最後に
私のHPに、「赤ちゃんと出会うための14年の旅」というというご本人と一緒に書かせていただいたエピソードがあります。
この方、20代前半から妊娠したいと病院選びされ、30代からIVF-ET。このときには、卵管に戻すIVF-ETとか、着床によいとされる子宮内膜掻爬、沢山の薬剤を使っての誘発をおこなっていました。
35歳の時に、休憩だということでうちの治療院にいらっしゃいました。
少し休憩して私の治療院でお身体作りをされる時間をとったのち、その方は「じゃあ行ってみるか」とKLCに行かれました。一回目は受精せず。そして2回目の採卵で胚盤胞が3つ凍結。ものすごく喜んでいらっしゃいましたが、全部ダメ。
ここでご本人から「やめる宣言」が出ました。私も、それまでの長い長い不妊治療歴を存じておりましたから、やはり無理なのかと思いました。
そして、それから2ヶ月後klcの待合室から「やっぱり始めた、鍼灸の予約を」というメールが入り、鍼灸治療とIVF-ETを平行して進みました。
そして、このとき、この方にとっては初めて「あまり良くない卵」「胚盤胞でも小さい」などの状況でご本人は「もうどうせダメ」という状況でした。
それなのに、いままで戻したどんな卵よりも条件が悪かった卵なのに、無事に着床、妊娠。そしてご出産となりました。
それまでの、16回に渡るIVF-ETでほとんどかすりもせずの状況から一点、妊娠、出産へといたるみちになったのです。元気な赤ちゃんをご出産され、いたずら坊やを私にもみせに来てくださいました。うれしい限りです。
不妊治療をしていると、「よい卵、グレードの高い受精卵」を目指すことにはなります。それが妊娠への道にもつながりますものね。
でも、私は「運命の卵」と出会うことが一番なんだなとこの方の妊娠を通じて強く思いました。
良い卵は確かに、運命の卵である可能性は高いのでしょう。グレードの高い卵ですんなり妊娠、出産された方も沢山存じ上げています。
でも、困難な状況の中、運命の卵と出会い、ご出産された方の背中も沢山みてきました。
あなたにとっての、運命の卵との出会いをお祈りしています。
初出:ビッグママ治療室 2007年6月20日 山下湘南夢クリニック「不妊と鍼灸治療」講演記録
掲載:ココログ「ビッグママ治療室」
山下湘南夢クリニック「不妊と鍼灸治療」講演記録-1(2009/07/27)
山下湘南夢クリニック「不妊と鍼灸治療」講演記録-2(2009/07/30)