カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 不妊

良好胚ができず妊娠にいたりません(38歳出産)

概要

32才有名クリニックにて何度も体外受精をおこなうものの、空砲、未成熟卵が多く、移植するも妊娠しない状況。身体作りからやりなおし無事に38才にて第一子出産。
(この症例の患者さまの声はこちら→「妊娠中の鍼灸治療の満足度に関するアンケート」8-5
【case:0209】【神奈川/小田原】

ご相談内容

有名クリニックで3回も体外受精や顕微授精などの高度生殖医療受精を行いましたが、空砲や未成熟卵が多く、なんとか移植できた卵で妊娠反応は出ましたが継続出来ませんでした。

32才で結婚し、1年間のタイミングの後、体外受精をおこない、そのまま胚移植。妊娠反応はありましたが育たずそのまま終わりました。2回目の採卵では4つとれたものの全て空砲でした。3回目では2つ採卵でき、そのまま新鮮胚で移植したものの、妊娠せず。胚盤胞まで育てたものも途中で止まってしまいました。

いま34才になりました。このまま同じ事を続けるしかないのでしょうか?

東洋医学的診立て

クリニックもしっかり選び、頑張って取り組んでいらっしゃりますね。このクリニックでの3回の挑戦と、年齢がまだ34才と若いことを考えると、体外受精の挑戦を繰り返すことよりも、もう少しご自身の身体作りを考えて頂き、ある程度の変化がでたところでの再挑戦がよいのかと思います。

お身体を拝見していますと、皮膚に艶があります。これは基本的に生殖にまつわるホルモンの状態などがある程度安定していると考えられます。

しかしながら、胃腸のパワーは不足しています。食べ物の栄養をしっかりと受け取り、全身に配布する力です。この力の不足により、それなりに気をつけた生活を送っている割に皮膚が薄く、栄養が行き届いていないという感じになってしまっています。東洋医学で言う脾胃の力です。

人間をヤカンにたとえるならば、ガスをつけてヤカンのお湯を沸かすことをイメージしてみてください。ヤカンの水が水蒸気となって飛んでいってしまわないように蓋でしっかりと受け止め水滴が内側に循環します。そして過剰な圧力は小さい穴から噴き出し、中を調整します。

しかしながらSさんの今の状況は、このヤカンの蓋が機能していません。蓋が開きっぱなしであるため中の水がすぐに涸れてしまう状況になったり、重すぎていらない水蒸気が出て行けない状態になったりという感じなのです。この蓋が上手に機能していない状態は東洋医学の世界でいう肺の機能の課題です。

妊娠は身体の余力でおこります。この余力は腎気という土台の元、女子胞(子宮)に蓄えられます。東洋医学で言うところの、脾胃、肺の力の課題がみうけられるため、余力をためるところまでたどりついていないのではないかと思われます。脾肺の力をあげ、しっかりとこの余力を積み増していきましょう。

生殖に関する大きな欠落的な課題はないと思います。きっとこの余力の積み増しが、卵子の質をあげ、良好胚を作っていけることになるのではないかと思います。頑張って取り組んでいきましょう

東洋医学的弁証論治
弁証:脾肺の虚を中心とする気虚瘀血 女子胞衝任脈の力不足
論治:益気補脾補肺  益気補血衝任脈
治療方針:脾肺の力をあげ、女子胞力を養う

治療経過

初診後4ヶ月経過 同じクリニックにて採卵 1つとれたが胚盤胞に育たず
6ヶ月後 転院 年齢が若いので1度人工授精をしてみたらと提案されるー妊娠せず 男性側の問題
8ヶ月後 採卵周期、8個採卵でき3日目胚2つ、胚盤胞2つただし余りグレードはよくない。
9ヶ月後 胚移植ー妊娠せず。
10ヶ月後 胚移植ー妊娠せず
12ヶ月後 採卵 3日目胚2つ、胚盤胞1つ 不育症検査 着床障害 12因子見つかる
16ヶ月 移植せずに続けて採卵 7個とれた4つ成熟 2つ胚盤胞へ。
24ヶ月 移植するも妊娠しない。
25ヶ月 再度の採卵 G1の8細胞、拡張期の胚盤胞などができる
26ヶ月 移植 妊娠
無事に出産

あとがき

本当に頭の下がるような努力を継続されました。卵の質をあげていくということが、これだけ難しいことであること。しかしながら、
1)年齢が若く、誘発に対しても反応のある卵胞が多く、グレードが悪いものの採卵が出来ていたこと
2)ご本人が生活全般を見直され、くじけてしまうことなく継続的に治療を積み重ねられたこと
3)迷いながらも、経験豊富なドクターの助言を信じ、さまざまな誘発方法を試す中でご自身に会っている方法をとることができたこと。
4)男性側の生活改善の努力もあり、ご夫婦で協力し合って前に進められたこと

困難事例ではありましたが、継続的な努力でかわいい赤ちゃんに巡り会うことが出来たのかなと思います。