カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 不妊 胃腸・便通 虚弱体質・疲労

モノ取り入れ能力不足の不妊:滋養が身体に届かない(37歳、39歳出産)

概要

不妊には様々なタイプがあります。栄養を気遣い、漢方を飲み、サプリを沢山飲んでいても、ご自身でその滋養を身体に取りこむ力がなければ、身体を素通りしてしまいます。しっかりと受け取る能力をあげ、妊娠出産に至った症例です。普段からなんとなく体調の悪さを感じている方。鍼灸で手入れをし、西洋医学的にもしっかりとフォローをしていただき、無事な出産へとつながった症例です。

(この症例の弁証論治→漢方も栄養療法も届きません、弁証論治)【case:0188】【神奈川/小田原】

ご相談内容

33才から不妊治療をはじめました。もともと体力がなく、20代に体調が悪くなったときに体重がBMIで17.15まで落ちてしまいました。少し回復しましたがBMIの18には届きません。

体力をつけようと色々と努力しましたが、
・漢方は胃にダメで飲めない
・栄養療法はサプリが胃に負担でかえって体重ダウン
・下痢をしがちで、食べたいけど食べられない
・毎日が体力的に精一杯

こんな日々が続いています。

不妊治療をし、人工授精を6回の後、体外受精もしていますが、凍結胚をつくって移植しても妊娠につながりません。どうしたらいいでしょうか?

☆漢方は飲みたいが胃腸に負担で飲めないときが多くかえって下痢してしまうことのほうが多く継続できない。

☆栄養療法では鉄不足が強く指摘され、鉄、ビタミン類やプロテインなどのサプリを処方されている。鉄不足はだいぶ改善されてはいるが、やはり胃腸に重くかえって体重が減ってしまった(47キロから45キロへ)

東洋医学的診立て

お子さんが欲しいというお悩み、一緒に考えていきましょう。ご自身で考えられることは、いろいろと頑張っていらっしゃいますね。出来ることは精一杯やっていらっしゃると思います。

いまの状況は、『不妊の対策のために、なにかよいことをプラスする』ではなく、『不妊の対策のために、何をすべきか優先順位をたてる』ことが一番大切だと思います。あれもこれもとてんこ盛りにしていることが、かえって身体にとっては負担になり、悪循環となり、不妊治療が前に進まない大きな原因になっていると思います。

東洋医学的にお身体を拝見すると、ご自身の器が小さいということが一番の問題です。つまり、身体のキャパシティーが小さいので、努力なさっていることを、身体が受け取りきれず栄養、滋養、漢方などが素通りするばかりでなく、胃腸の負担となりかえって身体の力をそいでしまっていますね。

また不妊治療は、身体に負担のかかる治療です。ただ、その1回で妊娠にいたれば、メリットの方が大きいと言うことです。しかしながらなかなか結果がでず、不妊治療を繰り返すことが、身体の力を奪い、悪循環となってしまっています。

ここで、やっていくことの順序立てを考えていきます。2つのステップです。

第一に、全身の力をつけましょう。このステップにより、食物を受け止める力がつけば、日々の食べ物、漢方、サプリなどからの滋養を受け止めることができ、身体作りに加速がつきます。悪循環からの脱却です。

第二に生命力の余力をためましょう。この生命力の余力は東洋医学のいうところの腎気の力、そして妊娠し子供を育てる女子胞(子宮)の力です。女子胞力があがることで、きっと不妊治療が前に進みます。

この第二のステップは第一のステップである程度身体の器ができてからにしないと前に進みません。とにかくまず第一のステップをやりとげましょう。少し時間は掛かると思いますが、前に向かって進みましょう!

東洋医学的弁証論治
弁証:脾肺の虚
論治:益気補脾補肺
治療方針:先ず第一に脾肺の虚を救う。不妊治療としては腎気の充実をのぞみたいところだが、脾肺の虚を救い、食物、漢方からの滋養をしっかり受け取れるようにしたのちに腎気の充実を図るようにしていく。

治療経過

初診
右内関、左公孫 太谿 足三里 気海
肺兪 左脾兪、右胃兪 三焦兪
週に2回 自宅施灸毎日でスタート
3ヶ月ぐらいまで、下痢がかなり多い(とくに生理がくるとひどい)
生理前の不正出血続く
胃の調子が整うまでサプリは少し中断。

6ヶ月-11ヶ月後
半年後、生理がきても下痢ではなくなる。便が出るとすっきり感が出てくる
8ヶ月後採卵-10ヶ月後移植 hCG100越えで妊娠-心拍確認できず

13ヶ月後
流産から3ヶ月後、病院で移植出来ると言われ本人もやりたいと(米山:流産後の復調が今ひとつなされていないので、もう少し待つようにアドバイス)移植-まったく反応出ず。

15ヶ月後 
公孫しっかりしてくる。最近仕事が終わっても疲労感が少ない。体力の底が出来た感じがする。多少の体調のブレがあっても体重が減らなくなった。

17ヶ月後 採卵-胚盤胞凍結出来た

22ヶ月後
採卵-胚盤胞凍結出来た(いままでで一番良いグレード)
今までは夏はげっそりしていたが今年は大丈夫だった。朝からちょっと食べると下痢していたがそれもなくなった。食事や漢方などだけでは実感が出来なかったが、鍼灸によって自分の身体がぐっと変わった実感がある。

24ヶ月後
胚移植-妊娠-継続
無事に出産にいたる。3000g越えの女児を出産

あとがき

鍼灸を始められて、16ヶ月後の感想が印象的でした。
・それまでは仕事で精一杯、あとは倒れて寝てばかりが、動ける。体力アップを感じる。
・何をやってもダメだった。胃腸の問題が大きい。食べ物が身になるのを感じる。
・自分がすごくかわったと思う。身体が 信頼できる。

不妊治療は、身体の余力があって初めて前に進みます。16ヶ月、つまり1年以上の歳月が、第一のステップをなしとげるためには、この患者さんには必要だったのです。

しかしながら、こうやって生命の余力があがったので、第二のステップに無事に進めることができ、妊娠-出産。そして残った凍結胚で二人目のお子さんも無事にご出産という道筋を歩めることになったと思います。

不妊治療、どうしたらいいのかと迷うばかりだと思います。一緒に前にすすんでいきましょう。