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40代から始める妊活、不妊治療をすすめるコツ。0325

40代から始める妊活、不妊治療をすすめるコツ。

ちまたの婚活YouTubeをみていると、女性に対して辛辣な意見が多いですね。30代になるととたんに女性の婚活市場での価値が低くなるといわれ35歳だと絶望的な扱いになっていて、呆然とします。市場的な見方をすると、男性は年収、女性は年齢と。ううううむですねえ。

まあ人間の価値ということでは、年齢によってよい影響を受けることも多いとは思います。しかしながら、「子供が欲しい」という前提に立つ婚活・結婚の場合いは、女性の年齢は若い方が有利である事実は揺るがしようがないことだと思います。

では、40代の結婚に子供は望めないのでしょうか?

これは私の実感からのイメージですが、女性が10人いると、

       妊娠しやすい     妊娠・出産しにくい

29歳まで   7人         3人

35歳前後   5人         5人

40歳前後   1.5人        8.5人

42歳前後   1人         9人

42歳だって、45歳だって、もともと妊娠しやすい人はいます。
そう言う方にとっては、40代であっても、案外すんなりとお子さんに恵まれると思います。
芸能人でも45歳で産みました〜とか聞きますよね。つまりそういう人にとっては、40代であっても、避妊だってしっかりとしておかなければ、うっかり妊娠してしまうのもあるでしょう。

ただ、42歳前後になると希望してもかなり難しいというのは実感同理だと思います。そしてここに医療介入や不妊治療などの努力がはいり、ひとりでも多くの方が、欲しいと思った赤ちゃんと巡り会い、家族を作るチャンスを広げることができるようにと願っています。

婚活、妊活が厳しいのは事実。
でも、家族のありがたさ、大切さを実感するのも40代

子供が欲しいという気持ちはよくわかります。

今回は40代で結婚し、不妊治療をすぐにはじめるものの、なかなか結果にたどり着かないという女性からの相談です。

☆42歳です、不妊治療が前に進みません。どうしたらいいでしょうか?

42歳女性

女性側:卵巣嚢腫などの既往歴あり、現在は問題ない
男性側:とりたてて大きな問題はない

41歳から不妊治療をしています。
年齢要因も考え早めに体外受精にステップアップしました。
体外受精では、胚盤胞もでき、ホルモン補充周期や、自然周期など色々な方法で移植しましたが、妊娠出来ません。少し着床反応もでましたが、胎嚢はみえずリセットとなってしまっています。

年齢的にもさほど余裕があるとは思えません。
妊娠、そして出産するにはどうしたらいいでしょうか?
なにか出来ることがありますでしょうか?

 

☆前に進みましょう!、不妊カウンセリング 東洋医学的診立て

40歳を過ぎてからの妊娠希望と言うことですね。

すでに、体外受精もとりいれ不妊治療をなさっていらっしゃいますね。自然妊娠を考えながらも、体外受精をすすめていらっしゃることそのものは時間という生殖医療において一番ネックになってしまうことへの対応としてはベストだと思います。

☆☆40代早めの体外受精へのステップアップについて
早めの体外受精へのステップアップ、よいと思います。
体外受精は年齢要因を解決出来る治療ではありません。
しかしながら、より妊娠に対して細かい壁をのりこえ、
なによりも凍結という時間を買うことが出来る手段は、
年齢要因を間接的にですが解決してくれる大きな鍵です。

体外受精がすべてを解決してくれるわけではありませんが、
40代の場合は何かをして最後に体外受精に挑戦するものではなく、
不妊治療の中に早めに取り入れ、凍結という技術を利用し、
他の要因の解決までの時間稼ぎになるよい手段となる場合が多いです。
    「凍結胚は待ってくれます」

しかしながら、スムーズに採卵ができ、胚盤胞もでき、その移植も色々工夫をなさっている。
しかしながらも着床反応はあるものの、治療が前にすすんでいないということですね。
凍結という技術を最大限に活用し、しっかりと時間を有効活用しながら、
妊娠、出産へと前に進みましょう。

☆☆あなたの不妊治療に必要なこと

お身体の状態は、胃腸の機能が少し低下し、身体に不要な湿気(内湿)や血の道の不安定さ(オ血)を感じさせます。この状態にさらに負担をかけるのが、日々の忙しさとストレス状態です。身体の力を底上げし、気血の巡りをよくしていくことを、鍼灸治療とセルフケアを組み合わせやっていきましょう。(腎虚をベースとした脾虚肝鬱瘀血)

☆☆あなたの不妊治療を前に進める4つのポイント!

