カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 不妊 婦人科

重い子宮内膜症。腹腔鏡手術、IVFしても妊娠しません(39歳出産)

概要

20代から子宮内膜症がひどく、生理痛、塊が多く婦人科疾患で悩まれる中、体外受精ー胚移植を何度も試みるも妊娠に至らなかった症例です。生活改善をし、ご自身の力量にあった生活で無理なく体調が整った症例です。

(この症例の患者さまの声はこちら→「妊娠中の鍼灸治療の満足度に関するアンケート」4-3
【case:0307】【神奈川県/藤沢】

ご相談内容

20代で結婚し、すぐに子供が欲しいと思ってタイミングをとっていました。子宮内膜症の症状が強く手術などもしています。山登りが好きで、友達と頑張ってあちこち出かけるのが好きです。休みの日なども、家にじっとしているのは好きではありません。

37才から体外受精を始め、すでに胚移植も3回していますが妊娠にいたりません。どうしたらいいでしょうか? これ以上、不妊治療にお金をかけるのも難しいです。

東洋医学的診立て

子宮内膜症の一番よい治療は、妊娠することですね。しかしながら、子宮内膜症がきついせいで、妊娠がスムーズにおこりにくく、体外受精などの高度生殖医療を何度も挑戦しているのに結果につながっていないのは本当に辛いと思います。

お身体を拝見すると、胃腸のパワー不足が明瞭です。胃兪、足三里、公孫の落ち込みです。また婦人科的に支える経絡も弱く、三陰交、陰陵泉などのツボも冷えが顕著です。身体に出ている細絡、舌の状態からオ血という東洋医学で言うところの血の滞りがみてとれます。これが子宮内膜症の状態を表していると考えられます。

そういった生命力のパワー不足、血の滞りがあるなか、普段の生活がオーバーペースであることは、何かしようとするとその一点にご自身の余力を集中させることになります。

ここは半年ぐらいを目処に、養生を心がけとにかくご自身の生命力をあげることに集中しましょう。そして、養生で生まれた体力貯金を不妊治療だけに注ぎましょう。

体外受精で受精卵がちゃんと出来ている人です。もうあと一歩のご自身が卵を迎える力をつけていけばきっと結果に繋がると思います。一緒にがんばっていきましょうね。

東洋医学的弁証論治
弁証:脾虚を中心とした気虚肝鬱
論治:益気補脾
治療方針:脾気を中心に全身の体力をあげることを目標にする。養生を心がけて頂き、体外受精で胚移植の時期までは理気は行わない。

治療経過

鍼灸養生をはじめて直後
4回目の体外受精ー胚移植 妊娠せず

4ヶ月後
5回目の体外受精ー胚移植 初めて妊娠反応が出たー。継続出来ず。BMI19.1なので19.5をめざすようにアドバイス

6ヶ月後
6回目の体外受精ー凍結胚移植ー妊娠判定陽性 鍼灸治療の頻度をあげる
首の痛み、辛いつわり、逆子などもあるものの無事に出産

おめでとうございます。

あとがき

体外受精をして、受精卵ができるということは、妊娠まであと一歩です。胚移植をして結果が出ないときには、体外受精を繰り返すよりも、一歩待ってご自身の生活を見直し、体力貯金をアップし、卵巣子宮のパワーアップをはかるほうが結果的に近道だったということはよくあります。

あせらずに、ご自身の状況をよくみて、治療を前に進めていくことが大事だと思います。子宮内膜症のつらさ、頭痛や身体の痛みなどいろいろと不調のある方でしたが、ご主人との生活を楽しみながら、笑顔で生活されているご様子は伺っていて私まで楽しくなってくるようでした。またご兄弟との交流も多く、これからの日々が楽しそうですね。

ご出産本当におめでとうございます。