症例・実績」カテゴリーアーカイブ

ストレス、体操で悪化、右足の眠れない痛み。0004 その①

「痛み」という症状は、なんとなく解決してしまうこともありますが、

いろいろな要因で悪化していくこともあります。

私がしているのは『東洋医学で人を診る』ということです。
東洋医学の人間観を使って、
・目の前の方の歩んできた現在にいたる過去
・現時点の分析

上記2点をしっかりみていきます。
そのうえで、生き生きと人生を歩んでいける未来のためにはどうしたらいいのかということをかんがえていきます。

実際の症例から考えていきましょう。

今回の症例は、50代の女性。いろいろなご苦労があり、下肢の傷みが発症。
その後どんどん状態が悪くなり、眠れないほどになっています。

詳細はこちら

☆痛みを悪化させてしまった要因。

この方の痛みを悪化させてしまった要因

・もともとのヘルニア(整形外科診断済み)という器質的な課題
・家族関係のストレス
・仕事のストレス大きなイベントでの疲労
・疲労による体重減少
・足によいということで進められたプールや体操

 

痛みは、もともとの器質的な課題があり、整形外科ではヘルニアと診断され治療を受けてきています。

大きく分けると、

1)器質的な要因(ヘルニア)
2)精神的な要因
3)全身の体力的な要因

この3つともに今回の症例は該当しています。

痛みと言えば、1)の部分は整形外科などでとってくれるレントゲンや画像診断ではっきりと診断がつくぶぶんであり、その診断にもとづき対応がきまります。

ただ、この方の場合は、2)や3)の要因が大きく関係しています。

☆身体の一番弱いところに症状は集中する

痛みを悪化させるストレス、全身疲労があります。

確かにこの症例の場合でも、ヘルニアがもともとあり、整形外科でも手術を進められています。

しかしながら、悪化要因は、ストレスや体重減少など、局所の足の課題はあるにしろそれだけではありません。

精神的な負担や、全身疲労といった全身の弱りが生じることによって、

身体の中の一番の弱点が症状となってあらわれるのです。

この方の場合では、足の痛みの悪化です。
身体の中で一番弱かった足の痛みが症状としてご本人の大きな負担となっています。

 

☆『運動は単なる疲労の積み増し』になることもある

そしてこのケースでは、弱った局所をかえって傷めることになってしまったことが悪化を強く押し進めています。

ときに、

体力がない→運動して体力をつけよう

痛みがある→体操して血流をよくして解決しよう

ということがおこなわれます。

これはまず全身と局所の問題を考える必要があります。

全身がとても弱った虚弱の状態で、運動をしたり、体操をしたりすると、より全身が弱り症状が悪化することがあります。

つまりその方にとって、『運動は単なる疲労の積み増し』だったわけです。

 

☆東洋医学的な解決:胃腸の力を増し、暖め養い痛みを取りましょう。

この方の下肢痛は、東洋医学で言う痺症のカテゴリー。つまりひつこく長く続く痛みとなります。

痛みの原因に身体そのものの弱りなどがあるということです。

局所である右の足だけの問題ではないところに痛みが長く続く原因があるということです。

東洋医学的な証立てとしては

弁証論治:脾虚、経絡経筋の冷え、弱り
治療方針:益気補脾 下肢の経筋経絡の温陽通絡

まず、胃腸のパワーをupさせて、身体の力を充実させます。

その上で、傷めた右足の経絡を暖め養い、力がその経絡に流れるように導きます。

☆5診ほどでぐっとよくなった治療経過

5診ほどで、痛みは非常によくなり、長くあるくことができるようになった。

その後、月に1,2回のお体のメンテナンス的な治療を続行。

よかったですねえ。あまりがんばりすぎないで〜と申し上げましたが(^_^;)

雪かきをしても大丈夫だったと楽しそうにお話しくださいました。

☆ご本人へのアドバイス

”もともと土台のしっかりした丈夫なお体だと思います。
しかしながら、数々の日常的なストレスにより胃腸に負担がかかり、
身体の力を落としてしまったことが、一番の問題だと思われます。