1)現在通院なさっている病院では、年齢要因が高い方の治療を進める上では少しスムーズさが不足しています。時間をむだにしないためにも、培養室がしっかりしており、実績がある専門クリニックに転院しましょう。

2)採卵して移植ということを繰り返していますが、移植が入ると、もし妊娠がうまく成立しなかった場合に時間が無駄となってしまいます。連続採卵にしてしまうほうが、毎月採卵出来るので凍結胚を貯めるのには時間的無駄がありません。42歳という年齢を考えれば、ある程度の数の胚盤胞を貯卵していくのがよいかと思います。

3)着床するも妊娠が継続しないと言う課題をもう少し明確にする検査をうけてはいかがでしょうか?

4)食事の問題があるように思えます。1度食事生活記録をだしていただき、食事、生活などを妊娠にむけて手を入れていきましょう。

 

☆治療経過

ビッグママ治療室初診

1)右内関(PC6)、右外関(TE5)、右陽池(TE4)、三陰交(SP6)、陰陵泉(SP9)、右臨泣、足三里(ST36)左大都(SP2) 大巨(ST27)(温灸)
2)肺兪(BL13)
3)肝兪(BL18)、右胆兪、胃兪、次髎(BL32)

セルフケア:大巨(ST27)、足三里(ST36) 三陰交(SP6) 右の内関(PC6)、右臨泣
その後、週に1−2回で鍼灸治療継続、毎日の温灸でのセルフケア。

・2ヶ月後採卵ー胚盤胞凍結出来た
・4ヶ月後採卵ー胚盤胞凍結出来た
・6ヶ月後移植、hcg4ー妊娠継続出来ず。
・7ヶ月後移植、hcg2−妊娠継続出来ず
・8ヶ月後移植、胚盤胞を2個移植したーhcg45 P30越え

☆☆妊娠の経過

・5wPが下がり気味になり、鍼灸の頻度アップ。なるべく安静にし出歩かない。
・6w〜7w胎嚢がみえ、心拍もみえるが、Pは不安定。胎嚢周囲がぼやけてみえている。

とにかく安静にし、ほぼ毎日鍼灸をいれる。

・8w 赤ちゃんは元気で、周囲の怪しい影も少しましといわれる。

車での遠出をする予定があるとおっしゃるので、出来ればやめるように提案(説得)(延期)
Pは不安定で経過を細かく見ているが、赤ちゃんは元気で経過
忙しかったり、疲れたりすると、下腹がはり、出血しそうな気がするも、セルフケア、鍼灸、安静などで乗り切る。

無事に3000㌘を越えてのベビちゃんを出産
おめでとうございます。

イラスト ツボ セルフケア

☆☆40代の不妊治療、出産までをふりかえって

40代からの不妊治療は、時間をどう活かすかということにつきます。

今回の症例は、現状を認識し、しっかりと腹を括り、提案させていただいたことはさっさと取りこみ、出来ることは充分に取り組んだ不妊治療だと思います。とにかく提案させていただいたことを実行するまでのスピードが速い!。行動力のある人はすごいって感心しました。

妊娠してからは、その初期がやはり不安定でした。

一般論的には、妊娠の初期は ”普通にしていてよい”。
そのことは理解出来ます。病院の先生に聞いても、ネットを調べてもそうでてくるでしょう。
でも、”普通にしていて” は、壁がたちはだかり、前に進めないこともあるんです。

今回の場合は、その不安定な初期をしっかりとセルフケアし頻度の高い鍼灸でのケアで乗り切れたのではないかと思います。40代の妊娠は ”このワンチャンスを活かす” 事が出来なければ二度目はないこともあります。今回はなんとか壁を越えられて本当によかったなあと思います。また遠距離ドライブを中止てくださったことも大きいです。実は過去に不安定な時期の旅行や遠出でで辛い経験をされた人も多いと思います。

ネットをググれば、「妊娠初期だったけど海外旅行十分楽しめました〜」とか、「ディズニーランドでもへっちゃらでした」という声もおおくみかけます。でも、こうやって書くのは上手く行った方ばかりです、ダメだった方や残念につながった方は誰も声を上げないと思います。

妊娠というのは、女性は卵の孵卵器になるということです。

年齢が高い、流産しやすい女性というのはこのふ卵器の性能がちょっとだけ悪いのです。そういったちょっと不安定な孵卵器の方は安静がとにかく効きます。人によって大きく違うポイントです。
孵卵器の役目が終わり、出産につながれば何も問題がないんです。この短い期間、ちょっとだけがんばってくださいね。

今回の症例では妊娠初期のケアが充分な大きさ(3000㌘越え)の赤ちゃんの出産へとつながったのではないかと思います。このとは赤ちゃんへの大きなプレゼントとなりますね。

いろんな山がありましたが、無事にかわいい赤ちゃんとの生活がはじまりましたね。私もお手伝いすることができて、うれしかったです。

小さい赤ちゃんへのリスク:

