弁証論治:

0150:年齢要因で妊娠出来なかった弁証論治

・問診
主訴

不妊、
肩こり、
足の冷え

43才 身長156センチ 体重46キロ

25才ぐらいから発症、辛い時期は一定せず、クーラー、秋冬、季節の変わり目に調子が悪い。ストレスや仕事が多いときにおこる。他にすぐに疲れてしまうことをなおしたい。

30才ぐらいから悪化。責任のある仕事になりストレスがましたことと、一人暮らしを始めたことが原因かと思う。自分では長年の運動不足や食事服装などの生活習慣が 原因だと思う。

症状が強くなると耳鳴り、こむら返り、耳鳴り(高音)、目が疲れやすい、眠りに入りにくい、眠りが浅くなる。全身の体調にあわせて症状は変化する

なにかしてもすぐに疲れてしまうことをなおしたい

・普段の状態について

悪い変化:秋冬、季節の変わり目、肉体疲労時、気を使ったあと、旅行のあと、睡眠不足のとき。

食欲は普通、規則的、空腹感は時々ある。いつも美味しく感じる。胸焼けは腹がはることは時々ある。

間食はアメやチョコレートクッキーを毎日。

飲酒は週に一回程度。ほとんど飲まない。飲水は800ccぐらい、

便通は1日1回、バナナ状でこぶし大。

小便は1日6回ぐらい、夜間尿、尿切れなどの問題はときどきあるが気にならない程度。

寝つきは悪い(ここ半年、夫の帰りが遅いので寝損ねる)、眠りは浅い、

翌日に疲れが残ることは時々ある。

・婦人科の状態について

初経は14才 28日周期4日間

生理2,3日前から胸の張り、イライラを感じる。生理がくると納まる。

生理痛は2日目に刺痛鈍痛。出血したときの色で、小さい塊などがまじる。

・時系列の問診

25才頃から耳鳴りがする(静かな場所でキーンという高い音がする) 肩こりが強い

体重は46キロぐらい

40才で結婚 体重が50キロに増えた

半年ほど自分たちでタイミングを合わせ、半年ほど病院でタイミングをみる。

その後42才から、体外受精をおこなうも妊娠せず。

1回目ー卵が発育せず採卵できず
2回目ー着床反応は出るも卵が育たず
3回目採卵するも移植した卵は着床せず、培養した卵は桑実胚でストップ
4回目採卵するも受精後分割せず
5回目採卵するも受精せず

不妊治療のクリニックからは、年齢要因から不妊治療が難しくなっていると言われている

42才からウオーキングを始めて体重が46キロに戻る

43才ビッグママ治療室受診

・体表観察

・・脉診
左尺位やや弦、
左右関上は硬い

・・舌診
淡紅から淡白 
歯痕あり、
舌裏怒脹あり

・・腹診
腹部全体温 
脾募薄くあり、
上腹部に張りがある。

中脘動き悪い、
下脘塊あり。

肝の相火なし

中注膨らみ、
気海やや抜け。
少腹急結左ややあり

・・経穴診
左内関陥凹
右太淵やや発汗
左合谷陥凹
外関動き悪い
左陽池冷え
右の神門硬結
左右大都割れ
右公孫薄い、左公孫こそげ
左三陰交冷え
左湧泉冷え
左復溜冷え
右臨泣つまり

・・背候診
大椎ふくれている、両脇に発汗厚ぼったい感じ
右肺兪陥凹
右心兪陥凹
脾兪陥凹
左胃兪陥凹トップ
左腎兪陥凹
右脾兪から右三焦兪にかけてじゃりじゃりとした筋張りで右三焦兪が根となる。

・五臓の弁別

・・肝
25歳頃からキーンとなる耳鳴り、肩こりが強い
ストレスや仕事が多いと肩こり足の冷えが強くなる
肩こり足の冷えが強くなると耳鳴り、こむら返り、眠りに入りにくいが出現
気を使ったあとに体調悪化
生理に小さな塊がまじる

