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ご相談にお答えして。体外受精をやり続けていくしかないのでしょうか?ステップアップとステップダウン

妊娠したいというご相談で、このところ立て続けに同じご相談をいただいています。

 

質問:
1度は自然妊娠しているのに、体外受精などしても着床すらしません。どうしたらいいでしょうか?

自然妊娠をした経験があります。
残念ながら流産になってしまいました。

その後、いろいろなことに挑戦していますが、なにをやっても、妊娠できません。
まったく妊娠の反応がでません。

病院では、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療を進められ、すでに何度も挑戦していますが、
受精卵はできるものの、移植しても全く着床反応すらなく、妊娠がものすごく遠くなってしまった
ような気がします。

私は、1度はなにも医療の手を借りずに妊娠しています。
それなのに、いっぱい努力して、体外受精などをしても、着床すらせず、
妊娠などまったく出来ていない状態です。
どうしてでしょうか?
私はどうしたらいいのでしょうか?

 

不妊治療をしていると、どうやって解決したらいいんだろうと思い、ドクターに質問しますよね。すると『妊娠できない理由』をいろいろと説明されることになると思います。

その説明は、確かに『そうだ』と頷けるものではあるのですが、では、その課題を解決すれば、妊娠出来るのか? という疑問がわきます。

私は、20年以上不妊治療に携わっていますが、最近の傾向で、

患者さんも、病院も『待てない』と感じます。

以前は、何ら原因がなくても、流産になってしまったこと、なかなか妊娠しないことを、『仕方がないね少し待ちましょうか』という感じのお返事があったような印象があります。

これは、無責任なようですし、患者さんにとっては、一刻も早く妊娠したいのにという思いに答えてくれているお返事ではないので不満が残ると思います。

ただ、やみくもに医療を積み重ねることが時に解決への道を遠ざけてしまっていると思わざる終えないことを感じたりもするのです。

 

☆流産してしまった理由探し・・・

せっかくした妊娠が流産。
それは本当に悲しくて辛いですね。
納得出来る理由を探すというお気持ちもよくわかります。

流産の中には、かなり初期の流産から、心拍確認後の流産まで含まれますね。
また不育症でとらえると、流産と言われる時期のあとにおきた出来事も、出産にたどり着かなかったケースはすべて不育症の範疇で考えていくことも理解出来ます。
初期の流産だけが妊娠における課題ではないということです。

 

☆理由として考えたい、自然な淘汰、血流、必要な安静

流産の理由の大きい物は、自然の流れ、淘汰と言うことが大きいです。
何らかの理由で、ちょっとご縁がなかった、ということもあるのかもしれません。

また、流産なさった方に言及されることはありませんが、母体側の血流など卵を受け止める力の課題もあるのかなと思います。季節要因は否定されていますが、妊娠が継続出来にくいタイプの方だと、ある季節が妊娠の初期を乗り越えやすいなと感じます。

また、昨今、胚移植などをしたあとに『普通にしていて良い』と言われるかなと思います。
この普通が本当に人によって違うなと感じます。もともと活動的な人の普通と、おとなしめの人の普通。違いますね。

 

☆昔のドクターの経験から

15年ぐらい前、あるクリニックでは、妊娠成立と共に全員安静入院。
また他のクリニックではお勤めをしている人に診断書を出して仕事を休みやすくしていました。
これらを候っていて、あー安静が必要な人がいるのをご存じなドクターがいらっしゃるなと
感じました。

これらが、全員に必要とは思いませんが、2の課題などを持っている方、状況的に仕事や家庭での生活が忙しい人には強制的な安静となり、ホッと出来たのかなと思います。
そして一生のうちのほんの少しの時間が、ある一定の方々には妊娠の継続にとってどうしても必要であり、人生をかえるチャンスになっているという事実があるんだなと思います。

☆緊急事態宣言がもたらしてくれた妊娠、出産

実は、コロナの初期。日本中、いや世界中が動くことがなくなりました。電車通勤や人と集まること。引きこもって安静、安静。ちょうどお二人ほどその時期に妊娠初期を迎えられている方がおられました。このお二人は、数回の体外受精でなかなか妊娠初期が切り抜けられなかった方です。

そして、このお二人には、『いまこそ、あなたの妊娠継続のために、しっかりと引きこもり安静生活をしてください』とお願いしました。ジタバタするのではなく、神様がくれたラッキーな時間です。

無事におふたりとも、妊娠を継続され、出産までたどりつきました。
それまで何度も繰り返していた、着床から妊娠5,6週までは到達するものの、流産という経過を乗り越えられました。

安静で妊娠初期を切り抜ける。『あなたの妊娠が成立するため』に誰もが必要であるとはいいません。ただ、いろいろな要因はあったと思いますが、ときに妊娠初期の安静は『効く』と私は感じました。

