あれこれ思うエッセイ集:,

健康と病気のシームレスな関係 2004/7/7

治療室には、大抵の方が困った状態をどうにかしてほしくて いらっしゃいます。

しかしながら、時に、ご家族から強く勧められてとか、ちょっとした 怪我や痛みがきっかけで来院なさる方がいらっしゃいます。
たまたまのご縁で、私がお体を拝見することになった方です。

そういった方は、ご自身が、手を入れなければならないほど不調だとも 思っていませんし、『自分は元気だ』と思っていることが多いです。

実際にお体を拝見すると、やはりご本人の思い道理、身体はしっかり充実しており ちょっとした外的要因によりトラブルが起こっているケースもあります。
こういった場合は、ちょこちょこっと手入れするだけで、元通りになりますし、 またもうちょっといえば、ほおって置いても(^^;)ご自身の力で 元に戻ることができます。

しかしながら、私が『うーーーーーーん』と強く唸ってしまうような身体を お持ちのケースも少なくありません。

とくに、家族に勧められてという場合、ご家族が心配して気になるほどの状態がやはり あるんですよね。そしてご本人には不調の自覚はないと。

こういう場合治療家としてはとっても困ってしまいます(^^;)。
ご本人は、問題なしと思っているのを、東洋医学的にみて、問題ありですよーと 納得していただくのは、非常に難しいのです。西洋医学ならば、レントゲンや 検査結果などが、誰の目にも分かる形ででますが、東洋医学で四診と為り、 一般の方にとっては必ずしもわかりやすいものではありません。
そうすると、問題意識のない方になんとご本人に説明するのが一番いいのか、 悩んでしまうのです。

病気じゃなければ健康?

こういったケースの場合、ご本人にとっては、病気じゃないから健康だ!という 思いがあるようです。

つまり、病気と健康がまったく相反する状態のようにお考えなのですね。

でも、本当は、病気と健康の間は相反する状態ではなく、シームレスに続く 状態なのだと私は思っています。そしてあるきっかけにより、発病という状態に なるだけです。病気が黒、健康は白とわかれるのではなく、白から薄いグレー、グレー、濃いグレー 黒と段階をおっているのです。

養生や手入れが効果的なのは、このグレーの間です。ぜひここの段階で 手入れをして欲しいと私は切に思います。そしてそういった段階でお体を 拝見させていただくことになったのは、なにかのご縁、一緒に頑張っていきたいと いつも思うのです。

一病息災

身体の不調や弱さを自覚する人は、このグレーゾーンでも、手入れの必要を 強く感じていらっしゃいます。ですので、手入れしましょうという提案にも すぐに乗っていただけます。

一病息災。このグレーゾーンでの手入れが上手くいくのは そういったことなのかなと思います。身体で苦労しているので、グレーから黒にしては いけないんだということをわかっていらっしゃるのですよね。