。

 

42歳です 身長158センチ、体重50㎏ 派遣社員として毎日勤務

妊娠したいことと、首や肩の辛さが悩みです。

冷えについては、子供の頃から手足は冷えるなという感じで、足のしもやけは20代になっても続き、冬はとくにつらく、痔にもなってしまいます。

40歳ぐらいから(不妊治療をはじめたころから)首の後ろが緊張して前頭部に痛み、だんだん痛くなっている。また同じ頃から尿切れが悪い感じがしています。

☆普段の状態について

クーラーで体調が悪化
腰から下が冷える
便通は1日1回、小便は10回夜間排尿はない。
寝つきは普通、寝起きはよい、疲れが残ることが時々ある。

☆婦人科的な状態

28日で生理が来ていたが、不妊治療開始後は不規則になってしまっている。
生理前にイライラ、生理がくると腰、下腹部に鈍痛、腫れ、前頭部の頭痛
小指大の塊がまじり、量はとても多い

 

☆不妊治療歴

38歳で結婚し、二年ほど自分たちでタイミングをとっていましたが、妊娠しませんでした。
40歳
・一般的な検査(卵管造影、ホルモン値、精液検査など問題なし)
半年ほどタイミング法(HCGと黄体ホルモン剤並用)-妊娠せず。

41歳
・人工授精をするよりも、体外受精にステップアップした方がよいといわれ、体外受精にステップアップ。
採卵ー移植ー妊娠するものの心拍確認できないままの繋留流産。
凍結胚盤砲移植ー妊娠出来ず。

42歳
・病院を変えてみた。腹腔鏡をし、人工授精を4回するも妊娠せず。
・体外受精に再挑戦。採卵ー凍結胚盤砲移植、妊娠出来ず。

 

☆ご相談にお答えして:不妊カウンセリング 東洋医学的診立て

妊娠したいというご希望ですね。
また、不妊治療もいろいろなことを試されいままで頑張ってきていらっしゃったんだなと思います。

お話を伺うと、40歳頃から不妊治療をスタートすると同時に首などの辛さがめだってきていますね。

☆☆薬や医療介入で身体の力が落ちてしまう悪循環について。

不妊治療をしていると、薬を使ったり、周期に合わせていろいろな医療介入があります。

生殖医療というのは、東洋医学で言うところの、日々の生活を底ささえする腎に負担がかかります。
そして子宮(女子胞)は、腎に支えられています。

腎の力がおちると、その腎に養われている子宮(女子胞)の力も落ちてしまうと言うことです。

Iさんの場合は、不妊治療はそれなりに成立していますが、この腎の力がかなり落ちてしまっているかと思います。そして、この腎気の落ち方が非常にきついため、全身の気虚(生命力不足)さえも招いてしまっています。

夜に布団に入っても身の置き所のない感じで寝付けないという状態というのは、気が裏に帰ろ(これが寝るということです)うとするとき、帰るべき腎陰も肝陰も(つまり腎の力)が不足しているため、納まり所がなくなっていることをしめしています。

もともと、冬になるとしもやけができたり、痔の悪化があるということより、腎の陽気不足(腎の温める力の側面)を思わせる素体が、不妊治療の負荷のため、かなり腎気の虚そのものが明瞭になり、本来腎気が必要とされる妊娠が遠くなってしまい、不妊状態がより深くなるという悪循環が生じています。

そして、腎気の不足が招いた肝気の鬱滞による首肩の痛みという状態を引き起こしていると思われます。

☆東洋医学的な診立て

・弁証:気虚まで進んだ腎虚肝鬱
・論治:益気補腎 疏肝理気
・治療方針
腎気をたてることを中心とする必要に応じて肝鬱を払う

☆☆医療介入のデメリットを受け入れメリットをいかして妊活を前に進めよう

薬を多く使う不妊治療は、どうしても身体の負担にはなります。しかしながら、その薬は妊娠に向けての力強いサポートにはなります。不妊治療のメリットを受け止められる身体の状態が、ご自身の健康度をあげ、不妊治療を前に進めていくコツになると思います。

また、身体の力をあげることは、妊娠が成立後も、しっかりと子宮(女子胞)をサポートし、無事の出産につながる力強い支えとなります。

 

