症例集→パニック発作、抜歯後に広がった顔全体の痛み(37歳・女性)【case:0045】
・問診
37歳 女性
主訴
主訴:ぞわっとしてその後呼吸の苦しくなるような発作、パニック発作かもしれない。
症状は、急におこった。人混み緊張するときにおきる?
便秘、冷え症を治していきたい。
原因は忍耐の限界だと思う
体重の増加、身体がだるい、眠りがあさい。
全身的な体調の変化と連動するのかはわからない
・・普段の状態について
クーラー、梅雨時、肉体疲労時に体調が悪化
食欲は大食 不規則 早食い 空腹感はよくある、食事は美味しい
食後に腹が張ることはないが、胃腸が張っている感じはよくある。
胃の痛みが時々出てくる
間食は週に2回、タバコは5本ぐらい、飲酒は週に4,5回
口や喉はよく渇く。
大便は1日1回
便が出きらない感じはいつも、太い、多い、
便が1日一回出ないと腸が詰まった感じがして、全身が苦しい、息苦しい感じ、
胃と腸が固まっている感じがしてしまう。タバコを吸うと便が出て楽になる。
緊張で便秘する
小便は1日11回
残尿感尿切れの悪さなどめったいにない。夜間尿は時々
睡眠 寝付きはよい、眠りは浅い寝起きは悪い、
生理の状態がいまの症状に関連しているのかはわからない。
生理の2日目までに鈍痛などがあり、3日目に治る
32歳の時に卵巣のう腫があると言われた
27日型、5日間 不規則で早くなることがある。
生理の色は濃い、小さい塊が混じることがある。
・時系列の問診
30歳 3ヶ月休職
30歳の時に仕事の激務がきっかけで、自律神経の乱れ2ヶ月体調が非常に悪かった。
婦人科ではホルモンのバランスが崩れたのだろうと言われた。卵巣のう腫と言われた。
汗がかけなくなってしまった
37歳 半年前
精神的にとても厳しい職場になった
ストレスで大腸から出血があった
仕事が忙しくなり、仕事中にぞわっとした。
そのあと呼吸が出来なくて病院にいった。ストレスと言われた。
このあと、数回、同じようにぞわっとして呼吸が苦しくなることがあった。
1ヶ月前
土曜日の夕方、趣味のお稽古がおわったあとに食事。そのあと再度ぞわっとする感じがあった。呼吸が苦しい状況にまではならなかった。
ビッグママ治療室 初診
週に1回程度で受診
1ヶ月後、(顔の痛み1回目)ー水曜日
5日ほど前に右下5番の神経を抜いた。
麻酔は局所麻酔。それがきっかけで薬を飲んでいるものの眠れないほどの痛みとなる。
ドクターが手前の右下4番も虫歯があるからその影響かも知れないと言うことで、その右下4番 も3日前に抜髓。するとより広範囲の痛みとなってしまい、歯医者のドクターもよくわからないと。
痛みは、右の顔半分、ほほ、おでこなど目の周り、ほお骨にかけて、下あごにかけて。線の様に痛みが繋がっている感じ。頭も同じところ(指さすのは胆経ライン)が痛い。歯を抜いた歯茎も痛い(大迎付近)
痛みはずきずきする痛み。
痛みが出てから食べるのがいやになっている。
便秘気味。
歯茎は一番最初に歯を抜いたときから痛い。
顔のゆがみなどなし。
顔にふれると大迎付近と耳の前辺りが少し頼りない感じ。
処置:
1)左の脾兪、左の胃兪、両腎兪に置鍼。
風池付近の髪の毛の生えているところを500円玉ぐらいの範囲で散鍼。少し出血。
2)1)の施術後、頭の痛み、顔の広範囲の痛みがかなり軽減。
痛みのある下顎にそって鍼。4本。
同側右の合谷の硬結に置鍼。反対側の陰陵泉、陽陵泉に灸頭鍼、左臨泣に鍼。置鍼。
顔の痛み2回目
顔の痛み1回目の治療当日ぐっすりと眠れた
翌日37.8土ぐらいの熱が出てぐったりして寝ていた、さほど痛みはなかった
今日は会社に行かなくっちゃと思い出社。
出社後、頭と首が非常に痛いので、午前で休むことにした。
