弁証論治:

0090:二人目不妊、身体を整えて自然妊娠弁証論治

症例集→産後不調が続き二人目不妊、身体を整えて自然妊娠(33歳出産)【case:0090】

・問診

32歳女性

夫、子供5歳

161センチ49kg

主訴 二人目不妊 肩こり、腰痛

肩こり腰痛は徐々におこり、深夜に辛く、季節の変わり目に辛い、22歳頃からはじま り、猫背などの悪い姿勢で長時間座っていると発生。

今回は一ヶ月ぐらい前に子供の自転車の練習につきあっていることで発症。自分では 、運動不足や腰をかがめた姿勢でいることが原因だと思う。同時に身体がだるい。

・・普段の状態について

季節の変わり目、肉体疲労時、風を引いたときに体調が悪く、入浴中がよい
風邪を引くと頭の左右の部分が頭痛になる
食欲は普通、規則的、空腹感はよくあり食事は美味しい、腹が張ることはめったにない
間食はよくある、アイス、チョコ、あまいものなど
飲み物は緑茶、麦茶、玄米茶など800ccぐらい
喉の渇きはよくある、口の違和感はめったにない
大便は1日1回、結婚してからお通じがよい
便が出きらない感じは時々、バナナ、量は多い、付着して取れにくいことはよくある。
小便は1日6回、残尿感、尿切れなど滅多にない、尿の色は黄色のことがよくある、夜間
排尿はめったにない(めったにないは、ほとんどないということ)
寝つきは普通、夢はみない、寝起きは普通、疲れが残ることがよくある(若い頃から) 。

・・婦人科の問題について

初経は11歳、35日型5日間 不安定
生理前や生理初期にイライラ、気持ちのわるさ、胸がむかむか(出産後出てきた)
生理がくるときつい生理痛で寝込むことがある、腹痛がある。(出産してもかわらない )
親指大の塊(出産前は大きな塊)
子宮内側に小さい筋腫があると言われている。
出産後母乳はよく出た、出産後体調の変化はない、回復していると自分では思う。

・時系列の問診

22歳
   仕事を始め疲れやすさを感じる 事務仕事で腰痛<肩こりが出現
   生理に大きな塊がまじる

27歳
   自然妊娠出産
   生理の塊が親指大に小さくなった
   生理痛のきつさ(寝込む、腹痛)は代わらないが、

   生理前のイライラや気持ちの悪さ、胃がむかむかする感じが出現

30歳
   子供との生活の変化で歩かなくなった
   腰痛のほうが肩こりよりも辛く感じるようになってくる。
   腰痛は朝が痛い、夜も痛くて眠れないことがある。
   夕方から腰痛がひどくなり動くのがつらい。

・切診など

・・脉診
脈左尺位が弦
左関上やや硬い
全体にやや遅

・・舌診
舌淡紅から淡白
舌辺に瘀点あり
舌裏怒脹ややあり

・・腹診
季肋際に張り
中脘が硬く心下に向かって堅さアリ
中注張って冷え、
気海から関元舟形の抜け、冷え抜け引いてくることアリ、
左太巨抜け
左少腹急結あり

・・経穴診
神門硬結
後谿陥凹
右内関はっきり陥凹
右足三里大きな陥凹
左公孫陥凹
左三陰交緩み
左外関はっきり陥凹
左水泉冷え
左湧泉冷え
左太衝から行間抜け

・・背候診
上背部腠理の疎
身柱から至陽にかけて右に神道を凸の中心として曲がり
左右心兪陥凹
右の胆兪陥凹を根にして膈兪から胆兪まで筋張り
左脾兪陥凹
左右三焦兪陥凹(左三焦兪陥凹トップ)
左右大腸兪陥凹冷えがあがってくる
骨盤部冷え、右次髎つまり
懸樞から上仙まで広い範囲で発毛、着色あり

・五臓の弁別

・・肝
生理周期が35日型で不安定
生理前や生理初期にイライラ、気持ち終わるさ、胸がむかむか(出産後出てきた)
生理がくるときつい生理痛で寝込むことがある、腹痛がある。(出産してもかわらない )
脈左関上やや硬い
左太衝から行間抜け
右の胆兪陥凹を根にして膈兪から胆兪まで筋張り