☆☆不妊治療について

・採卵ができ、受精卵ができ、着床までも成立しているということは、もう一工夫で妊娠ー出産まで行く可能性のたかいカップルだと思います。
・不妊治療と同時にでてきている身体の愁訴をケアすることが結局不妊治療を前に進めていくことになります。
・年齢要因が厳しい状態です。身体の力をつけることと、年齢的な卵子の課題は、凍結などの技術の力を借りて乗り越えるということも視野に入れてよいかと思います;

☆☆Iさんの妊活を前に進めるための5つのコツ

具体的に提案させてください。

1)睡眠をしっかりととる(お肌の綺麗になるといわれる午後10時から2時までの睡眠は特に大切です)
2)からだの力を落とさないため、間食は控えましょう
3)あまりストレスをためず、やれることをしたらあとは考えすぎずにのんびりすごしましょう。
4)毎日歩くことを生活の中に取り入れましょう。
5)ご自宅で毎日、セルフケアのお灸をしましょう

 

 

☆☆治療経過

初診:左陽池(TE4)、外関(TE5)、右公孫(SP4) 復溜(KI7)
大巨(ST27)、関元(CV4)、
脾兪(BL20)、右三焦兪(BL22)、左腎兪(BL23) 次髎(BL32)

セルフケア
大巨(ST27)、関元(CV4)(温灸、お灸)
脾兪(BL20)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)

 

☆首の痛みがきついときなどは、上背部の肺兪、大椎、列缺(LU7)などを使用していった。

☆☆体外受精への再挑戦

4ヶ月後5回目のIVF-ETに挑戦し、妊娠。
体外受精胚移植時の鍼灸
1) 肺兪温灸
2) 右胃兪、左脾兪、腎兪、
大腸兪次髎(灸頭鍼)
(申脉温灸+ミニ灸)
3)右外関ー陽池
曲泉ー陰陵泉(パイオネックス+ミニ灸)
三陰交針+ミニ灸
4)臍温石

鍼灸

 

☆☆妊娠〜出産までの治療

妊娠初期は週に3回、その後もも週に1−2度の治療間隔で継続し、無事に自然分娩にて出産43歳。

妊娠中の鍼灸
1)腹部棒灸 臍、大巨(ST27)、関元(CV4)、中注(KI15)など
足三里 陰陵泉 ミニ灸など
2)胆兪 脾兪 胃兪 三焦兪 腎兪 次髎など 鍼して温灸

臍 イラスト

 

☆あとがきにかえて

 

無事に43歳での出産となりました。
おめでとうございます。
本当によかったですねえ。

不妊治療は、年齢要因が重なればあせるのはあたりまえだと思います。
そして妊娠への挑戦は、どんな方法でも結局は月に1度程度でてくる排卵にあわせるしかなく、
あっというまに、年月がすぎさってしまいますね。

また身体に負担のかかる治療ですので、不妊という観点からでは治療になっても、
健康という側面には負担でしかないということも事実です。
その折り合いをつけながら、ご自身の体調をupさせていくなかで、
妊娠、出産という道もあるのかなと思います。
そんなお手伝いをさせていただくことができて、とても嬉しいです。

2)妊娠初期を乗り切り、繰り返す流産から出産を。30代後半での繰り返す流産  0127

流産についての概要をおはなしさせていただきました。

概要の1)はこちら→1)『普通』にすごす『Stay home』が教えてくれた繰り返す流産を切り抜ける方法

ポイントは2つ血流と、子宮(女子胞)の不安定さです。

さて、具体的な症例からお話ししていきましょう

☆☆ご相談:心拍確認が出来ない流産を2回もしています。

 

 

最初の妊娠は、妊娠希望をしてから1年後やっと授かったと思い、病院へ行き胎嚢がみえました。

しかしながら8週になっても心拍が見えずそのまま出血がはじまってしまいました。

二回目は半年後の37歳の時、このときも同じように心拍が見えないまま出血ー流産となってしまいました。

流産後1ヶ月たつのに、出血がすっきり止まりません。

妊娠もなかなかしにくく、はじめの妊娠は1年ほどたってやっとできた妊娠。そして今回も半年たってやっと妊娠したのに、どちらも心拍確認ができず流産と言うことで本当にがっかりしています。

もしかしたら不育症なのかと悩みますが、病院の先生は問題ないとおっしゃります。

どうしたらいいのでしょうか?