DOHaDとは「将来の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後早期の環境の影響をうけて決定される」という概念です。私たち昭和大学DOHaD班は、病気になりにくい体質を獲得することをテーマに「胎児期・生後早期からの疾病予防」を目指しています。リンク→

イラスト ツボ セルフケア 応援

⑦胎児と栄養:「小さく産んで大きく育てる」の意味 杉ウイメンズクリニックの考察から。

⑦胎児と栄養:「小さく産んで大きく育てる」の意味 杉ウイメンズクリニックの考察から。

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーのYouTubeから①から⑥まで考察しています。

①から⑥までは以下の通りです。
その①https://bigmama-odawara.jp/blog/archives/4655
その②https://bigmama-odawara.jp/blog/archives/4661
その③https://bigmama-odawara.jp/blog/archives/4672
その④https://bigmama-odawara.jp/blog/archives/4689
その⑤https://bigmama-odawara.jp/blog/archives/4692
その⑥https://bigmama-odawara.jp/blog/archives/4731

さて、赤ちゃんが小さいという話しになると必ず出される言葉があります。

「小さく産んで大きく育てる」という言葉です。

これは、赤ちゃんは小さく産んで大きく育てるのがいいよ~という言葉です。分娩の時に巨大な赤ちゃんだとトラブルが多いから、赤ちゃんは小さい方がよいのよという受け取り方をしている方が多いのではないかなと思わせる言葉です。

確かに確かにとと思う側面もあります。

しかしながら、私がこの言葉に疑問をもったのは、とある患者さんからのメールからです。
やせた方の妊娠フォローの症例(BMI15.6)
この方はお母さんであるご自身がBMI16.5でした。
産科でも低体重児の出産を危惧されていました。
(だからといって、なにかするわけではないですが(^_^;))

妊娠前から治療院に通っていらした方でしたので、妊娠中は初期を中心にがっつりと胎盤形成期の鍼灸アプローチをおこないました。

その結果、ご自身は3300㌘越えのベビちゃんのスムーズな出産となっています。
ご報告のメールからです。

「旦那さんも痩せているのに、随分大きくて飲みっぷりがいい赤ちゃんですね」
と褒められました。
確かにみんなが大きな胸に小さな赤ちゃんを抱いているのに、
私だけ小さな胸に大きな赤ちゃんを抱いていて、
不思議がられていましたよ。
予定日を超過したものと思っていた人もいたようですが、
39週3日での誕生となりました。
「妊娠中、何キロ増えたんですか」と聞かれて
「10キロちょっとです」と答えると、みんなびっくりしていましたよ。
判定日に体重が37.9キロしかなくて、自分でも大丈夫かと心配したものですが、
産院では「高齢初産だし、痩せているから低体重児が」などと随分注意されたものです。
それがこういう結果になったのも、
先生のところに週に二度も通わせていただいたおかげだと思います

ここで考えていただきたいのが、妊婦の体重増加=赤ちゃんの体重増加ではないということです。ここをはき違えると、妊婦が太る=巨大児と思われて体重指導が入ったり、妊婦の体重増加が少ない=低体重児とされて心配という話しにもなります。

ここにはワンクッションあるということです。

健やかな子宮血流を保つ

穏やかな妊婦の体重増加につながる

十分な赤ちゃんの体重増加につながる

この三つであるということです。

この方からのメールは続きます。

出産のときは、たまたま同じときに分娩室に入った人がいました。
私は破水で、その人は予定日超過で陣痛促進剤を投与していたのですが、
向こうのほうがとても強い陣痛が早くからきていて、大変そうでした。
でも、後から軽い陣痛が来た私のほうがあっさり出産して、
その方は母子ともに弱ってきたらしくて、帝王切開になってしまいました。

翌日、産まれた赤ちゃんを見つけました。
保育器の中の、とても小さな女の子でした

後日、「○○さんって、すごい安産でしたよね。隣で、びっくりしたんですよ」と
そのお母さんに声を掛けられました。
お腹がまだ痛そうで、「本当に大変でしたねぇ」と私は返したものの、
一歩違えば他人事でなかったかもしれません。
もしかすると、私も赤ちゃんが小さくて、
こういうことが起こりえたかもしれないなとつくづく思いました。

この方の体験だけで、全てであると語ってはいけないことは重々承知です。しかしながら、体重増加=巨大児=分娩時の大きなトラブルとされているのには違和感を感じます。

分娩時のトラブルは確かに大きいし生命に係わります。母子の生命が第一だということも重々承知です。ただ、その上で妊婦の体重増加が、健康とかけ離れ必要以上に体重増加することと、必要な体重増加であるということを分けて考えなくてはならず、健康度を落とす体重増加が非常に危険であり、出産のトラブルにつながることはよく理解出来ます。

