カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 不妊 二人目不妊

二人目不妊、自然妊娠での出産ができました(39歳出産)

概要

流産をきっかけにより体調が悪くなりなかなか妊娠出来ない二人目不妊の症例です。38歳になり年齢要因も気になる中、しっかりとカラダ作り養生を重ね39才での出産となりました。

(この症例の弁証論治→二人目不妊、39才自然妊娠での妊娠出産
(この症例の患者さまの声はこちら→「妊娠中の鍼灸治療の満足度に関するアンケート」5-5
【case:0196】

ご相談内容

37歳 女性
血圧:106/65、身長:155㎝、体重:47㎏(体重は昔からこれくらい)
仕事:立ち仕事
家族構成:夫、子供一人

主訴:1、冷え症(特にふくらはぎ、お尻などの下半身)、2、下腹部痛

【今一番つらい症状について】
1、冷え症・・・産後のいつの頃からかはわからないが、お尻やふくらはぎなど下半身に冷えを感じるようになった。冬はお風呂上りでもひんやりして感じる。職場で足元が冷える。

2、下腹部痛・・・流産後、常に下腹部に痛みがある。流産後は腰が痛いこともある。もともと若い頃から排卵の頃に下腹部の痛みを感じていた。出血したこともあり、病院に行くと排卵出血だから心配ないと言われたことがあった。

【その他に治したい症状】
目の疲労・・・子供の頃からあるアレルギーが産後ひどくなり、同時に目の疲れも感じるようになった。アレルギーは1年を通してあるが、しいて言えば夏はましな気もする。アレルギーは喉の違和感や鼻炎の症状やひどくなると喘息っぽくなる。

東洋医学的診立て

もともとの生命の土台の力(腎気)が不足しています。流産後の経過によって、よりこの腎気が不足し、妊娠しずらい事、体調が悪くなることへつながっていますね。

また血流の悪さがあり、このことが妊娠にしずらさ、そして流産へとつながっています。しっかりと生命の土台の力(腎気)をつけ、身体を温煦(暖め養う)する力をつけ、血流がよくなるようにしていくことがポイントだと思います。

一人目を自然妊娠された方は、お体の手入れによって二人目も同じ経過で妊娠されることが多いです。一緒にがんばっていきましょう。

東洋医学的弁証論治
弁証:腎虚を中心とする全身的な気虚
論治:補腎益気

治療方針:腎の温陽を中心に、まずは腎気の立て直しを図る。また補腎下焦による腎の根を付けつつ、元々弱い肺気も同時に補うことで、肝気が収まりやすくなるようにしたい。

脾気の弱りに関しては、食事量など自己養生で注意を促したい。

生活提言:
一人目のご出産でかなり気血を消耗してしまい、それがなかなかうまく回復できず、じりじりと身体の力を落としていき、第二子の妊娠にも月日を要し、残念ならが流産になってしまったと考えられます。

出産、流産と、全身の生命力を一段落としてしまったために、元々の弱さの表れであるアレルギーや排卵時の下腹部痛の悪化に加え、色々な体調不良が起こってしまいました。

まずはこの落としてしまった生命力の底上げが必要です。そのためにはしっかりと睡眠をとってあげることが大事です。22時には就寝していらっしゃるので早めに寝るように心掛けていらっしゃるのだと思いますが、それでも翌日に疲れが残っていて疲れを取り切れていないことが窺えます。生命力を一段落としたために、睡眠の質が悪くなって疲れを取り切れないのだと思われます。もっと寝たいと感じるようであれば、睡眠時間を長くしたり、夜に支障のない程度で昼寝をしてあげるのも良いでしょう。

またおへそや下腹部のお腹の力が無くなっていますので、寝る前に棒灸でお腹を温めてあげると寝付きが良くなり睡眠も深くなります。これを続けることで生命力の底上げにもなります。下腹部の力が無いということは生命力の中心である身体の土台の力が無いということです。身体の力の無さが下腹部の痛みとしても現れていますので、腰やお腹にお灸や棒灸をしてあげることは、主訴である下半身の冷えや下腹部痛を取るだけでなく、第二子の妊娠出産にも繋がっていきます。

次に食事についてですが、食べ過ぎることも身体の力を落とすことになります。妊娠への準備時期である生理前の高温期や夕方疲れた時など、身体の力が他で使われている時に食べ過ぎると消化に回す身体の力が足りず、お腹が張りやすくなってしまいます。今は生命力が一段落ちた状態であるので、身体に負荷が掛らないように、特に高温期や夕食は食事の量を少し減らして過ごしてみて下さい。

治療経過

37歳 ビッグママ治療室初診
週に2回程度の鍼灸治療を始める、自宅での養生
1年:体調が回復するもののなかなか妊娠せず、西洋医学的なアプローチもお勧めするが、ご本人の希望や仕事の忙しさにより、鍼灸のみでの不妊治療継続。
1年半:無事に自然妊娠
39歳にて出産

あとがき

しっかりと体調をあげることが自然な妊娠につながった症例です。流産後の体調不良の回復が大きなテーマであり、それなりの回復をするものの年齢が38才を超え、通常であっても妊娠が成立しにくい状況が重なってきましたので、西洋医学的な不妊治療も平行することをお勧めしましたが、ご本人の仕事の忙しさや判断もあり、そのまま鍼灸のみでの体調管理となりました。

少しお時間はかかってしまいましたが、無事な自然妊娠、出産とつながったこと本当に嬉しく思います。おめでとうございます。