また、小学校のときから、手足にしもやけができ、昔から足先がとても冷えます。頭痛も結構ひどく、肩こりになりやすいです。いつもなんとなく残尿感があります。

疲労感が強く辛いことが多いです。月経周期が長めで生理が遅れることはよくあります。

☆いままでの経過、時系列

・高校時代から左側頭部頭痛
・36歳妊娠希望ー1年後妊娠−8wで流産
・37歳 流産から半年後妊娠ー心拍見えず流産
・流産後1ヶ月たってもなかなか出血が止まらない

 

☆私からのお返事
:身体の余力がをつけることで妊娠を継続させていきましょう

なかなか妊娠しにくいなか、せっかく妊娠できたのに、2回も連続して8wでの流産、本当に辛かったでしょう、残念でしたね。

また流産後の出血も止まらないというのは身体がだいぶ弱ってしまっているのかとも思います。

残念でしたね。

次の妊娠では一緒に頑張って是非出産まで到達できるようにしていきたいですね。

☆お身体を拝見して

お身体を拝見すると、もともとのベースとなる生命力(腎気)が弱めであると思います。

そのために冷えがきつかったり、残尿感があったり、月経周期が長めでつかれやすかったりしていると思います。

腎気は全身の生命を下支えする縁の下の底力を発揮してくれる存在です。そしてこの腎気が、子宮(女子胞)を養い、赤ちゃんをしっかりと受け止め受容できる身体となるのです。

 

☆子宮(女子胞)だけではなく、全身状態の体力不足、余力不足が子宮への養い不足となっている

イラスト

子宮(女子胞)というのは、赤ちゃんの孵卵器です。その孵卵器の性能がちょっとだけ不安定ならば、孵卵器そのものをしっかりと養い守る必要があります。Uさんのお身体は、孵卵器そのものを守る全身状態が、気虚気味(パワー不足)であることが問題です。全身が気虚気味パワー不足であるので、孵卵器も不安定になり流産となってしまうわけです。妊娠は、女性にとって身体の余力でおこなわれます。余力がないと、どうしても不安定な子宮(女子胞)となるわけです。身体全体に余裕をもち、子宮(女子胞)の生命力が安定するようにしっかりとがんばっていきましょう。また強いストレスも子宮(女子胞)に負担となります。ストレスも鍼灸で調整していきましょうね。

・弁証 腎虚を中心とした気陰肝鬱 風邪の内陥 女子胞の力不足
・論治 益気補腎 疎風散寒 温養女子胞
・治療方針 腎気を中心に気虚気味の素体をたてなおし、パワー不足となっている女子胞を暖め養う。また素体に負担となっている風邪の内陥を払うことを急務とする。

 

☆治療経過、妊娠、出産まで。

治療経過

週に1度の通院、毎日の指導に基づいた自宅施灸

初診
左外関(TE5)左陽池(TE4)、左公孫(SP4)、足三里(ST36)、三陰交、下脘(CV10)、関元(CV4)、
胃兪(BL21)、左腎兪(BL23) 中膂兪(BL29)
セルフケア:下脘(CV10)、関元(CV4)、左外関(TE5)、足三里(ST36)、三陰交。腎兪(BL23)、胃兪(BL21)、中膂兪(BL29)

 

1ヶ月後、今回の生理もだらだらはつづいている
3ヶ月後、生理のだらだらが減ってきた
4ヶ月後、妊娠成立

妊娠 手入れ 棒灸

 

