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高度生殖医療、「攻め」の作戦の力強さと恐さ – 不妊!大作戦(5-3)

薬の力で沢山排卵させたり、受精卵を作り身体に戻すということは西洋医学的不妊治療の得意分野です。積極的な「攻め」の力強い治療は、妊娠に対して頼もしい存在です。

妊娠は、排卵した卵を自分の力でキャッチしたり、戻された受精卵をふんわりと受け止める力が必要になります。つまり、ただ物理的な条件を外から与えるだけではなく、患者さん自身の生命力も必要な要素なのです。「攻め」の作戦だけでは妊娠できない方がいらっしゃる理由がここにあります。

妊娠は、『妊娠に致る一連のシステムがスムーズにおこる』充実した身体があってはじめて成立することができるのです。システムがスムーズに働かなければ、いくら排卵を促しても、着床寸前の受精卵を戻しても、妊娠にいたることが出来ません。

精子、卵子、キャッチアップ、受精、着床、などなど、ひとつひとつの項目はクリアできても、妊娠へと致る全体のシステムがスムーズに動くこと。そのための生命力がとても大切なのです。

「攻め」である西洋医学的な手法は、強引であるがゆえに、身体にも大きな負担をかけます。不妊治療を続けることでの体調悪化を訴える人がおおくいらっしゃいます。そして身体の状態が悪いと、薬剤への反応が悪くなります。反応が悪いので薬を沢山使うようになります。この悪循環で、身体の生命力が、『妊娠に致る一連のシステムがスムーズにおこる』ことができず、妊娠が遠のいてしまうこともあるわけです。

「底上げ」の東洋医学的な道で身体作りをしてそれだけで妊娠に致るケースもよくあります。

また、「攻め」の西洋医学的な不妊治療だけでも妊娠できることもあります。

ですので、この両者の力をかりることで、より強力な妊娠への応援にもなるということなのです。

とくに、「攻め」の西洋医学的な手法では、個々のステップを強化することは得意ですが、全体がスムーズに運ぶような生命力をアップさせるということが苦手です。逆に、東洋医学では、直接的に受精させることや、沢山排卵させることなどは苦手です。どちらの苦手も補い合い、よりメリットを享受できるようにすることが大切です。

生命力をあげることで、体調がよくなると、採卵できる数が増えたり、薬剤の量が減ったりということがよくあります。ご自身の生命力をあげることが、西洋医学的な不妊治療の直接的な助けになるのです。またこれは、身体の負担が減るということに直接的につながり、生命力を損なってしまうという悪循環に落ち込むことを防ぎます。