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☆私の受けたい治療⑰ 番外編:いま私が妊活の当事者だったら

☆私の受けたい治療⑰ 番外編:もし、いま私が妊活の当事者だったら。

 赤ちゃんが欲しいという願いがかないますように。

いままで、私の受けたい治療ということで、色々な視点で書いてきました。

 

 

そして、当院での大きなテーマ、妊活においても、ぜひ皆さんにお伝えしたいと思うことがあります。

もし、私が妊活をする当事者であれば、何を考えるべきか、何をしたらいいのか、どんな治療を選択すべきなのか、不要なのか。

自分自身が当事者であるという目線で書いてみたいと思います。

☆妊活は十人十色、人の話はあてにならない

私は、多くの不妊に悩む方々のご相談にのり、一緒に治療をよりそってきました。そして妊活が『決める』ことが多く、迷いが多いことを痛感します。家族を持つということはかなり個人の価値観も問われます。本当に迷い、悩みますね。

そんな妊活を前に進めるポイントが2つあります。

  • 一番のポイントは、情報を整理し自分の現況をよくしること。
  • 二番目のポイントは、1を大前提とした上で、自分に『何が必要か』を理解すること。

そして、妊活は、この『何が必要か』が、非常にわかりにくいともよくわかります。

だから、『友達に聞いた』『ネットでいいっていってた』などなど、他の人の話が案外あてにならないことがあるのです。

☆原因を解決すれば、妊娠につながるとは限らない。

なにか困難があるときに、その『原因』を突き止めれば、『解決』につながるのであろうという推論は正しくはあります。

しかしながら、原因と解決の間が直線的につながるかどうかはわかりにくいところが妊活の難しいところです。

妊活の場合

  • 男性側、女性側の身体的な課題(直接的な側面)
  • 身体の余力の問題(生殖に必要)
  • 思想信条、生殖に対する考え方
  • 経済的な問題
  • 時間・年齢要因
  • 自然な淘汰の側面(PGTなど)
  • カップルの相性
  • これら、さまざまな要因がかかわってきます。

つまり、

  • 身体の課題
  • 妊娠という二人の人間の課題
  • 年齢的な課題
  • 社会的な課題

という要因があるので、何か一つの「原因」を取りのぞけば、「結果」が出るという単純なものではないからです。

逆に、何か難しそうな要因があっても、すんなりと妊娠につながることもあります。

このあたりが、『妊娠』の不思議さと、ご縁を感じさせるところです。

☆☆情報は、流したい人が流している

そしてこの原因ー結果が単純ではないというところに、ネットや周りの人の情報にはこれらがミックスの形で、体験者のよかったことや、病院、サプリ会社、サービス業の人々などが、その場で提供しているモノを前面に押し出した情報提供がなされています。

つまり、自分に必要なものをググってしろうとすると、かえって泥沼に・・・という状況になってしまうのが現代の妊活ではないかと私は思います。

また、妊娠の初期の話で、『普通にしていて良い』というアドバイスが最近ではドクターからのアドバイスとしては鉄板です。でもこの普通が人によって本当に違うのです。

☆情報を客観視し整理。前に進むための「作戦」をたてよう。

→自分で自分は見えない問題。他者目線の必要性

一体何人の方が、私との不妊カウンセリングを通じ、『もっと早くアドバイスを聞けばよかった・・・』と後悔されたことか。

ここで、後悔になってしまうのは、どうしても妊活の場合、『時間・年齢・経済的要因』が本当に、本当に大きな問題となってしまい、とりかえしのつかない状況になってしまうからです。

また保険適応にはなりましたが、体外受精には回数制限があります。
この回数を使い切ってしまってからだと前にすすめなくなってしまいます。

時間という一番大切なもの、そして取り返しのつかないものを失う前に、ご自身に必要な選択をしっかりと考えることはとても重要です。

☆☆利益相反のない不妊カウンセリングを。

不妊カウンセリングや相談は、病院で受けたり、漢方薬局、鍼灸院、サプリ屋さんなどで受けることも多いと思います。

ただ、カウンセリングは、利益相反のない状態で受けることが本当に大切です。

当院は、鍼灸院です。だから、どうしても鍼灸治療につながりやすいということはあると思います。

でも、私は、とにかく、「赤ちゃんが欲しい」と願う方には赤ちゃんが授かるようにと、赤ちゃんが抱けますようにと願っています。なんというか、孫を願う姑となっています。婆ちゃんは孫の顔をみたいのよ!