4ヶ月後に妊娠。

妊娠中も週に1,2度のペースで鍼灸治療を継続

8w つわりがきつい→つわり治療

19w 喉に違和感があり、空気が上がる感じで食事が通りづらい

23wから逆子ー27wまで。28wで治る

30w やっと妊娠前から体重が4キロ増えることが出来た

 →間食も小さな食事として、食事回数を増やすように指導

30w 再び逆子に

31w 治ってきた感じ、お腹が突き上げて苦しい。

33w 赤ちゃんが小さめと言われた

34w 頚管長短め、ウテメリン処方された

35w 頚管長大丈夫と言われた

37w 2600㌘はあると言われて安心

38w 1㎝頚管が開いた

39w 無事に3000㌘弱の赤ちゃんを出産

おめでとうございます。

☆あとがき、無事の出産よかったですねえ。

流産というのは、辛い出来事ですね。しかも、やっとの思いで妊娠して2回も連続と言うこと。本当に辛かったと思います。

お話しを聞いていて、ご本人の辛さが痛いほど伝わってきました。

妊娠や妊娠継続について、色々な情報をお探しになっていらっしゃるようでしたが、なかなかご本人にぴたっとくる情報がないようでした。そのこともご本人の迷いや悩みを大きくされていました。

インターネットでの検索は一般論や、様々な情報は提供されますが、実際のご本人にとって

必要な情報であるのかは判断が難しいところですね。

今回のケースは、不安定な子宮(女子胞)の状態と全身のパワー不足がリンクしていました。つまり、子宮や流産のことだけを考えるのではなく全身の生命力から考えることが大事なケースであったわけです。

妊娠中も一筋縄ではいかず、いろいろなことがおこりました。もともとストレス状態になりやすいという状況があり、気が登りやすい方の妊娠でしたのでつわりもきつかったです。妊娠中は赤ちゃんを守るために、普通の状態でも気が上向きに傾きます。その上向きのベクトルに加え、ご自身の性質もくわわるとなかなか大変になります。この上向きの気を引き下ろすことは流産につながってしまいますので妊娠中の身体の手入れとしては禁じ手です。つわりは辛くとも、つわりを中心に考えずに、やはりご自身の生命力をつけることをしていくことが体調管理のコツなのです。

妊娠中も色々な事がありましたが、無事に充分な大きさの赤ちゃんにめぐりあえたこと、ご本人のコツコツと重ねられた努力とご家族の協力のたまものだと思います。おめでとうございます。

イラスト ビッグママ

メンタルのおおきな影響:精神的な不安感、不妊、妊娠、出産 0216

精神的な不安感があると、不妊治療もいったいどうしたらいいのかわからなくなってしまいますね。

イラスト がっかり 辛いまた生理が来てしまったがっかり感。
周りの人がどんどん妊娠していく疎外感。
流産してしまった辛さ

精神的なストレスは生理の状態を悪くし、また妊娠しにくくなるという悪循環もよくみます。

なにがご自身に必要なのかということを、しっかりと見極め、前に進んで頂けたらといつも願っています。

☆メンタルの不調で体調悪化、妊娠出来ないという症例

今回は、せっかくの妊娠したものの心拍確認後に流産。その後、体調もがすぐれず、精神的な不安感が強く辛い日々を過ごしていらっしゃる方です。

何が必要なのか、
どうしたらいいのか、
一緒に考え、無事に妊娠にたどりつきました。

ご紹介していきますね。

☆ご相談 【流産後の不妊、精神的な不安定感】

27才 女性です。パートで勤めをしています。
周りの人がどんどん妊娠していくのであせっています。
3年前に結婚し、1年ほど前に妊娠出来ました。
でも、10週で流産してしまいました。
それからなかなか妊娠出来ません。
生理周期も非常に長く不安定で、基礎体温表もバラバラです。
生理前にとても精神的に不安定になります。
このところ、動く気力もでず、体重もへってしまいました。どうしたら早く妊娠、出産出来るでしょうか?
精神的にもこの1年とても不安定で気分の落ち込みもひどく困っています。

全体の体調:
2年前から急に果物や花粉のアレルギーが強くなっている。
首から下に痒みがでやすくい。
アレルギーやかゆみは季節の変わり目や、入浴後、睡眠不足などのときにつらい。
食欲は普通、美味しくご飯は食べられる。
食後にいつもお腹が張る。間食はよくとり、水分を2リットル以上とる。
便通はすっきり。小便は1日に10回以上で夜に時々トイレにおきます。
寝つきはよく、寝起きもよく、夢をよくみる。

婦人科の状況:

生理は35日周期で不規則(28日から42日ぐらい)
生理は出血したときの色、粘った膜などがまじる。
生理の量は普通、7日間ぐらい続く。
生理痛はほとんどなく、排卵時の痛みもめったにない。
高温期は胸がはったり、イライラするが問題というほどではない。
生理に伴って手首足首がとても冷え、精神的な不安定さが大きくなる。
流産してそろそろ1年たつのに妊娠出来ないので、不妊治療を受けようかなと考えている。

どうしたら早く妊娠出来るのでしょうか?

