概要
60代の女性。精神的なショックがきっかけで、強い耳鳴りが発症。その後の歯科治療で歯や喉が締め付けられるような辛さが加わる。頭痛外来や耳鼻科、内科など様々な病院を転々とするも軽減せず。7ヶ月ほどの積極的な鍼灸治療で緩解しました。
(この症例の弁証論治→きつい耳鳴り、喉の締め付け弁証論治)
【case:0024】
ご相談内容
『精神的なショックがきっかけで頭の中に沢山の蝉がいるような耳鳴りがします。あまりに煩くて睡眠導入剤を飲まないと眠れません。歯科治療で入れ歯を入れてから、肩こり、喉の奥が締め付けられる感じがし、イライラしてとても入れ歯をいれられません。夜も昼もいつもいつも辛いです。』
東洋医学的な診立て
精神的なショックから、身体の上部に強く鬱滞がおこっているために、苦しく辛い症状となっています。また、入れ歯をいれることなどが、より鬱滞を強くさせてしまうために症状がきつくなってしまっています。
鍼治療では、身体の上部にたまっている鬱滞を取り除くことをまず第一と考え治療していきます。この治療により、症状はかなり楽になると思われます。
今回の症状がここまでひどくなってしまったのは、身体の上部に鬱滞が生じた事によるものですが、なぜここまで症状がひどくなってきたかと考えると、『身体の上部を支える土台が年齢と共にもろくなってしまっていた』ためです。
身体はしっかりと支えることの出来る土台があって初めて、暢びやかに過ごすことができるのです。いまは、強い症状のため身体の上部に注目が行きがちですが、急性症状がとれたのちには、しっかりと土台作りをしておかないと、再度同じ症状を起こすことになりますし、次に同じ症状をおこしたときには、加齢による土台の消耗も加わりますので、もっと治りがたいものとなってしまいます。土台作りもしっかりとやっていきたいですね。
東洋医学的診立て
弁証:肝鬱気逆上焦の瘀滞、腎虚
論治:益気補脾、温養補腎
治療方針
まず第一に、上焦の強い鬱滞を疏通させ症状の軽減をはかる。
同時に上焦を支えるための腎気をたてる。