 

☆ステップアップとステップダウン

・人工授精をしてみた
→妊娠出来ない

・年齢要因があるのでステップアップ
→妊娠出来ない

人工授精、タイミングなどでは妊娠出来ないので、ステップアップして体外受精しましょう
→妊娠出来ない

さらに体外受精を続けましょう
→妊娠出来ない

着床障害の検査をしましょう
→妊娠出来ない

妊娠出来ない→→→∞の繰り返し。

 

確かにそうだとは思います、この流れでひとつの正解ではあるのでしょう。
ただ、過去のご本人の状況、今の状況などを勘案すると、ステップアップが必要ではなく、
他の要因へのアプローチが必要であり、その上で時間、年齢要因を考えながら治療を選択していくことがとても大切だなと思います。

ときに、ステップダウンも選択肢になると思うのです。

 

☆妊娠出来ない理由、探し方のコツ

ただ、漫然と『妊娠できない理由』から、不妊治療をステップアップしながら継続しているだけでは無限ループに陥るが如く混迷してしまうことがあります。
時間とお金がかかる不妊治療だからこそ、
しっかりとご自身の『妊娠につながるための努力』をして欲しいと思うのです。

解決策を探そう原因ではなく、解決策を探しましょう!そして前に進みましょう。

 

メンタルのおおきな影響:精神的な不安感、不妊、妊娠、出産 0216

精神的な不安感があると、不妊治療もいったいどうしたらいいのかわからなくなってしまいますね。

イラスト がっかり 辛いまた生理が来てしまったがっかり感。
周りの人がどんどん妊娠していく疎外感。
流産してしまった辛さ

精神的なストレスは生理の状態を悪くし、また妊娠しにくくなるという悪循環もよくみます。

なにがご自身に必要なのかということを、しっかりと見極め、前に進んで頂けたらといつも願っています。

☆メンタルの不調で体調悪化、妊娠出来ないという症例

今回は、せっかくの妊娠したものの心拍確認後に流産。その後、体調もがすぐれず、精神的な不安感が強く辛い日々を過ごしていらっしゃる方です。

何が必要なのか、
どうしたらいいのか、
一緒に考え、無事に妊娠にたどりつきました。

ご紹介していきますね。

☆ご相談 【流産後の不妊、精神的な不安定感】

27才 女性です。パートで勤めをしています。
周りの人がどんどん妊娠していくのであせっています。
3年前に結婚し、1年ほど前に妊娠出来ました。
でも、10週で流産してしまいました。
それからなかなか妊娠出来ません。
生理周期も非常に長く不安定で、基礎体温表もバラバラです。
生理前にとても精神的に不安定になります。
このところ、動く気力もでず、体重もへってしまいました。どうしたら早く妊娠、出産出来るでしょうか?
精神的にもこの1年とても不安定で気分の落ち込みもひどく困っています。

全体の体調:
2年前から急に果物や花粉のアレルギーが強くなっている。
首から下に痒みがでやすくい。
アレルギーやかゆみは季節の変わり目や、入浴後、睡眠不足などのときにつらい。
食欲は普通、美味しくご飯は食べられる。
食後にいつもお腹が張る。間食はよくとり、水分を2リットル以上とる。
便通はすっきり。小便は1日に10回以上で夜に時々トイレにおきます。
寝つきはよく、寝起きもよく、夢をよくみる。

婦人科の状況:

生理は35日周期で不規則(28日から42日ぐらい)
生理は出血したときの色、粘った膜などがまじる。
生理の量は普通、7日間ぐらい続く。
生理痛はほとんどなく、排卵時の痛みもめったにない。
高温期は胸がはったり、イライラするが問題というほどではない。
生理に伴って手首足首がとても冷え、精神的な不安定さが大きくなる。
流産してそろそろ1年たつのに妊娠出来ないので、不妊治療を受けようかなと考えている。

どうしたら早く妊娠出来るのでしょうか?

☆ご相談にお答えして 【現状を把握して前にすすみましょう】

流産残念でしたねえ。とくに心拍も見え一安心した後の流産でしたからとてもショックだったと思います。辛かったですね。

妊娠OKになってから、タイミングをとっていらっしゃるのになかなか妊娠出来ないのですね。もともと生理周期も不安定で排卵がわかりにくいこともあって妊娠しずらくなっているのかなと思います。

お身体を拝見していると、胃腸の問題と精神的な課題(メンタルの弱さ)が大きいですね。

・なにかあると胃に来る
・体重が下がりやすい
・胃腸のツボの反応が弱い(左脾兪(BL20)からの陥凹、左の公孫(SP4)から大都の陥凹)

メンタルの弱さは、ちょっとしたことでストレスとなり身体への大きな影響となってしまうのかなと思います。メンタルが胃腸の問題につながり、逆に胃腸の弱さがメンタルの弱さを引き出しているともいえます。また体表観察上からも胃腸のツボの弱り、メンタルの課題は明確です。
またストレスは排卵にも影響しがちとなり、妊娠への悪影響となってしまいますね。

妊娠する力はある、自分を信じよう!

