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目の奥の痛み・頭痛・過敏性大腸炎の改善で妊娠(30歳出産)

概要

流産から妊娠しない、頭痛がひどく痛み止めばかり飲んでいるという状況からの体調作り。薬がいらなくなった、体調がよくなったというところから、10年間で3人のお子さんにめぐまれた症例です。

(この症例の弁証論治→目の奥が痛い弁証論治
【case:0001】

ご相談内容

高校生のころから頭痛がひどく、痛み止めが手放せません。とくに目の奥が痛いという感じです。また過敏性大腸症候群とも診断され、下痢しやすい状態が続いています。妊娠の希望はありますが、体調そのもののが悪く妊娠する気がしません。

2年前に流産してから妊娠出来ない状態が続いています。卵管造影検査をしたところ左の卵管が通ってないと言われ、タイミングを半年、人工授精も5回以上やりましたが妊娠しません。

東洋医学的診立て

目の奥が痛い、辛いと言うことですね。目というのは身体の上部にあり、しっかりと見るために、気血が集中する場所です。つまり、十分に充実した身体がなければ、「集中する」ためにとても疲れるわけです。目の奥が辛いということは、目そのものよりも、全身が疲れているために目に集中することが辛いということでもあります。

高校生ぐらいから、この目の奥の痛みと過敏性腸症候群が始まっていますので、非常に緊張しやすく、緊張によって気血の巡りが悪くなり、様々な症状を出していくと同時に、身体へも負担となっていったのかと思います。

結婚によって精神的な負担がとれ、少し落ち着かれたようですが、流産によって身体を下支えする力を奪われ、悪循環が起こっていったと思われます。

「流産のあとは妊娠しやすい」という言葉があります。これは流産によって、かえって身体の気血の巡りがよくなり、妊娠へのリズムがつきやすくなるということです。そして逆に「二人目不妊」という言葉があるように、流産(流産も小さな出産です)や出産によって、身体の力を奪われ、そこから体調悪化の悪循環を歩む場合もあります。

まず、流産前の体調に戻すこと。そして目や頭痛などの症状に振り回されず、しっかりとしたカラダ作りをして、体調を取り戻し、妊娠、出産が不安なくできるようにしていきましょう。

一緒にがんばっていきましょうね。

東洋医学的弁証論治
弁証:脾腎両虚
論治:益気補脾補腎
治療方針:まず第一に腎気の回復を図る。第二に脾気をたて気を増す。

治療経過

初診から週に2回で鍼灸治療。
初診:
1)関元(10)ミニ灸(右太巨、右大赫)、右外関+ミニ灸、足三里、復溜灸頭鍼+ミニ灸
2)肺兪(7)
3)(腎兪、左三焦兪)+ミニ灸、中膂兪+ミニ灸 ミニ灸(左絶骨、申脈)

2診:初診治療当日とても疲れてだるかった。翌日起きたら頭が締め付けられるような頭痛がして、夕方すっとよくなった。
1)肺兪(7)
2)(左胃兪、右三焦兪)+ミニ灸 中膂兪+ミニ灸
3)百会、関元ミニ灸、足三里、三陰交灸頭鍼+ミニ灸、右合谷、中注(7)

3診:2診治療後、楽に過ごせた。治療同じ。

4診:生理前の痛みがない、生理がきてから左目の奥、左肩の痛み。
1)関元ミニ灸(右太巨、右大赫)、左(合谷ー外関)+ミニ灸、右曲池ミニ灸、中注(7)、左目窓、足三里ー左三陰交(灸頭鍼+ミニ灸)、左公孫+ミニ灸
2)肺兪(7)
3)(左胃兪、三焦兪)+ミニ灸、中膂兪+ミニ灸 天中 ミニ灸申脈

8診ほど経過して:体調がよく、生理前の不調がない。両親も喜んでくれている。この一ヶ月痛み止めを飲んでいなかった。

妊娠した前後の治療

30診:D28
31診:D7 胃の痛みあり、生理痛少し、目頭は大丈夫。
32診:D10 胃が気持ち悪い、目の奥は痛くない。
33診:D14 D13が半分、D14、D15と排卵検査薬陽性。
34診:D20 頭の痛みの芯が消えた感じがする。
35診:D24 調子良い
36診:D27 月経予定日D29
37診:D35 妊娠検査薬で陽性がでました。
38診:D39 前々日病院にて胎嚢確認。
39診:D42 下腹から下に張りがある、毎日夜になると辛い。下腹から太ももがつる感じ。

無事に3500グラム超えのベビちゃんを出産。その後、スムーズに第二子、第三子と出産。

あとがき

今年の年賀状は、ご家族5人で賑やかにすごされているお写真でした。あっという間ですね。頭痛がなくなり体調がよくなっていって、両親がとても喜んでくれているんですと話されていたことが昨日のことのようです。

どうしても目の前の症状にとらわれがちですが、しっかりと何をすべきか考えて歩むことが大切なのを教えてくれた症例でした。