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0147 :心と身体と不妊治療 二人三脚での妊娠ー出産

独身時代に生理痛で受診した婦人科で『将来、子供を希望するならば不妊治療が必要』といわれ、そのおかげで、不妊治療のスタートそのものは早かった症例です。

身体作りと不妊治療 二人三脚での妊娠出産(0147)

 

こういったドクターの言葉はときに厳しく感じますが、そのご経験からのお言葉は、人生を大きく変えてくれる言葉だと思います。

この症例では、確かに多嚢胞性卵巣症候群があったので、排卵が難しく、また治療でのコントロール(自然妊娠や人工授精の場合、多くの排卵では多胎妊娠の危険があるためにできない。しかしながら体外受精などで多く排卵誘発をすれば腹水がたまるなどのトラブル発生)が難しい状態にありました。

また、ご本人がとても緊張しやすく、そのため気血の巡りが悪くなりがちなことは、首や肩の問題、そして子宮卵巣の気血の巡りの阻滞などをおこしやすく、全体の問題に投げかける課題として案外大きかったのではないかと思います。

少し年月はかかりましたが、鍼灸治療のスタートが36才であったことはご本人にとってラッキーであり、身体作りと不妊治療を平行に走らせながらも、高度生殖医療を無理に急ぐことなく、体調の回復と共に歩ませることができたのは、全体の器が小さめなご本人にとってもとてもこう幸運な事であったと思います。

無事なご出産、おめでとうございます。

症例:主訴①不妊、②精神的な落ち込み、イライラ、不安定

アンケートありがとうございました(^^)

判定日hcg14 ガッツでフォロー!妊娠継続。38歳出産 0179

不妊治療のご相談をしていて、かなり多いのが『少しだけ妊娠反応がでたのですが、継続しません』という状態です。

この方は、判定日にhcg14でした。これは様子をみましょうということになります。
そしてこういう数字の方は非常に多いんです。
そして、こういったときに『できる限りのことをしたい』という声におこたえしたのが
こちらの症例です。

判定日hcg14 ガッツでフォロー!妊娠継続。38歳出産
確かに、妊娠には”淘汰”ということが、とても大切なプロセスとして存在します。

初期の妊娠であれば

日本産科婦人科学会より

 

早期に起こった流産の原因で最も多いのが赤ちゃん自体の染色体等の異常です。つまり、受精の瞬間に「流産の運命」が決まることがほとんどです。この場合、お母さんの妊娠初期の仕事や運動などが原因で流産することは、ほとんどないと言って良いでしょう。

これは事実です。しっかりと基礎体温などをつけていなければ、気がつかないほど早くリセットがおこなわれ、流産とは思えないような状態も多いかと思います。これは自然なことです。

ただし、不妊治療をしていて、この状態を繰り返す人がいます。もう少し週数が進んでの流産ならば、不育症などの懸念と言うことになりますが、初期の段階では余りそういった解釈よりも、上記の日本産科婦人科学会での発表道理の解釈がされ、ドクターからは『卵の問題』『あなたには問題がありません』とされるかと思います。

そういった状態の方のご相談を非常に多く受けます。

そしてやはりあたりまえの”淘汰”のプロセスであることも多いのは事実です。

しかしながら、ではご自身の課題はないのかといえば、その方のお身体の状態によっては、

卵を受け止める子宮の力をしっかりと底上げしてあげることは出来ると思います。その手入れの上で、

自然の淘汰であれば淘汰されるかと思いますし、この手入れは次の卵を十分に成長させ、

次の受精卵のお迎え環境を作ります。つまり女性自身の卵受け入れ環境を整えるということです。

この症例では、妊娠判定日は『先生、やっぱりいつものようにhcgが低くて14でした。ドクターからは、『妊娠が継続することはほとんどないと思いますよ。あなたのせいではなくて卵の問題でしょう』と言われました。いつもこんな感じです、なにか出来ることはないのでしょうか?』というご相談の電話がかかってきました。

私は、『次の再判定の日までとりあえず出来ることは全部しようよ!』と提案し、ここからは毎日、再判定日からは週に3回の頻度で鍼灸治療をいれ、無事に元気なお子さんをご出産されました。

当院では、凍結胚盤胞移植で判定日hcg3.5という方が一番低い数字で、無事に元気なお子さんを出産されたケースも経験しています。基本的な概念としては日本産科婦人科学会の言うとおりだとは思います。

でも、出来ること、やれる挑戦はあります。応援したいです。

 

 

判定日hcg14 ガッツでフォロー!妊娠継続

いままで沢山の努力をしてきました、今後なにをすればいいでしょうか?

