カテゴリー : 身体の痛み 一般の症例集 胃腸・便通

閉経後の便秘と胃潰瘍、肩や関節の痛みとだるさ(56歳・女性)

東洋医学的診立て

肩の痛みにくわえて、腰や膝などあちこちが痛み辛いですね。とくに朝起き抜けが痛いとのこと、不自由なことも多いかと思います。閉経は女性にとってドラマチックに身体が変わるときです。上手に凝り越えていきたいですね。

閉経ごろから便秘がちになり、胃腸の状態が不安定な中、ストレスがくわわり、胃潰瘍が出来るようになってしまっていますね。お身体の状態がだいぶ不安定になってしまっていたのだと思います。胃腸の弱りによって身体を温める力が減ったため、色々な関節の痛みになっていったのだと思います。その上に、柿の多食で胃腸をさらにいためたために病状が強くなってしまいましたね。胃腸の力は生命力を賦活していきます。この力が弱っていたために、気持ち(心気)を養えなくなり、だるい、やる気がでないなどの症状と共に、いろいろな関節の痛みになっていったと思います。

柿で便通がつくとのことですが、これは弱ったお腹をより冷えで弱らしている可能性が高いです。もう少し胃腸の状態がよくなるまで多食はやめましょう。

胃腸の状態をよくして、身体を温め養い、肩や身体の痛みをとりのぞきましょう。

東洋医学的診立て
弁証:痺症(風邪、脾虚)
論治:温養散寒 益気補脾
治療方針:入り込んでいる風邪を払う。同時に脾胃を健やかにし、生命力を賦活し全身を温養する。

治療経過

4診ほどで左肩の痛みが暖かい日にはだいぶよくなり、右肩は痛みを忘れる日が多くなった。柿を食べた方が便通がつくと思っていたが、柿をやめたら便通が良くなって驚いた。(ご本人は柿は便通をつけてくれるよいものだと信じ込んでいたので、かえってお腹を冷やしているとは思っていませんでした)

7診ほどで、肩を中心に痛みがやわらぎ落ち着く。

あとがき

肩の痛み、関節の痛み、やる気のなさ、強いだるさなど様々な症状を、一つの出来事として考え根本原因をさぐることで、身体の様々な症状をとることができました。

肩の痛み、膝の痛み、腰の痛みと場処はさまざまですが、胃腸の力の弱さが原因となっていました。だるさややる気のなさまでつながってしまうのですね。また自分の好きなもので健康に良いと信じているものを疑うことはなかなか出来ませんね。今回も『柿』がこれほど悪影響を与えていたことにご本人もびっくりなさっていました。

まだ50代、身体を手入れして気持ちよい人生を送れる身体にしていきましょうね。