胃腸の状態をよくすることが、足の痛みの軽減、全身状態の好転、
季節の変わり目に体調が悪くなってしまってい状態の改善につながります。

食後におなかが脹らない程度の食事量になるように気をつけ、
間食もできるだけ控えるようにしてみてはと思います。
便通がすっきりとすることが目安です。

また、冷えや、弱った下肢に強い負担をかけるのは、症状を悪化させます。
まず冷やさないように注意し、全身状態をよくすることで、痛みの改善を
図りましょう。”

 

 

ご相談にお答えして:落ち込みやすい、気力がでない、適応障害、妊娠したい 0143

ご相談にお答えして:落ち込みやすい、気力がでない、適応障害、妊娠したい。どうしたらいいでしょうか?

妊娠をしたいけれど、ご自身の体調に自信がなく前に一歩出ることができないというご相談は案外多くあります。

こういったときに、私は精神的な面で強くトラブルがある場合には、精神科などの受診をお勧めします。薬に対してのコントロールが上手なドクターにかかり、症状にあまり拘らない方が身体の立ち上がりが早い感じがしています。

また、ご自身がいま出来ること、許されていることを把握し、『自身の持てる身体作り』をめざすことで、体調が回復し、気力が回復し、精神的に安定することはよくあります。

若い年代ならではの多くの精神的なトラブル。一歩踏み出して人生を前に押し進めていただけたら嬉しいです。

ご相談

結婚して4年たちます。もともと体調が悪く適応障害という診断を受けたこともあります。

20代に仕事でとても無理をして、体重が50キロから40キロ近くにも落ちてしまうこともありました。

結婚して夫と出会い、赤ちゃんが欲しい、一緒に生活したいと思うようになりました。

でも、体調はよいと思える日がありません。身体がだるかったり、ほってったり、いつも眠さがあり、疲れやすい感じです。

また精神的にも不安定です。

生理前や雨が降る前などとくに、だるくて、あちこちが痛み、気分が落ち込みます。

早く妊娠、出産したいと思っていますが2年前に流産してから2年たっても妊娠出来ません。

どうしたら早く妊娠、出産出来るでしょうか?

私からのお返事

気力を充実させて元気に生きたいというご希望ですね。

とてもよくわかります。

元気な身体、安定した精神は、気持ちよく生きていくためのお宝ですね。

大事に育てていきましょう。

20代前半でのお仕事は、お身体にとってだいぶ負担だったようですね。

ここで体重が10キロ落ちたことにより、身体の中にいらない熱(陰虚熱)が発生するきっかけになってしまったと思います。全身が非常に弱った(気虚)中、身体の内側におこった内熱(陰虚熱)は、様々は不定愁訴(ほてり、だるさ、精神的な不安定さ)を引き起こしてしまったのだと思います。結婚を機に、精神が安定し、体重も増えたのは本当によかったですね。ご主人の優しさのたまものですね。

だいぶ回復されたとはいえ、今現在も不安定さは残っているようですね。胃腸の力をしっかりさせ、身体を充実させていきましょう。そして、赤ちゃんが早く来てくれるようにしていきましょうね。

・弁証 脾気を中心とした気陰両虚

・論治 益気補脾 益気補陰

・治療方針 脾気を立てることを中心として、補気補陰していく。脾気がたつことによって腎気が持ち直すことを期待する。脾腎の陰気がたち肝鬱が納まることを期待するが、場合によっては肝鬱も取り去る。

方針:

胃腸を中心にしっかりと生命力を高める。そして胃腸が整うことで精神的な不安定さも減少していくことを

期待する。身体にある余計なもの(内湿)の排出を促し、気分の落ち込みなどを防いでいく。

鍼灸治療:

右の内関(ミニ灸2回)、膻中(CV17、7)、気海(CV6 10)、大巨(ST27)