・・心
中脘が硬く心下に向かって堅さアリ
神門硬結
後谿陥凹
右内関はっきり陥凹
左右心兪陥凹

・・脾
季節の変わり目に体調が悪い
喉の渇きがよくある
便が出きらない感じは時々、付着して取れにくいことはよくある
季肋際に張り
中脘が硬く心下に向かって堅さアリ
左太巨抜け
食後にアイスやチョコの間食
右足三里大きな陥凹
左公孫陥凹
左三陰交緩み
左脾兪陥凹

・・肺
上背部腠理の疎
身柱から至陽にかけて右に神道を凸の中心として曲がり

・・腎
腰痛は夕方から悪化深夜に辛い、悪い姿勢で長時間座ると発生
腰痛は朝も痛い
20代仕事を始めてから翌日に疲れが残ることがよくある
生理前や生理初期にイライラ、気持ち終わるさ、胸がむかむか(出
産後出てきた)
親指大の塊(出産前は大きな塊)
出産後母乳はよく出た、出産後体調の変化はない、回復していると
自分では思う。
30歳 肩こりより腰痛の方が辛く感じるようになった

脉左尺弦
中注張って冷え、
気海から関元舟形の抜け、冷え抜け引いてくることアリ、
左外関はっきり陥凹
左水泉冷え
左湧泉冷え
左右三焦兪陥凹(左三焦兪陥凹トップ)
左右大腸兪陥凹冷えがあがってくる
骨盤部冷え、右次?つまり
懸樞から上仙まで広い範囲で発毛、着色あり

・・瘀血
親指大の塊(出産前は大きな塊)
舌辺に瘀点あり、舌裏怒脹ややあり
左少腹急結あり

・病因病理

22歳で仕事をはじめてから肩こりを中心として腰痛もおこり、生理に大きな塊がまじる ようになっている。肝鬱が強い素体があったと思われる。

27歳で自然妊娠出産し、生理の塊が小さくなるなど一定のオケツの解消がみられた。

しかしながら、出産により腎気をひとつおとしてしまったことにより、肝鬱が強くなり 生理前のイライラや気持ちの悪さや、胃気は上逆しやすくなりむかむかする感じが出現 したものと思われる。

30歳の頃、生活の変化があり歩かなくなった。このころより肩こりよりも腰痛が辛くな り、朝もつらく、夕方から腰痛がひどくなり動くのも辛くなってしまった。

歩いていたことがなくなり、脾気へのバックアップが減ったことにより、季節の変わ り目に体調が悪い、便が出きらない感じがし付着してとれにくいことがよくある、中脘 が硬く心下に向かって堅さがある、間食などもともと弱りぎみの脾気に負担をかけるこ とになり、脾気から腎気へのバックアップが不足したために腰痛の悪化、朝のつらさと いう陽気不足を中心とする腎気不足が明瞭になってしまったと思われる。

・弁証論治

・・弁証
脾気虚損
腎虚を中心とした気虚

・・論治
益気補脾
温陽補腎

・治療指針

まず第一に脾気をたて全身の補気をしていく。脾気不足から腎気への負担という 悪循環をたちきる。
ある程度脾気が救われたら、腎気を中心に温陽補腎して、第一子妊娠時の状態まで 腎気が回復することを目標とし第二子の妊娠を願う。

・経過

32歳 ビッグママ治療室受診 週に1度程度の通院

33歳 1年後 妊娠直前の状態
  腰痛が改善、第一子妊娠前の状態まで回復
  体重50キロ 第一子妊娠前の状態まで回復
  生理周期のおくれなどがだいぶ減った(32日以内にくるようになった)
  一人目出産後の産後不調(イライラ、気持ち悪さ、胃のむかむか)の程度は軽くなった

33歳 初診から1年4ヶ月後に自然妊娠 無事に3000グラムオーバーの女児を出産。

 おめでとうございます(^^)