弁証論治:

0039:42歳 1度体外後自然妊娠した弁証論治

症例集→15回の人工授精と1回限りの体外受精ののち、自然妊娠(43歳出産)【case:0039】

・問診
主訴 受胎能力を高めたい 胃痛 
42歳女性 パート 身長155 体重45キロ(BMI18.73 やせ)

胃痛は35歳の転職時からおこった。子供のころからも時々あった。
月に1回から3回 
胃痛は油ものの食後やストレスを感じたときにおこる
ストレス性の胃炎ということで2年ぐらい薬を服用(35歳)

..普段の状態

入浴すると体調がよい、胃痛もよい

○今までに3回、仕事で立ち続けていると
 突然気持ち悪くなり立っていられなくなった。便が出ると楽になった。

1日2食 夜は10時過ぎ
早食い、空腹感はよくある、いつも美味しく食べられる
おなかが張ったり胸焼けすることはよくある
間食は1日2回以上

口、喉の渇きはめったにない。違和感はごくたまにある

大便は一日1,2回。時々おなかが張って辛いことがある。
ウサギのようなコロコロ便。出きらない感じは時々
形は太い、バナナ、細い、コロコロ
付着することはめったいにない。

小便は1日2,3回 白濁することが時々ある。

睡眠は、5時間から8時間
寝付きは普通、夢をよく見る、寝起きは悪い
35歳過ぎから疲れが残ることがよくある。

生理が始まったのは17歳
もともと33日型、36歳からクロミッドを飲み28日になった
生理痛は生理前に吐き気、胸の張り(30過ぎから軽くなった)、
生理が来てから下腹部が痛い、疲れる
生理は20代から粘った膜が混じる

・時系列の問診

20代体重41キロから42キロ(BMI17.07)

25歳 呼吸をすると左胸が痛み左胸の自然気胸 2週間入院 手術

28歳 結婚 メニエル病(投薬でよくなる)

20代は生理がくると下腹部が痛くなったが30代になって軽くなった。

30代になって生理前の吐き気、胸の張りが減ってきた

34歳 妊娠を希望し始める

35歳 転職した仕事がハードトラブルが多く胃痛 服薬 転職前まで体重は42キロぐらいだったが、このころ体重が50キロになる

35歳過ぎから疲れが残ることがよくある。

36歳 自然妊娠、9wで流産
    ウオーキングや間食を減らし徐々に体重を減らす
    病院に通院し不妊治療をはじめる(生理周期が33日から28日へ)

42歳 44キロ 人工授精を数回するも妊娠せず

・体表観察

・・脉診
全体に細い 右尺が少し固い 右関上沈位でつぶれている

・・舌診
歯痕胖嫩 戦アリ、薄白苔 怒脹少し 淡紅から淡白 舌辺は少し赤い

・・腹診
心下緩い 脾募アリ、肝の相火裏にあり、
少腹急結アリ(右<左)塊アリ。

・経穴診
右霊道 こそげ

左外関ゆるみ

左陽陵泉 ゆるみこそげ

左公孫緩み
左三陰交緩み
左陰陵泉 ひろくゆるみ

・・背候診
大椎から左風門上にはっきりした細絡
左右風門ゆるみ
右厥陰兪ゆるみ

右胃兪を根にして胆兪から脾兪筋張り
左胃兪陥凹トップ

左三焦兪ゆるみ
右腎兪ゆるみ

・五臓の弁別

・・肝
胃痛は35歳の転職時からおこった。子供のころからも時々あった。
胃痛は油ものの食後やストレスを感じたときにおこる

28歳 結婚 メニエル病(投薬でよくなる)
20代は生理がくると下腹部が痛くなったが30代になって軽くなった。
30代になって生理前の吐き気、胸の張りが減ってきた
35歳 ストレス性の胃炎ということで2年ぐらい薬を服用 このころ体重が50キロになる
舌 戦アリ 舌辺は少し赤い
少腹急結アリ、塊アリ
左陽陵泉 ゆるみこそげ
今までに3回、仕事で立ち続けていると突然気持ち悪くなり立っていられなくなった。便が出ると楽になった。
ウサギのようなコロコロ便。出きらない感じは時々
便の形は太い、バナナ、細い、コロコロ