不妊治療をさせていただいて、多くの方々と沢山の時間をご一緒させていただいています。

数々の努力をなさっても、いまだ赤ちゃんに巡り会えていない。

このときに、もっともっと何か足し算をと思いますが、案外引き算、つまり何をすべきかを今ひとつ立ち止まって考える必要がある場合があります。

今回の症例では、充分やるべきことはなさっています。ただもう少しの工夫が必要でした。

症例もありますので、そちらもご覧ください。

それでは。

ご質問にお答えして

35才です。いままで、精神的な面、そして肉体的な面と自分でいろいろと努力して改善してきました。

食事、漢方、高度生殖医療にも挑戦していますが、なかなか結果がでません。どうしたらいいでしょうか?

簡単な経過

34才まで、食事改善と漢方服用を始める(現在まで)。肌の調子が良くなり、体が楽になった。仕事もだいぶん楽になった。

35才現在。不妊治療にということで、婦宝当帰膠や冠元顆粒、八味丸、芎帰調血飲などそれぞれに合わせて飲んでいます。今後どの様にかんがえていったらいいでしょうか?

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私からのお返事

☆いままでの努力は充分になさっています。

お子さんが欲しいと言うことで、鍼灸、漢方など色々頑張っていらっしゃいますね。

20代後半で身体を大きく壊され身体の器そのものを小さくしたこと、そして小さい器の

身体に負担になってしまった食生活と、生活リズムが、倦怠感などをもたらしてしまったと考えられます。

また、初診時に拝見したときに非常に皮膚が薄く、火傷がしやすかった状態も、器そのものの

弱さ、体表に気があつまり張っていること、胃腸の力不足で肌肉が十分やしなわれていなかったことを示しています。

☆精神的なストレスについて

精神的なストレスはお身体に大きな負担となりますね。これは20代後半のときもそうであったし、

現在でも続いていると思います。この身体のストレス状態は、ヨガや鍼灸などで充分よく

コントロール出来ていると思います。

☆食事について

身体の力そのものを養う胃腸の力が少し弱いため、疲労して底支えがなくなったり、食べ物に充分な栄養がなかったりすると、全身のパワー不足が目立ってしまい体力的なジリ貧状態になります。

朝食を取る方が、胃も楽、仕事中も楽、倦怠感も楽であり、昼食後の状態もよいということですので、食事全体のリズムを考え、バランスよくタンパク質を少し意識して食生活を進めていってください。

食事は、いろいろな思いや気持ちの中で重点を置きたいこともあるかと思います。まず客観的な指標として食事バランスガイドを参照にして、ご自身の食事をカウントしてみてください。予想外にタンパク質などが足りていないのではないかと思います。とりあえずカウント数を満たすというところからはじめてみてはいかがでしょうか?。その上で不都合があれば一緒に考えていきましょうね。

☆大豆製品について

卵巣嚢腫や、子宮筋腫などはエストロゲンの依存性疾患です。つまり生理がある限り悪化していきます。妊娠のご希望がなければ黄体ホルモン製剤のディナゲストなどを使ったり、閉経へ向けてのを希望する女性の場合は

☆漢方薬について。

漢方薬は、漢方の先生が考えてくださった生命観に乗っ取り進められていきます。

こういった治療は、その先生の方針、生命観に依拠するところですので、それぞれなのですが、

胃腸の状態をよくして器をしっかりするような漢方薬を選ばれるとよいと思います。

生理周期は確かに短いのですが、以前に比べて低温期が通常の長さになっただけです。

つまり身体が立ち直る方向性としては間違っていないと思われます。

また、現時点で、ストレス状態ともいわれる肝鬱はヨガと鍼灸で充分コントロール出来ていると思いますので、薬剤でこの点のコントロールまでもってくる必要は現段階でないのではと思います。それよりも薬剤では器を養っていく方向性をとるほうがよいのではと思います。

不妊、倦怠感、食生活、漢方薬、出産弁証論治

 

症例:0022 仙骨の冷え、座骨神経痛、不妊、自然妊娠弁証論治(35才女性)