左の公孫 右足三里 左右三陰交

厥陰兪7 左胆兪脾兪(BL20)、左胃兪、左大腸兪(BL25)右次髎(BL32) 申脉

自宅施灸指示:内関 中注 関元(CV4) 足三里 三陰交

経過:

初診から8ヶ月後 

  体力がついてきたと思う、寝込むことが減ってきた 

10ヶ月後 

  そろそろ不妊治療を再開してみようという気持ちになった 

12ヶ月後 

  不妊治療を始めたら、生理痛や腰痛がひどくなっている 

 めまいやほてりも出現 

  →それでも、それほど気にせず治療を進めることが出来ている 

24ヶ月後  

  体外受精にステップアップ 

 不妊治療のホルモン剤などで体調悪化。それでも、治療を進めていけている。 

  1回目の採卵→移植 妊娠出来ず 

30ヶ月後 

  2回目の採卵→良好胚が多数凍結出来た 

32ヶ月後 移植、無事に妊娠、出産 

患者さんからのメール

「スタッフの皆様 

○○です、お世話になっております。 

○月○日3000㌘越えの女の子を無事出産することができました! 

母子共に健康です(^^) 

 

赤ちゃんはむくむくしてきれいな状態で生まれてきました。 

自分が母親になれたなんて、いまだに信じられない気持ちです。 

でもとってもかわいいです。 

こんなにかわいい子を抱くことができたのは、

 先生はじめビッグママ治療室のスタッフの皆様のおかげです。 

本当にありがとうございました。 

とりあえずご報告まで。 」

あとがき:

メンタル面での課題が多いときに、その症状に振り回されてしまうことも多いかと思います。

そんなときには、まず身体の調子をよくしてみるということから始めるのがよいのかなと思います。そして身体の自信を取り戻すと自然に気力もわき、精神的な安定に繋がることも多いと思います。

身体と心はひとつですね。

気力を充実させて元気に生きたい

アンケート

適応障害について

0114)妊娠中、産後も続く子宮内膜症の痛み。弁証論治

子宮内膜症の症例が続きます。
子宮内膜症は、生理と共に悪化する疾患です。
そして、妊娠を早くすることで、子宮内膜症の進行も遅くなりますので
早い妊娠が臨まれますが、逆に子宮内膜症によって妊娠が成立しにくいという
状況も生まれ、なかなか難しい問題となることが多いです。

今回のケースは、卵巣嚢腫の手術もおこなわれ、
子宮筋腫の手術歴がある、
骨盤内臓器の癒着が高度な事例であり、
なかなか解決が難しい状況にありました。
10代からの手術歴ですから、ご本人にとって
長い婦人科疾患との戦いであったと思われます。

幸いなことに、ご本人の努力によって無事に
第一子の妊娠、出産につながりました。

しかしながら、妊娠中も痛みが強く、
出産後も再度痛みの出現があるという状況で、
子育てもお辛い様子でした。

出産後は、ご自身の生命力が落ちるために、どうしても
その方に取って一番のウイークポイントが出現しやすくなります。

抜本的な解決はなかなか難しい状況ですが、
温補補腎という、ゆっくりと温め、生命の土台の力(腎気)をつけていく
鍼灸治療によって、ご本人の辛さの軽減に役立ったようで何よりです。

症例概要→0114
詳しい症例→0114

無気力、やる気がでないときに

無気力、やる気がでないということがありますね。

精神的にも様々な病名がつくケースもあるかと思います。

人間は、自動車を運転しながら生きている生き物だなと思うことがあります。

自動車は身体そのもの、そして運転している人が頭脳精神活動を主っています。

車そのものには、いろんな性能があって、大きくて頑丈で燃費の悪い車もありますし、小さくてもコンパクトで走りやすい軽自動車のような車がありますね。

自分の身体が軽自動車のようなパワーと頑丈さであるのに、頑張りすぎて毎日ぶんぶんとアクセルをふかしていると、あるときに、どうにもこうにも車が動かなくなってしまいます。