妊娠する力は十分あります。
辛い出来事で、精神的に不安定になったことで、胃腸の負担となり、その悪循環でよりストレスをおこしやすくなり、排卵にも影響がでてしまうという悪循環になっています。お身体をちょっとしっかりさせていきましょう。自然とストレスにも強くなります。大丈夫ですからあせらずに前に進みましょう。

☆不妊治療への具体的アドバイス

①胃腸の力を取り戻し、生命力をupさせ、自信の持てる身体を作る

②排卵障害気味ということについて、
皮膚の殻の厚さ(上焦における肺気の実)、ストレス(肝鬱)が感じられます。ただし、29日から40日で排卵があるのならば、さほど気にしないということでもOKです。

③半年ぐらいは、細かいことは忘れて(←ここ大事です)自然妊娠狙いをしましょう。この間に、不妊治療専門クリニックを受診し、一般検査をしていただき、基本的な課題を整理しておきましょう。

④体重をもう少しあげましょう。BMIで19.5は常に越えるようにしましょう。

⑤ストレス解消の範囲で、気楽な働きに出るのもよいかと思います。

☆東洋医学的な診方:弁証論治治療方針

脾虚肝鬱 肺気の実
益気補脾 (疏肝理気) 補肺
脾胃の力を上げることを中心とし、肝気についてはあまりいじらない。肺気は肝気の突き上げによって負担となっているので、肺気を充実させ肝気の衝き上げにまけないようにしていく。

治療経過 

初診:大巨(ST27) 関元(CV4)、左合谷(LI4)、左外関(TE5) 左陽池(TE4)、三陰交(SP6) 左足三里(ST36)、三陰交(SP6)、大都(SP2) 肺兪(BL13)、脾兪(BL20)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)

以来週に1−2回の鍼灸治療。
不妊治療クリニックにて、排卵があり、数値は正常なのでカバサールは不要と言われ服薬中止。フーナー検査が不良(ただし、1度妊娠が成立しているので様子をみる)

8ヶ月後自然妊娠
5wで胎嚢がみえるものの、小さめと言われた。ここから鍼灸治療を週に4回にしていく。つわりがだんだんきつくなってきた。
12週を無事に越えて妊娠継続。鍼灸治療を週に1−2に戻す。
32週、里帰り出産のために帰省
無事のご出産報告をいただきました(*^_^*)

イラスト ツボ セルフケア

おめでとうございます。

症例、アンケートはこちら

初期流産と不妊・不育の課題。着床前診断の考え方(改定)

不妊治療のご相談をしていて、かなり多いのが
『少しだけ妊娠反応がでたのですが、継続しません』という状態です。

以前にファイルを作りましたが、妊娠という課題にはさまざまな要因があり、お伝えしにくさを感じています。淘汰ということが、あたりまえにおこり、ある程度の確率で起こる流産は自然な事です。とくに初期流産は注目しないようにということもやはり正解である場合が多い。でも、そんななかに、『出来る努力の余地がある』人も多いんです。もう少しファイルをわかりやすく書こうと再挑戦です。

初期流産を繰り返し、それは淘汰でありあたりまえと言われている中で、染色体の異常などの問題ではなく、ご自身の妊娠を継続し進めるパワー不足というケースが多々あります。症例0179ではこの課題が顕著で、『できる限りのことをしたい』というご本人との思いで取り組んだのがこの症例になります。このケースでは、まだ着床前診断が非常に厳しかったので検査はうけず、ご自身の体調アップで乗り切っています。
判定日hcg14 ガッツでフォロー!妊娠継続。38歳出産

妊娠初期の淘汰のプロセス

確かに、妊娠には”淘汰”ということが、とても大切なプロセスとして存在します。

初期の妊娠であれば

日本産科婦人科学会より

早期に起こった流産の原因で最も多いのが赤ちゃん自体の染色体等の異常です。つまり、受精の瞬間に「流産の運命」が決まることがほとんどです。この場合、お母さんの妊娠初期の仕事や運動などが原因で流産することは、ほとんどないと言って良いでしょう。

