弁証論治:

0093:黄体機能不全、不安→妊娠弁証論治

・問診
31歳女性 パート 身長167 体重58

2011年3月ビッグママ治療室受診

・・主訴

不妊
 ホルモンバランスをなおしたい
 不安が強い
 肩こり

働くようになってから出現。

最近は落ち着いてきたが、体調がよくないと不安が強く、心理的に落ち込む。

夕方や、イライラしたときに出現。

今回は2010年に子供が欲しいと思い、病院に行き始めた途端に

 体調が悪くなり、高温期が短くなり生理周期が狂った。

口渇や体重の減少、多夢など出現

・・普段の状態について

朝、梅雨や季節の変わり目、気を使ったあと、旅行のあとに調子が悪い、
春夏秋冬クーラー暖房、昼夜深夜と調子がよい
食欲は普通、若い頃から食欲は落ちている
早食い、空腹感はよくある、食事はおいしい、胸焼けなどはない
間食はよくとる。

舌が乾くことがときどき、
便通は1日一回 バナナ、量も多い
残尿感、尿切れの悪さは時々 色は黄色で時々悪い
睡眠は寝付きはよい、夢をよくみる、寝起きは悪い、
翌日に疲れが残ることは時々。

生理周期の高温期に体調が悪くなり低温期によくなる。
最近生理の量が減り、周期が短くなってきた(もともと25日型で6,7日の出血)
生理の量が多いのは1,2目、6,7目は少量がすっきりせず続く
生理前に吐き気がおこり、生理は出血した時の色、病院では黄体機能不全といわれた
精神的にショックなことがあり、18日で生理がきてしまった。

・体表観察

・・脉診
左関上やや弦

・・舌診
歯痕あり
戦アリ
舌裏怒脹あり

・・腹診
左肝の相火あり
中脘動き悪い
中注冷え
関元冷え

・・経穴診
両列缺ややこそげ
左合谷陥凹
右神門 硬結ややはれ
左の内関陥凹
左外関こそげ
左陽池冷え
左臨泣冷え
左陽陵泉陥凹
左公孫陥凹大きい
三陰交筋張り奥に冷え
陰陵泉張り

・・背候診
大椎やや冷え
左肺兪陥凹 左肺兪外方陥凹
左胃兪 筋張り
左三焦兪 陥凹
腎兪 陥凹

・五臓の弁別

・・肝
体調がよくないと不安が強く心理的に落ち込む
イライラしたときに不安、落ち込みが出現
今回は子供が欲しいと思い病院に行き始めた途端に体調が悪くなる
 (生理周期が短くなる、口渇、体重の減少、多夢)
生理の高温期に体調が悪い、周期が短くなってきた
生理前に吐き気

脈 左関上やや弦
舌 戦アリ、舌裏怒脹あり
左肝の相火あり、
精神的にショックなことがあり、18日で生理がきてしまった。

・・心
体調がよくないと不安が強く心理的に落ち込む
右神門 硬結ややはれ

左の内関陥凹
左臨泣冷え
左陽陵泉陥凹

・・脾
口渇、体重の減少
若い頃から食欲は落ちている
舌が乾くことがときどき
生理前に吐き気
妊娠ご、食後に強い眠気、食事を変えて落ち着く。気分も落ち着く

中脘動き悪い
左公孫陥凹大きい
三陰交筋張り奥に冷え
陰陵泉張り
左胃兪 筋張り

・・肺
両列缺ややこそげ
左合谷陥凹
大椎やや冷え
左肺兪陥凹 左肺兪外方陥凹

・・腎
体調がよくないと不安が強く心理的に落ち込む
夕方に不安、落ち込みが出現
朝調子が悪い 寝起きが悪い
高温期に体調が悪くなる
生理の周期が短く、量が減ってきた
生理の6,7日目にすっきりしない量が続く

中注冷え、関元冷え
左外関こそげ
左陽池冷え
左三焦兪 陥凹
腎兪 陥凹
精神的にショックなことがあり、18日で生理がきてしまった。

・・気虚
舌 歯痕あり
列缺こそげ

・病因病理

もともと精神的な問題と体調が直結しがちで、体調がよくないと不安が強く心理的に落ち込むというように、腎気の支えがないと心気を十分に養えなくなるタイプであると思われる。

また精神的なストレスから肝鬱が強くなると生理が早く来てしまうなど肝鬱も腎気に直接的な負担となりやすい。

今回も半年ほど前から妊娠をのぞみ、病院にいき治療をはじめたとたんに、精神的な負担となり、肝鬱が強くなり、腎気が弱り高温期が短くなり月経量も減ってしまったと思われる。また口渇や体重の減少も伴い、肝鬱は心熱をおこしたり、脾気も押さえられてしまったと思われる。

脾気は便通もよく、食欲もあり、胸焼けなどもなく大きな問題は感じさせないが、梅雨時に体調が悪い、朝に調子が悪いなど内湿の存在がうかがえる。大きな問題がないながらも、脾気は強い肝鬱に影響されがちであり、脾気の弱さも心気の養いを不安定にしている要因と思われる。

妊娠後、それまでなかった食後の強い眠気、夕方の精神的な落ち込みが明瞭となった。

妊娠は腎気に負担がかかり脾気へのバックアップが不足しがちになり脾気が弱り、食事によって中焦に気があつまると上焦では気が薄くなり眠気となり、腎気がより落ちる夕方では心気もたたず落ち込みとなった。食事のありようをかえることで脾気への負担を緩和することで大きな変動はなくなったが、『変化が大きい』ということは、全体の器が小さいということを物語っている。

・弁証論治

弁証 腎虚を中心とする気虚 肝鬱

論治 益気補腎 疏肝理気
・治療指針

まず第一に、腎気の底上げをていく
必要に応じて疏肝理気し、肝気の他臓腑への強い影響を排除する。

妊娠中は腎気をたてることと、脾気を健やかにすることの両建てで、全身の負担を軽くし、母胎を安定させ、胎を育てる。

・治療経過

初診ののち20診(4ヶ月後)妊娠
 妊娠後、食後非常にねむくなり気分が落ち込む
          (それまではここまで明瞭ではない)
 食事にナッツやチーズを取り入れることを提案
   →食事を返るとこんなに気分が変わるのかと驚く