顔の痛みは前回治療後に消失
頭痛は、歯を抜いてからの右患側が痛いとは違い、
6月に一度体験したモノと同じ。右側だけではなく左右とも痛い。
髪際あたりがぐっと固まってい下に流れていかない感じ。腫れている、むくんでいる感じ。押さえても変わらず。歯茎はok、歯もok、あごのラインに少し違和感はある。
前回治療ポイントにした右の合谷の硬結は消えている。右の曲池も動きがよい。
舌は淡紅から淡泊でok。側頭部熱感、腹部全体が表面が固く突っ張っている。肝の相火少しあり。少腹急結なし。
1)左脾兪、胃兪、三焦兪に置鍼、ミニ灸。強間、
上天柱あたりに鍼(出血アリ)上天柱施灸5 右の天柱に置鍼。
2)右後谿、左公孫、左臨泣 右足三里、左陽陵泉。右正營に鍼して施灸5。
この治療で、頭のつかえがなくなり、頭痛が消失。
顔の痛み治療3回目
顔の痛み治療から七日後
顔の痛み、歯の痛みは前回治療後からぴたっとなくなった。
・体表観察
・・脉診
全体に輪郭があまい
左尺位が細弦
・・舌診
やや黄苔
紅舌
舌裏怒脹アリ
歯痕アリ
乾燥気味
・・爪甲診
爪の色悪い
爪甲根部色が悪い
・・腹診
臍が上向き、
中脘から下脘臍にかけて動悸
気海抜け
腹の張り強い
少腹急結左あり
皮膚が薄い感じ
・・経穴診
右太淵腫れ
左右列缺 ややかげり
左合谷やや冷え
左右神門硬結大きい
内関陥凹 右<左
右後谿陥凹
左右外関動きが悪い
左右陽池冷え
左大都 空き 内側の靭帯を伸ばしたことがある
左右足三里陥凹 右<左
右臨泣つまり
左右陽陵泉動きが悪い
右公孫固い
左三陰交冷え
左湧泉冷え
左築賓から復溜に掛けて冷え
・・背候診
上背部腠理が重い感じ、細絡あり
右風門陥凹
左肺兪陥凹
右心兪抜けがきつい
左肝兪 へりがない感じで陥凹
左胃兪大きい陥凹トップ壊れている感じ
左三焦兪 陥凹
左腎兪抜け
上仙細絡アリ
次髎やや詰まり
・五臓の弁別
・・肝
ぞわっとして呼吸が苦しくなる
人混み緊張するときにおきる?
原因は忍耐の限界だと思う
主訴と連動して体重の増加、身体がだるい、眠りがあさい。
便が出きらない感じはいつも、太い、多い、
便が1日一回出ないと腸が詰まった感じがして、全身が苦しい、息苦しい感じ、
胃と腸が固まっている感じがしてしまう。タバコを吸うと便が出て楽になる。
緊張で便秘する
爪の色悪い、爪甲根部色が悪い
右臨泣つまり
左右陽陵泉動きが悪い
左肝兪 へりがない感じで陥凹
30歳激務がきっかけで体調が悪くなる。ホルモンのバランスの乱れと言われた
精神的にとても厳しい職場になった
仕事が忙しくなり、金曜日の昼間に会社にてぞわっとした。
そのあと呼吸が出来なくて病院にいった。
数回、同じようにぞわっとして呼吸が苦しくなることがあった。
鍼で顔の痛みは治ったが、翌日出社後に頭と首が非常に痛くなり休んだ。
胃の痛みが時々出てくる
・・心
舌 紅舌
いま一番辛い症状はパニック発作
(ぞわっとしてそののち呼吸が苦しくなる)
左右神門硬結大きい
内関陥凹 右<左
右後谿陥凹
右心兪抜けがきつい
・・脾
臍が上向き
主訴と連動して体重の増加、身体がだるい、眠りがあさい。
梅雨時に体調が悪化
食後に腹が張ることはないが、胃腸が張っている感じはよくある。
便が出きらない感じはいつも、太い、多い、
便が1日一回出ないと腸が詰まった感じがして、全身が苦しい、息苦しい感じ、
胃と腸が固まっている感じがしてしまう。タバコを吸うと便が出て楽になる。
緊張で便秘する
中脘から下脘臍にかけて動悸
気海抜け
左大都 空き 内側の靭帯を伸ばしたことがあr
左右足三里陥凹 右<左
右公孫固い
左三陰交冷え
左胃兪大きい陥凹トップ壊れている感じ
舌 やや黄苔 紅舌 歯痕アリ 乾燥気味
・・肺
