44歳の出産 3例のエピソードから
2012年の春、ビッグママ治療室では同時に3人の 44歳妊婦さんが誕生し、皆さん無事に出産されました。
東洋医学で考える身体作り、妊娠、出産が実現となるステップに ついてこれらのエピソードから考えていきましょう。
44歳の妊婦さんたち それぞれの身体作り
重度の子宮内膜症。7年ぶりの自然妊娠、出産へ
Aさんは、子宮内膜症がひどく、何度も生理を止めての治療をなさっていました。
身体はもともと脾腎の土台が弱い上に、子育てもあり、より疲労しがちでした。また、全身のパワー不足から、気血の巡りがより悪くなり、骨盤内臓器には瘀血がたまりやすいという悪循環から子宮内膜症も進んでいました。
妊娠のご希望がありましたので、子宮内膜症(下焦における瘀血)は治療目標とせず、全身のパワーアップ、体力回復を願うことを中心としました。
無事に妊娠され、穏やかに出産されました。上のお子さんたちも、とても喜んでニューフェイスを迎えてくれたようです。
43歳からの体外受精胚移植挑戦、44歳で出産へ
何度か、採卵を重ねる物の、『よい卵』に巡り会えず、胚移植もなかなか 出来ず、『戻せるような卵は採れない』という状況でした。
年齢的に、脾腎の土台の部分が少し痩せ、弱ってくるのは仕方がないところです。 そして、脾腎の土台が弱ってしまっているので、日々の生活では、『しっかりしなきゃ!!』とばかり、がんばりモードに入り、天空の枝葉はぎゅーぎゅーと密集しストレス状態になってしまっています。
脾腎の土台を養うことと、ストレス状態を緩めてあげることを目標に鍼灸治療、自宅施灸をすすめていきました。
また、このときに、いままでの、『刺激の強い方法で体外受精を行うクリニック』から、 山下湘南夢クリニックに転院し、『自然で、ご本人の卵巣、子宮の状況に無理のない治療』を受けられたこともとてもよかったのか、数回目の挑戦で無事に妊娠。
妊娠中も鍼灸治療を継続し、健やかな状態を保ち、ご出産なさいました。
赤ちゃんを連れてご夫婦でお顔をみせてくださり、とても嬉しかったです。
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不妊治療で具合が悪くなってしまったというかたは多くいらっしゃいます。
不妊治療で、卵巣刺激をしたり、いろいろなホルモン剤を沢山飲んでいくということは 脾腎の土台にとても負担となります。少ない回数で成功できれば、そういった 選択もアリとは思いますが、年齢の高めの方や、不妊治療が長引いている方に とっては、そういった『負担の大きな治療』そのものが、『不妊状態を作っている』と 考えられるケースもよく拝見します。
ご自身の状況、何をするべきかということを、考えながら、西洋医学も 東洋医学も選んでいただければと思います。
大病の後の身体の立て直しと、39歳、44歳での出産
Cさんは、30代で大病をなさり、身体がだいぶまいっていました。
30代半ばに治療室にいらっしゃったときも、『子供も欲しいんだけど、とてもそう思えないほど身体が辛い』という状況。まず、1年ほど週に2回ほど鍼灸治療をおこない、身体の手入れをし、健やかになったところで、高度生殖医療による不妊治療を受け、無事に妊娠出産なされました。そしてこのときの採卵で凍結胚がひとつできました。
年齢的にも高齢であったこと、もともとの身体の弱りもありましたから、出産後はやはりお身体の状態が悪くなりましたが、子供を育てるのと一緒に自分育てもしましょうというスタンスで再度身体作りをし、44歳のころには充分体力が回復し、またお子さんも少し手の離れましたので、30代の時の残してあった凍結胚を移植。無事に妊娠され二人目のお子さんを出産なさいました。
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妊娠出産を考えるには、
1)お身体の状態がよくない
2)年齢が高い(38歳、44歳)
3)子宮内膜症などの婦人科的な問題もある
と言う状況でしたが、鍼灸による身体作りと、高度生殖医療の力、そしてもう一つ、少し時間の猶予をくれるという凍結技術によって、無事にお身体に無理なく、二人のお子さんのお母さんになられました。
30代の卵であったことが、44歳での妊娠出産をとてもスムーズなものにしたと思われます。高度生殖医療の技術は、少しだけ年齢要員の壁を乗り越える手助けをしてくれたのではないかと思います。
また、妊娠出産は子育てがスタートするということです。
子育てをしっかりできる、家族の時間を楽しめる身体作りを東洋医学の力で応援していきたいと思っております。