と、話しが脱線してしまいました。

私はお話しを聞き、状況を把握し、お身体を拝見し、今後の妊活についてのカウンセリングを行うというところまでは、鍼灸をすることをお勧めしません。

まず、あなたに必要なものを探す「不妊カウンセリング」が大事。本当に大事です。

これは私が妊活の当事者であれば、必須だなと思うのです。

なぜならば、自分で自分はわからないからです。

冷静には判断できない、どうしても自分目線の優先順位がでてきます。

これが混乱させる元になってしまうのです。

☆☆自分の妊活にとって、必要なものが知りたい

  • 私が当事者であれば、自分に必要な事を正直にいってもらいたいです。
  • 私の妊活を、迷っている体外受精をすすめるべきならば、言って欲しい
  • 私の妊活に、鍼灸や東洋医学や養生が必要ならば言って欲しい
  • 私の妊活に、食事の改善が必要ならば教えてほしい

本当にそう願います。

これを、病院で聞けば、その病院のベスト、鍼灸院で聞けば鍼灸のベスト、

サプリ屋さんで聞けばサプリのベストを教えてくれます。

そうすると、どんどん『必要なもの』の足し算になり押しつぶされます。

優先順位をつけて、どこからやればいいのか。

私のいま、OKなこと、やった方が良いこと、それを知りたい。

こんな不妊カウンセリングを私が当事者であれば受けたいし、

私自身、カウンセラーとしてそうありたいと思っています。

妊活には優先順位があります。

いろいろな要素を勘案した上での優先順位をしっかりと考え、前に進みましょう。

☆仕事、家族、人生の中で迷ったときに;人生の優先順位

人生の中では、腹を括って前に進まなければならないこともあります。

YouTubeで有名なひろゆきが、妊活と仕事の優先に対する相談でかならず妊活を優先で答えていることに、ちょっとびっくりし、納得しています。

そう、損得を考えれば、妊活なんてやらないほうが気が楽だし、子どもなんて持たない方が経済的にも、肉体的にもメリットがあります。そもそも結婚なんてということもあります。

ひとりで、自分のご機嫌を自分でとって、好きなことに打ち込む。

そんな時間、人生であることも大いにOKです。

ただ、もし貴方の心の片隅に、「家族が欲しい」「子どもが欲しい」という思いがくすぶるのならば、人生には旬があることは自覚した方がいいです。

人生にはそれぞれ旬の時期があります。

子どもから、思春期を経て大人へ。

大人となった個が、社会的な自立のフェーズのなか、

仕事をして経済的な自立と、パートナーを持ち家族を持ち始めていきます。

仕事による経済的な自立はとても大切ですし、生きがいにつながる場合も多いかと思います。この流れの中で、パートナーとの出会いがあり、無理なく家族がもて、広がっていくことが一番スムーズな道のりでしょう。

そして、どうしても両立しない場合は、どちらかを成立させるために、腹を括ることも必要な場合があるということです。

人生の旬、家族を持つ、子どもをもつ旬はとくに女性にとっては時期が限られ限定的です。まわりの協力を得て上手にこの時期を乗り切っていただきたいと切に願います。

☆時間を意識し、腹を括って前に進む。

人生の中で妊活には旬があること。

これを自覚し、腹を括ってするべき時にする。

これが本当に大切です。

そしてもし、貴方の妊活が迷い道に入り込んでしまったら、利益相反のない不妊カウンセリングを受けることを強く、強く、つよーーーくお勧めします。

妊活は、単に足し算だけではなくて、やるべきものと、不要なものをしっかりと分けて考え、前に進むことが大切なのです。

やらない言い訳は、あとですればいいんです。いまはとにかくやる、前に進むです。

  • ・自分の選んでいる方法が、まっすぐ妊活に進んでいるのか。
  • ・自分の大切にしたいものは大事にできているのか。
  • ・なんのために妊活をしているのか。
  • ・人生の時間の中で、いま、やらなければならないことはなんなのか。

