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症例:0022 仙骨の冷え、座骨神経痛、不妊、自然妊娠弁証論治(35才女性)

…35歳女性 165センチ53kg 会社員

…主訴

31歳のころから妊娠希望し、病院で検査をし、特に問題がないといわれるものの不妊状態が続いている。

…時系列

20台後半

冬のほうが疲れが残る感じになる。

夕方足がむくむ感じがでる。

31歳病院で検査するも不妊につながる特定の原因はない。

…不妊、婦人科について

初経は12歳、生理の日数は3-4日

生理周期は不安定(26、40、33、28、21、35など)

生理の1,2日前にやる気がでる。

生理痛は、1、2日目がきつく痛みのため夜眠れなくなるのでいつも薬を飲む。

小指大の塊がまじる。

…今一番辛い症状について

冷えが一番辛い

徐々にきつくなり、春、クーラー冬などがつらい、

25歳から30歳ぐらいにはじまっている。

他にパソコンを使っているときに肩こりを強く感じる。

今の症状と同時にでてきたのは、

足のむくみ(夕)

、耳鳴、目の疲れ、朝起き難いこと

…普段の状態について

春、クーラー、冬に体調悪化

普通の食欲で規則的、よくかまないことが多く、いつも食事はおいしい。

ときどき腹がはったり、胸焼けがすることがある。

間食はよくある、飲酒はしない、水分は1100cc以上とる。

口がかわくことがよくあり、口が粘る

大便は1日1、2回。バナナ、軟便、時々付着する

小便は1日7回、ときに白濁

睡眠、寝つきはよい、眠りは深い、寝起きは悪い、

翌日にいつも疲れが残る感じがする。

…切診

….脉診 左尺位不明瞭、右尺沈位から中位にかけて弦緊

….舌診 淡紅から淡白薄白苔、舌裏怒脹なし

….腹診 心下つまり少々、気海抜け、右少腹急結あり

….経穴診

右神門硬結、小さいのがごろごろ、

左霊道、内関、陥凹

右臨泣つまり、

三陰交冷え(右<左)

身柱陥凹

右肺兪陥凹

左心兪やや陥凹

左胆兪陥凹、抜け

脾兪陥凹(右<左)

三焦兪(左は奥に縦の亀裂)

陽関から上仙にかけて冷えこれが仙骨部に続く

右ジリョウつまり

….五臟の弁別

【肝】

パソコンを使っているときに肩こりを強く感じる。

春に冷えが悪化

生理周期が不安定

生理前にやる気がでる、生理痛でいつも薬が必要

生理に小指大の塊がまじる

右少腹急結あり

右臨泣つまり、

左胆兪陥凹、抜け

右ジリョウつまり

【心】

心下つまり少々

右神門硬結、小さいのがごろごろ、

左霊道、内関、陥凹

左心兪やや陥凹

【脾】

水分を1日1100cc以上取る

気海抜け、

三陰交冷え(右<左)

脾兪陥凹(右<左)

【肺】

クーラーで冷えが悪化

身柱陥凹

右肺兪陥凹

【腎】

冷えの症状と同時に、 足のむくみ(夕)、耳鳴、目の疲れ、朝起き難いことが出現

冬に冷えが悪化、疲れが残る感じがする

寝起きが悪く、翌日にいつも疲れが残る感じがする

生理周期が不安定

左尺位が不明瞭、右尺沈位から中位にかけて弦緊

三焦兪(左は奥に縦の亀裂)

陽関から上仙にかけて冷えこれが仙骨部に続く

…病因病理

主訴は、不妊と、長く続く冷えです。

20代後半から、身体が冷たいという冷えを感じ始めています。

同時に、足のむくみ(夕)、目の疲れ、耳鳴を感じ朝起きがたくなるなどの

症状が出現しています。なんらかの原因で腎気を落としたため

身体を温養する力がなくなり、身体が冷たいという冷えの愁訴につながったものと

思われます。陽関、上仙を中心とした仙骨部の明瞭な冷えや、三焦兪の陥凹、特に右の

三焦兪の縦に亀裂の入った陥凹は腎気の損傷、腎陽の不足を明確にあらわしている

ものと思われます。

仕事でパソコンを使うことが多く、根を詰めるため、身体の上部に気が鬱滞しがちに

なりますが、腎気の弱さのため、一度肝気が鬱滞するとめぐりにくく治りがたい肩こりと

なりがちです。身柱の陥凹、右肺兪の陥凹など肺気の状態の悪さも上焦の気の鬱滞を

助長するものとなっています。

長く続く腎の陽虚肝鬱気味の傾向のうえに、肝気も鬱滞しがちな仕事の継続により、

オケツも生じやすくなり、生理痛、少腹急結、右のジリョウのつまり、薬を飲まなくてはならないほどの生理痛などの状態となっています。舌裏に怒脹がないこと、上背部に細絡がないことなど、明確なオケツの状態とまでは進んでいない可能性も高いのですが、このままの腎陽の不足、肝気鬱滞の継続という状態ではオケツへとすすむ可能性が高く、妊娠の希望も遠くなってしまいます。