☆ご相談にお答えして 【現状を把握して前にすすみましょう】

流産残念でしたねえ。とくに心拍も見え一安心した後の流産でしたからとてもショックだったと思います。辛かったですね。

妊娠OKになってから、タイミングをとっていらっしゃるのになかなか妊娠出来ないのですね。もともと生理周期も不安定で排卵がわかりにくいこともあって妊娠しずらくなっているのかなと思います。

お身体を拝見していると、胃腸の問題と精神的な課題(メンタルの弱さ)が大きいですね。

・なにかあると胃に来る
・体重が下がりやすい
・胃腸のツボの反応が弱い(左脾兪(BL20)からの陥凹、左の公孫(SP4)から大都の陥凹)

メンタルの弱さは、ちょっとしたことでストレスとなり身体への大きな影響となってしまうのかなと思います。メンタルが胃腸の問題につながり、逆に胃腸の弱さがメンタルの弱さを引き出しているともいえます。また体表観察上からも胃腸のツボの弱り、メンタルの課題は明確です。
またストレスは排卵にも影響しがちとなり、妊娠への悪影響となってしまいますね。

妊娠する力はある、自分を信じよう!

妊娠する力は十分あります。
辛い出来事で、精神的に不安定になったことで、胃腸の負担となり、その悪循環でよりストレスをおこしやすくなり、排卵にも影響がでてしまうという悪循環になっています。お身体をちょっとしっかりさせていきましょう。自然とストレスにも強くなります。大丈夫ですからあせらずに前に進みましょう。

☆不妊治療への具体的アドバイス

①胃腸の力を取り戻し、生命力をupさせ、自信の持てる身体を作る

②排卵障害気味ということについて、
皮膚の殻の厚さ(上焦における肺気の実)、ストレス(肝鬱)が感じられます。ただし、29日から40日で排卵があるのならば、さほど気にしないということでもOKです。

③半年ぐらいは、細かいことは忘れて(←ここ大事です)自然妊娠狙いをしましょう。この間に、不妊治療専門クリニックを受診し、一般検査をしていただき、基本的な課題を整理しておきましょう。

④体重をもう少しあげましょう。BMIで19.5は常に越えるようにしましょう。

⑤ストレス解消の範囲で、気楽な働きに出るのもよいかと思います。

☆東洋医学的な診方:弁証論治治療方針

脾虚肝鬱 肺気の実
益気補脾 (疏肝理気) 補肺
脾胃の力を上げることを中心とし、肝気についてはあまりいじらない。肺気は肝気の突き上げによって負担となっているので、肺気を充実させ肝気の衝き上げにまけないようにしていく。

治療経過 

初診:大巨(ST27) 関元(CV4)、左合谷(LI4)、左外関(TE5) 左陽池(TE4)、三陰交(SP6) 左足三里(ST36)、三陰交(SP6)、大都(SP2) 肺兪(BL13)、脾兪(BL20)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)

以来週に1−2回の鍼灸治療。
不妊治療クリニックにて、排卵があり、数値は正常なのでカバサールは不要と言われ服薬中止。フーナー検査が不良(ただし、1度妊娠が成立しているので様子をみる)

8ヶ月後自然妊娠
5wで胎嚢がみえるものの、小さめと言われた。ここから鍼灸治療を週に4回にしていく。つわりがだんだんきつくなってきた。
12週を無事に越えて妊娠継続。鍼灸治療を週に1−2に戻す。
32週、里帰り出産のために帰省
無事のご出産報告をいただきました(*^_^*)

イラスト ツボ セルフケア

おめでとうございます。

症例、アンケートはこちら

良好胚を何度移植しても妊娠出来ません、どうしたらいいでしょうか?【case:0331】

不妊治療は様々な要因で前に進まないことがありますね。

30代半ばの女性、体外受精にステップアップ。
1度の採卵で数多くの卵ができ、胚盤胞も多く凍結ができています。

しかしながら、なかなか結果がでず、すべて妊娠反応が出なかったということで
どうしたらいいのか道に迷ってしまってのご相談でした。

この症例の患者さんからのアンケート

☆ご相談:早く妊娠したいです。体外受精をしていますが、一度も妊娠反応がでません、どうしたらいいでしょうか?

