カテゴリー : 不妊・婦人科 コラム

不妊治療や身体作りのための食事について

3)枝葉末節に拘わりすぎない!!

いまどきの栄養情報は、どうしても「これが身体によい!!」に偏りがちです。でも、まずちゃんと前提にしなければならないのは、大きな意味でのバランスの取れた食事。そしてその前提に立った上で、”よりよい食品”があるのではないかと思うのです。ご自身で気がつかない中、案外極端な食事をなさっている方が多いのに驚きます。そして、そういった偏った食生活の上に特定な食品ばかりを載っけても、より危険な食生活になってしまいます。まず全体を点検してから、その上で情報に耳を傾けましょう。

また、情報は、『自分が気に入った情報が耳に入る!』という法則があります。つまり、自分の『好き』にあっている方向性の情報は入りやすく、自分が『苦手』とする方向の情報は入らないのです。

たとえば、アルコール。アルコールが大好きな人が必ずおっしゃるのは『酒は百薬の長だから』という台詞。これって、お酒を飲まない人だったら、おちょこ一杯のお酒は気血の巡りをよくして身体を温める『百薬の長』たる役割を担うんでしょうけど、毎日ビール2本3本あるいは日本酒2合それ以上、その他アルコール好きっていう人に当てはまる情報なのかといつも私は疑問に思っています。お酒の好きな人に、おちょこ一杯飲ませても返って『飲んだ気がしない!!』と言い出しそうですね。

運動もそうです。運動好きの人は『運動が身体によい』という情報を聞くと、身体が疲弊するほどの運動でも楽しそうになさいます。運動が好きな人には『運動がよい』という情報は耳に入りやすいんですねえ。適度ななんて前置きはすぐに吹っ飛びます。

食事も同じです。たとえば、一時期「大豆」がよいという報道がありました。大豆好きは偏りますね。豆腐に油揚げ、豆乳。そのうえ何にでもきな粉をぱらぱら。ちょっと待って~と思ってしまいました。

食事はまず、種類を増やすこと。そして全体を眺めてバランスよくとることが大前提であり、リスクを減らすことにもつながります。その上で、いろいろな情報に(特に自分の耳が痛い情報に)耳を傾けていみるのもよいかと思います。

4)主菜(タンパク質)を取りましょう、脂質も必要です

肉は身体に悪い、卵はコレステロールがと強く考え、かなり食事から抜いている方が案外多いです。なかなか難しいところですが、主菜をキチンと取る必要があると痛感するお身体の方は多いです。

また、主菜という観点が抜けている方もいらっしゃいます。主菜は、魚介、肉、卵、大豆製品など全部で50g以上含む食事の中心となるおかずで、主にタンパク質や脂質を摂取します。タンパク質は筋肉、血液などの体組織、酵素、ホルモンなどの原材料ともなります。大事です。とても大事です。主菜は、肉、魚、卵、大豆製品のなかから3-5SV簡単にいうと手のひら一つ分のタンパク質を、朝昼晩のご飯で最低1つは取るという感じ。卵1個、お肉60gで1SVです。

以前に、夫婦二人で1日分の主菜分量が1SVぐらいと仰っている方がいました。健康に気をつけていたら、野菜と芋類が増えてそうなったと。主菜はほとんどご主人が食べてしまうので、ご自身はほとんどタンパク質は取らないし、脂質は健康によくないのでなるべく取らないようにしているとのこと。非常に皮膚が薄く、健康診断のたびにコレステロールが低い(要注意)や、貧血が出ていた。でも、女性だから貧血は当たり前だし、コレステロールが低いのは逆に健康的だと思っていたとのこと。

この方の主訴は「なかなか妊娠しないこと」でした。お身体を拝見していて、西洋医学的な治療や、漢方、鍼灸よりも、「当たり前のバランスのよい食事」、具体的には「毎食、手のひら1つ分のタンパク質に富んだ主菜!!」が必要だと痛感しました。タンパク質は血や肉をつくります。コレステロールはホルモンの原料にもなります。極端な思い込みによるヘルシーメニューは返ってハイリスクだと感じます。食事全体を見渡してみましょう。