これは事実ですね。

しっかりと基礎体温などをつけていなければ、気がつかないほど早くリセットがおこなわれ、流産とは思えないような状態も多いかと思います。これは自然なことです。

妊娠初期の初期流産についての考え方、卵の問題or血流問題

ただし、不妊治療をしていて、この状態を繰り返す人がいます。もう少し週数が進んでの流産ならば、不育症などの懸念と言うことになりますが、初期の段階では余りそういった解釈よりも、上記の日本産科婦人科学会での発表道理の解釈がされ、ドクターからは『卵の問題』『あなたには問題がありません』とされるかと思います。

そういった状態の方のご相談を非常に多く受けます。
また、体外受精がからむと、費用的な点や、保険適応の回数制限などもあり悩みが深くなります。

初期流産はやはりあたりまえの”淘汰”のプロセスであることも多いのは事実です。

しかしながら、ではご自身の課題はないのかといえば、その方のお身体の状態によっては、卵を受け止める子宮の力をしっかりと底上げしてあげることは出来ると思います。

その手入れの上で、自然の淘汰であれば淘汰されるかと思いますし、この手入れは次の卵を十分に成長させ、次の受精卵のお迎え環境を作ります。
つまり女性自身の卵受け入れ環境を整えるということです。

身体の手入れをして妊娠、
あきらめて泣いたら妊娠、
冷え対策をしたら妊娠

このあたりも気血の巡りがよくなって、子宮血流があがっての妊娠と考えられると思います。

血流問題(血液凝固系の課題)など女性側の問題と、胎児側の染色体異常という2つの課題

不育症の概念の中に、血流問題など女性側の問題と、胎児側の染色体異常という2つの課題が混在しています。

この2つの課題、それぞれにレベルがあり、血流問題(血液凝固系の亢進など)も、ちょっと血流をよくすればいいレベル、第一子の年齢ならばなんとか出産にたどり着いたが第二子では年齢があがり出産にたどり着けないレベルや、もともと投薬の対応が必須のレベルもあります。

このあたりが、この課題を非常にわかりにくくしている要因かと思います。

また、第一子の出産になんらかのトラブルがあった方に私は不育症の検査(自費)をお勧めしていますが、ほとんどの方が引っかかり不育症の対応を取ることになります。
しかし出産時にこの検査をドクターから勧められることはありません。つまり絶対要因ではないからです。

たぶん、不妊治療が必要ない方であれば第二子はスムーズに出産なさり、そういった方が大半であるという事実もあるのかと思います。しかしながら、不育症要因があり、着床障害要因が強くなり不妊となっているという方もいるのかなと思います。

血液凝固系の課題(血流問題)冷え、手足末端のきつい冷え

不育症の問題を難しくするのは、この問題が絶対条件であるケースが少ないからだと思います。手足末端の冷えがきつく、しもやけができる、家族歴があるなどの血液凝固系の課題も、妊娠希望の方が20代であれば、この要因をお持ちでもすり抜けて出産と言うことが多いかと思いますが、40代になってくるとこの課題が大きくなり、また遺伝的な課題も大きくなっていき問題が複雑になりますね。

ただし、今回の症例でもわかるように、冷え血液凝固系の亢進の問題は解決の可能性を広げる手段があります。

着床前診断が意味のないケースと、おおきな意味をもつケース

30代前半で何度やっても着床を繰り返すのみの方が、複数このPGTをされているのを拝見していました。PGTに対して、おおきな意味を持つケースと意味がないケースが混在しているのだなと感じました。妊娠しないというときに、血流などの母体側の要因と染色体の問題の混在です。

5個の卵にたいしてすべてPGTを行った方、4つ程度は問題のない卵であり血流をあげるような鍼灸治療をして無事に出産にいたられました。それまでの胚移植で一度も妊娠したことがなかったということですが、染色体の問題ではなく、血流の問題だったのでしょう。

また、5つとれたうちの着床前診断を2つのみ受け、その2つが良好胚であったかたに、なんとなく他の卵も問題ないと思ったケースで『着床前診断をしていない卵を先に移植してみては?』と提案しました。結果として着床前診断をしていない卵で無事に妊娠出産。第二子へと診断を受け良好胚と確定した卵を残すことができました。つまり染色体の問題のリスクが低いケースであり、これも上記同様に血流をあげることで妊娠にいたったケースです。

また、逆に、10個以上の卵が胚盤胞になり着床前診断をしたところ1個だけが良好胚だったという方の場合は、やはり着床前診断が適応になるのかと思います。

診断を受ける胚が2,3この場合はどちらかのケースなのかが判然としなくなりますね。

染色体の要因はその確率の高低で決まると思います、まったくないということは淘汰というプロセスがあるということからありえず、低い高いの問題かと。

そして高い確率でおこるのならばやはり着床前をしたほうがよいかと思いますし、冷え血液凝固系の問題がからんでいると、染色体の要因の高低が判断つけにくくなるかなと感じます。