・・心
心下ゆるい
 舌淡紅から淡白
右霊道 こそげ

右厥陰兪ゆるみ

・・脾
1日2食 夜は10時過ぎ
おなかが張ったり胸焼けすることはよくある
間食は1日2回以上
今までに3回、突然気持ち悪くなり立っていられなくなった。便が出ると楽になった。
ウサギのようなコロコロ便。出きらない感じは時々
便の形は太い、バナナ、細い、コロコロ

胃痛は35歳の転職時からおこった。子供のころからも時々あった。
油ものの食後やストレスを感じたときにおこる
ストレス性の胃炎ということで2年ぐらい薬を服用
35歳 胃痛 服薬 このころ体重が50キロになる
生理前に吐き気(30歳から軽減)
右関上沈位でつぶれている
脾募アリ
左公孫緩み
左三陰交緩み
左陰陵泉 ひろくゆるみ
右胃兪を根にして胆兪から脾兪筋張り
左胃兪陥凹トップ

・・肺
25歳 左胸の自然気胸 2週間入院 手術
大椎から左風門上にはっきりした細絡
左右風門ゆるみ

・・腎
今までに3回、仕事で立ち続けていると突然気持ち悪くなり立っていられなくなった。便が出ると楽になった。

20代体重41キロから42キロ(BMI17.07)
20代は生理がくると下腹部が痛くなったが30代になって軽くなった。
35歳過ぎから疲れが残ることがよくある。
生理が始まったのは17歳
生理がくると下腹部痛 疲れ
脈右尺が少し固い
裏肝の相火あり
左外関ゆるみ
左三焦兪ゆるみ
右腎兪ゆるみ

・・気虚
20代体重41キロから42キロ)
舌 歯痕胖嫩

・病因病理

子供のころより胃痛がある。月経の開始が17歳、20代の体重は身長が154センチながら41.2キロとBMIでは17.07とかなりやせ気味であり、また25歳の時に左胸の自然気胸を起こしてしまう。10代から20代になり、やや遅めながらも天癸がいたり月経がはじまるも、成長し充実していこうという肝気の勢いを器が小さいために受け止めきれず、脾胃を犯し胃痛となったり、肺気が破れ自然気胸の発生となっている。

結婚時にストレスのためかメニエル病になるも、20代後半から35歳の転職時までは大きなトラブルも無く、月経も生理前のトラブルが減り生理時の下腹の痛みも減っている。

35歳の転職時には大きなストレスがかかり、体重の大きな増加、2年にわたり服薬が必要なほどの胃痛があった。大きなストレスにより肝気犯胃の状態があったこと。そしてそれが長期にわたって継続していたため腎気にも負担がかかったものと思われる。大きな体重の増加は疲れやすさと連動しているので、腎気そのものを落としたことにより排泄ができなくなったためではないかと推察される。

36歳で自然妊娠するも、9週で流産。その後は人工授精などに挑戦しても妊娠出来ない状態が続いている。ウオーキングや間食を減らすことにより体重は45キロへと少し減少しているが、疲労感などの状態がかわるほどではない。

精神的なストレスはあまりないという現時点の状況ながら、ストレスによる胃痛は月に1~3回程度はあり、公孫三陰交胃兪などの弱さも明瞭である。

28歳の時に左胸の自然気胸をおこし左風門のはっきりした細絡は気虚を起こした部位に気血を集めたために現在は細絡として観察できる。舌に戦、舌辺も赤舌く上焦の肝鬱気滞の状態を示している。

