カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代前半 不妊 婦人科

子宮内膜症でBMI20.5。鍼灸、食事改善で自然妊娠(33歳出産)

概要

生理痛が重く子宮内膜症の指摘があり、早く妊娠したいと思いながらも何をしたら良いのか迷っていた症例。食事改善、生活改善、鍼灸治療を取り入れ、思いがけぬ自然妊娠、出産へとつながりました。

(この症例の患者さまの声はこちら→「妊娠中の鍼灸治療の満足度に関するアンケート」9-2)【case:0212】

ご相談内容

生理痛が昔からあり重めでした。子宮内膜症との指摘があり、早く妊娠しなければと思っています。ホットヨガなどを試してみていますが、どうも逆効果ではないかと思っています。

田七人参を飲み始め、朝ご飯の量を多く取るようにしたところ、だいぶ生理痛は改善したように思います。早く妊娠したいと思っています、今後どうしたらいいでしょうか?

受けた検査:ホルモン検査、フーナー検査は異常なし。卵巣に卵巣嚢腫 子宮内膜症3期
気になること:手足の冷え、身体の冷え、血流の悪さ

東洋医学的診立て

自然妊娠を考えて半年程度はタイミングを
子宮内膜症と以前にいわれて、早く妊娠したいと意識なさっているのですね。とてもよいことだと思います。30代前半は決して遅くはないですから、あせりすぎないでやっていきましょう。

子宮内膜症は確かに自然妊娠を妨げる大きな要因にはなりますが、
1)年齢要因が若いこと
2)お身体に艶があり、ホルモンの状態がよいこと
3)緊張感が強いタイプであること

上記の1,2、3を考えると、もう少し自然妊娠を考えながらタイミングを取ることはよいと思います。確かに子宮内膜症が3期ということでキャッチアップ障害や卵管の動きの悪さはあるかもしれませんが、3)のタイプの方は鍼灸で身体がリラックスすると案外自然妊娠するケースがあります。

自然妊娠を考えながら、体調をより整え、半年程度を目安に妊娠しなければステップアップしていくのもよいかなと思います。

血流のこと、ヨガや運動の注意点
血流を良くしようと思うと、運動をしたり、ヨガをしたりなさる方が多いです。確かに全身の血行の改善にはなり、大きな意味では健康増進です。ここは間違いないです。

しかしながら、妊娠を考えるときに欲しいのは子宮血流です。全体の血流不足、生命力不足の場合は、『使っているところに血流が集まる』のです。たとえば、食事をすると胃袋に血流が集まります、すると眠くなる方がいらしゃいます。余力が少ないので、どこかを使うとそこに集中し、あとが手薄になるわけです。この辺りの兼ね合いを考えながら、運動を取り入れましょう。

食事のことーエストロゲン依存性疾患と大豆
子宮内膜症と大豆の関係は明白ではありません。諸説ありますので断定は出来ないと思います。ただし、過去にひどい子宮内膜症の方に、大豆製品をがっつり1,2ヶ月抜いていただくと、嚢腫が小さくなったり、内膜症の症状が軽減する方はおおくいらっしゃいました。とりあえず1,2ヶ月大豆断ちをしてその結果で大豆摂取を考えてみてはいかがでしょうか?。健康を意識する方は大豆製品の取り過ぎになっている場合もあります。少し様子をみてみましょう。

病院選びのこと
ステップアップも考え、いろいろと悩んでいらっしゃいますね。私は基本的に今の病院でよいのかとは思いますが、気になる病院があれば、タイミング中のいま、調べてみるのはよいと思いますよ。

東洋医学的弁証論治
弁証:気虚肝鬱瘀血(腎虚中心)
論治:益気補腎 疏肝解欝
治療方針 
1)下肢から子宮の血流をあげるために、衝脈中心に腎、少陰、陽明から女子胞を意識した流れを作る。
2)強い肝鬱の処理は一義的には腎気をあげること。難しければ場合によって手を入れる
3)腎気を増し、全身の余力をつける。

治療経過

初診:週に1−2回の鍼灸治療
右の神門、左の三里、三陰交、肺兪、左の三焦兪、脾兪 次髎(BL32)、パイオネックス 右の中渚(TE3)、右の臨泣
自宅施灸指示:中注(KI15) 関元(CV4) 三陰交 右の臨泣

大豆製品の摂取をやめてみる→二回ほど生理を経過した後、病院にて嚢腫が小さくなっているとの指摘がある。

4ヶ月後:自然妊娠ー無事のご出産となりました。

あとがき

真面目な性格のDさん、鍼灸の通院頻度、自宅での施灸、食事の改善などを着実に守っていただき、卵巣嚢腫の縮小をみ、食中毒にあったりなどの事件はありましたが、無事に4ヶ月後自然妊娠をされました。