 

早く妊娠したいと思っています。
体外受精に進み、9個採卵出来、良好胚が胚盤胞で凍結できました。
もうすでに4個移植しましたが、一度も着床したことがありません。
どうしたら着床、妊娠、出産できるのでしょうか?

 

☆ご相談にお答えして

妊娠出来る可能性の高い胚盤胞を何度も移植しているのに、
一度も妊娠反応がでたことがないのですね。
それはとても辛いですね。一緒に考えていきましょう。

まず、卵の状態はよいようですね。年齢的にも35才の卵であれば、大きな問題はないのではないかと思います。まあ、このあたりは確率の問題なのでなんともいえないところですが、現段階では卵側の要因は除外してよいと思います。

一度も着床していないということから、着床障害の問題を考えるべきかと思います。
様々な検査がありますが、お勧めするのは血流問題の課題解決と、子宮内膜炎の問題でしょうか。

血流は血の巡り。今お身体を拝見していて
・ストレスによる気の停滞
・上焦(身体の上部)での心熱
・胃腸の力の弱さ

ストレスによる気血の阻滞が身体の上部では肩こりなどになり、中部、下部ではオ血内湿という不要な物の排泄が上手く行かないという状態になっているのかと思います。そしてこの状態が妊娠に大事な子宮(女子胞)の力、そして子宮(女子胞)の力の支えとなる腎気を落としています。

良好胚が出来ると言うことは、それなりに妊娠する力があなたにはあるということです。
ストレスを溜め込まず、気血の巡りをよくし、妊娠へ一歩前に進みましょう。

また血流という点で、足先の冷たさは少しきついと思います。これは不育症である血液凝固系の亢進という状態に該当する可能性を感じますので、不育症のクリニックに着床障害の問題で検査を受けてみるのもよいかと思います。がんばっていきましょう。

・弁証 腎虚肝鬱 心熱オ血
・論治 益気補腎 疏肝理気

☆☆妊娠へむけての具体的なアドバイス

1)ストレスをコントロールし、気血の巡りをよくするためにも、
鍼灸治療と自宅でのセルフケアお灸をしていきましょう

2)血の巡りをよくする、ビタミンACEの摂取を心がけましょう。

3)足の交代温冷浴をしましょう。

4)胚移植をしてから、着床、妊娠判定、2回目の心拍確認ができ、妊娠10週を越えるところまでは、しっかりと鍼灸治療を週に3回程度いれて、赤ちゃんの袋に血流が届き、充分大きな胎盤が出来るようにしていきましょう

☆治療経過、着床、妊娠、出産へ

不妊鍼灸治療開始
移植周期スタート
胚盤胞移植→妊娠せず。
今までと違い、内膜は厚くなっているといわれたが、結局妊娠出来なかった。
→アドバイス、不育症クリニックを受診して着床障害の検査をお勧めする。
→着床障害の判定と、子宮内膜炎の指摘があった。抗生剤を飲んでラクトフェリンを摂取

移植周期スタート
胚盤胞移植→妊娠 少し動くと出血がある。
出血はあるものの、妊娠している。その後も少し動くと出血や茶オリはあるものの、鍼灸とアスピリンは継続

39週にて、無事に3000㌘越えのベビちゃんを出産。おめでとうございます。

☆あとがき

長い道のりでしたね。しっかりと前に進まれてたくましいお母さんになりました。
子育て楽しんでくださいね(^^)

 

この症例の患者さんからのアンケート

妊娠中の吐きづわり・悪阻を軽減させたい!楽になるための対策方法を 解説!(症例:0330)

ーーー
・つわりの時、吐いても全然スッキリしない!
・お腹減ったら気持ち悪いし、食べても気持ち悪いのが治らない!
・安定期に入っても、吐き気が続いてずっと苦しい!助けて!
ーーー

ある程度赤ちゃんが大きくなり、吐きづわりが辛くなっている方は多いと思います。
そのような方は「吐きづわりの軽減方法がネットに様々載っているけど、結局どれを試せば軽減できるの?」と困っているのではないのでしょうか?