一緒に考える、一歩引いて俯瞰した立場からみるメタ認知的な視点をいれるために『不妊カウンセリング』を出来る場があればと切に願っています。

私の受けたい治療⑮  人生に寄り添った視点をもった治療/施術を受けたい

私の受けたい治療⑮ 人生に寄り添った視点をもった治療/施術を受けたい

☆人生に寄り添える治療、そして治療家であるために

私の受けたい治療について、いろいろな道具のことを書きました。

さて、一番大事なのは、治療が向かう方向性です。

治療の目的は、端的にその『症状をとる』ということが求められ、施術者側も『症状』を目標とすることも多いと思います。

しかしながら、私が求める『受けたい治療』は、確かに症状にも対応はしてほしいのですが、

私の受けたい治療⑫ 2つの暮らし:自転車操業と余裕資金

ここでのべた、体力の余裕資金を積み増しするような治療も受けたいのです。

そう、ここが私の受けたい治療の要(かなめ)です。

この症状を取る治療と、体力貯金の積み増し治療。

施術者が、ほんの少しでも、基本的な東洋医学的生命観を把握して、考えるという視点を持つことで、ご自身の施術/治療を大きく、この2つのフェーズを考えた治療へ

かえることができるのです。

☆一人でも多くのかたに、人生に寄り添える治療家となって欲しい

施術を考えるときの方針に、

  • 1)症状をとる
  • 2)体力貯金の積み増しをする

この2つのフェーズがあることをいままでお話してきました。

そして、基本的な東洋医学的生命観を把握するということが

本当に重要であるのに、どうしてもないがしろにされがちだということが

あります。なぜならば、この2)においては、治療/施術を受ける患者さんがわにも

理解が求められるからです。

☆☆治療/施術を受ける患者さんに求められること。

このところ、多くの方と、この『私の受けたい治療』そして体力貯金の積み増し治療のことを話しています。

そして、この私のビッグママ治療室で提供している治療/施術を、実際に患者さんとして受けられる場としてビッグママ治療室を評価してくださっていることに本当に感謝です。

一般的な治療院や、マッサージなどの提供の場であれば、

30分4000円などと、治療時間と値段の設定が一番先です。

これだと、30分間、マッサージや鍼灸の刺激が受けられるということが

第一条件になってしまいます。

私はこのやり方は、非常にわかりやすくて、サービスの提供者にも受け手にも

よいとは思っています。

でも、当院(ビッグママ治療室)では、目安の提示はしても、この時間と内容の指定をする方法は基本的にとらないのです。

☆治療方法と時間を決めてしまう欠点

この、治療方法と時間を決めて、サービスを提供するやり方が

シンプルで、わかりやすく、納得しやすいということはよくわかります。

でも、これだと、これだと、患者さんが予め、時間と施術の種類を決めてしまい、

何が必要ななのかという『観察ー見立てー相談ー方針を決めるー施術』という

ことが、施術者側に委ねられていないのです。

だから、その方にとって本当に必要なこと、余裕資金の積み増しの方法が探せないし、提示できない、提供できないのです。

このプロセスをしますと提示している治療院は多いとは思いますが、

実際のところ、患者さんとの合意がとれていなければ、成り立ちませし、

本来的にできているところは少ないと感じます。

ああ、それでも、私はそんな治療が受けたいんです。

ここから、もう少し私の受けたい治療が成り立つためにはということを考えていきましょう。

私の受けたい治療⑯ 患者さん側に求められること、施術者に求められること

私の受けたい治療⑯ 患者さん側に求められること、施術者に求められること

いまの私の治療院では、私の受けたい治療である、『人生に寄り添った視点を持った治療/施術』を提供することが可能になっています。

これは、患者さん側の理解があり、そのご理解の上に成り立っていると私は思っています。

私はいままで語ってきたような治療/施術が受けたいです。

これはただ症状をとることを目標にした治療/施術ではないということです。

これは、患者さんに理解していただき、その上で成り立つものなのです。

☆施術者側の課題:観察する技術と、事象への理解力

人生に寄り添った視点を持った治療/施術を提供するには、

施術者として、ただ、提供する技術、つまりマッサージや整体、鍼、お灸などの

テクニックを持つことだけが必須ではありません。

☆☆四診をする技術力と、人間観

患者さんを診る技量、すなわち、四診する力が必須です。

これは深掘りしようとすればいくらでもできますが、

基本的なシンプルなものだけでも持つと本当に違います。

また、もう一つ必要なのは、人間観です。

まるごと一つの人間を生命観を持って理解するという視点を一つ持つ。

これが本当に大事。

世の中には数々の情報が溢れています。

その情報の度に、生命を考える物差しをかえてしまっては、

一体何を診ているのかわからなくなります。

1つ自分の軸となる考え方を身につけてほしいと切に思います。

そしてそこには、東洋医学で言う『まるごと一つの身体』という全体観が

一番役に立つと思います。

全体観を持った上で、患者さんが訴える症状を考えると、違った世界が見えてくると思います。

☆☆業界への苦言(秘密の独り言)

