カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 不妊 不育

検査をすり抜ける不育症、漢方薬と鍼灸で妊娠、出産(39歳出産)

概要

普段からなんとなく体調の悪さを感じている方。鍼灸で手入れをし、西洋医学的にもしっかりとフォローをしていただき、無事な出産へとつながった症例です。

(この症例の弁証論治→肩こり、便秘、下腹部が常に冷えている、不妊 弁証論治)【case:0183】【神奈川/小田原】

ご相談内容

自然妊娠を2回もしているのに、継続出来ない。そのうえ、体外受精を3回もしているのに、妊娠すら成立しないと言うことですね。

自然妊娠する力があるわけですから、体外受精の力を借りて胚移植すれば、すんなりと妊娠できそうなものなのに、なかなか治療が前にすすみませんね。どうしたらいいのか、わけがわからなくなってしまうのも、もっともだと思います。

過去に自然妊娠している方が、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療受精を介入しても妊娠すらしないということはよくあります。これは考えてみれば不思議なことで、『ここまでやっているのになぜ?』と悩んじゃいますね。

まず、課題を二つに分ける必要があると思います。
(1)過去に自然妊娠しているのに、治療介入をしても妊娠が成立しない
(2)妊娠が成立した後に、流産になってしまう。

(1)は、体調を自然妊娠した頃を目安に戻していくことがとても大切です。いま、胚移植をしても妊娠できないのは、体外受精で解決してくれる、キャッチup、受精、卵の培養、卵子の状態などの西洋医学的な課題が中心ではなく、ご自身で卵を受け止め育てる力の不足です。この卵を受け止め、育む力が妊娠の力となります。

(2)妊娠後の流産については、
1.年齢が高い体外受精であること
2.過去に2回流産をしていること
3.米山が観察して、血液凝固系はなにかひっかかりそうな体表観察の印象であること

上記3点から、不育症専門クリニックの受診もよいのではないかと思われます。また、その結果にかかわらず、妊娠成立後の血流の維持、子宮血流と、強い気の上逆をコントロールし、全身の巡りをよくしていくことは積極的に行っていきたいと思います。

東洋医学的弁証論治
弁証:腎虚 肝鬱オケツ 内風
論治:益気補腎 疎風納肝
治療方針:腎気をたてることを中心とし、腎気の増加によって、肝鬱や内風が納まることを期待する。また、腎気が立つことによって脾気のバックアップとなりオケツが生成されにくくなることも期待し、基本的に肝鬱、内風、オケツに対しては処置をしない。肝鬱、内風、オケツが直接的に身体への問題となっている場合のみ最小限のアプローチをする。

治療経過

ビッグママ治療室 初診
大巨 関元 温灸
左外関、左陽池、三陰交 右臨泣、至陽(温灸)、腎兪、脾兪、次髎、
その後、週に1,2回のペースで鍼灸治療

至陽、臨泣、陽池など冷え、弱さが明瞭な部位を使い、全体の気血を動きやすくしておき、大巨、関元、腎兪を中心に腎気を立てることで、脾気へのバックアップを狙う。

不育症クリニック受診 問題なし
1ヶ月後、漢方クリニック受診、漢方を飲み始める。

漢方Dr.からのコメント:
5-6月、当帰芍薬散と防已黄耆湯 肝鬱は鍼灸におまかせして、当帰と黄耆で肺気、肝気をうごかせるエネルギーとする。

7月、8月 梅雨おわり、内湿がつよく膈におよび、なおかつ胃気の不降もあり。このため、防已黄耆湯→小柴胡湯にする。

8月初旬、不妊治療の疲れからか、むくみや手の震え内湿などがきつくなる。(腎気への負担が強く、気の上逆、内風がきつくなっている可能性)

3ヶ月後、ビッグママ治療室米山からのコメント:
少し手の震えがあり、内風を井穴で調整し、補脾の治療にくわえました。体重をコントロールしましょう
漢方Dr.からのコメント:
脾虚あり、胃の和降が上手く行っていないので、一度当帰芍薬散をお休みします。客観的にしようとしすぎない。

9月、残暑になり 湿が多くなる、舌もやや羸痩となり、胃気もよわい。胸脘痞悶も強く、膈への湿も多い。→当帰芍薬散の補血薬が、湿をのぞき、胃の和降するを障害になると考え、当帰芍薬散中止、小柴胡湯のみとする。

ビッグママ治療室米山からのコメント:
ご本人も治療に前向きに納得され、食事記録をつけ体重コントロール。脾気腎気の調整を行う
漢方Dr.からのコメント:
10月残暑もおわり、膈のつまり軽減、当帰芍薬散再開

11月膈のつまりもとれたので、小柴胡湯を中止、当帰芍薬散のみで

ご本人も治療に前向きに納得され、食事記録をつけ体重コントロール。
脾気腎気の調整を行いながら10月当帰芍薬散を再度飲み始め移植周期、無事に妊娠。
妊娠中、重度の悪阻、妊娠中毒症などあるものの無事に出産。

使用した漢方処方

  • 当帰芍薬散、防已黄耆湯 →肝鬱は鍼灸におまかせして、当帰と黄耆で肺気、肝気をうごかせるエネルギーとする。
  • 防已黄耆湯→小柴胡湯(梅雨おわり、内湿がつよく膈におよび、なおかつ胃気の不降もあり)
  • 脾虚あり、胃の和降が上手く行っていないので、一度当帰芍薬散をお休み
  • 残暑になり 湿が多くなる、舌もやや羸痩となり、胃気もよわい。胸脘痞悶も強く、膈への湿も多い。→当帰芍薬散の補血薬が、湿をのぞき、胃の和降するを障害になると考え、当帰芍薬散中止、小柴胡湯のみとする。
  • 10月残暑もおわり、膈のつまり軽減、当帰芍薬散再開
  • 11月膈のつまりもとれたので、小柴胡湯を中止、当帰芍薬散のみで

あとがき

無事の妊娠、そして出産。おめでとうございます。ここまで本当に多くのことがあり、沢山の努力をなさいました。頭が下がる思いです。

不育症は事前の検査では全ての検査をすり抜け、米山の思い違いか? とも思いましたが、妊娠中の中毒症や胎盤血栓などの状況からやはり現時点での検査ではすり抜ける何らかの問題があったと不育症ドクターからのコメントも頂きました。このあたり、東洋医学での体表観察を信頼していただき、身体の手入れを出来たことは非常に良かったと思います。