少し前に、海外での不妊治療や妊婦健診の有り様をうかがうチャンスがありました。
アメリカでは妊娠するための治療がすべて不妊治療となり、保険がきかないとのこと。
プロゲステロンとクロミッドの処方と生理21日目の血液検査だけで内診もないという診療で180ドル(19,800円)。専門病院では卵胞チェック2回と血液検査で300ドル(33,000円)というのは、日本人の通院感覚から言うと本当に高いですねえ。
日本でも、不妊治療というと、自費の部分も多く費用負担が大変ですが、妊娠したいといったとたんに全部保険適応外ということはないと思います。ううむですね。
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また、アメリカは不妊治療先進国ではないかと思うのですが、日本では当たり前の超音波の検診などもなかなかスムーズにすすまず、内診の超音波を持っていない産婦人科があるくらいとのこと。月に二度、技師が機械を持って来るからその日に来なさいということになるとかということを伺うと、これまたうーーーむといったところですね。日本って便利!
また、人工授精15万円、体外受精だと120万円くらいというのも、すごいですね。このことは、以前から、海外在住の方が『あまりにも費用が高いので帰国して体外受精の治療を受けます』といっていましたので、ある程度は了解ですが、やはり高い。
15万円の人工授精を2.3回で日本ならば体外受精が出来ちゃいますね。また120万円あればこれまた3回ぐらいは体外受精ができるのではないでしょうかねえ。海外での体外受精が強い誘発になるのも、この費用では納得ですよね。1度の採卵で沢山のタマゴを取らねばやってられませんねえ。
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そして日本と事情が違うのは、妊娠してからの出生前診断です。
いわゆる婦人科検診はアメリカ、カナダ共に非常にラフな感じで、たとえば、エコーなどほんの数回であとは心音の確認だけ。日本のように毎月細かくチェックという感じではありませんね。
しかしながら、出生前診断(胎児ドッグ?)はほぼ全員受けさせられるということで、11週に血液検査、14週にエコー、16週に血液検査で総合的に判断。この流れは、日本でのいわゆる胎児ドッグと新型の出生前診断の組み合わせのような感じなのでしょうかねえ。
日本でいま、新型の出生前診断を受けるにはかなりハードルが高い状況があります(費用と実施している病院が限られていることなど)。それに比べると、とにかく受けなさいという感じが整っていることに驚きます。
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カナダの方からは、染色体異常スクリーニング検査(母体血清マーカー)とNTの超音波検査は年齢要因(高齢)もあり、無料。そして羊水検査を受ける場合も無料で、NIPT(新型血液検査)を受ける場合は5万円~7万5千円ほどとのことでした。こちらも日本よりも安いですね。
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不妊治療に関しては、日本の方が格段に安く、妊娠してからの検診は日本の方が手厚い、しかしながら出生前診断に関してはアメリカやカナダのほうが費用負担と受診のしやすさは格段に上だということなのかなあ。
出生前診断に関しては、色々な見解や考えなければいけない問題があり、まだ日本では整理できていない課題であると思います。しかしながら、費用負担の点で『現実の選択肢』になっていないといこともあるような感じがします。まあ、現実の選択肢にするまえに、考えるべきことがあるということなのでしょうか。