概要
心拍確認後の流産の経験があり、非常に妊娠の経過を心配なさっていた症例です。無事に経過し、胎盤も大きく3000グラム越えの赤ちゃんをご出産になりました。
(この症例の弁証論治→妊娠中の養生の弁証論治)
【case:0156】
ご相談内容
36歳になります。早く妊娠をと願っていましたが、2年ほど前に妊娠したものの心拍確認後の流産となってしまい、非常にショックでした。そのあと食欲もなくなりあまり食べられなくなり、体調を崩してしまい、妊娠もなかなかしなくなってしまいました。
先日、やっと妊娠しましたが、前回流産した週数と同じ頃になりとても不安です。流産せずに、すこやかに妊娠中を過ごし無事に出産したいと願っています。よろしくおねがいします。
東洋医学的診立て
妊娠、よかったですね。上のお子さんも赤ちゃんの誕生を待ち望んでいるとのこと。楽しみですね。
妊娠は、私たち生き物にとっては自然の流れの中にあることです。流産も、何が悪いのではなくおこってしまうこともあります。それはただただ自然の流れの中の出来事なので、私たちの力の及ばない領域なのかもしれないなあと感じます。
妊娠した赤ちゃんはお母さんの子宮の中にいて養われています。いま出来ることは、しっかりとした血流を子宮に導き、温め、養い、守り育てて行くことだと思います。
第一子出産後に乳腺炎に何度もなり、その後の生理では生理前7日目から非常に胸が痛くまた吐き気や頭痛などが始まっていますね。これは、腎気(生命の土台の力(腎気))を落としてしまったために、生理前の気の上逆が強くなり、胃腸につきあげ吐き気となり、頭部に鬱滞し頭痛、乳腺を刺激し強い痛みを生じさせるほどになってしまっていると思われます。こういった少しダメージのある身体の状態であったのも、流産や妊娠のしにくさにつながっていた可能性もありますね。
現在、食事も規則的で美味しく、腹脹などもなく、便通も特に問題がなく、胃腸の力は健やかだと思いますが、お身体を拝見すると、(経穴診:右の内関陥凹、公孫きつい陥凹筋張り、足三里陥凹があり、特に左右の胃兪が大きく陥凹し背部兪穴の弱りの中ではトップである。)かなりの弱りが見受けられます。これは妊娠中で胃腸に負担がかかっているためもあると思われますが、毎日の間食などもあり、普段からも胃腸に負担はかかっていると思われます。
お話しを候っていますと、日々気を張って生きることが日常になっていますね。このことも胃腸やご自身の生命力への負担でもあると思われます。胃腸の調子をあげ、全身の生命力を高めながら、温め、養い、健やかに妊娠を経過できるようにしていきましょうね。
東洋医学的弁証論治
弁証:脾虚肝鬱
論治:益気補脾
治療方針:脾気を増し補気し、全身状態の安定をはかる。肝鬱は基本的にいじらない。妊娠の経過に伴って腎気への負担がきつくなってきたら、脾気と腎気の両面からのアプローチとする。