30歳まで
基本的な男女の検査を受け、大きな問題がない場合は、比較的時間の余裕があると考えられます。自然妊娠でいきたいという御希望が強ければ、1年間程度、東洋医学的なアプローチだけでやってみることもいいと思います。
このときに、基礎体温表をつけていただき、タイミングをあわせていくことも積極的にしてみましょう。からだが整い、自然と妊娠が成立することを期待していい時期だと思いますし、大きく期待できる時期でもあります。
また、月経周期が長い、排卵がスムーズにおこっていないという方の場合は、東洋医学的な身体作りを中心にし、身体全体の調子が整い、力強い排卵がおこるようになると、それだけでスルリと妊娠することがあります。20代の若い方で月経不順の方の場合は、西洋医学的な手法にたよるまえに、まず身体作りの目的で東洋医学的な手法をとってみるのはお勧めです。
1年は長いなと思われる方もいるでしょうが、この時期、生理を整え、身体の不 要なものをきちんと排除し、身体を養っておくことは、妊娠すること自体にも重要なことですし、その後の妊娠継続、出産、子育てにも大切なことです。
赤ちゃんを育てるということは、お母さんの身体も育てていく必要があるのです。 赤ちゃんは、お母さんの生命力によって養われるのですからね。
【症例4】
30代前半
30代前半でしたら、半年程度を目安として身体を整えること(東洋医学)中心でいってみましょう。
30歳を過ぎると、妊娠に対して少しあせる気持ちも出てきますね。確かにそうだと私も思います。もし器質的な問題に対して、病院などの検査を行っていなかったら、ご夫婦で早めに検査することが大事でしょう。基本的に器質的な問題がない場合は、半年程度を目処に、東洋医学的な手法でアプローチし、その間、タイミングなどをあわせてみるのもいいかと思います。それでこうのとりがこない場合は、すみやかに、西洋医学との連携が大事だと思います。
この年代の方は、まだまだ病院での治療なんてというようなスタンスの方もいらっしゃいます。この年齢までの不妊歴が長く(2年以上)、それなりにタイミングなどもあわせているのに妊娠しないという状態が続いているのならば、あまり「自然に」ということを拘わって時間を無為にすごしてしまうのは、どうかと私は考えます。
自分の現実をしっかりと認める、そういったことが必要な方もいらっしゃいます。冷静に現状をみてみましょう。
30代後半~「攻め」と「底上げ」の二重作戦を!
なるべく早く西洋医学的な相談をしてみることが大事だと思います。このときに、無駄な治療、無駄な投薬で、時間を過ごしてしまわないように、しっかりと見通しをもって作戦を立てることがとても大事だと思います。時間をムダにしない、大事な卵を無駄にしない。過剰な刺激でからだに負担をかけない。こういった発想をしてくれる病院を選ぶことが重要です。
この年代の方には、とくに病院選びを慎重にしてほしいと私は思います。ご自身にあわない病院選びをして、治療をしていると、あっという間に時間がたってしまいます。このこと自体が、また不妊の問題を深くしてしまう場合があるのです。不妊治療の主役は自分であるということをしっかり自覚して作戦を練りましょう。体外受精なども積極的に挑戦してみることも必要である場合があります。
過排卵をおこしたり、体外受精に挑戦などの、比較的身体に負担がかかる治療を受ける場合は、身体の管理、ケアも必要です。東洋医学的な手法も積極的に取り入れ、こうのとりと一日も早く出会えるようにと願います。「攻め」と「底上げ」の二重作戦が必要な年代です。
年齢だけでなく
『避妊をやめてから、3年以上もたちます』。『基本的な不妊にかかわる検査もしました』、『タイミングもそれなりに試してみました。』こういった方ならば、年齢にかかわらず、高度生殖医療を視野にいれていくべきかと思います。
不妊は、原因をさぐるよりも、結果を出す行為(体外受精での採卵など)で、原因がわかることがあります。少し東洋医学的手法などで体調を整えて、それでも結果がでなかったら、次なる手段を考えておく必要があります。