右尺の固さ、左三焦兪右腎兪のゆるみなどの下焦の問題も観察できる。

上焦、中焦、下焦と幅広く弱りと鬱滞が見えるということは、全身で肝気を張らなくては平常の状態が過ごせない状態があると考えられる。つまり肝気の鬱滞は直接的に脾胃をおかし胃痛と繋がってしまうが、現在の日々を生きていく平常な状況を保つために肝気の張りが常に必要な全身状態であるということである。仕事で立ち続けていると突然たっていられなるということは全身の気虚があるため、立ち続けるには強く肝気を張って頑張らなくてはならず、それが突然中折れてしまうと、立っていられないという状況までになってしまうのだろう。

上焦、中焦、下焦に幅広く弱りと鬱滞が見受けられるが、その中でも左胃兪の陥凹がトップであること、右の胃兪を根にして胆兪から脾兪まで筋張りがあることなど、脾胃の弱さと、肝気の問題が中心ではあると考えられるが、もともと月経が始まるのが17歳であり、20代に自然気胸をおこすなど器としての弱さがあり、また35歳からの疲れが残ることがよくあるようになったころより6年以上たつのに回復がないのは腎気そのものの弱さと、35歳のストレスを強く受けたときに一段と器を落とし腎気が補われることなく経過していると考えられる。

・弁証論治

弁証:脾気を中心とした全身の気虚  肝気犯胃

論治:益気補脾 疏肝理気

・治療指針
脾胃の力を増し、全身の気虚を救う
肝気が直接的に脾気を犯しているときには、肝鬱を処理する
肝脾の関係が落ち着いたら、腎気をまし器を大きくする

・治療経過、不妊治療へのアドバイス

不妊治療歴

40歳から1年 クロミッド、HCG、デュファストンを使い人工授精を繰り返す。

ビッグママ治療室初診→不妊治療へのアドバイス

自然妊娠の経験もあることから、西洋医学的な不妊治療だけが選択枝では無い。 しかしながら、42歳という年齢要因から、西予医学的な不妊治療の効果も先送りすることによって意味の無いものになるので、体外受精を考えているのならば挑戦は早めにすることをアドバイス。

初診1ヶ月後体外受精に挑戦
クロミッド、HMG、ブレドニン、ユベラ、デュファストン、プラノバール、エスとラーな、膣座薬などを使いIVF-ET(体外受精ー胚移植)するも、妊娠せず。

沢山の薬剤を使ったので、何も薬を使わずに身体の回復に勤めることをアドバイス

3ヶ月後自然妊娠
妊娠12週時々出血する安静指示
妊娠15週便秘強い
妊娠24週タンパク尿がいつもでる血圧はok
(午前のみ動くようにして午後はゆっくりするように指示)
妊娠28週妊娠前に体重が43キロだったのが46キロになった
(もう少し増えも良いのではとアドバイス)
脊柱に大きな陥凹あらわれる
妊娠32週貧血になった
妊娠31週逆子になった(逆子治療→なおった)

・患者さんからのメール

無事にご出産なさった患者さんからのメール。
おめでとうございます。

『昨日、無事に3054gの女の子が生まれました(;_;)

前日にバルーンで子宮口を広げる処置をしましたが、
それでも2.5cmしか開かず、
ドクターからは、「積極的にどんどん誘発していきましょう!」と言われて(>_<) もう本当に悪あがきで(^_^;) 米山先生に教えていただいたツボを、病院に持って行った温灸器でひたすら温めました。 その為か、3回目のレベルアップで陣痛が来てくれました。 それからは5時間で、無事赤ちゃんが生まれて来てくれました。 私は体力がなくて、一度にたくさんいきめず、赤ちゃんも苦しかったと思います(T_T) 何回も何回もいきませてもらい、 途中、挫けそうでした。 でも赤ちゃんの頑張りと、 これまで私たちの赤ちゃんを望むことにかかわって下さった皆様と、 現場の先生や助産師さんたち、 立ち合ってくれた旦那さん、 皆さんのおかげで産むことが出来ました。 本当にありがとうございました(;_;) 改めてご挨拶に伺いたい気持ちですが、 まずは報告まで、させていただきます。 産み終わってからは、 ばぁちゃんのようにヨタヨタです(*_*) 大変なのはこれからですよね、 頑張ります!!』 楽しみながら、頑張ってくださいね(*^^*)