不妊治療、アドバイスの受け方の難しさ

また、不妊カウンセリングや相談を受けても、さまざまな立場から、『問題ない』と言われたり、『問題がある』といわれたり。全く観点の違う『小麦、米、砂糖をやめればよい』といったアドバイスになったり、『冷えを取れば万全』といったアドバイスもなされたりしている現状もあるかと思います。

相談にお答えする方の立場によって考える観点が違ってきますので、本当に相談を受ける方としては難しいと思いますし、誰に相談したら良いのか、何をしたら良いのか混乱すると思います。

冷え、初期流産を繰り返す、年齢要因、これが血液凝固系の亢進からの課題であれば、今回の症例のような方の努力や、投薬などが効果を奏すると私は考えていますし、染色体の要因があるかたでも、この努力を前提としなければ、せっかくの問題ない卵ちゃんでも初期流産になってしまう可能性があるということです。

とにかく、可能性のある要因を潰していく必要がありますし、出来る努力をしてみることで妊娠出産への可能性が大きく広がることもあると思います。そしてどういった西洋医学的な不妊治療を選択するか、どういった病院を選ぶかも大きな課題です。

☆保険適応の採卵と着床前診断

『前回の胚移植は妊娠反応は出たものの、胎嚢確認ができなかったので、次は着床前診断をした卵を移植したい』

こういったご相談、保険適応が始まる前は多く候いました。
現時点では、保険適応の採卵には着床前診断ができません。

つまり、着床前診断をするということは、採卵の時点から保険適応の高度生殖医療は選べず、採卵から自費になるということです。

もともと、着床前診断は、不育症の診断がつき、ある程度のプロセスを踏んでおこなうということになっていました。保険適応の課題とまだ調整がついていないという感じがしますねえ。

高度生殖医療と着床前診断が保険適応になれば、いっそのこと、全ての胚を着床前診断してから移植したいという考え方もあるのかなとも思います。しかしながら、着床前診断のリスクもあるのかなとも思いますので、極端な選択はいまのところできないといった現状なのかと思います。

せめて、以前の着床前診断の許可レベルの不育症診断がついている方には保険適応の体外受精や顕微授精などの高度生殖医療が認められるべきだと思いますし、認められて欲しいです。

着床前診断と不妊治療の選択

まあ、このあたりはかなり迷うところですね。
高齢だからこその着床前診断でもあるのかなとは思います。
ただ、”社会生活が営めるレベルのご夫婦であれば、染色体異常の問題は確率の問題”と
仰るドクターもいらして、ある程度の回数の中での確率の問題と考えるのかなとも思います。
いまの、保険適応の採卵では、着床前診断との並用ができません。

保険適応の費用の安さを考えると、顕らかな『不育症』の定義にあてはまっていない
ケースでは、『移植の回数を増やす』方法を血流をあげる手段をとりながらやっていくほうが現実的なのかなと私だったら選択します。

いままでの週数が経過した流産歴などがある程度の状態であるならば、着床前診断が最優先という選択も現実的だと思います。しかしながら採卵回数が少なければ保険適応の採卵をせずに、着床前診断を選び全額自費になるのは、結局ご自身のチャンスを減らしてしまうように思いますが、流産経験者の方にとっては辛い選択になってしまいますね。

『早期に起こった流産の原因で最も多いのが赤ちゃん自体の染色体等の異常です。つまり、受精の瞬間に「流産の運命」が決まることがほとんどです。この場合、お母さんの妊娠初期の仕事や運動などが原因で流産することは、ほとんどないと言って良いでしょう。』

これは事実だと私も認識しています。しっかりと基礎体温などをつけていなければ、気がつかないほど早くリセットがおこなわれ、流産とは思えないような状態も多いかと思います。これは自然なことです。

不妊治療、不育治療と年齢の偏り

不妊治療がいまほど高齢な年代に偏っていなかった頃には、自然な妊娠、そして自然な流産、淘汰というプロセスがおこなわれており、その中でとくに流産が多い人に対して『不育症』というカテゴリーができ、対応が始まっていったのかと思います。

不育症の中に、染色体異常のものと、血流によるものが含まれています。
この染色体異常のものでは、着床前診断は非常に有効だと思われます。
ただ、血流によるものは、
1)もともとの血流の悪さ、血液凝固系の亢進のかだいと、
2)年齢要因による血流の悪さ

この2点が含まれていると思います。
昨今問題となるのが、2)です。
そして2)の問題を孕む年代は、染色体異常の頻度も高くなるわけです。

☆不妊治療をしていてのドクターの説明は

不妊治療をしていて、初期の流産の場合は、不育症などの懸念と言うことよりも、になりますが、初期の段階では余りそういった解釈よりも、上記の日本産科婦人科学会での発表道理の解釈がされ、ドクターからは『卵の問題』『あなたには問題がありません』とされるかと思います。

