概要
31才。妊娠を希望して体外受精に挑戦し、2回も胚移植をするも妊娠できず。身体の表面が冷える感じで夏でも朝方毛布が手放せないほどの冷え性。不妊治療の薬で体調悪化。
【case:0119】
ご相談内容
体外受精ならば妊娠できると思い、31才で年齢的に若いのですが挑戦してみました。胚盤胞が2つ出来移植しました。卵の状態もよく、内膜も充分厚いと言われたのに2回ともまったく妊娠することが出来ませんでした。
子供の頃から何かあると気持ちが落ち込み、やる気がでなくなってしまいます。今回も、妊娠できると思っていた期待が強いせいか、より気持ちが落ち込んでしまっています。
身体の表面の冷えがとても気になります。明け方は夏でも毛布がないと肌寒さで目が覚めます。また不妊治療の薬を飲み始めてから、眠りが浅いのかよく目が覚めてしまい、体調が悪いです。
夫の年齢が高いので、少しでも早く妊娠し出産したいと願っていますが、これ以上、何をすればいいのでしょうか?
東洋医学的診立て
体外受精まで進み、良好胚の移植をしたものの、まったく着床もせず妊娠できなかったとのこと。期待が大きかっただけに、ガッカリしてしまうお気持ちも強いと思います。頑張ったのにとても残念でしたねえ。
25才でご結婚後、避妊をしていないのに妊娠しなかったと言うことで、いわゆるステップアップ的ではなく、すぐにジャンプupで体外受精に挑戦してみたことそのものは、間違っていなかったと思います。
自然妊娠が成立しづらかった理由がご主人側にあったことも、体外受精に舵を切る大きな理由の一つですよね。
そういったことでの顕微授精ー胚移植だったので、男性側の問題は解決したと思われ、すぐに妊娠すると考えられたのももっともなことだと思います。
確かに、妊娠は男性側の要因は大きいです。6個採卵でき、3個成熟卵がとれ、すべて受精し良好な胚盤胞で凍結出来たということが、治療の選択として間違っていなかったと言うことの証明でもありますね。
そしてその良好胚を2回移植して妊娠しなかったと言うときに考えることは、
1)たまたまその卵が良好胚にはみえたけど、遺伝子異常などがあり、自然な淘汰となったため妊娠しなかった。
2)受精卵を受け止める女性側に、卵を受け止め、育む力が足りなかった。
上記2つの要因が考えられると思います。
なかなか理由を明確にすることは難しいのですが、いまのMさんのお身体を拝見すると、このまま体外受精を続けるよりは年齢的にもお若いのですから、少し体調をupすることにお時間を使い、その後、再挑戦する方が良いのかと思います。
あせらないという言葉、ご自身でも充分おわかりかと思います。でも、あせっちゃいますよね。
大丈夫。丁寧にご自身のお身体をケアしてあげることで、きっと自信のもてる身体になれます。そして卵ちゃんをしっかりと受け止め、妊娠、出産することが出来ると思います。一緒にがんばっていきましょうね。
東洋医学的弁証論治
弁証:腎の陽虚を中心とする気虚肝鬱 子宮の虚寒
論治:益気補腎 温養子宮衝任脈
治療指針:腎の陽気をたて、子宮を養い、卵を受け止める力をつける。
治療経過
初診から10ヶ月後、凍結胚盤胞移植。無事に妊娠ー出産
あとがき
不妊治療は、頑張っても結果がでないこともあります。不安感、あせる気持ち、先の見えない治療。心の不安がより身体への不安とつながりがちですね。その不安感のあるなか、頑張って前向きに治療を進め、無事に妊娠出産されました。
冷えは妊娠には大きな課題です。血流をしっかり出すという努力を、棒灸や温灸でよくできたことも、妊娠の継続や安産につながったと思います。よかったなと思います。