弁証論治:

0145:36才 本気出していきましょう! 38才 出産

症例集→仕事をやめて不妊治療に専念するも妊娠しない(38歳出産)【case:0145】

・問診
36才 本気出していきましょう! 38才 出産

32才の時に初診で来院されました。

しかしながら、仕事も忙しく、ご自身の中で不妊治療を優先できないまま少しお休み。

35才の時に、体外受精を2回行うも妊娠出来ず、身体作りを取り組もうと再度 ビッグママ治療室に来院されました。

『今度は、本気出していきましょう!』と患者さんと一緒に赤ちゃんを授かるために がんばり、無事に3000㌘オーバーの元気なべびちゃんをご出産になりました。

初診32才 再初診 36才 

女性 主訴 不妊肩こり頭痛

32才と36才に問診票を提出。記載事項はほとんどかわらず。

32才時点の問診票、体表観察にて弁証論治を作成

165センチ52キロ

主訴:不妊、肩こり、頭痛

肩こりは10代後半から、頭痛は今年の4月からはじまり、6-9月が特にひどく今は時々おこるぐらい(それ以前は頭痛で悩むことはなかった)。

肩こり頭痛はストレスがたまるとおこる。

今回の症状は転職後、肉体的な無理や精神的な無理を重ねたために  おこったと自分では思う

今回の症状と同時に、頭痛、めまい、吐き気、生理不順、不眠症がおきた。

婦人科、脳外科、耳鼻咽喉科、内科を受診、めまい偏頭痛と診断され薬を飲んだが それほどの効果はなかった。

頭痛の部位は6月からひどくなったのは、後頭部と、こめかみから目の部分 11月からの頭痛には後頭部は含まれていない

・・普段の状態について

体調は 季節の変わり目、朝、昼、気を使ったあと、睡眠不足の時に悪化

食欲は普通、規則的で15分ぐらい、空腹感はあり、食事はいつも美味しい

腹が張ったり胸焼けが時々する

間食はよくする、飲酒はほどんどしない、飲み物はお茶や牛乳などを600cc以上

口や舌は時々かわく、違和感はない

大便は2日に1回、出きらない感じが時々あり、バナナ、ころころの形

便器に付着することはない、

小便は1日7回、残尿感はよくある(昔から)、尿切れが悪いことは時々、夜間尿はめったにない

睡眠は0時に寝て6時におきる、寝つきはよい、眠りは深い、寝起きはよい、

時々疲れが残る

・・婦人科の状態について

20才の頃から、ポリープなどができ婦人科で切開をしてもらっていた。
 (28才の頃には大丈夫になった)

11才で初経 生理は30日から40日周期(ストレスで乱れる)

生理の前に腰に鈍痛、生理の血液量は普通で血液状、1-3日目が多い

・時系列の問診

17才 陸上部で腰を痛めるー灸をしてもらう

10代後半から肩こり

10代 神経性胃炎で慢性的に胃が悪く胃薬を飲んでいた
    ストレスで悪化、脂っこいもので悪化(現在も続く)

28才 妊娠を希望する

31才 パソコンの仕事に転職 

32才 
 6月(就職してから半年後)突然の頭痛、めまい、吐き気
 9月 頭痛、めまい、吐き気 だいぶよくなった
 11月 ふたたび頭痛が出ている(めまい、吐き気まではない)
 12月 ビッグママ治療室受診
   体調の悪さから、身体の状態を整えて妊娠を考えよう。
   1年以内に体外受精へのステップアップを考慮しようとアドバイスを受ける
   仕事が忙しく2ヶ月(7診で脱落)で鍼灸治療中断

