概要
不妊、花粉症、アトピーとさまざまな気になることがあり、体調をよくして妊娠したいというご希望でした。初診から4ヶ月ほどで無事に自然に妊娠されました。
(この症例の弁証論治→アトピー、赤ちゃんが欲しい弁証論治)
【case:0002】【神奈川/小田原】
ご相談内容
アトピーがとても辛い状態です。1年ほど前に仕事がとても忙しく睡眠時間が4時間を切ることが3ヶ月ぐらい続きました。ストレスもとても強い日々でした。そのころに急に発症して、いまも出たり治まったりを繰り返しています。ストレスや体調不良や寝不足で悪化します。首の後ろ、手首の内側、手の甲、右目の上、スネの所などがひどいです。
また、足のむくみも高校生のころからひどく、夕方に多くむくみますが、朝もむくんでいるときがあります。外食や不健康な食生活で多く浮腫を感じますが、少し体重を落としてからはましになったように思っています。
疲れると顔色がくすみますし、花粉症もあり、なんとなく体調が悪いと思うことが多く、妊娠もしたいのですが自信がもてません。
東洋医学的診立て
体調を崩したときからアトピーが発症したり、元々の浮腫などもあり、体調や体力に自信がもてず、妊娠も前向きに考えられないということですね。
高校生からというむくみは、お食事の不摂生と大きく連動するようですね。水分などともからみ、胃腸の力不足によって身体の内側に湿気がたまりやすくなっていることが伺えます。つまりご自身の生命力が少し不足しているわけです
このような素体であったところに、30代の激務によって身体の底力が一段と落ち、アトピーが発症しています、ご自身の弱点である内湿の捌きがより弱くなったためにアトピーという状況になったと思われます。これは脈、ツボ、皮膚の状態などからの体表観察からも伺えます。
1)胃腸の力がもともと弱く、水を捌くことがしにくかった(脾虚湿性)
2)1)の素体の上に、激務の疲労によって生命の土台の力(腎気)が落ちてしまった。
上記の2点が問題だと思います。
2)の腎気が落ちてしまったために、1)の症状もより悪化してしまっているという状況です。
症状を取ることを目標にするのではなく、1)2)を勘案し、生命力を底上げしていくことを考え、その上で体調を整えるよい波に乗り、妊娠、子育てと人生のコマをすすめていくようにするのがお薦めです。一緒にがんばりましょう。
東洋医学的弁証論治
弁証:腎虚、脾虚湿盛、肺気虚
論治:補腎、健脾除湿、補肺気
治療方針:脾肺を同時に補いながら腎気を中心に立てて、まずは全身的な気虚を救う。肝鬱がきつい時は疏肝も適宜行うが、基本的には腎気を補って根をつけることで肝気の安定も図りたい。全身的な気虚から脱し、肺気がしっかりしてきたら、より腎気をしっかりさせるようにして、妊娠へと近づけるようにしたい。脾気の虚損は時間経過が長いので、脾気も補いながら、腎気を立てた方がより良いと考える。
治療経過
20××年12月初診:左湧泉ミニ灸、膻中7、気海10、右内関、左公孫、三陰交灸頭鍼、左胃兪、右三焦兪、左腎兪、次髎、鍼して温灸。
自宅施灸:三陰交、左公孫。
4ヶ月後無事に妊娠、その後無事に女児を出産。
あとがき
32歳の頃に大きく体調をくずされ、少しご自身の健康に自信を失ってしまっていたのではないかと思います。ご自宅でも毎日お灸をしていただき、また食事、生活の面でも少し見直して頂くことでスピーディーに妊娠、出産につなげることができました。よかったですね。