…35歳女性 165センチ53kg 会社員

…主訴

31歳のころから妊娠希望し、病院で検査をし、特に問題がないといわれるものの不妊状態が続いている。

…時系列

20台後半

冬のほうが疲れが残る感じになる。

夕方足がむくむ感じがでる。

31歳病院で検査するも不妊につながる特定の原因はない。

…不妊、婦人科について

初経は12歳、生理の日数は3-4日

生理周期は不安定(26、40、33、28、21、35など)

生理の1,2日前にやる気がでる。

生理痛は、1、2日目がきつく痛みのため夜眠れなくなるのでいつも薬を飲む。

小指大の塊がまじる。

…今一番辛い症状について

冷えが一番辛い

徐々にきつくなり、春、クーラー冬などがつらい、

25歳から30歳ぐらいにはじまっている。

他にパソコンを使っているときに肩こりを強く感じる。

今の症状と同時にでてきたのは、

足のむくみ(夕)

、耳鳴、目の疲れ、朝起き難いこと

…普段の状態について

春、クーラー、冬に体調悪化

普通の食欲で規則的、よくかまないことが多く、いつも食事はおいしい。

ときどき腹がはったり、胸焼けがすることがある。

間食はよくある、飲酒はしない、水分は1100cc以上とる。

口がかわくことがよくあり、口が粘る

大便は1日1、2回。バナナ、軟便、時々付着する

小便は1日7回、ときに白濁

睡眠、寝つきはよい、眠りは深い、寝起きは悪い、

翌日にいつも疲れが残る感じがする。

…切診

….脉診 左尺位不明瞭、右尺沈位から中位にかけて弦緊

….舌診 淡紅から淡白薄白苔、舌裏怒脹なし

….腹診 心下つまり少々、気海抜け、右少腹急結あり

….経穴診

右神門硬結、小さいのがごろごろ、

左霊道、内関、陥凹

右臨泣つまり、

三陰交冷え(右<左)

身柱陥凹

右肺兪陥凹

左心兪やや陥凹

左胆兪陥凹、抜け

脾兪陥凹(右<左)

三焦兪(左は奥に縦の亀裂)

陽関から上仙にかけて冷えこれが仙骨部に続く

右ジリョウつまり

….五臟の弁別

【肝】

パソコンを使っているときに肩こりを強く感じる。

春に冷えが悪化

生理周期が不安定

生理前にやる気がでる、生理痛でいつも薬が必要

生理に小指大の塊がまじる

右少腹急結あり

右臨泣つまり、

左胆兪陥凹、抜け

右ジリョウつまり

【心】

心下つまり少々

右神門硬結、小さいのがごろごろ、

左霊道、内関、陥凹

左心兪やや陥凹

【脾】

水分を1日1100cc以上取る

気海抜け、

三陰交冷え(右<左)

脾兪陥凹(右<左)

【肺】

クーラーで冷えが悪化

身柱陥凹

右肺兪陥凹

【腎】

冷えの症状と同時に、 足のむくみ(夕)、耳鳴、目の疲れ、朝起き難いことが出現

冬に冷えが悪化、疲れが残る感じがする

寝起きが悪く、翌日にいつも疲れが残る感じがする

生理周期が不安定

左尺位が不明瞭、右尺沈位から中位にかけて弦緊

三焦兪(左は奥に縦の亀裂)

陽関から上仙にかけて冷えこれが仙骨部に続く

…病因病理

主訴は、不妊と、長く続く冷えです。

20代後半から、身体が冷たいという冷えを感じ始めています。

同時に、足のむくみ(夕)、目の疲れ、耳鳴を感じ朝起きがたくなるなどの

症状が出現しています。なんらかの原因で腎気を落としたため

身体を温養する力がなくなり、身体が冷たいという冷えの愁訴につながったものと

思われます。陽関、上仙を中心とした仙骨部の明瞭な冷えや、三焦兪の陥凹、特に右の

三焦兪の縦に亀裂の入った陥凹は腎気の損傷、腎陽の不足を明確にあらわしている

ものと思われます。

仕事でパソコンを使うことが多く、根を詰めるため、身体の上部に気が鬱滞しがちに

なりますが、腎気の弱さのため、一度肝気が鬱滞するとめぐりにくく治りがたい肩こりと

なりがちです。身柱の陥凹、右肺兪の陥凹など肺気の状態の悪さも上焦の気の鬱滞を

助長するものとなっています。

長く続く腎の陽虚肝鬱気味の傾向のうえに、肝気も鬱滞しがちな仕事の継続により、

オケツも生じやすくなり、生理痛、少腹急結、右のジリョウのつまり、薬を飲まなくてはならないほどの生理痛などの状態となっています。舌裏に怒脹がないこと、上背部に細絡がないことなど、明確なオケツの状態とまでは進んでいない可能性も高いのですが、このままの腎陽の不足、肝気鬱滞の継続という状態ではオケツへとすすむ可能性が高く、妊娠の希望も遠くなってしまいます。

