東洋医学で人を診る

ご自身そのものの理解

様々な症状から解決策をさぐろうとすると、沢山の足し算になります。

手が痛いから腱鞘炎の薬、湿布、注射
眠れないから睡眠薬
鼻炎だからアレルギー対策
便秘だから便秘の薬
肩こりだから整体
喘息にはステロイド
リウマチには免疫抑制剤

様々な症状を、それぞれに対応することも時に重要で必要です。西洋医学が大きな力を持ってくれることも多々あります。

私たちは現代を生きているのですから、メリットのある西洋医学的な治療も当たり前に取り入れることは必要だと東洋医学の世界に軸足を置きながらも私は思っています。

でも、一番大事なことを踏まえる必要はあります。それは、様々な症状を出す、『ご自身そのものの理解』です。

私たちの身体は、車と運転手だと思います。

軽自動車だって、上手に運転すれば箱根の山を登り頂上までたどり着け、風光明媚な自然を愛でることができます。でも、無理を重ねエンジンをブンブン更かすばかりでは車が壊れてしまいます。

また、せっかく車は優秀な頑丈ボディーの2000ccエンジンあっても、運転手の気分の波が多かったり、暴走族であったら事故がおきたり、ガソリンの消費が激しく燃料が足りなくなってしまうかもしれません。

ご自身の車がどんなタイプなのか、そして運転手であるご自身がどのような性質をもっているのか。この『人間理解』がご自身の人生という道を歩む上でとても大切な情報になります。

人生の物語を理解し、文脈を変える

あなたの人生を生きるインターネットをみれば、沢山の情報にアクセスできます。しかしながら、実際の『あなた自身にあうのか、あわないのか、必要なのか』という情報はありません。一番大事なのは、まず『自分自身を理解』し、『必要なこと』は何なのかを考え選ぶことだと私は思います。

東洋医学では弁証論治という人を診るやり方があります。これは四診を通じ情報をあつめ、統合し、診立てるということです。このプロセスで一番大事なことは『しっかりとした体表観察』、そして過去からつながる現時点の『治らない、困った状況』を東洋医学的にその方の人生の物語としてしっかりと理解することで、これからのあらまほしき人生の未来を考えていきます。

いまのままでは、悪循環を重ねもっと様々な症状に振り回されてしまうでしょう。ここでご自身を理解することで、いままでの人生の物語を理解し、文脈を変えることが新しい未来にむかうことであり、治ることにつながると私は思います。

様々な治療があるでしょう。その場で症状を取りますといううたい文句は魅力的です。

でも、私の知りたいことは、”今”だけではなく、悪循環を乗り越え、自分という車と、私という運転者が気持ちよく人生という道をあゆむにはどうしたらいいのかということです。

いまでは、あれほど痛い痛いと思っていた私の腰痛ですが、その痛さに振り回されることもありません。文脈がかわったと思います。そして様々なことは起きますが理解できます。自分の生命の有り様を理解し、歩んでいる道を理解することで、こんなに気持ちよく日々が過ごせるのだと言うことを是非あなたにも伝えたいです。

東洋医学、一元流鍼灸術に基づく人間理解、『東洋医学で人を診る』は、私の人生を変えてくれました。あなたの人生の歩みにもきっとよい案内図になると思います。

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