ぞわっとして呼吸が苦しくなる
クーラーで体調が悪化
タバコを吸うと便が出て楽になる。
右太淵腫れ
左右列缺 ややかげり
左合谷やや冷え
上背部腠理が重い感じ、細絡あり
右風門陥凹
左肺兪陥凹
ストレスで大腸から出血があった
仕事が忙しくなり、金曜日の昼間に会社にてぞわっとした。
そのあと呼吸が出来なくて病院にいった。
数回、同じようにぞわっとして呼吸が苦しくなることがあった。
髪際あたりがぐと固まってい下に流れていかない感じ。腫れている、むくんでいる感じ。押さえても変わらず。
・・腎
原因は忍耐の限界だと思う
主訴と連動して体重の増加、身体がだるい、眠りがあさい。
肉体疲労時に体調が悪化
夜間尿はときどき
寝起きが悪い
30歳激務がきっかけで体調が悪くなる。ホルモンのバランスの乱れと言われた
仕事が忙しくなり、金曜日の昼間に会社にてぞわっとした。
そのあと呼吸が出来なくて病院にいった。
左尺位が細弦
左右外関動きが悪い
左右陽池冷え
左湧泉冷え
左築賓から復溜に掛けて冷え
左三焦兪 陥凹
左腎兪抜け
上仙細絡アリ
次髎やや詰まり
・・気滞
ぞわっとして呼吸が苦しくなる
麻酔は局所麻酔。それがきっかけで薬を飲んでいるものの眠れないほどの痛みとなる
髪際あたりがぐと固まってい下に流れていかない感じ。腫れている、むくんでいる感じ。押さえて も変わらず。
・・気虚
脉 全体に輪郭があまい
舌 歯痕あり
麻酔は局所麻酔。それがきっかけで薬を飲んでいるものの眠れないほどの痛みとなる
・・瘀血
卵巣のう腫があると言われた、
生理に小さい塊が混じる、
上背部に細絡アリ、
少腹急結アリ
舌 舌裏怒脹アリ
・病因病理
主訴は、ぞわっとしてそののちに呼吸が苦しくなると言うパニック発作である。
29歳のころ、激務により大きく体調を崩している。激務により、強い肝鬱、そしてそれを支える腎へも負担がかかったことにより、2ヶ月にわたっての休養が必要となった。肝鬱により肺気も失調していたので、栄衛の調和を自然に取ることが出来ず、汗が出ない状態になったと思われる。
その後、仕事も落ち着き、小康状態をえていたが、半年前より、とくに精神的にきつい職場となり、身体に負担がかかるようになった。大腸から出血があり、ストレスのためと言われた。
下焦にも強く負担がかかっていたのであろう、我慢を重ね、肝鬱を強くし、内側には腎気に負担を掛ける日々であった。
半年ほど前の金曜日、このところの多忙が重なって蓄積していた疲労と肝鬱がせめぎ合っているなか、仕事が忙しく肝気をよく張ってしまった。腎気の土台が弱る中で生じた強い肝鬱は、肺気を塞ぎ鬱滞し肺は一時的に機能を失調し呼吸がくるしくなってしまった。
その後、同じように腎気が落ち、肝鬱が強すぎることによって、一時的に肺が鬱滞しそ の機能を失うことが続いた。呼吸困難の状態が継続していないのは、肺気は肝気に突かれることによって一時的に機能を失うことはあっても、肝気が納まることによって機能を取り戻しているからである。
休日の夕方、趣味のお稽古で一汗かき、肺気に負担がかかったために、ぞわっとするという肺気に急速に塞がれる徴候はあったが、休日で腎気もあり、肝鬱がそれほど強くなかったので、肺気を塞ぎ困窮させるところまでには致らなかった。
精神的なストレスは継続し、肝鬱も長く続き、ときに暴発することにより肺気を困窮させたり、心にこもり心熱を生じたり、肝の根となる腎気そのものにも負担となっていった。
もともと、一日1回便が出ないと腸が詰まった感じがして全身が苦しい、息苦しい感じになる。
腑が通じず気滞が生じると、全身の強い気滞となり肺も暢びやかさを失い息苦しくなるタイプのかたである。タバコをすうことで肝気がゆるまり、また、たばこを吸うという行為における深呼 吸の作用から肺気を敏感に大きく動くこととなり、肺の粛降作用が強く働くことで無理なく便が出、全身の気滞が取れ楽になる。