どうにもやる気がでない、無気力だと思ったときには、自分の精神や頭脳活動がどのように自分の車そのものを運転してきたのかを振りかえってみるのもよいのかもしれません。

そして、頭脳が暴走族で軽自動車を無理させすぎていたようだったら、その車を手入れし、車の運転手としての自分の人生を歩むときの運転方法も考える必要があるのかなって思います。

自分という車にあった運転をすれば、軽自動車で会っても東名高速道路にのってあちこちに行くことは可能ですし、箱根峠を登って芦ノ湖の遊覧船を見に行くことも出来ます。

いとおしい自分の身体をいたわって、上手な運転手になりたいものです。

この症例では無気力で気分が落ち込むということを、東洋医学の世界でいう、肝(生きる意思)、脾(胃袋の力)、腎(生命の土台の力)という三つの観点から、鍼灸の手入れと、ご自身の養生によって立て直し、その後の人生をご自身なりに歩んで行かれた症例です。

 

お体の手入れのポイントとしては、まず胃腸の状態をよくすること。

つまり、胃袋をしっかりさせて、生き物としてのありようをたてなおすことです。

この症例では、内関、足三里、脾兪、三焦兪などというツボをつかっていきました。これはご自身での養生で毎日お灸などをしていただいてもよいかと思います。

そして、あまりにもグズグズと気持ちが鬱滞したときには、少し”梳かす(すかす)”つまり疏通させることもアリです。ただし、気力という体力があまりにもないときには、梳かすものすらないわけですので、そういったときはあせらずに、淡々と規則的な日常をこなすようにされる方が良いかと思います。

そしてもう一つが、生命の土台作り。つまり腎を養い育てることです。この腎は生殖の力にもなります。

腎の力は余力、つまり貯金です。日常生活で困ったときには貯金を引き出して補住することも必要ですが、毎日それをしていては借金まみれになってしまいます(^^ゞ。基本的に、貯金を積み増しするような生活をして、十分余力のある日常をおくれるようにしたいものですねえ。

 

せっかくの人生、自分の車にのって、色々な風景をみたいものですねえ。

 

ストレスや緊張、不安で引き起こされた不妊(34歳出産)

蝉がジージーとなく耳鳴り。肩こり、口が熱い!

蝉が頭の中でジージーと鳴いたら、もうそれだけで頭痛がしそうですよね。

この症例の方は、少し耳鳴りが始まっていたところに、精神的なショックがあり、首から上の症状が一気に噴き出していきました。身体が少し疲れていたところに、様々な負担があり、耳、頭、口、肩と一気に症状が噴き出したといったところでしょうK?

あまり症状が激しいときには、身体を疏通させ、その熱や症状の遁げどころを作ってあげます。
そして一息ついたところで、今度は弱った土台の建て直し。

そんな感じで、この方が日常を取り戻せるようにお手伝いさせていただきました。

詳しい症例はこちら↓

耳鳴り、肩こり、頭痛が辛い

この方への、生活提言を転載しておきます。

生活提言

精神的なショックから、身体の上部に強く鬱滞がおこっているために
苦しく辛い症状となっています。また、入れ歯をいれることなどが、より鬱滞を強くさせてしまうために症状がきつくなってしまっています。

鍼治療では、身体の上部にたまっている鬱滞を取り除くことをまず第一と考え治療していきます。また、身体の上部を支えるためには、身体の土台の力もとても大切です。

身体はしっかりと支えることの出来る土台があって初めて、暢びやかに過ごすことができるのです。いまは、強い症状のため身体の上部に注目が行きがちですが、急性症状がとれたのちには、しっかりと土台作りをしておかないと、再度同じ症状を起こすことになりますし、次に同じ症状をおこしたときには、加齢による土台の消耗も加わりますので、もっと治りがたいものとなってしまいます。

5診ほどでかなり楽になられ、その後は定期的にお身体のメンテナンスにいらしていただいています。