大きい赤ちゃんという言葉の曖昧さ

大きい赤ちゃん=分娩時のトラブル多発 ではないのはこのエピソードから私に大きく問いかけてくれました。大きい赤ちゃんというのは、巨大児ではなく、一昔前にいわれた、
大きい赤ちゃんは、「3000㌘50㎝の健やかな赤ちゃん」ということだけです。

そしてこの方のメールで、同時に陣痛を起こしていた方が、非常に難産で苦労され、お産みになった赤ちゃんがとても小さかったのに驚いたと。
そして自分が大きい赤ちゃんを産むことは難産になるのではと漠然と思っていられたそうです。それはそうなんだなと同感出来ます。

ただ、
充分な体重の赤ちゃんを産むことは、
充分な血流、体力のある妊婦であること

であるという認識は持ちたいと思います。

妊娠糖尿病などによる、巨大児は確かにハイリスクな分娩であり、避けるべき事態だと思います。ただ、これも、健やかな健康状態を妊婦が保つという観点からの血糖コントロールであるようにという努力が必要なのかなと思います。

とにかく食べちゃダメという指導

他の症例で、血糖値が上がってきてしまった方に、
「とにかく食べちゃダメ」というようなカロリーコントロールが指示されていました。まあ、とにかく食べちゃダメということが本筋ではなく、ちゃんとした栄養指導だったとは思うのですが、アドバイスを受け取ったご本人はとても真面目な方だったので、妊娠前よりも細い手足であるのに、しっかりと食事制限をし、それでも、

「こんなに食べるのをやめているのに、血糖値が高くて食事制限を言い渡されるんです、どうしたらいいのでしょうか」と仰りなげいていらっしゃりました。

私は、ぐっと細くなってしまった手足、薄くなった皮膚をなでながら、

「これじゃあただの低栄養じゃないの???。出産に向けて食事バランスガイドに沿ってしっかりと食べてみては。血糖値をあげないように糖質を最初に食べないようにしてみてね」

と私自身が感じたことではあるけれどという前提はお話ししながらアドバイスしました。

その結果、赤ちゃんは、2500㌘を少し越え、おかあさまも元気に分娩されました。

その方はいまでも、
「あのとき、先生に食べろって行ってもらって本当によかった」と言ってくださいます。お体を拝見していて、これ以上の食事を減らすことに私は意味を見いだせなかったのです。確かに数字はその通りの高血糖なのでしょう、そして高血糖のリスクも充分分かります。しかしながら、身体がこれだけ細り参ってしまったら、ただただ「食事を減らせ」だけが指導なのかと疑問を感じざる終えません。もう少し丁寧に、栄養を取ること、その上で血糖値をあげない食事を患者さんに指導して頂きたかったし、あの状態のままで、これ以上どんどん食事を削ったら分娩が乗り越えられるのかと思ったのです。

小さく産んで大きく育てるの意味。

杉ウイメンズクリニックの

小さく産んで大きく育てるの意味

すぎ先生はご自身のブログの中で、DOHaD (Developmental Origins of Health and Disease) 説についてかかれ、小さく産んで大きく育てるという言葉が覆されたとされています。不育症については、様々な議論がありますので、東洋医学のカテゴリーに身を置く私としてはなんともコメントしづらくはあります。

しかしながら、私が「多分不育症で引っかかるな」と思うかたにはこの杉ウイメンズクリニックの受診をお勧めしています。流産を2回したら不育症の検査というには、年齢要因的に妊娠ー出産自体が厳しくなると思うからです。

そして、私がお体を拝見して、ん?と思い、杉ウイメンズクリニックの受診をお勧めした方は、90%以上の確率で「不育症との診断を受けました」というご報告をいただいています。不妊の方に不育症要因は重なるのです。そしてもう一つ、小さい赤ちゃんということも重なります。

DOHaD (Developmental Origins of Health and Disease) 説について

DOHaD (Developmental Origins of Health and Disease) 説については、

実験医学オンラインにて、このように紹介されています。

『異なる生活習慣を背景とする異なる人種を対象として「出生体重に代表される子宮内環境などの出生前の環境因子が成人期・老年期の健康や疾患発症リスクに関連する」という共通の結論が得られたこと自体が衝撃的であり、医学:生物学の研究対象としてDOHaDの概念が注目されるようになった』とあります。
サイト* https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/book/9784758125307/916.html

私達が健やかな身体をと願うとき、そのスタートは胎生期から始まっているという、あたりまえであるけれど、忘れられがちであることを、いま、あらためて大事であると私は感じます。

胎盤形成期の鍼灸アプローチは、そのスタートに非常に効果的です。

ぜひ取り入れてみてくださいね。