ここで、ひとつだけ私が二十年以上この東洋医学の業界にいて思う独り言の苦言があります。

この四診と人間観を深掘りする先生や、勉強会は非常に多い。
ここがポイントだということは誰でも気がつきます。

ただ、残念なことに、あたりまえに道具としてこの四診の技術を持てるレベルの人が少ない。
また人間観も、教科書的な文字は一杯知っていても、実際にイメージして使えていない人がなんと多いことか。これはひとえに症例でのレッスン(数多くの症例の弁証論治を書いて学ぶという姿勢)が足りていないことにつながります。

そして、また逆にここを深掘りばかり。いうなればそればっかりということがあります。

これらは深掘りすれば果てしなく深掘りできます。
ただ、本来の患者さんをみる、寄り添うといったところからは、離れて行ってしまっているのではないかと私には感じる事もとても多いのです。

実際の患者さんを診るという視点よりも、学問そのものとしての追求。
また、派手な技術ばかりを前面に出し、高い講習会料金で、施術者を食い物にしているセミナー屋さんも多く見かけます。

どっちも本末転倒ではないかと私は思うのです。

もっとシンプルでよい
もっとあっさりでいい
そして、本当にしなくてはいけないこと、本当にして欲しいこと。
ここから目をそらさず、軸をぶれさせず、学び、実践する。

そんなことが、業界の古株になっているいま、思うのです。
シンプルでいい、あっさりでいい、本質を掴んだ治療を!

 

☆☆『観察ー見立てー相談ー方針を決めるーそこから始まる施術』

いまの私の治療院の場では、私が観察して診立ててというプロセスが非常に大きなウエイトをもっています。

米山自身が臨床経験が長く、観察が好きなことと、

患者さんご自身がこのプロセスを踏んだ治療を納得してくださっている。

そんな前提が出来上がっていると思います。

私自身、そんなプロセスがゆるされる治療院を持つ事ができたことが

とても嬉しいですし、またそんなことを理解してくださる多くの患者さんが

来てくださることが嬉しいです。

☆患者さん側の課題

患者さん側の課題もあります。

施術者が診る、観察する、東洋医学的な人間観から理解すると言うことに対して理解していただく。

そのうえで、症状を対応する治療を選んでいるのか、体力貯金の積み増しを考える治療を受けるのか、

この観点からの出発が必要です。

施術者側の観察、つまり身体の状態をみて、一つの東洋医学的な人間観に基づき判断するということが、必須な項目であることを患者さん側も理解することが大切だと私は思います。

☆☆肩こりから考えてみましょう

少し例題を出して考えてみましょう

35歳女性 このところ仕事が忙しく肩こりが辛い。
肩こりを楽にしたい

☆☆1)凝りをほぐすー局所のアプローチ

肩こりというのは、肩周辺の筋肉が凝って辛いということですよね。

この凝って辛いを、とりあえず解決するには、なでさすったり、マッサージをしたりして、凝りを解消することが求められます。

☆☆2)凝りをほぐすー全身のアプローチ

この、肩の凝りがなぜおこるのかなということを、症状的な観点から考えれば、背中や頭の筋肉まで広げて考えることもできますね。また全体の血流が悪いということであれば、足や手先を動かして、血流をあげる施術が功を奏すことも考えられます。

この2つの視点は、
患者さん側が、治療/施術側のやっているサービスメニューから選ぶことになります。

ここで、治療/施術に、まるごと一つの人間としてみるという体表観察を中心とした四診の観点をいれます。

☆☆3)肩こりという症状から一歩引いて、
まるごと一つの人間として全体をみる:メタ認知の視点

主訴が肩こりであるので、肩こりだけに注目し、肩こりの治療を考えがちですが、一つ視点をあげて、

・患者さんをそのままみる。そしてその身体に困っている症状である肩こりがあるという事を理解する。

という少し俯瞰した診方でみることが、過去から生き、今を生き、未来を生きる患者さんを診るということであり、人生の今を生きている患者さんのメタ認知的な観察です。

この視点があれば、全体の中で『肩こり』という問題がどの程度の問題なのか、この方に本来必要なこと、はなんなんだろうか?という発想につながり、人生を歩むときの大きな寄り添うとなるちりょうになります。

肩こりの治療という非常に一般的でシンプルな出来事でも、このように視点が変わると見える世界が変わるのです。

私の受けたい治療⑭   治療の種類、道具の選び使い方、お灸が大好き!

