概要
体外受精などを試みるも流産。1、2年前より動悸がありときどきパニックに。15種類以上の漢方薬を服用するものの体調の大きな変化はなく妊娠に至らないという症例です。
(この症例の弁証論治→沢山の漢方を飲んだけど効かない、不妊、冷え性)
(この症例の患者さまの声はこちら→「妊娠中の鍼灸治療の満足度に関するアンケート」1-4)
【case:0186】
ご相談内容
33才女性、30才から妊娠を希望。3早く子供が欲しくて体外受精などにも挑戦しましたがなかなか結果が出ません。
1、2年前から病院の検査や慣れない人と話をするときに動悸パニックなどの発作がおきてしまいます。漢方薬で少し穏やかに過ごせるような気もしますが冷えなどは変わりありません。
早く子供が欲しいと思うのですが、治療が前に進みません。どうしたらいいのでしょうか?
東洋医学的診立て
東洋医学的弁証論治
弁証:腎気を中心とした気虚 肝鬱心熱
論治:益気補腎 疏肝理気 清心熱
治療方針:まず第一に腎気を高めること。全身の気虚としての問題も大きいので、場合によっては脾気、肺気を補うことも行い、全身の気虚が補われことを期待する。心熱、肝鬱については基本的に腎気がたつことで納まりがよくなることを期待。場合によっては疏肝理気や気を引き降ろし心熱を裁くことも行う。
冷えの症状がきついので、不育症の検査をうけてみてはと提案する。
治療経過
週に1度の治療間隔で鍼灸治療開始
毎日の自宅施灸(治療の度に、お灸の場所に印をつける)
舌の色の悪さ、歯形がついている(歯痕)、苔が少し多いことなどを見ていただき、ご自身の身体の状態をチェックする目安としていただく。
初診時に使用した経穴:
百会 復溜(灸頭鍼)右外関 中注 関元、肺兪(温灸)脾兪、三焦兪、右胆兪。
食事指導:主菜である肉、魚、卵などを掌5つ分を食べよう。副菜を増やそう。乳製品、果物をそれぞれ掌2つ分食べよう。
初診より1年間に体調が非常によくなる、不育症のクリニックの受診、不妊クリニックの転院。無事の妊娠-出産。
患者さんからのメール:
『○月○日、母になりました。3500グラム越えの男の子。分娩が始まってから急なこともありましたが、胎盤もしっかりとした大きさだったようです。昨日から無事に授乳も始まりました。いままで経験したことのないような幸せを感じています。
無事に妊娠出産を終え、支えて下さったビッグママ治療室の皆さんには本当に感謝しています。』
あとがき
きつい冷え、心理的な症状、食事の問題、血液凝固系の問題などなど沢山の課題がありましたが、ひとつずつ乗り越えての妊娠ー出産となりました。こういった多くの課題は時に解決が難しいのではないかとも思われます。
しかしながら、一つずつ解決することで一歩一歩前に進み、無事の妊娠-出産となりました。よかったですね。