カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 不育

何度、胚盤砲移植しても着床しない(36歳出産)

概要

35才、女性。1度の採卵で7個の胚盤胞ができ、移植を続けるもまったく着床しない。

(この症例の患者さまの声はこちら→「妊娠中の鍼灸治療の満足度に関するアンケート」10-5)【case:0331】【神奈川/足柄上郡】

ご相談内容

早く妊娠したいと思っています。体外受精に進み、9個採卵出来、良好胚ができました。もうすでに4個移植し、一度も着床したことがありません。どうしたら着床、妊娠、出産できるのでしょうか?

東洋医学的診立て

妊娠出来る可能性の高い胚盤胞を何度も移植しているのに、一度も妊娠反応がでたことがないのですね。それはとても辛いですね。一緒に考えていきましょう。

まず、卵の状態はよいようですね。年齢的にも35才の卵であれば、大きな問題はないのではないかと思います。まあ、このあたりは確率の問題なのでなんともいえないところですが、現段階では卵側の要因は除外してよいと思います。

一度も着床していないということから、着床障害の問題を考えるべきかと思います。様々な検査がありますが、お勧めするのは血流問題の課題解決と、子宮内膜炎の問題でしょうか。

血流は血の巡り。今お身体を拝見していて
・ストレスによる気の停滞
・上焦(身体の上部)での心熱
・胃腸の力の弱さ

ストレスによる気血の阻滞が身体の上部では肩こりなどになり、中部、下部ではオ血内湿という不要な物の排泄が上手く行かないという状態になっているのかと思います。そしてこの状態が妊娠に大事な子宮(女子胞)の力、そして子宮(女子胞)の力の支えとなる腎気を落としています。

良好胚が出来ると言うことは、それなりに妊娠する力があなたにはあるということです。ストレスを溜め込まず、気血の巡りをよくし、妊娠へ一歩前に進みましょう。

また血流という点で、足先の冷たさは少しきついと思います。これは不育症である血液凝固系の亢進という状態に該当する可能性を感じますので、不育症のクリニックに着床障害の問題で検査を受けてみるのもよいかと思います。がんばっていきましょう。

東洋医学的弁証論治
弁証:腎虚肝鬱 心熱オ血
論治:益気補腎 疏肝理気
妊娠への治療方針:
(1)ストレスをコントロールし、気血の巡りをよくするためにも、鍼灸治療と自宅でのセルフケアお灸をしていきましょう。
(2)血の巡りをよくする、ビタミンACEの摂取を心がけましょう。
(3)足の交代温冷浴をしましょう。
(4)胚移植をしてから、着床、妊娠判定、2回目の心拍確認ができ、妊娠10週を越えるところまでは、しっかりと鍼灸治療を週に3回程度いれて、赤ちゃんの袋に血流が届き、充分大きな胎盤が出来るようにしていきましょう。

治療経過

不妊鍼灸治療開始。
移植周期スタート:胚盤胞移植→妊娠せず。
今までと違い、内膜は厚くなっているといわれたが、結局妊娠出来なかった。→アドバイス、不育症クリニックを受診して着床障害の検査をお勧めする。→着床障害の判定と、子宮内膜炎の指摘があった。抗生剤を飲んでラクトフェリンを摂取。

移植周期スタート:胚盤胞移植→妊娠
少し動くと出血がある。出血はあるものの、妊娠している。その後も少し動くと出血や茶オリはあるものの、鍼灸とアスピリンは継続。

39週にて、無事に3000グラム越えのベビちゃんを出産。おめでとうございます。

あとがき

長い道のりでしたね。しっかりと前に進まれてたくましいお母さんになりました。子育て楽しんでくださいね。