初診時のお身体は、
右の心兪に抜けがきつく、左の肝兪は陥凹して横のへりがなく広がってしまっている。これは常なるストレスにより、肝気が心をついている様、
そしてその肝気そのものもかなりへばってしまっている状態を示している。ご本人が『忍耐の限界』と仰るように、肝気でなんとか頑張ろうとしているが、頑張りきれなくなり始めている。
また、肺気も皮膚全体が薄く張った感じであり、風門肺兪の陥凹と弱りが明瞭で存る。そして肝の根を支えである腎気は継続的なきつい仕事による負担と、あばれる肝気を支えるための負担が大きく、弱りが明瞭で存る。
中焦は胃兪が大きく陥凹して弱りを呈しているが、便通も肝気がゆるむことで解決するなど、現時点ではなんとか全身を支える軸となっている。
このように、初診時点でお身体は、強い肝鬱による不安定な上焦、そして疲労により弱った腎、なんとか全身を支えている脾胃という状態であった。
7月下旬の歯科での治療は、この不安定な上焦の場で行われ、右下5番の神経を抜髓したことにより、一時的に大きな虚が生じ、身体はその虚を補うために、強く気が集まった。強く気が集まることで気滞が生じ熱を生じた。本来であれば生体の修復プロセスである。
しかしながら、この方はもともと不安定な上焦であったため、強い気滞による熱は上焦に大きく広がり鬱滞し続け納まることができにくくなってしまい、痛み止めを飲んでも眠れないほどの痛みとなった。初めの抜髓から生じた痛みは、他の歯が痛いための実痛が中心ではなく、抜髓した虚から生じた過剰な気滞が中心であったため、続いて抜髓しふたたび虚を生じさせたことでより虚が強くなり、虚より生じる気滞も大きくなり、右の顔半分、頭部という広範囲の鬱熱による痛みを生じた。
鍼灸治療では、脾腎をたて、熱の出ているところに鍼をしたことで清熱され痛みがかなり軽減。そして抜髓した局所を少し補い、全体の熱を手陽明に引いたことで、生体の過剰な修復過程による悪循環が取れ、痛みが軽減した。
痛みが軽減したものの、全身の不安定さはあり、痛みで眠れなかったことなどによる疲労はきつく、翌日もぐったりとなった。その後、頑張って出社するものの、腎気が補い切れていなかったため、再度肝鬱が強くなり痛みが発症。抜髓により生じた虚はすでに補われていたので、歯の痛みは生じず、肝鬱により生じた鬱熱のための頭痛となった。脾腎を補い、症状の鬱滞を鍼にて調整し痛みが治まる。
肝気を支える腎気の不足、不安定な上焦の肺、心により、なんらかの肝鬱となる事柄がきっかけで、バランスはすぐに失われがちな状態は継続していると思われる。
・弁証論治
弁証:肝鬱 腎虚
論治:疏肝理気 益気補腎
・治療指針
腎気をたて全身の気虚を救う。
肝鬱を払い全身への負担をとる。
腎気をたてることによって気の納まりをよくする。
・生活提言
長く続く精神的な疲労は、強いストレスとなって心身に大きな負担となってしまいますね。
頑張りきれなくなっているというお言葉通り、精神的な負担を支える身体の生命力そのものが弱っているため、ストレスがきっかけで大きな身体の変調となってしまっています。
鍼灸治療では身体の負担となっているストレスそのものを軽減することと、 身体の力をつけることを目標にして行きます。
気分転換を上手におこないながら、身体の力をつけるために、毎日自宅でのお灸をしっかりとやってください。
ストレスは時に、身体の内側の熱となってあばれます。
そんなときは、無理せずゆっくり休むのが第一です。また、そういった熱の暴走には 鍼灸治療が役立つと思います。
上手に乗りきって下さいね。





