なんどか良好の胚盤胞を移植しても、まったく着床すらしないというとき、色々考えることはありますね。
☆不妊治療、努力しているのに行き詰まってしまったときに
なんど、良好胚を移植してもダメ、
あれこれのサプリを飲んだり、
有名な病院にかかったり、
考えられることはすべてしているのに、結果が出ない。
そんなとき、一歩後に引いて、ご自身の身体の手入れをし、血流をよくして、卵ちゃんのお迎え準備をするということも、不妊治療の一つの解決プロセスになる場合があります。
どうしたらいいんだろうか?
なにをすべきなんだろうか?
そんなときに、まよったら、一緒に考えてみましょう。
解決の糸口が見つけられるかも知れません。
☆ご相談:良好胚をなんども移植していますが、一度も着床しません。どうしたらいいでしょうか?
体外受精を挑戦中の33歳です。
昨年は、10個以上の卵が採卵出来、良好胚と呼ばれるとてもいい状態の胚盤胞を1年にわたって、4回も移植しました。
1年の間に、いろいろな方法に挑戦し、病院もくふうしてくれて、さまざまなやり方を挑戦しましたが、一度も着床すらしません。
これ以上、同じ事を何度やっても、上手く行く気がしません。
どうしたらいいのでしょうか?
私に出来ることはあるのでしょうか?
☆ご相談にお答えして:やれること、あります。前に進みましょう。
4回も「可能性が高い良好胚」を移植なさったのに、一度も着床すらできなかったということですね。
それはとても残念。
どうしたらいいのか、わからなくなってしまうということも
尤だと思います。
☆東洋医学的な身体の所見
お身体を東洋医学的な観点から四診という方法を用い、読み解いていきましょう
☆☆全身の気の巡りの悪さについて
お身体の状態としては、肩こりや頭痛がひどいということですね。
身体の上半身、特に肩や頭部に気が集まりやすい、ということが肩こりや頭痛の直接的な原因だとは思いますが、その気の停滞をおこしているのは、全身の気の巡りの悪さだと思います。
☆☆瘀血(おけつ)について
またお身体をみていきますと、それに一歩加えて東洋医学で言うところのオ血の状態を引き起こしているようです。
このオ血の状態は、足のツボに出ている反応(冷え感や滞り)、体表面にあらわれる、細絡という血管の浮き出しが年齢の割に多いことなどからうかがえます。
☆生命力の土台の力である腎気の弱さ
お腹のツボの力のなさ、背中の臓腑に係わるツボの弱りなどから、身体の力を支える腎気とよばれる土台の力の弱さがうかがえます。
この腎気の弱さがあるために、暢びやかに気血が巡ることがしづらく、血流そのものが滞りやすい素体をお持ちではないかと思われます。
日常生活を送られる範囲であれば、大きな問題とはならないと思いますが、この血が滞りやすい問題は妊娠や出産には大きな課題となります。手入れをしながら、不妊治療を前に進めていきましょう。
☆東洋医学的なみかた、治療方針
・弁証 腎虚肝鬱瘀血
・論治 益気補腎、疏肝理気、活血化瘀
・治療方針 腎気の底上げをし、気血の循環が暢びやかであるようにしていく。
☆不妊治療についての具体的な3つのアドバイス
不妊治療は、いままでの不妊治療歴、そして東洋医学的な観点から体表観察し、分析し、身体作りの方向性をみきわめたうえで、ご自身の妊活に何が必要かを具体的にしっかりと考える必要があります。
ただただ、漫然と、幅広く色々なことをやるというのは、疲れてしまうだけだと思います。
とくに、頑張り屋サンですし、お子さんに対するお気持ちも強い方だと、努力と迷い。それだけで疲れてしまい、悪循環におちいってしまいます。
少し情報を整理し、ご自身のやれることをしっかりと把握し、前にすすんでいきましょう。
1)病院選びについて
今のクリニックは薬が多く、刺激量が多いクリニックだと思います。このやり方が人によってはあうあわないが生じます。薬のせいで頭痛や肩こりがひどくなるというのは、素体に負担が強くかかっていると言うことだと思います。
良好胚を移植しても着床しないということのなかに、素体が弱ってしまっているということも可能性が高いと思われますので、転院も視野に入れて良いかとは思います。
しかしながら、移植ではうまくいかなかったものの、前回の採卵では複数胚の採卵ができています。これはとても重要なポイント。
もう1回は同じクリニックで採卵をおこない、胚移植の時にお体を整えることをしっかりとやっていくのもいいのかと思います。それでもダメな場合は転院も視野にいれましょう。転院は、何を目的に転院するのかを明確にしなければ、前に進むことができず、同じ事の繰り返しになってしまう場合があります。
2)卵の質に関して、着床障害の検査について
良好胚が凍結出来ているということは、卵の質の大きな問題はないと思います。着床障害について考えてもいいのかもしれません。着床障害の検査はお身体を拝見すると、血流を中心としたことを調べるのがベターではないかと私は思います。(着床の窓を調べたりする検査ではなく)
3)胚移植に向けてのお身体の整え方
お体の細絡(細かい血管の浮きだし)や、偏頭痛は、血流問題があるのではないかと思われます。体調を整えることと、不妊治療の方向性は合致します。腰骨盤の血流をあげるために、下腿から足首、足のツボや温冷浴を使い十分に血の巡りをあげるようにしていきましょう。
☆治療経過 〜採卵から胚移植、妊娠出産へ。
鍼灸治療
初診:右の外関陽池、大巨温灸 三陰交、陰陵泉、左足三里、大都(ミニ灸)肺兪温灸、左脾兪、右腎兪、三焦兪、次髎
治療後、目がぱっちりとスッキリする感じがする。
セルフケア指導
2ヶ月後、採卵、凍結胚が3つ出来た
6ヶ月後、移植、初めての着床。無事に妊娠成立し出産。
おめでとうございます。よかったですねえ。
いままでの長きにわたる不妊治療、赤ちゃんの重さをずっしり感じますね(^^)
☆あと一歩の子宮血流が妊娠を導いてくれたのかと思います。
良好胚を移植しても妊娠出来ないと言うことは、一体何をしたらいいんだろうと途方にくれてしまいますね。
結局、様々な検査でも問題がなかったということは、ご本人の子宮を養う血流の悪さが、あと一歩の妊娠成立を様食べていたと言うことなのかなと思います。妊娠はあと少しと言うところで阻まれてしまうことも多くあります。ご自身の努力を前に進めることができて、本当によかったなあと思います。
☆アンケートにお答えして
アンケートのご記入ありがとうございました。
体調が整うことを実感出来たということ、とてもよかったなと思います(*^_^*)。
治療方針として、血流をよくすることを中心としてあります。血流をよくするためには、身体の土台の力をつけ、その上で巡りをよくしていくというプロセスを踏んでいます。この治療(益気補腎、疏肝理気)で疲労感や肩こり、頭痛が少なくしてくれて、妊娠、出産へとつながったのかなと思います。
身体の土台の力を底上げした上で、気血の巡りをよくするという治療は(益気補腎疏肝理気)、妊娠出産だけではなく、今後の長い人生のいろいろな側面で課題になっていくとおもわれます。疲れたなと思ったときに、少しお体の手入れをしていただけるといいかなと思います。セルフケアも続けてもらえればと思います。