私は1996年から不妊専門クリニックを開業し、12万件以上の臨床を行ってきました。
その中で吐きづわりの傾向・対策を見つけることができました。

そしてこの記事では、迷わずこれを実践すれば回復できる吐きづわりの軽減できる対処方法を解説していきます。
この記事を読めば「吐きづわりになってしまう理由とつわりから解放できる方法」が全てわかります。

結論「休む・寝ること」「身体そのものの力をつけていくこと」が大事になっていきます。

つわりとは何か?

 

つわりとは「赤ちゃんをしっかり支えるための動き・反応」です。決して病気ではありません。

赤ちゃんを抱えているお母さんは、身体の下からしっかりと赤ちゃんを支えるように上向きのベクトルが強くなります。
上向きベクトルは赤ちゃんを守るための動きですので、ある程度のつわりは仕方がないところです。
胎盤がしっかりと出来上がれば過度の上向きベクトルは不要となり、妊娠11-14週当たりでつわりもおちついてきます。

参考:上向きのベクトルとは?

ベクトルとは、五臓にどのような関係性があるのかを示す、方向性と大きさのことを指します。これは東洋医学における考え方です。
詳細は以下の記事を参考にしてください。

1:気の巡り。人間理解のポイントだにゃん(気の昇降出入)

吐きづわりが起こる理由とは?

吐きづわりが起こる理由は、
「食べる下向きベクトル < つわりの上向きベクトル」と上向きベクトルが過剰になっているためです。

胃腸は上から食物が入り、下に向かって消化吸収されていきます。食べるとつわりが一旦治まるのは、食べ物が上から下へという下向きベクトルが出るからです。しかしながら、つわりの上向きベクトルが強いので、上向きベクトル過剰となりそれが吐き気につながっていきます。

また上向きベクトルが過剰になる要因は「身体が疲弊していること」「身体が弱っていること」が大きいです。身体が疲労状態にあると、赤ちゃんを守らなくては!という上向きベクトルが強くなり、つわりも辛くなっていきます。

参考:つわり、妊娠中は便秘も起こりやすくなる。

つわりの時期は便秘にもなりやすいです。
理由は吐きづわりと同様に
「便通の下向きベクトル < つわりの上向きベクトル」

このように、上向きベクトルが過剰になっているためです。
便通の下向きベクトルで身体から排泄を行ないます。上向きベクトルの影響を強く受けると便秘がちになります。

吐きづわりを軽減させる方法3選

吐きづわりで悩んでいる人へ、楽になるための方法を解説します。

まず「休む・寝る」

先にも説明しましたが、上向きベクトルが過剰になる要因は「身体が疲弊している」ためです。
まず「休むこと・寝ること」に取り組み、なるべく疲労をしない生活を心がけていきましょう。夕方につわりが辛くなる人はとくに『休みたい』という身体のサインだと思ってくださいね。

あまりにもつわりが辛い場合は「病院へ受診を」

あまりにもつわりがひどく、水分も取れないという状況であれば、病院を受診し対処方法を相談してください。
点滴や入院など、なんらかの軽減方法を得ることができます。
また、病院で対応してもらっているという安心感はとてもつわりによいですよ(^^)

参考:鍼灸治療という選択肢は有効か?