私の受けたい治療⑭ 治療の種類、道具の選び使い方、お灸が大好き!

さて、①-⑬まで長らくの私の臨床経験を語ってきました。

私はいつも、『自分が受けたい治療』を治療院でみなさんに提供したいと思っています。

その自分が受けたいという視点が中心。

書いていて、かなり厳しいこというな〜>自分!
とは思います。

うん、患者さんとして、このレベルのリクエストを突きつけられたら

困っちゃう治療者は多いと思います。

それでも、私はこんな治療を受けたいんだもんっていう、視点はぶれず、あえて難しいことも言おうとおもいます。

世の人は、この業界のありようや、鍼灸やマッサージがなにをしてくれるのか、何ができるのかということをご存知ありません。だから、

世の中の宣伝広告にパッと惹かれます。

ニーズに上手く応える、治療院のロケーション、時間設定も大事ですね。

また説明がうまいとか、サービスの点で納得というのもわかります。

わかるんです、それらも必要であってほしいということは理解できます。

それでも、あえて、私自身が、長らくこの東洋医学の施術を受けてきて、自分の身体をいたわり、大事にするために『自分が受けたい治療』があります。そしてそれを提供したいし、提供できる努力を続けたいし、受けたいんです。

さて、具体的に話していきましょう!

☆施術者の技量:人を診る観察力を持っていてほしい。

・ちゃんと、患者の身体をみることの技術と経験を持っていてほしいです。
・課題を解決出来る技量を持っていてほしい
・経験と実践の両輪がある施術者の治療が受けたい

 書いていてあたりまえの事ばかりなのですが、これ案外高いハードルなんです。

鍼灸学校というのは、国家試験の合格をめざすのが一番で、案外、技術的なことはサラッと一巡という感じで、その人の技術と経験をあげるには、そのあとの修行が何よりも大事。

そしてこの修行の道が案外険しいのがこの業界です。

他の医療職と違って、保険診療の枠ではないので、鍼灸学校卒業後も、数年の修行が必須だと思います。私自身も学校3年のあと、大学病院での3年、弟子入りなどをいれて、4年のガチ修業時代があり、その上で、いつまでも勉強であると言う日々はいまもかわりません。

☆治療の針、灸、道具について

・鍼灸ならばディスポの使い捨ての針を使って欲しい。
・お灸も、ただ暖めるだけではなく、しっかりやってほしい。
・鍼とお灸ならばお灸がメインで鍼が補助といった感じの治療がいい。

 鍼はディスポというのは、必須ですね。

色々なメーカーがあるのですが、私は日本のセイリン社製のものをつかっています。

値段は高いですが、やはり信頼。

お灸は、煙の問題があり、案外使うことが出来ない治療院も多いです。

また、お灸には本来、撚って(ひねって)火をつけて、ある程度のところで取るとか消す。リズミカルに施灸するというのは技術が必要で、修行と訓練がないとできません。

まあ代替としてセンネン灸などもありますが、これは治療の方向性として撚るお灸との違いが大きいです。撚るお灸が出来る上で使うセンネン灸タイプという技術は持っていてほしいですね。

温灸は、やはり換気装置が必須です。

当院では、治療院の中に8台の換気扇があります。

これってもうかなりすごい数です。

初めは4台でしたが、温灸の煙のすごさに窓用の換気扇を足しました。

温灸やるならばここまで設備が必要です。

そして換気をどんどんすれば、室内の温度調整もむずかしくなります。

お灸、温灸をするといった前提にたっての治療院作りが必須だと私は思います。

☆治療の刺激量

・鍼の刺激は穏やかなものがいい
・鍼が怖くないと思える治療がいい
・鍼を沢山打つ治療はイヤ。
・強い鍼の刺激の治療はイヤ
・電気でピクピクさせる治療はイヤ
・お灸で火傷ができるのはイヤ
・単なる温灸だけではなく、さまざまなお灸を使った治療がいい。

