弁証論治:

0156:妊娠中の養生の弁証論治

症例集→過去の流産がショックで妊娠中も不安(38歳出産)【case:0156】

・問診
36才女性 155センチ49キロ

主訴:妊娠を継続させ、健やかに過ごしたい

7週で心拍確認後の流産経験がある。妊娠中を健やかに過ごしたい。

現在妊娠8週

・・普段の状態について

食欲は普通、食事は規則的、空腹感はよくある、食事はいつも美味しい。

お腹が張ったりすることもない。

間食は夕方に毎日、飲水300cc口の渇きは時々、粘り苦みはない

便通は2日に1回、時々はるが薬などの服用はしない、便が出きらない感じもない。

小便は1日5回 妊娠してから夜間尿に時々起きる

10時に寝て5時半におきる。寝つきはよく眠りも深く、疲れが残ることもめったにない。

・・婦人科の状況

初経は13才、周期は28-30で5日間、

生理前の7日頃から胸がとても張って痛い、吐き気、頭痛、腰痛がある、生理がくると納まる。

32才で自然妊娠、長女出産

 出産後母乳はよく出たが、何度も乳腺炎になり、それ以降、生理は軽くなったが胸が痛い程張るようになった。

34才心拍確認後流産、その後あまり食欲がなく食べられなくなった(現在は良好)。

・時系列の問診

32才で自然妊娠、長女出産

 出産後母乳はよく出たが、何度も乳腺炎になり、それ以降、生理は軽くなったが胸が痛い程張るようになった。

34才心拍確認後流産、その後あまり食欲がなく食べられなくなった(現在は良好)。

・体表観察

・・脉診
全体に細い
左関尺やや弦

・・舌診
淡紅から淡白、
戦アリ、
舌裏怒脹なし

・・経穴診
右内関陥凹
列缺こそげ
外関ややゆるみ
神門 硬結
霊道 こそげ
下腿脾経と胃経に細絡あり
公孫きつい陥凹 筋張り
左太衝へたれ
復溜冷え
足三里 陥凹 右>左
右陰陵泉冷え

・・背候診
左右胃兪大きく陥凹(トップ)
腎兪 陥凹
気海兪陥凹

・五臓の弁別

・・肝
生理前7日頃から胸が張ってとても痛い、吐き気、頭痛 出産後何度も乳腺炎(その後の生理では生理前の胸の痛みが強い) 舌戦アリ 左太衝へたれ

・・心
神門 硬結
霊道 こそげ

・・脾
生理前7日頃から吐き気
出産後何度も乳腺炎

右の内関陥凹
下腿脾経と胃経に細絡あり
公孫きつい陥凹 筋張り
足三里 陥凹 右>左
右陰陵泉冷え
左右胃兪大きく陥凹(トップ)

・・肺
列缺こそげ

・・腎
7週で心拍確認後の流産
妊娠してから夜間尿がある
生理前7日頃から腰痛
出産後生理が軽くなった

外関ややゆるみ
復溜冷え
腎兪 陥凹
気海兪陥凹

・病因病理

現在8週の妊婦さんである。

前回の妊娠が7週での心拍確認後の流産と言うことでの受診。

第一子出産後に乳腺炎に何度もなり、その後の生理では生理前7日め から非常に胸が痛くまた吐き気や頭痛などを生じている。

産後に腎気を落としてしまったため、生理前の気の上逆が強くなり、脾胃をつき吐き気となり、頭部に鬱滞し頭痛、また乳腺炎を何度もおこし場の弱りがある乳腺を刺激し強い痛みを生じさせるほどになっていると思われる。このため2回目の妊娠は心拍確認後の流産となった可能性も伺える。

現在、食事も規則的で美味しく、腹脹などもなく、便通も特に問題がなく 脾気は健やかであると思われるが、体表観察では右の内関陥凹、公孫きつい陥凹 筋張り 足三里 陥凹があり、特に左右の胃兪が大きく陥凹し背部腧穴の弱りの中では トップである。

これは妊娠中で脾気に負担がかかっているためもあると思われるが、 毎日の間食などもあり、普段からも脾胃に負担はかかっていると思われる。 問診の状況などから、肝気を張って生きることがこの方の常であると思われる。

そのためより脾気に負担となっている可能性も伺える。

・弁証論治

弁証 脾虚肝鬱

論治 益気補脾

・治療指針

脾気をまし補気し、全身状態の安定をはかる。

肝鬱は基本的にいじらない。

妊娠の経過に伴って腎気への負担がきつくなってきたら、

脾気と腎気の両面からのアプローチとする。

・治療経過

妊娠8wスタート 週に1回程度で通院
妊娠12w、風邪を引いたなかなか抜けない
妊娠15w こしが痛い
妊娠18w 体重2キロ増 食欲が落ち着いてきた
妊娠24w 足がつる
妊娠37w 赤ちゃんが降りてきていると言われた。
妊娠38w 助産師さんがエコーで2200㌘ぐらいという。
 (私が触った感じは2500㌘ぐらいはありそうと)
妊娠40週 子宮口5㎝開いて入院と。
体重3000グラム弱の女の子を無事に出産、しっかりと大きくなって生まれてきてくれて嬉しい。
胎盤の大きさも普通程度。ただ臍帯が胎盤の端ギリギリについていた。