弁証論治:

0048:身体作りののち妊娠した弁証論治

・問診

33才女性 夫と二人暮らし 159センチ47キロ

主訴 身体が冷える 不妊
33才女性 夫と二人暮らし 159センチ47キロ

小さいころから身体が冷える。時期は一定していない、悪化はしていないがよくもならない。
同じ姿勢でいて気がつくと冷えている。
他に、肩こり、蕁麻疹(摩擦や疲れで出る)を治したい。

・・ふだんの状態について

季節の変わり目、春、肉体疲労時、気を使ったあと、睡眠不足、旅行のあと調子が悪い
食事は規則的、空腹感はよくあり美味しい、腹が張ったり胸焼けもめったいにない。
間食は毎日、柿ピーヨーグルト、クッキー
飲酒はほとんどしない
口は時々乾く

大便は1日に1,2回。出きらない感じは時々、付着はめったにない、こぶし大。かたちはバナナ、時に細い。

小便は1日10回、残尿感はない、尿切れが悪いことは時々、夜間尿は時々生理前には尿が多く頻繁。

寝付きはよい、夢をよくみる、寝起きは普通から悪い。翌日に疲れが残ることがよくある。

初経は14才 28日から35日周期で5日間、不安定
生理前にネガティブな思考、イライラ、吐き気、頭がさえる、
   夜のトイレ、食欲がアップし、生理がくると落ち着く。
生理は鈍痛、下腹部が痛い。小さい塊がまじる。2,3日目が多い。

・時系列の問診

子供のころから(今も継続)
 しもやけができる
 手足先が冷える
 汗をかきやすい

中学生ぐらいから(今も継続)
 疲れると蕁麻疹が出る(摩擦でも出る)、肩こり

30才ぐらい 45キロ 生理周期は35日ぐらい

31才仕事をやめた、クロミッドを飲むと2ヶ月ぐらい28日周期になったが、45日の時もまじるようになった。

32才 1.5ヶ月ほど加味帰脾湯と補中益気湯を飲んだ あまりかわらない

33才、2ヶ月前からクロミッドを飲むときに温経湯を飲んでいる。

いつのころからかはっきりしないが、右肩から手が重い冷えた感じがする。

・体表観察

・・脉診
右左浮位に弦脉

・・舌診
やや歯痕あり 胖嫩 舌裏怒脹太い

・・腹診
中脘に動悸あり、臍周から気海に引いてくる感じあり
肝の相火なし、腹部腠理の粗 少腹急結なし

・・経穴診
左右列缺かげり
左合谷陥凹
右後谿陥凹
左外関、陽池 冷え
右申脈 冷えきつい
左湧泉冷え

左大都われ、左公孫大きく陥凹
三陰交ゆるみ

・・背候診
上背部腠理の粗
右肩上部盛り上がり
上背部に細絡アリ
風門陥凹 
肺兪陥凹
TH6を中心として右凸の側湾

右脾兪から三焦兪(根)まで筋張り
左胃兪二行
左三焦兪二行
腎兪力なく陥凹

・五臓の弁別

・・肝
肩こり
春、気を使ったあと、、旅行のあと調子が悪い
夢をよくみる、寝起きは普通から悪い
初経は14才 28日から35日周期で5日間、不安定
生理前にネガティブな思考、イライラ、吐き気、頭がさえる、
   夜のトイレ、食欲がアップし、生理がくると落ち着く。
子供のころからしもやけ(今も)手足先が冷える
疲れると蕁麻疹が出る、摩擦でも蕁麻疹が出る

舌裏怒脹太い

・・心
右後谿陥凹
TH6を中心として右凸の側湾
脉診 右左浮位に弦脉

・・脾
季節の変わり目調子が悪い
間食は毎日
口は時々渇く
生理前食欲がアップ

中脘に動悸あり、臍周から気海に引いてくる感じあり
左大都われ、左公孫大きく陥凹
三陰交ゆるみ
右脾兪から三焦兪(根)まで筋張り
左胃兪二行

・・肺
汗をかきやすい
疲れると蕁麻疹が出る、摩擦でも蕁麻疹が出る
右肩から手が重い冷えた感じがする。

腹部腠理の粗
脉診 右左浮位に弦脉
左右列缺かげり
左合谷陥凹
上背部腠理の粗
右肩上部盛り上がり
上背部に細絡アリ
風門陥凹 
肺兪陥凹
TH6を中心として右凸の側湾