そういった状態の方のご相談を非常に多く受けます。
この症例では、妊娠判定日は『先生、やっぱりいつものようにhcgが低くて14でした。ドクターからは、『妊娠が継続することはほとんどないと思いますよ。あなたのせいではなくて卵の問題でしょう』と言われました。いつもこんな感じです、なにか出来ることはないのでしょうか?』というご相談の電話がかかってきました。

私は、『次の再判定の日までとりあえず出来ることは全部しようよ!』と提案し、ここからは毎日、再判定日からは週に3回の頻度で鍼灸治療をいれ、無事に元気なお子さんをご出産されました。

こういったケース、基本的な概念としては日本産科婦人科学会の言うとおりだとは思います。でも、出来ること、やれる挑戦もあると感じています。

判定日hcg14 ガッツでフォロー!妊娠継続

不妊治療、迷うことばかりだと思います。

年齢、状態、費用、考え方、ご自身の体調、選んでいる治療。
もし、お一人で、カップルで考えるだけでは行き詰まってしまったら、ご相談ください。
一緒に考えていきましょう。

夫婦で体調改善②女性編 自然妊娠への道(0190 0194)

夫婦で取り組んだ体調改善、女性編です
総論(夫婦で体調改善、自然妊娠出産)

まず、奥様が来院されました。

第一子を出産後の養生がなかなかできず、授乳、子育てで一段と疲れがでてしまい、なかなか回復できず、第一子は自然妊娠しているのに、ドクターからは「顕微授精以外では妊娠出来ない」と言われ、追い詰められていらっしゃりました。

奥様が体調がよくなり笑顔が増えたということでご主人も鍼灸をスタート。

ご夫婦での体調改善で無事に第二子の出産につながった症例です。
さて、お話をはじめましょうか(^.^)

不妊カウンセリング:第二子がなかなか授かりません。

第一子は、妊娠を希望して割合と早く授かりましたが、その出産、子育て、授乳と続く日々になかなか体調が回復せず、二人目の子供が授かりません。

3年ほど前から自分たちでタイミングをあわせています。

また、1年半ほど前から 病院でのタイミング指導や人工授精を受けているが、なかなか妊娠しない状態です。

第一子のときにはこのタイミング指導を1回うけただけで妊娠しました。

不妊治療のクリニックでは、ドクターから強く

「ご主人の精子の状態も、顕微授精レベルのひどさだ! 
    一刻も早く体外受精をするしか方法はない」

と断言されてしまっています。

そのドクターのすすめで、生理を整えて体外受精にステップアップをするしかないのかということで薬を飲み始めましたが、気持ちがついて行かない感じで、とても迷っています。

どうしたらいいのでしょうか?

ご相談にお答えして:少し心のゆとり、身体のゆとりを持ちましょう。

第一子を自然妊娠なさっているのに、なかなか妊娠しない。病院のドクターからは自然妊娠なんて無理! 体外受精も無理! 顕微授精しか妊娠する方法はないと断言され詰め寄られていると感じるほどなのですね。

確かに、現在のご夫婦の状態では、ドクターのおっしゃるとおり、「自然妊娠なんて無理、顕微授精しか妊娠出来ない。早く治療を進めましょう」というアドバイスも納得できるところではあります。

不妊治療は選択の幅があります。ドクターの仰ることも間違っているということではなく、今の状態であれば、西洋医学的に考えてこの選択が妊娠に一番早いと言うことだと思います。この考えも納得の出来るところですし、ご自身がやってみようと思われるのならば、ステップアップするという選択もOKではあります。

しかしながら、現時点で全体の体調が悪いということは、そのこと自体で「二人目不妊」につながっている可能性が高いと思います。

ドクターのアドバイスも現状のご夫婦の状況ではもっともなことと思います。ですので、半年ほどしっかりと体調アップのために養生し、それでも妊娠が成立しない場合には、気持ちを定めて、落ちついてステップアップするのもよいかと思います。

当院の経験からもうしあげれば、二人目不妊の場合は、第一子妊娠のときぐらいまで体調を回復させることで、第一子と同じ方法で妊娠なさる方は非常に多いです。また第一子の妊娠中の経過が少し不安定でしたね。妊娠の初期にしっかりとお体の手入れをし、大きな胎盤を作るようにしていくことが、妊娠中の経過をよくし、無事の出産にもつながります。

また、ご主人の事も気になりますね。第一子が自然妊娠で成立していますので、ご主人も養生の手を入れられることで、十分自然妊娠が望めるレベルに回復する可能性はあると思います。

