カテゴリー : 不妊・婦人科 コラム

不妊治療とセックスレス

目的と解決へのプロセスを明確に

私は東洋医学的な生命観をもとに目の前の患者さんのお身体を拝見し、お子さんが欲しいというご希望であれば不妊カウンセリングをしています。家族を持ちたい、子供が欲しいというときには、

・肉体的な要因
・精神的な関係性
・セックスそのものの問題
・社会的な要因
・年齢要因

これら色々な問題が大きく立ちはだかります。しかしお二人だけでは解決策がなかなか見つけられないカップルもいらっしゃいますね。特に、セックスそのものにトラブルがある場合、相談窓口も限られますし、どうしたらいいのかという暗礁に乗り上げてしまうこともたびたびです。

私は不妊カウンセリングを通じ、一緒に解決策を見つけていく道を歩みたいと思っています。セックスそのものにトラブルを抱えている場合、セックスそのものの有り様の解決はなかなか難しい問題です。しかしながら、この問題を踏まえての子供が授かるための『不妊治療』を前に進めることは可能です。そしてお子さんを授かり、新しい家族との生活の中で、自然とご夫婦の関係性が変わり、よい方向へ進むことがよくあります。

子供が授かるまでのプロセスにあまりにも拘わりすぎると、その時点で長い間時計の針が止まってしまいます。女性の生殖には残念ながらタイムリミットがあります。長い間時計の針が止まることでタイムリミットを越えてしまい、ご夫婦の気持ちがセックスレスを越えて『不妊治療』に前向きになることができても、時間切れになってしまったケースを私は何度も体験しています。あまりにも、あまりにも悲しいなあと思います。

私は女性の方とのカウンセリングになることが多いです。夫のことが大好きで、二人とも子供が欲しいということでは一致している。しかしながら、セックスが成立していない、不妊治療は心理的な抵抗がある、夫が人工的な治療に賛成しない、などなど。年齢要因を前に焦る女性のお気持ちは痛いほどわかります。どうしたらいいのでしょうか。一緒に考えていきましょう。女性が腹を括ると、問題が大きく前進することがあります。時間は大切 腹を括って進みましょう。

長い間、不妊治療が止まったままになっていて、なぜ前に進むことが出来たのですか?と伺うと、『私の強い気持ちを、やっと夫が理解してくれたからです』というお返事をよくいただきます。ああ、そんなことがこの方にはあったんだな、頑張ったんだなと私の気持ちも熱くなります。タイムアウトしないようになんとか頑張りたいと痛切に思います。

ご夫婦の温度差やセックスレスなどは基本的には二人で解決していかなければならない問題です。でも、女性には大きく立ちはだかる年齢の壁があります。焦りや悩みはストレスとなって身体の大きな負担にもなります。どうしても解決できないときはご相談ください。一緒に考えていきましょう。そうすることで、流れが変わることもあるかもしれません。

また、ご夫婦の関係で怒りを使った表現方法でしかご自身の気持ちを表せない方もいらっしゃりますね。暴力や暴言などが常である場合には、専門家の介入も考えようと腹を括ることも、新しい関係が築けるきっかけになることもあります。怒りを使うという幼い表現方法を人間的な成長の中で少しずつ変わっていって欲しいなあと願います。