・・腎
小さいころから身体が冷える
同じ姿勢でいて気がつくと冷える
疲れででる蕁麻疹
肩こり
肉体疲労時、睡眠不足、旅行のあと調子が悪い
尿切れが悪いことは時々
夜間尿は時々、生理前には尿が多く頻繁。
夢をよくみる、寝起きは普通から悪い
翌日に疲れが残ることがよくある。
初経は14才 28日から35日周期で5日間、不安定
生理前にネガティブな思考、イライラ、吐き気、頭がさえる、
   夜のトイレ、食欲がアップし、生理がくると落ち着く。
子供のころからしもやけ(今も)手足先が冷える
疲れると蕁麻疹が出る、肩こり
右肩から手が重い冷えた感じがする。

左外関、陽池 冷え
右申脈 冷えきつい
左湧泉冷え
左三焦兪二行
腎兪力なく陥凹

・・気虚
やや歯痕あり 胖嫩
中脘に動悸あり、臍周から気海に引いてくる感じあり

・病因病理

33歳の女性。

陽気の主導により身体が陰陽に傾き器が充実していくはずの幼少の時期より冷えという自覚があり、いまも変わらず継続し、悪化もせず、よくもならないという状態である。

14歳で初経があり、それなりに腎気が充実し天癸は致ったが、陽気の不足は明瞭で存り、同じ姿勢でいると冷えてしまう。

中学生ぐらいから、疲れると蕁麻疹が出ている。器が小さく腎の陰陽両虚であるため、少し腎気が落ち生命力が落ちると陰陽のバランスが崩れ陰虚による内熱が生じてしまう。天癸がいたるまで腎気は充実したものの、冷えに関わる腎陽だけではなく、腎の陰気、生命の器そのものも非常に小さいことをしめしている。また手足末端で生じるしもやけも、器が小さいための陽気不足と、器が小さいために日常生活を送るために肝気を張る必要があり肝鬱が強くなってしまっていることを示している。

お身体を拝見しても、33歳の若さでありながら、舌は歯痕胖嫩、左右列缺にかげり、中脘に動悸があり臍周から気海に引いてくる感じという、全身の気虚を明瞭にしめしている。

脾胃の状態は、公孫の陥凹、左胃兪の二行など体表にはあらわれているが、空腹感があり、腹脹胸焼けもなく便通も出きらない感じは時々あるものの、現時点でのご本人をささえるべく、それなりの健やかさをたもっている。

腎気の状態は、33歳でいながら、夜間排尿が時々あり、生理前には尿が多く頻尿であること、翌日に疲れが残ることがよくあるなど弱さを示しており、左外関陽池の冷え、右の申脈のきつい冷え、左湧泉の冷えなど、陽気不足は明瞭で存り、三焦兪、腎兪の陥凹も腎気の不足をあらわしている。

いつごろか、右肩から手が重く冷えた感じがあり、上背部の腠理の粗、上背部の細絡、風門、肺兪の陥凹があり、肺気そのものの弱さも感じられるが、右左浮位に弦脉もあり風邪の内陥の可能性もある。この風邪の内陥により肝鬱がより強くなり、身体に負担となっている可能性も感じられる。

・弁証論治

弁証:風邪の内陥
    腎陽虚を中心とした腎の陰陽両虚

論治:疏風散寒     温腎補陽

・治療指針
肝鬱をきつくし、器に負担をかけている風邪の内陥を取り去る。 腎の陽気をたてる。

・生活提言

不妊治療へのアドバイス

33歳というご年齢ながら、手足が非常に冷える、汗をかきやすい、疲れると蕁麻疹が出るなど、 身体の力、とくに身体を温め養う力(腎の陽気)がとても不足しています。

身体を温め養う力は全身をあたためますし、身体の中心にある子宮も暖め養うとても大切な力です。この力をまず養うことが妊娠出来る身体作りへの第一歩です。

ご夫婦の身体の器質的な問題より、高度生殖医療へのステップアップが急がれるのもよくわかりますが、まだ年齢が33歳。半年程度は、『身体を温め養う力』をつける東洋医学的治療に専念してみることも、こうのとりがやってくる早道であるかと思います。

・治療経過

初診時、高度生殖医療を続けるも妊娠にいたらず。
七ヶ月ほど、西洋医学の治療を休み身体作り。のちに無事に妊娠。
2012、春 無事に3000グラム弱の女の子をご出産になりました。
おめでとうございます。