一緒にがんばっていきましょうね。

弁証:腎虚
論治:補腎
<治療指針>
補腎で産後の腎気の弱りをまずは回復させたい。生理前のきつい肝鬱気逆は、腎の根をしっかりさせることで徐々に治まってくるようにしたい。ただ生理前にあまり肝鬱気逆がきつい時には少し理気することも考えたい。補腎と共に肺気も立てることで、肝気を収める華蓋としての役割を果たせるようにもしたい。

治療経過:

初診より週に1度の鍼灸治療、自宅での温灸お灸養生を続ける。
途中からご主人も一緒に鍼灸治療を受診。

16診三ヶ月ほどで自然妊娠

 

不安定だった妊娠経過への対応:
第一子の時が妊娠六ヶ月から頚管長が短くなり切迫早産気味だったのが気になると言うことで鍼灸治療の頻度をあげる。

この妊娠中の対応は、とても大切です。
もともと中気下陥という、全身の気が下向きベクトルを持ちやすい方は、妊娠中も体調をしっかりコントロールしておかないと、下陥気味になります。
基本的には、病院での対応(頚管長を縛るや、子宮の張りをとる)も必須ですが、
案外、『ご自身の体調を整える』 というあたりまえの対応が
効果的なことも多いです。

妊娠中は出来れば医療介入は少なく、薬などを使わない対応ができれば
いいですよね。是非ご相談ください。(ただし、申し訳ありませんが、妊娠中の初診はかなり限定させていただいております。)

第一子の妊娠時には途中から安静入院となり妊娠中もほとんど胎動が感じられないという厳しい状況が続いたが、今回の妊娠は非常に安定しており、「胎動ってこんなにすごいんだ、赤ちゃんってこんなに動くんですねえ」という奥様の言葉が印象的でした。

無事のご出産、おめでとうございます。

まとめ:夫婦での体調改善で自然妊娠への道

「ドクターは、自然妊娠は絶対に無理とおっしゃり、精子の運動率も下がる一方で、私も自然妊娠は無理かも・・・とココロのどこかで思い始めていました。本当に体調がよくなることで妊娠ってできるんですねえ」
そう仰っていたのがとても印象的でした。

今回の妊娠では途中で入院などのトラブルもなく、出産もスムーズ。前回の妊娠は途中で安静入院となり妊娠中もほとんど胎動が感じられないという厳しい状況が続いたのですが、今回の妊娠は非常に安定しており、胎動ってこんなにすごいんだ、赤ちゃんってこんなに動くんですねえという奥様の言葉でした。

助産師さんが赤ちゃんを取り出したときに「立派な臍の緒!」と仰ってくださったとのこと。お母さんの努力のたまものだと思います(^^)。

無事のご出産、おめでとうございます。

これから家族4人、賑やかなせいかつがはじまりそうですね。

不妊:相談 体外受精が答えではなかった、39才自然妊娠での出産0198

『妊娠できない』というときに、病院へ行けばステップアップで治療は進んでいきますね。そして高度生殖医療の体外受精、良好胚での凍結胚盤胞移植を何度もくりかえすものの妊娠できないと言うときに、『同じ事を繰り返してもダメだ』と思う方も多いと思います。

今回は、そんなケース。『このままでは何度やっても同じ結果になりそうだ』という思いからビッグママ治療室を受診され、思わぬ自然妊娠、無事の出山にたどり着いた方の体験です。

ご相談:
38歳です。36歳で結婚しすでに人工授精を七回、体外受精も採卵を三回行い良好胚での胚移植を5回もしていますが妊娠していません。

採卵すれば卵はとれ、よい受精卵もできるのですが、妊娠しません。
自分なりに食生活や運動にも気をつけたうえで不妊治療をしていますがまったく結果が出ていません。

いま、体外受精で採卵してあった凍結胚を全部使い果たしてしまいました。
このままでは、何度やっても同じ結果になりそうだと思います。
私は手足がとても冷えるタイプなのもとても気になります。
どうしたらいいでしょうか?

 

ビッグママからのお返事:
いままで多くのことに挑戦し、食生活や運動も取り入れがんばってこられましたね。また体外受精でも良好胚が出来ているのに妊娠そのものが成立しないということは、息詰まった感がありますよね。少し不妊を考える観点を整理してみたいと思います。

お食事、睡眠について:
食事生活記録を拝見しました。お食事、睡眠共に大きな問題はないと思います。今の状態で充分です。サプリや漢方、健康的な食品など足し算をしたくなるところだと思いますが、現状の食生活をみると不必要だと思います。もし、栄養的な観点で不足するモノがあるとすれば、モノが足りていないのではなく、取り込み能力の不足からの観点を考えるべきかと思います。