舌裏怒脹あり
少腹急結左ややあり
右臨泣つまり

・・心
左内関陥凹
右の神門硬結
右心兪陥凹。

・・脾
季節の変わり目に体調が悪い
胸焼けは腹がはることが時々ある
間食は毎日

脾募薄くアリ
中脘動き悪い、下脘塊あり
左右大都割れ
右公孫薄い、左公孫こそげ
左三陰交冷え
脾兪陥凹
左胃兪陥凹トップ
右脾兪から右三焦兪にかけてじゃりじゃりとした筋張りで右三焦兪が根となる

・・肺
クーラーで体調が悪い
右太淵やや発汗
左合谷陥凹
大椎ふくれている、両脇に発汗厚ぼったい感じ
右肺兪陥凹

・・腎
ストレスや仕事が多いと肩こり足の冷えが強くなる
肩こり足の冷えが強くなると耳鳴り、こむら返り、眠りに入りにくいが出現
睡眠不足、肉体疲労時に体調悪化
この半年、夫の帰りが遅いので寝つきが悪い、眠りが浅い
翌日に疲れが残ることは時々ある
なにかしてもすぐに疲れてしまう

左尺位がやや弦
中注膨らみ
外関動き悪い
左陽池冷え
左湧泉冷え
左復溜冷え
左腎兪陥凹
気海やや抜け

・・気虚
歯痕あり

・病因病理

20代半ばから高音の耳鳴りがあり肩こりも強く、肝鬱を強く持ち気味であったと思われる。

30代より仕事が忙しくなり責任もまし強くストレスを感じ始めた頃より体調が悪化。もともとの耳鳴り肩こりに加え、足の冷えも自覚がはじまっている。

責任が増したことにより生じたストレスから肝鬱がより強くなったためではないかと思われる。

このより強い肝鬱と仕事や生活から生じた腎気への負担によって、生命力には一段と負担がかかり、こむら返りや入眠困難なども出現し、腎気の弱り、肝鬱の悪化という悪循環より肝血の不足までも明瞭になってきたのではないかと思われる。

不妊、肩こり、足の冷えに加え、なにかするとすぐに疲れてしまうという訴えもあり、 腎気の弱りも明瞭である。

大椎のふくれている感じ、太淵、合谷の発汗などから風邪の内陥も疑われ、

また毎日の間食や季節の変わり目の体調の悪さ薄くある脾募などから内湿の存在も疑われる。

風邪の内陥、内湿もまた生命全体への負荷となり、腎気をより低下させてしまい肝鬱をより悪化させる要因となっている。

・弁証論治

弁証:腎虚肝鬱 風邪の内陥

論治:疎風散寒 益気補腎 疏肝理気

・治療指針
風邪の内陥を取り去り、生命全体への負担をとる

腎気をあげることを中心とし、肝鬱そのものは治療目標としないが、場合によっては 疏肝理気し調整する。

不妊治療について、

40才で結婚後タイミングなどを経て体外受精を数回挑戦するも妊娠せず。

不妊治療のクリニックでは年齢要因の指摘がある。腎気をあげることを目標とし、 腎気への負担となっている風邪の内陥、肝鬱など必要に応じて調整する

・生活提言

省略

・治療経過

初診:百会7 左外関、右臨泣 左三陰交 左湧泉

大椎、肺兪各6

左胃兪、右三焦兪 左腎兪 次髎

2診目、6回目の採卵は胚移植するも着床せず、培養した卵は桑実胚で止まってしまった。

週に1度の鍼灸、自宅施灸は毎日

3ヶ月後 7回目の採卵ー4つ取れるも3つは培養途中で成長が止まる。
  1つ移植ー妊娠ー出産

12w 胎盤が少し小さめと言われる
27w 体重があまり増えないースネや頬がこけてくる
37w 2500㌘ぐらいはあるといわれた
    腰痛や指のむくみなど出現

40w 2900㌘弱で無事に自然分娩(45才)おめでとうございます。