腎陽を温煦し、肝気をめぐらせ、オケツ気味に傾く素体を助け、妊娠の希望をかなえたいと

思います。

…弁証論治

弁証 :腎の陽虚 肝鬱

論治 :温腎、腎気の温養、疏肝理気

….治療経過

4ヶ月15診ほどで自然妊娠にいたる。

妊娠中も週に1度鍼灸治療し、無事に女児を出産。

おめでとうございます。

 

0010:両卵管閉塞の診断からの自然妊娠①(総論)

両卵管閉塞の診断を受けていた方ですが、無事の自然妊娠に至った症例です。ざっくりまとめてみますね。

詳しい症例はこちらです。

相談:結婚して5年たっても妊娠しないので、病院を受診しましたら、両卵管閉塞という診断でした。これから体外受精の予定です。今後の妊娠、出産に向けてカラダ作りをしたいと思っています。

状況:26歳で結婚するもずっと妊娠しない状況。半年ほど前に婦人科受診。
地元の御殿場での病院で卵管閉塞を指摘され、大学病院でセカンドオピニオンで受診。
両卵管閉塞と診断され、体外受精をする予定。

半年前に卵管造影検査を受けてから、右下腹部が冷たい感じが時々起こるようになってしまった。
病院では心配ないとは言われている。

BMI18.03 痩せ。夏は苦手で立ちくらみが多い。ふくらはぎがいつもだるい。寝つきが悪く寝起きも悪い。生理前の一週間ぐらいから下腹が痛く生理時は薬がないと辛い。

方針:全身の生命力不足が明瞭。またストレス状態が強く気血の巡りも悪いので、生命力を補いつつ、下腹を中心に疏通させ巡りをよくしていく。

ご本人へのアドバイス:

体外受精という明確な方針も決まり、妊娠に向けての身体作りをしたいとのご希望ですね。

体重も痩せ気味で、もともと全体に体力がなく、気虚という全身の生命力が不足している状態です。全身の力不足は気血のめぐりを悪くして、阻滞し痛みなどの原因となったり、妊娠を妨げる要因ともなります。

治療では臍下丹田を中心とした生命力をあげることを第一として、そのうえで、気血のめぐりをよくするように治療していきます。

ご自身の生活の中では、とくに胃腸の状態を健やかにし、食物からのパワーをしっかりと受け止められるように、間食などはやめていただき、規則正しい食生活を心がけてください。体重を増やすことも重要で、BMIが19を越えると自然妊娠する方も多いですよ。

また、足三里など毎日の自宅でのお灸もおすすめします。頑張ってみてください。

経過:初診から5ヶ月後、体調がよくなったところで思いがけずの自然妊娠!

自然妊娠後10週まではホルモン値も悪く、いつ流産してもおかしくないという状況。鍼灸治療の頻度をあげ乗り越える。無事に自然分娩にて元気なベビちゃんを出産。

結果:両卵管閉塞の診断を受けながらも、自然妊娠ー出産

あとがき:

体外受精の準備をということでしたが、カラダ作りを着実に進める中で、ラッキーなことに自然妊娠と成り、無事にご出産なさいました。

両卵管閉塞という診断の方は、ときにこのように自然妊娠される方がいらっしゃいます。卵管造影などのときに緊張したり、また普段もこのような緊張から妊娠が成立し難くなっているのではないかとも思われます。

気持ちに余裕ができ、体力がつき、腰骨盤内の血流がよくなり、無事の妊娠成立となったのではないかと思われます。

治療院では、お灸の印を毎回治療の度に身体をみながらつけていきます。この方はそのポイントを、丁寧に、丁寧に、棒灸で身体の中心を暖めるような気持ちで養い育てていかれました。こういったことが本当に『効く』のだなあと私も実感しました。

妊娠中も、少し不安定で硬くなることが多いお腹でしたが、この棒灸の威力で無事に乗り越えられました。

よかったですねえ。