カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 40代 不妊 不育 冷え・のぼせ

強い冷え性、繰り返す初期流産、体外受精のあと自然妊娠(41歳出産)

概要

子供の頃からの強い冷え性があり、30代前半から妊娠を希望するも化学流産に終わり継続できない。体外受精でも同じ結果。カラダ作りからスタートして無事に自然妊娠出産した症例です。

(この症例の弁証論治→出産底冷え、首肩の凝り、不妊の弁証論治
【case:0189】【神奈川/秦野】

ご相談内容

子供の頃からのきつい冷えがあります。気がつくと足の先、お尻、太ももが冷え切っている感じです。首や肩の凝りも強く、背中から首が固まって動かないようなこともあります。30代の前半から妊娠を希望し、何度か妊娠していますが化学流産に終わってしまっています。人工授精、タイミングも数多くし、漢方も服用していますが同じ結果です。どうしたらいいのでしょうか?

東洋医学的診立て

子供の頃からの強い冷えということですね。お身体を拝見すると確かに温める力の不足の陽蹻もありますが、それ以上に気の滞りがきつく、このため全体に巡りが悪くなっていると思われます。

Kさんは生きる意思がはっきりして、前向きで、その姿は目が輝きとても美しいです。そしてこの生きる意思が人間にとって一番大切なのです。ただ、この生きる意思は、優先しすぎると、身体が疲れていても、まいっていても、ぐっと気を凝らせて頑張り続けます。このために全体の巡りの悪さが起こっているように思います。

まず、底力をしっかりつけると、必要以上に頑張らなくてもスムーズにご自身の生きる意思のままに動けます。そして滞りに対して、なるべく早めに解消しておくのが次の段階を生まずに済むと思います。良い循環を作りたいですね。

また、妊娠の希望に関してですが、妊娠をサポートする経穴の様子を拝見するとやはりきつい冷えと巡りの悪さが明瞭です。陽気のバックアップと巡りの良さを確保して妊娠に挑戦し、継続できるようにしていきましょう。

また、お身体を拝見すると、不育症の検査を私はお薦めします。不育症検査の適応条件は満たしていないと思いますが、お身体を見た限り、検査陽性の可能性が高いと私には思われます。新横浜の杉ウイメンズクリニックにてご相談されるのがよいかと思います。

東洋医学的弁証論治
弁証:腎の陽虚、気虚肝鬱
論治:温養補腎、疏肝理気
治療指針:腎の陽気を温め育てていく。気虚が明瞭であるので、場合によっては補脾補肺を加え腎気を中心に全身の気虚を救う。腎気をたて気虚を救うことで肝鬱が生じにくくしていく。

治療経過

37歳 ビッグママ治療室初診、漢方真田クリニック受診。
38歳 体温が全体に少しあがってきた。低温期が安定してきた。
39歳 体外受精-胚移植(IVF-ET)、妊娠するも胎嚢が見え止まる、その後繋留し手術するもhcg下がらない。
半年後 IVF-ET、妊娠せず。
翌月 自然妊娠ー化学流産。
不育クリニック受診。ヘパリン、アスピリンを勧められる。
40歳 ET、判定日Hcg100を越え、Pも35を越えている→初期流産。
IVF-ET、妊娠せず。
足を打撲して骨折ー下肢の交代温冷浴を実施、翌月自然妊娠→継続。
妊娠8週 非常にきついつわりに見舞われる→鍼灸にて方針を変え、つわり軽減。
妊娠28週 順調に経過中。
妊娠30週 気候が暖かくなってきて、鼻血が出やすくなっている。鍼灸治療後も鼻血が出たりする。すっきりする。
妊娠39週 無事に41歳にて自然分娩、男児出産、おめでとうございます。

あとがき

たくさんの、本当にたくさんのことがありました。無事にご出産にまでたどりつけたことは、鍼灸の、東洋医学の、というよりも、ご本人の丁寧な努力が実を結んだのだと、ただただ思うばかりです。また、ラッキーの神様も味方してくれたのかなと思うことがあります。

子供を授かると言うことは本当に、運命、神様の領域なのでしょうね。

患者様から

米山先生とスタッフみなさまへ

満月の夜に男の子ちゃんが産まれました。ここまでこれらのも、みなさまの鍼灸サポートのおかげ。ありがとうございました。胎盤はしっかどっしりずっしりです。たった体重6kg増加の私と小さめ赤ちゃんにしては、標準より大きな立派な胎盤でした。週2鍼灸施術をコンプリートして、本当によかったです!!

お産の経過は、普通分娩でしたが、ラミナリア→指ぐりぐり→からはじまり、長めのフルコースを楽しませていただきました。いまはぐったり倒れてます。。。来月の鍼灸、心待ちにしていますね。

米山からの返信

まあまあ!なかなか大変なフルコースだったと思いますが、とにかく無事なご出産になって本当によかったなあって思います。うれしいよおお~。なんだか涙がちょちょぎれちゃいます。

病院はなかなかスパルタだと思いますが、とにかくゆっくり寝て下さい。母子同室(かな?)でも、寝たいと思ったら預けていいのですよ。
いましかありませんからね。ゆっくり休んで、退院後に備えましょう。

胎盤、頑張った甲斐がありましたねえ。ちょっとご自身の体重増加が少なく、赤ちゃんもこぶりだけど、充分頑張ってやれる範囲の一番!だったと私は感じています。がんばった、がんばったよ、本当に。

おめでとう、おめでとうね(*^_^*)

  

今回の症例では、タイミングで妊娠されています。ご本人がいろいろと研究され、タイミングについてまとめてくださいました。とても実践的な考え方なので紹介しておきます。

オリモノとタイミング

考え方:
LHの変化をみる排卵検査薬と、オリモノの伸についての観察をしっかりと行い、ちょうどよいタイミングを考えた。

(1) オリモノが出始めたらLHと合わせてチェックする
(2) LHの出始め時間で、タイミングのスケジュールを行う
(3) オリモノのピークを特に意識する
(4) オリモノの伸のピークはベストタイミング

オリモノのピークを目安にタイミングをとると心がけることがベストの選択であるとされています。

図の下にある時間をみていただくとわかるように、LHが出始めてからの36時間のなかで、タイミングが取れる夜の時間帯になるのはどのパターンなのかという分析がなされていますので参考になさってくださいね。