概要
もともとの頭痛持ちさんです。妊娠によって薬が飲めなくなったことと、つわりによって体調が非常に悪化。頭痛と肩こりが辛くて仕方がないという状況でしたが、妊娠前の体調よりも良い状況までもっていくことができました。
(この症例の弁証論治→月の沙漠が謳いたい弁証論治)
【case:0170】
ご相談内容
いま、妊娠16週になります。もともと頭痛持ちでした。以前は薬を飲んだりマッサージをしたりしてなんとかしのいでいたのですが、妊娠してからは薬が飲めず頭痛が悪化の一方。つわりで体重が落ちてからはより辛い日々です。
妊娠11週ぐらいから特に辛く、運動も出来ず肩こりがより悪化していることも頭痛がひどくなる原因のようにも思います。また、妊娠してからの頭痛肩こりと同時に、食欲不振、便秘、下痢、体重の減少や眠れない上に夢を一杯見るなど、身体が疲れ果てている感じです。どうしたらいいでしょうか?
東洋医学的診立て
妊娠中の体調悪化、お辛いですね。基本的に赤ちゃんは順調とのこと、よかったなあと思います。
お身体を拝見すると、もともと体力がなく、その中で頑張って日々を送っていらっしゃるタイプであると思います。また、身体を温め気血の巡りをよくしていく力も不足しています。このため気が上に集まりやすく、いったん集まると巡りにくくなっているのだと思います。今までは集まり過ぎてしまい肩こりや頭痛となっていたものを薬やマッサージでしのいでいらっしゃったのが、妊娠でその手段が使えず、お辛さがずーっと続いてしまっているのですね。
また、妊娠中というのは、赤ちゃんをしっかりと落とさないように守るために気が上に上りがちになります。このためより頭痛や肩こりは悪化しがちになり、またその影響で胃腸の状態も悪くなり、食欲不振や便秘などの胃腸症状も現れやすくなります。
妊娠中というのは、気を大きく巡らせることは出来ません。今まで行ってきた方法はとれないということですね。集まってしまい症状を出している部位を散らして巡らせるということよりも、ご自身の余力をつけご自身がゆっくりと無理なく気血が巡るようにするということが求められます。遠回りにはなりますが、妊娠中であり赤ちゃんがすこやかに成長していくといことを第一に考え、その上で今の状況が少しでも改善していくようにと願っています。
東洋医学的弁証論治
弁証:風邪の内陥 脾腎両虚 気逆肝鬱
論治:補脾補腎
治療方針:妊娠中なので、肺気への直接的なアプローチは下向きのベクトルを強くしてしまう可能性をはらんでいるので避けたい。脾気、腎気をあげることを中心とする。そして風邪の内陥が自然に取り去られ、気逆が納まることを期待する。