概要
37歳女性、主訴はパニック発作。ぞわっとしてその後呼吸の苦しくなるような発作。普段の緊張、ストレス状況のなか、虫歯治療で抜歯後顔全体に痛みが広がってしまった。歯科の治療範囲を広げても治まらず、困ってしまった。
(この症例の弁証論治→抜歯後のパニック発作、弁証論治)
【case:0045】
ご相談内容
初診時の主訴:
精神的にとても厳しい職場になってから、いろいろな事がおこってしまい、とても困っています。パニック発作かもしれないと思われるぞわっとしてその後呼吸の苦しくなるような発作が急におこります。人混み緊張したときなどよくおきます。
初診から1ヶ月後、歯科治療をきっかけにおこったこと:
虫歯の治療で、5日ほど前に右下5番の神経を抜きました。麻酔は局所麻酔。それがきっかけで薬を飲んでいるものの眠れないほどの痛みとなり、ドクターが手前の右下4番も虫歯があるからその影響かも知れないと言うことで、その右下4番も3日前に抜髓。するとより広範囲の痛みとなってしまい、歯医者のドクターもよくわからないとおっしゃります。
顔の痛みの状況:
痛みは、右の顔半分、ほほ、おでこなど目の周り、ほほ骨にかけて、下あごにかけて。線の様に痛みが繋がっている感じ。頭も同じところ(指さすのは胆経ライン)が痛い。歯を抜いた歯茎も痛い(大迎付近)。
痛みはずきずきする痛み。
痛みが出てから食べるのがいやになっている。
便秘気味。
歯茎は一番最初に歯を抜いたときから痛い。
顔のゆがみなどなし。
顔にふれると大迎付近と耳の前辺りが少し頼りない感じ。
自分では、原因は忍耐の限界だと思います。
東洋医学的診立て
もともと、東洋医学でいうところの生命の土台の力(腎気)が弱いタイプだと思われます。また非常に緊張しやすく、ストレスをためがちであることも、より腎気に負担をかけ、緊張が強くなるという悪循環をおこしてしまいます。
このように、強いストレス状態のなか、身体の中の上部である歯の治療をおこなったため、より強い気の集中がおこり、集まったまま動きがたくなり顔や頭部での激痛につながったと思われます。気の集中そのものは、歯の治療に伴うダメージを修復していく過程です。しかしながら、もともとの緊張が強く気の停滞が強かったので、集まった気がめぐることが出来ず、返って痛みの増幅となってしまったと思われます。
もともとの素体の弱さ、ストレス状態の強さが、歯科治療の介入によってより強く表れてしまったと思われます。バランスを回復して巡りをよくし、痛みを改善していきましょう。
東洋医学的弁証論治
弁証:肝鬱 腎虚
論治:疏肝理気 益気補腎
治療方針:肝鬱を払い全身への負担をとる。腎気をたてることによって気の納まりをよくする。