鍼治療というと、テレビで美容針をみたとか、なにかさしてぐりぐりしているというイメージの方が多いのかなと思います。

この鍼治療というのは、専門家であり、臨床の世界に30年近くいる私でも、『隣は何をする人ぞ』といういぐらい、実際にどんな治療になっているのかは、不透明な世界です。

ただ、どうしても、『治る』を追求すると,『強い刺激』を求めがちで、打った鍼にコードをつけ電気を流し筋肉をピクピクさせたり、神経、筋肉などを深く狙う鍼なども多くあります。山のように鍼を打つ流派、顔にもばあーっと沢山うつ美容針も最近見かけます。

そういったなか、私としては、鍼そのものの刺激は穏やかなものがよいです。

単に『痛くない鍼』や『刺さない鍼』ではなく、鍼を使って、シンプルで穏やかな施術がいいのです。これが私の受けたい治療です。鍼と言いながら痛くないとか、刺さないを追求すると、これはこれで、鍼のよさを難しくしているように私には思えます。シンプルに効かせる事のできる鍼灸を受けたいですし、施術したいです。

お灸は、昔は火傷をつくるのがお灸という時代もありました。

お婆ちゃんの背中に大きなお灸のあとがあったなどという薄い記憶がある方もいらっしゃると思います。これは打膿灸と言いますが、それはそれでその世界がありました。

私は自分が受けたいお灸で、火傷はなるべくない方がよいとおもっています。

ただし、お灸ですので、火傷が出来るリスクがあるのもしょうがないなと思います。

そのうえで、なるべく火傷は少ないお灸を受けたいです。

また、お灸というのは日本の文化に根づいてさまざまなお灸があります。

私はこのさまざまなお灸を楽しんで行きたいと思っています。

私の受けたい治療、だんだん明確になってきて、楽しくなってきました。

私の受けたい治療④ いま弟子を募集しているよ

私の受けたい治療④

☆いま弟子を募集しているよ

そんなこんなで、腕があっても鍼灸って難しいのねと実感した日々

鍼灸学校時代の同級生から『うちの鍼灸院、いま弟子を募集しているよ』と

いう声がかかり、そこが当時の自宅から近かったこともあり、

そちらへ移動。

☆驚くほどシンプルな鍼灸治療で、患者さんはたくさん来ている

ベッドが6台あり、一人の先生が、アシスタントをつけて、鍼をさくさくっとして置鍼。12分置針の後、坐位にて単刺肩井(GB21)、うつ伏せで置鍼と直接灸、はい終了。

こんな感じで、先生は鍼をするだけで、あとのカルテ書きやお灸、タオル掛けたりは弟子の仕事。後ほど聞いて知ったのですが、以前は灸頭鍼をかなりしていたそうなのですが、当時は近隣からの煙クレームがあり、それも一切なさっていませんでした。

