カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代前半 不妊

ストレスや緊張、不安で引き起こされた不妊(34歳出産)

概要

見知らぬ土地に転居したことをきっかけに、緊張や不安の精神的な問題があり、なかなかお子さんが授からないというお悩みです。東洋医学的な人間観察からしっかりとフォローし、無事に第一子、第二子とご出産につながりました。

(この症例の弁証論治→無気力、気分の落ち込み、妊娠希望
【case:0018】

ご相談内容

結婚して見知らぬ土地に引っ越し、それから体調がよくないです。ストレスや緊張が強く辛いです。気分が落ち込み、無気力で食欲もありません。朝起きても、ああ疲れたという感じで疲労感が強い感じで一日が始まります。

また、子供が欲しいのですがなかなか授からなく、そのこともとても辛いです。子供が授かれば、この土地とももっと親しみが湧くのかなと思うのですが、なかなか授かりません。どうしたらいいでしょうか?

東洋医学的診立て

結婚され、お二人での生活が見知らぬ土地でのスタートだったことは、今までの生活から環境も全て変わってしまったということですね。慣れるまで時間がかかってしまうのも無理のないことだと思います。またお子さんが授からないことも辛いですね。

色々な精神的な重荷が重なってしまっていまの状況が生まれています。問題を少し整理してみましょう。

まず、お引っ越しをされてからだいぶがんばってきたのだと思います。充分がんばったのですから、いまは少しゆっくりされてもいいのかなと思います。お子さんの問題も、体調が良くなれば解決していくケースが多いです。まずご自身の体調をあげ、その上でなかなか授からないようでしたら、病院などの受診も視野にいれましょうね。あせらないあせらない。

まずはじめに、身体の力を取り戻しましょう。

  1. 胃腸の力が疲弊していますから、まず胃腸の力を取り戻すことと、身体の緊張を取り去ることを目指していきます。
  2. ご自宅では毎日お灸で手入れしてくださいね(場処は指示いたします)そして鍼灸治療で身体の緊張をとっていきましょう。
  3. 悪循環から抜け出したら、次は妊娠に目標をしぼって、土台の力作りをしていきます。

順番に身体を立て直して、赤ちゃんに出会えるようにしていきましょうね。

東洋医学的弁証論治
弁証:脾虚肝鬱、腎虚
論治:疏肝理気、益気補脾、益気補腎
治療指針:妊娠希望があり、腎気の問題も重要ではあるが、現時点では睡眠、小便などに問題が出ていないので、まずストレスにより過度にかかっている身体の緊張を取ることと、便通食欲腹脹などにあらわれる脾気の問題を解決し、身体の力を増すように勤める。脾気の問題、強い肝鬱の問題が解決した時点で(つまり転居後の不調の段階が解決した時点まで戻ったら)、腎気の問題の状況をかんがみ、補腎をはかる。

治療経過

初診から週に2回で鍼灸治療。
25診(3ヶ月後)体調がアップを感じた頃、無事に妊娠。
無事に第一子を出産。

2年後、二人目のお子さんを希望して再度来院。
3ヶ月後無事に自然妊娠にて第二子を出産。

おめでとうございます。

あとがき

無事に第一子、第二子と続き妊娠出産となりよかったなあと思います。

精神的な問題、ストレス、不安感、緊張感は誰にだってある問題です。この問題について、課題そのものから考えるよりも、体調をよくするようにしていくと、精神的な問題があまり負担でなくなるケースをよく経験しています。逆に言えば、体調が悪いと精神的な問題も大きくなってしまうわけです。

この症例では、色々な精神的な課題を抱えていらっしゃりましたが、体調がよくなることで妊娠され無事のご出産となっています。

人生には沢山のことがありますね。ご家族で一緒に前に進んで解決していければステキだなって思います。