お身体を拝見して:
東洋医学的な観点からお身体を拝見しました。

気の滞りがつよく、それにともない血の滞りもおこしやすくなっているということがわかります。これはお腹の右側にある肝の相火のつっぱり、足の臨泣(経穴)の詰まり、舌でみられる舌裏の怒張、身体各所にみられる細絡といった所見から考えられます。

また、身体の底力の不足も感じます。これは体幹の経穴からみていきます。左の胆兪から胃兪の陥凹、右の三焦兪の陥凹と、胃腸の経穴を中心に弱さがみられます。

食生活睡眠という基本的な生活に問題がなく、二便睡眠に問題がなく、翌日に疲れが残らないという状況は、それなりに現時点で大きな不都合はないと言うことだと思います。つまり、日常がそれなりにちゃんと保たれているということです。

妊娠は、身体の余力から生まれということ

日常生活を送るという観点からは十分な身体作りはされていると思います。
しかしながら、妊娠というのは、『身体の余力』から生まれます。今の状況は、今の生活を維持するには充分なのだと思いますが、妊娠を考えたときには『もう一段の身体の力の底上げ』が必要かと思います。

この観点から考えていくと、冷えの状況が深いですね。もともとしもやけができやすい素体は足という身体の末端にあり外部からの影響を受けやすい場処です。そういった場処でしもやけという血の流れが滞りト多ぶるをおこす状態というお身体は、身体を温めて養う力の不足が感じられます。

妊娠のためには、この身体を温め養う力をつけるため生命の土台の力(腎気)を底上げし、胃腸の力をバックアップしていきます。このことにより気の滞りをとりさり、血の阻滞を作りやすい状況を改善していきます。つまり、子宮を中心とする女子胞の力をupさせてを生命力を賦活化させることが妊娠のために必要かと思われます。

良好胚が出来ているということは、それなりに妊娠への身体作りは整っているということです。あと一歩、一緒にがんばっていきましょう

東洋医学的な見たて:
弁証:腎虚 気滞血瘀
論治:益気補腎、活血化瘀
治療方針 腎気のそこあげによって脾気をバックアップし、全身の気滞をとりさり活血化瘀をしていく。

治療の経過
ビッグママ治療室初診
初診時:左外関、右臨泣、三陰交、大巨(温灸)左脾兪、左腎兪、右三焦兪、次髎
施灸指示 大巨、関元、左外関陽池、曲泉、陰陵泉
以降、週に1、2回の鍼灸治療、自宅施灸

2ヶ月後:無事に6個採卵出来、2つ三日目胚で凍結、1つ拡張期にて凍結
4ヶ月後:年齢要因も気になるので再度採卵→凍結胚を作ろうとするもインフルエンザで中断
6ヶ月後:自然妊娠成立、鍼灸治療を週に3~4回にする(12週まで)その後週に2回程度で出産まで継続

無事に39才にて出産 おめでとうございます。
残った凍結胚で、少し落ち着いたら第二子に挑戦したい。

 

出産を終えての患者さんからのメール
「・・・・中略・・・・この出産まで、本当にいろいろありがとうございました。この1年、私たち夫婦にとって、子供を授かるに当たり、思い出深い一年となりました。またよろしくお願いします」

患者さんからのアンケート

あとがき
初診の時には、何度も良好胚を戻しているのに着床がまったくしないこと、年齢的にも高齢になってきてということでとてもあせっていらっしゃりました。

確かに、『ここまでやっているのに、どうしたらいいんだろう』という思いはよくわかります。

妊娠しないという状況は、何をしたら良いのか全く分からないと言う状況に見えてしまいますよね。そしてその方にとって、『不妊の原因』がどこにあるのかということは、案外難しい課題です。

妊娠しないという結果から、体外受精という手段しかないのだと考えてしまい、同じ状況で繰り返してしまい困難事例になってしまうことがよくあります。『自分では自分が見えない』ということから、他者の視点をいれられると、新しい道が開けることもあるのかなと私は思っています。

また不妊治療では、足し算治療になってしまいがちです。そのお気持ちはよくわかります。不足しているから結果が出ないと思いますよね。ただその
   『足し算』でがんじがらめになって、疲れ果てちゃう
                          こともあるのかなと思います。

ご自身の身体を温め養う力をつけていきながら、高度生殖医療を進める中で、自然妊娠をなさり39才での出産となることができたのは、本当によかったなと思います。そしてご自身の『妊娠』には、多くの医療介入ではない答えがあったのだなと言うことも、妊娠してわかることですね。

なかなか答えにたどり着かない不妊治療。少しでも解決できる道に寄り添えたこととても嬉しく思います。本当によかったね(^^)。

この症例の弁証論治、経過→強い冷え、体外受精でも妊娠しない。自然妊娠