カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 不妊 ストレス・精神症状

不妊治療を始めてから仕事のストレス、頭痛などで体調悪化(39歳出産)

概要

ひどい頭痛で手術もされています。不妊治療をスタートしてから、強いストレス、胸焼け、吐き気、疲労感、頭痛など体調が悪化する中、お身体を手入れし体調が整ったところで人工授精を組み合わせた体外受精で無事に妊娠し出産に至った症例です。

(この症例の弁証論治→不妊治療による体調不良弁証論治)【case:0149】

ご相談内容

20代から貧血、肩こり、腰痛などがあり、全体的に体調が悪く、特に夕方は辛い状態で、頭痛はだんだん悪化していきました。30代で仕事が忙しくなりストレスも増加し、突発性難聴となり聴力は戻りましたが耳鳴りは継続しています。その後、特に頭痛が悪化し手術しましたが少し良くなった程度です。

37歳から不妊治療を開始し、ポリープを除去し人工授精を5回しましたが妊娠しません。ホルモン剤などを使う様になって体調が非常に悪化して辛いです。妊娠をしたいことはいうまでもありませんが、体調が悪すぎて吐き気も多く、疲れやストレスがたまっていて限界とも思います。

どうしたらいいでしょうか?

東洋医学的診立て

色々な症状で限界と感じる中の不妊治療辛いですね。20代から貧血や肩こり腰痛などの症状があることから、胃腸の健やかさに少し問題があり、夕方に症状が悪化することから生命の土台の力(腎気)にも少し弱さがあったのかと思われます。

30代から非常に忙しい上に責任が重くストレスの強い職場はこの腎気に大きな負担となり、突発性難聴や継続する耳鳴りになったと思われます。そしてこの腎気の力が不足しているため、気が上逆しやすく、吐き気やめまいといった気逆の症状が強くなったのではないかと思われます。お身体の内側に嵐がふいているわけです(内風)。

背中の経穴をみると、一番目立つのは左右とも脾兪が外側に流れていること、そして左肝兪から三焦兪(根、陥凹)まで筋張り、右膵兪(特にきつい筋張り)から脾兪まで筋張りがあります。

膵兪、肝兪、胆兪、脾兪と脾胃の弱った根の上に、かなり強いストレスがかかり続け、このきつい筋張りとなっているのではないかと思わます。弱った身体にかかるストレスは本当に辛いですね。また特に胃腸に負担となっているのがわかりますので、ご自身が吐き気の頻度が一番多いと言うのもよくわかります。

また両方の大きな腎兪の陥凹は、主訴が脾胃(胃腸)と肝気(気のベクトルの悪さ)の問題だけではなく、腎気(生命の土台の力)の弱りがあることにより、体調がより悪化している可能性を示しています。不妊治療は生命の土台の力(腎気)に負担がかかります。充実さを取り戻し、体調を安定させ妊娠ー出産につなげましょう。

東洋医学的弁証論治
弁証:肝鬱気逆 脾虚
論治:疏肝理気 温養脾胃
治療方針:
・まず第一に、強い肝気の横逆による吐き気、気逆による頭痛などの強い症状を疏肝理気することと脾胃を養うことで納め、素体への負担を軽減する。
・ある程度の肝気のコントロールができたら、腎気の弱さが気逆の症状を強くすること、妊娠への障害となっているので、腎気を養うことを主眼とする。
・肝気のコントロールがつかないようだったら、肝気そのものはふれずに、腎気を養うことで肝気のコントロールを期待していく。