カテゴリー : 不妊・婦人科 コラム

35歳以上、不妊治療歴2年(難治性不妊)からの鍼灸治療

難治性不妊

35歳以上不妊治療歴2年以上であれば、「難治性不妊」と言われる状況になります。当院にいらっしゃる、不妊治療目的での通院の方にアンケートをさせていただいたところ、9割以上の方がこの「難治性不妊」の状況でした。

鍼灸不妊治療の臨床を通じて、2008年に『不妊!大作戦』を出版いたしました。このときは、まだ女性の年齢要因について発言することそのものがはばかられるような社会情勢でした。不妊治療に携わっているものは誰でも、年齢要因が重要なキーワードであることを認識していてもそれを社会的に発言することが許されないような状況だったのです。ですので、年齢要因が重要であることを「知らない」まま、不妊治療を始めてから直面する方も多かったと思います。

hold-babyたった5年ですが社会は大きく変化し、「卵子老化」ということがテレビなどで取り上げられ大きく報道され始めました。以前は、年齢要因のことを社会的に発言することすら難しい雰囲気がありましたので、たった5年ですが隔世の感があります。それだけ、いまの「不妊治療」について社会全体で前向きに考えはじめた結果だと思います。

当院は、不妊治療から始め、妊娠中もほぼ全期間においてフォローし出産を迎えて頂きます。昨年秋のある月、不妊治療から妊娠にいたり継続して通院中の妊婦さんにアンケートをとりました

「不妊かしら? どうしよう?」と悩んだときにはじめから「鍼灸に行こう!」と思う方はごくまれです。婦人科の門をくぐり、不妊治療の相談をし、タイミング、人工授精などを経て、高度生殖医療である体外受精などをしてもなお「妊娠に致らない」方々が、当院の門をたたくことが多いことがやはりわかりました。妊娠した方々も、やはり、35歳以上の2年以上の不妊治療歴がある方だったのです。

この難治性不妊の方々が、無事妊娠し、出産なさるためにどういう手助けが東洋医学で可能だったのでしょうか。

少し考えていきましょう。また、中医学会雑誌に論文掲載されております、『東洋医学的生命観に基づく鍼灸:難治性不妊への取り組み』も参考になると思います。(全文をお読みになりたい方は、当院受け付けまでお申し出下さい)

時計の針は戻らない

いま妊娠を考えている35歳以上の方にとっては、「時計の針」を戻すことは出来ません。35歳で卵子老化ならば、36歳の人は、39歳の人は、42歳の人はもう赤ちゃんを産めないのでしょうか?現実を振り返ると、そこもまた違った風景が見えます。

当院では昨年、44歳のお母さんが3人誕生しました。昔から40代の出産はあり、あなたのまわりでも40代のお母さんはたくさんいるでしょう。このあたりが、これから産みたいと考える方にとっては一番の疑問でしょう。

 35歳から卵子老化は始まっているらしい。
 同い年43歳の友達が赤ちゃんを産んだ。
 いまは不妊治療があるから40代でも治療を受ければ妊娠出産出来るだろう。

たくさんの疑問、悩みが産まれますね。大事なことは一般論で語られる卵子老化や、周りの人の40代での出産ではなく、貴方が「いま」妊娠し、出産出来るかどうかと言うことではないかと思います。

妊娠は、挑戦してみなければわかりません。そして、1回の挑戦で妊娠できなくても、何か特定の原因があるわけではなくそれは「自然の流れにあること」かもしれません。生殖と淘汰は、なくてはならない生命の仕組みです。