鍼灸治療ではベクトルの調整を行うことができます。
ただし赤ちゃんを守るために働いている上向きベクトルは必要な動きですので、このベクトルの直接対応はしません。
例外として過度な上向きベクトルになっている場合は、身体そのものの力をつけるための手立てをすべきです。
鍼灸治療を取り入れ、上向きベクトルと上手に付き合えるように調整していくことが可能です。
ただし、このベクトルを意識して治療していくことは非常に微妙な調整となります。ついつい『つわりという症状をとること』を優先した治療になってしまう場合が多いです。つわりなど、妊娠初期の対応に経験のある鍼灸師さんにお願いしてくださいね。

つわりが長く続いてしまう場合も「身体そのものの力をつけていく」

時に出産のころまでつわりが続き、身体の疲労感が強いまま出産になってしまうケースがあります。
身体の状態が悪いままの出産は、より体調の悪化を招き産後のトラブルにつながりがちです。
出産時までがご自身の身体を余裕ある状態にし、出産を迎えましょう。体調アップを最優先で生活していくことが大事です。

実例:辛い吐きつわりが楽になった症例

つわりが辛い・吐いてしまう・食べられない状態から、診療・治療したことで改善した実例を紹介します。

症例 (0330)
吐きつわりで体重減少、鍼灸でつらい症状が緩和(39歳出産)

年齢:38歳
妊娠:9週目
状態:
吐きづわり:妊娠8週を過ぎた頃からつわりがきつくなり始めた。現在吐きづわりが治まらず、そのせいで3kgも減少した。
嘔吐:食べられない状態なのに、何か食べると吐いてしまう。
頭痛:一日中頭痛もつらく、とくに夕方から悪化する。横になると楽になるが、動いていると悪化する。
疲労:子供も小さく面倒を見ている・仕事もしている・つわりと重なり、疲労いっぱいとなっている。

東洋医学的診立て

体重も3キロ減っているため、お体の疲労感が強いと予想します。
動いているとより悪化する頭痛も、お体の疲れによって強くなっているのかと思います。
身体の力を少し補うことで、体調を良くした方が良いと考えます。

弁証論治

弁証:腎虚肝鬱瘀血 肝脾不調和
論治:益気補腎 益気補脾

治療方針

身体の底力である腎気をアップさせることを第一とします。
そして脾気をあげ、体調を整えます。
上向きベクトルは赤ちゃんを支える動きですので仕方がありません。なるべく休養をとるように指示します。

治療経過

(初診)
以下の鍼灸治療を行いました。
・お灸:右外関・陽池
・鍼+お灸:足三里・陰陵泉
・パイオネックス:右内関
・棒灸:中注・臍・関元
・鍼+お灸:脾兪・腎兪・次髎

(治療後)
適宜鍼灸治療を行なったことで、結果吐きづわりが減り、食べられる状態に戻りました。
また頭痛も一日中から夕方だけになり、だんだん痛みも無くなってきました。

(出産まで)
以下の鍼灸治療を行いました。
・棒灸、お灸、鍼:大巨 関元 臍 脾兪 胃兪 三焦兪 腎兪 次髎

(最終結果)
無事出産することができました。

院長の所感

鍼灸治療をくわえることで、なんとか体調を安定させ、辛い症状が緩和できました。
つわりだけではなく、むくみや疲労感、身体の冷え、お腹の張りなどにも鍼灸が効果的だったようでよかったなあと思います。

上手に妊娠ライフとのお付き合いをされた結果、スムーズな出産となりよかったと思います。

家族皆さんが妊婦さんを支えて、産まれてくる赤ちゃんをとても楽しみになさっていました。ステキな妊婦さん、ご家族のありよう。応援が出来てよかったです。

そして赤ちゃんの誕生を心待ちにしているお子様のお話とても楽しかったです。妊娠中を一緒に寄り添い過ごせたこと、とても嬉しかったです。
賑やかな生活がはじまりそうですね。赤ちゃんを中心としたご家族の楽しい日々。応援しています。

まとめ:吐きづわりを軽減させるには、身体の力をつけることが重要!

 


つわりは赤ちゃんを支えるための正常な動きです。しかし辛い思いをしている方もたくさんいらっしゃいます。

過度なつわりになっている方は、「身体が弱っている」ことが原因で辛くなっていることが多いです。吐きづわりでも同様です。
「休む・寝る」「身体の力をつける」ことができれば、吐きづわりを軽減できます。

身体の力をつける場合は、鍼灸治療も一つの手です。必要に応じて診療相談することをおすすめします。
辛い症状を緩和させて、上手な妊娠ライフを目指していきましょう。