ただただ、驚くほどシンプルな治療。なのに、患者さんがザクザク来ていました。

それも自費のみ。

☆☆疾患や症状によって、鍼灸治療が変わるものではない

ガンの患者さん
リウマチの患者さん
腰痛の患者さん
肺疾患の患者さん

多分皆さんさまざまな主訴をお持ちだとは思うのですが、
ほぼどなたも変わらぬ施術。お灸のやり方で少し違うという
程度にしか、当時の私には感じられませんでした。

使う経穴も、鍼灸学校では300以上あると習いますし、
その疾患ごとに対応経穴が選ばれますが、さほど変わらない経穴が
常用経穴として使われていました。

☆☆ガンの患者さんが教えてくれたこと

あるガンの痩せたひょうひょうとしたおじいちゃん患者さん。

踵がひび割れでぼろぼろでした。これが痛いんだよね、お灸してもらうと
閉じるんだよねといっていました。

何カ所も、何カ所も、セッセとお灸して紫雲膏を塗り込みます。
次にいらっしゃったときには、お灸した箇所はあかぎれが壅がっていますが、

次のあかぎれができしまっています。
なかなか手強いあかぎれでしたが、
それでも、患者さんはよろこんでいらっしゃっていました。

☆☆リウマチの患者さんが教えてくれたこと

あるリウマチの患者さん

当時(30年近く前)のリウマチは、いまのような薬の開発が進んで
おらず、関節の変形がひどい方も多かったと思います。

その方には、全身の経穴が20箇所前後選ばれ、
1つの経穴に7壮程度お灸していました。
患者さんが、

『お灸は一箇所に集中せずに、数カ所をまわるようにしていくのが
うけるほうは方が楽なんだよ。数は俺が数えるから、お灸に集中しなさい』

と、教えてくださり、もう私はお灸に集中。

お灸のやり方を受けてである患者さんが、具体的にこれが楽、これが効く感じと教えてくださいました。

☆鍼灸が欲せられているのか、あの治療院が欲せられているのか

鍼灸学校では、鍼灸を勉強します。

西洋医学的な理解、
東洋医学的な理解、
疾患別に対応を勉強したり。

いまでは論文化されるほど、鍼灸は効くとされていると思います。
でも、いまの街の鍼灸院や施術所に求められるものはなんなのでしょうか。
鍼灸だけでやっていくのは難しい、

保険を使わなくっちゃ
往診もしなくちゃ
美容針がいいかも、
やっぱりマッサージがいいかも、
特別な職人技のような鍼灸技術が必要

などなど、鍼灸で生計を立てようとすると、考えることはたくさんあります。
上記のことがほとんどなかったこのシンプルな治療で、患者さんが大勢要らしているという現実は、私にとって大きな事実でした。

このシンプルな治療院にいて、体験したことは、
私にとって非常に大きな経験となりました。

☆☆弟子達はみな、鍼灸でマネタライズできていた

そして、学生時代からそこでバイトをしていた同じく鍼灸学校の同級生は、

免許をとりたての当時でも、『俺は往診で同時に3,4人の人を寝かせて鍼してるよ。月に20−30万円ぐらい稼ぐなんて軽い♪』と。

私のもっていた、患者さんが来る臨床のイメージはガラガラと崩れました。
こんなにシンプルで、そっけなくて、さくっとした治療でも
ニーズがあるんだというのは、本当に驚きでした。

また後日談ですが、ここの鍼灸院で弟子入りしていた人達は
みな、鍼灸でご飯を食べることが出来るようになっていると、ここを
よく知る関係者の方がいっていました。

ひとつの治療に手技を混ぜないで完成できるというのは、複数の方を同時にみることができることや、体力がない、人手がないなどのときに、柔軟に対応出来ます。

私は、患者さんやお客さんはすべからく、手技も受けたいんだと思っていました。
マッサージが入らないと、こういった治療院の治療は成り立たないと思い込んでいました。
そうではないニーズがこんなにあるということも知り、驚きでした。

☆私達が治療のモデルになるから自由に鍼灸をやってごらんよ

その鍼灸院には、弟子入りした鍼灸ひよっこのほかに、
この道十数年というベテランアシスタントさんも複数いました。

彼女たちは、長年鍼灸院にいますから、学校とは違い、現場を長年知っています。

またその治療院は、スタッフ同士で、勉強治療会をやっていましたので、現場に即したメソッドでそれなりに実技も出来る力がありました。

つまり、その人たちは、『鍼灸をよく知り、その上で患者さんとして鍼灸を受けたがっている人』でした。

彼女たちは、ひよっこの私に、『鍼灸治療をしてよ』と頼んできてくれました。
その結果、私は彼女たちに、1から教えられたと思っています。

鍼灸学校とも違う、
弟子入りして私がみているものとも違う、
実際に鍼灸臨床を長年経験し、そのうえで、鍼灸が好きな、受けたい人達から
教えられた鍼灸治療は、私の軸となっています。
この方達は、私が開業後も患者さんとなってくださり、
長年、私の師匠であってくださった方々で、

本当に感謝です。

鍼灸に来る人を女性だけに限定しない方がいいよ
お灸はリズミカルに入れるのがコツ
会話の仕方、
タオルのかけかた。
治療院に飾る小さな花瓶の数々
患者さんへの気遣い
沢山の事を教えてくれました。

私がいま、鍼灸院をまがりなりにもやっていけているのは
彼女たちのおかげだと思います。

ありがとうございます。

次は、その⑤です。

☆東海大学病院、東洋医学科での研修、研究生としての3年。