腎陽を温煦し、肝気をめぐらせ、オケツ気味に傾く素体を助け、妊娠の希望をかなえたいと

思います。

…弁証論治

弁証 :腎の陽虚 肝鬱

論治 :温腎、腎気の温養、疏肝理気

….治療経過

4ヶ月15診ほどで自然妊娠にいたる。

妊娠中も週に1度鍼灸治療し、無事に女児を出産。

おめでとうございます。

 

0010:両卵管閉塞の診断からの自然妊娠①(総論)

両卵管閉塞の診断を受けていた方ですが、無事の自然妊娠に至った症例です。ざっくりまとめてみますね。

詳しい症例はこちらです。

相談:結婚して5年たっても妊娠しないので、病院を受診しましたら、両卵管閉塞という診断でした。これから体外受精の予定です。今後の妊娠、出産に向けてカラダ作りをしたいと思っています。

状況:26歳で結婚するもずっと妊娠しない状況。半年ほど前に婦人科受診。
地元の御殿場での病院で卵管閉塞を指摘され、大学病院でセカンドオピニオンで受診。
両卵管閉塞と診断され、体外受精をする予定。

半年前に卵管造影検査を受けてから、右下腹部が冷たい感じが時々起こるようになってしまった。
病院では心配ないとは言われている。

BMI18.03 痩せ。夏は苦手で立ちくらみが多い。ふくらはぎがいつもだるい。寝つきが悪く寝起きも悪い。生理前の一週間ぐらいから下腹が痛く生理時は薬がないと辛い。

方針:全身の生命力不足が明瞭。またストレス状態が強く気血の巡りも悪いので、生命力を補いつつ、下腹を中心に疏通させ巡りをよくしていく。

ご本人へのアドバイス:

体外受精という明確な方針も決まり、妊娠に向けての身体作りをしたいとのご希望ですね。

体重も痩せ気味で、もともと全体に体力がなく、気虚という全身の生命力が不足している状態です。全身の力不足は気血のめぐりを悪くして、阻滞し痛みなどの原因となったり、妊娠を妨げる要因ともなります。

治療では臍下丹田を中心とした生命力をあげることを第一として、そのうえで、気血のめぐりをよくするように治療していきます。

ご自身の生活の中では、とくに胃腸の状態を健やかにし、食物からのパワーをしっかりと受け止められるように、間食などはやめていただき、規則正しい食生活を心がけてください。体重を増やすことも重要で、BMIが19を越えると自然妊娠する方も多いですよ。

また、足三里など毎日の自宅でのお灸もおすすめします。頑張ってみてください。

経過:初診から5ヶ月後、体調がよくなったところで思いがけずの自然妊娠!

自然妊娠後10週まではホルモン値も悪く、いつ流産してもおかしくないという状況。鍼灸治療の頻度をあげ乗り越える。無事に自然分娩にて元気なベビちゃんを出産。

結果:両卵管閉塞の診断を受けながらも、自然妊娠ー出産

あとがき:

体外受精の準備をということでしたが、カラダ作りを着実に進める中で、ラッキーなことに自然妊娠と成り、無事にご出産なさいました。

両卵管閉塞という診断の方は、ときにこのように自然妊娠される方がいらっしゃいます。卵管造影などのときに緊張したり、また普段もこのような緊張から妊娠が成立し難くなっているのではないかとも思われます。

気持ちに余裕ができ、体力がつき、腰骨盤内の血流がよくなり、無事の妊娠成立となったのではないかと思われます。

治療院では、お灸の印を毎回治療の度に身体をみながらつけていきます。この方はそのポイントを、丁寧に、丁寧に、棒灸で身体の中心を暖めるような気持ちで養い育てていかれました。こういったことが本当に『効く』のだなあと私も実感しました。

妊娠中も、少し不安定で硬くなることが多いお腹でしたが、この棒灸の威力で無事に乗り越えられました。

よかったですねえ。