・体表観察

・・脉診
全体に細い
左関尺やや弦

・・舌診
左へやや歪

・・腹診
心下つまりややあり
大腹の張りあり、左の季肋際張っている
上脘部が固い
左肝の相火あり、
左大巨つまり
左少腹急結あり

・・経穴診
列缺陰り 右<左
左内関陥凹
足三里 陥凹 右>左
左臨泣冷え
左太衝 腫れ
左陽池冷え
左申脉冷え
左湧泉、復溜 冷え

・・背候診
上背部腠理の粗
神道から至陽にかけて右に凸
両風門陥凹、弱り
TH3,4,5の夾脊左右とも弱り、特に左は陥凹弱り
左膵兪 力なし 陥凹
肝兪 力なし、陥凹
脾兪 抜け 右<左  左胃兪 抜け 三焦兪抜け(左三焦兪部分しみ??) 右の次髎つまり ・五臓の弁別 ・・肝 10代後半から肩こり ストレスで肩こり、頭痛がおこる 頭痛と同時に、吐き気、めまい、生理不順、不眠症 気を使うと体調悪化 ストレスで生理が乱れる 左関上やや弦 左肝の相火あり、 左少腹急結あり 左臨泣冷え 左太衝 腫れ 肝兪 力なし、陥凹 ・・心 舌左へやや歪 心下つまりややあり 神道から至陽にかけて右に凸 ・・脾 頭痛と同時に、吐き気、めまい、生理不順、不眠症 季節の変わり目に体調が悪化 ハラが張ったり、胸焼けが時々 間食をよくする 大腹の張りあり、左の季肋際張っている 上脘部やや固い 左内関陥凹 足三里 陥凹 右>左 左膵兪 力なし 陥凹 脾兪 抜け 右<左  左胃兪 抜け . ・・肺 ひどい頭痛のときは、こめかみと後谿部、その後の頭痛には後谿部の頭痛はない (ひどい頭痛と風邪の関連性の可能性) 列缺陰り 右<左 上背部腠理の粗 両風門陥凹、弱り . ・・腎 頭痛と同時に、吐き気、めまい、生理不順、不眠症 睡眠不足の時に体調悪化 残尿感がよくある(昔から)、尿切れが悪いことが時々 左尺位やや弦 左大巨つまり 左陽池冷え 左申脉冷え 左湧泉、復溜 冷え TH3,4,5の夾脊左右とも弱り、特に左は陥凹弱り 三焦兪抜け(左三焦兪部分しみ??) 右の次髎つまり ・病因病理 10代から、運動で腰を痛めたり、肩こりも感じている。またストレスで神経性胃炎が生じ常に薬が必要となる慢性的な状態になっていた。もともと肝鬱が強く、脾胃に影響しやすく、また腎気も弱めであったと思われる。 20代後半、パソコンの仕事に転職した頃から頭痛を感じ始め、とくに就職してから半年後からの3ヶ月間は後谿部、側頭部にも頭痛を感じ、めまい、おう吐も伴い非常に苦しかった。その後は後頸部の頭痛、めまいおうとはなくなったおのの側頭部の頭痛は継続している。これはもともと強い肝鬱を生じやすいタイプであったのに、パソコンの仕事でより上焦に強く気が鬱滞し頭痛を感じ始めたところに、後頸部の頭痛が加わってめまいやおう吐が強くなっている。これは後頸部という部位より冷えの入り込み(風邪の内陥)があったため肺気も弱まり、より気の上逆がさらに強くなりめまいやおう吐まで引き起こされていたのではないかと思われる。 現時点の体表観察から、背部腧穴が特徴的である。上焦の督脉においては、神堂から至陽が右に凸であり夾脊はゆるみ、上背部の腠理は疎、風門、肺兪は陥凹している。督脉の状態から腎気の弱り不安定さ、そしてまた肺気の弱さも明瞭である。中焦下焦の経穴も全体に陥凹や弱りがきつい。腹部は心下がつまり気の上逆があるなか左側が季肋際の張り、肝の相火、少腹急結、大巨のつまりもあり舌も左に寄っていて気の偏在が大きい。 もともとの腎気の弱さがある上に、強い肝気の上逆が腎気、肺気、脾胃への負担にもなっている。妊娠に重要な腎気の弱りが明瞭であり、ストレスに弱く気の上逆が強くなってしまうことがよりいっそうの腎気への負担となり悪循環になっている。また頭痛の症状としての後谿部の痛みはなくなっているが、上背部の肺気の状態をみると風邪の内陥は継続し、より気の上逆が強くなり腎気の負担となっている可能性も伺える。 . ・弁証論治 弁証:腎虚肝鬱 風邪の内陥 論治 ;疎風散寒 益気補腎 疏肝理気 ・治療指針 まず第一に風邪の内陥を取り去る。腎気をたてることを中心にしていく。肝気の上逆は腎気の充実により納まるようにしていくが必要に応じては疏肝理気する。. ・治療経過 28才 妊娠を希望する  タイミング、人工授精などを複数回行うも妊娠せず 32才 ビッグママ治療室受診  体調の悪さから、身体の状態を整えて妊娠を考えよう。  1年以内に体外受精へのステップアップを考慮しようとアドバイスを受ける  仕事が忙しく2ヶ月(7診で脱落)で鍼灸治療中断 34才   新規のAクリニックにて たいみんぐ人工授精を行う 35才  仕事をやめる  体外受精を2回おこない、2回移植するも妊娠せず 36才  ビッグママ治療室再受診   身体作りと、クリニックの変更をアドバイス   週に1度の鍼灸治療受診と、自宅施灸をしっかりおこなう  4ヶ月後 Yクリニックにて採卵ー胚盤胞凍結(2個)  5ヶ月後 移植周期ーPがあがらず見送り  6ヶ月後 移植ー妊娠 38才 無事に3000㌘オーバーの赤ちゃんを出産、おめでとうございます。