弁証論治:

0106:月経不順、冷え性、出産弁証論治

症例集→月経不順、冷え性、多膿疱性卵巣。鍼灸治療2ヶ月で自然妊娠(33歳出産)【case:0106】

・問診

33歳女性 身長160㎝ 体重52キロ

主訴冷え性、月経不順、不妊

子供の頃から冷え性で冬がとくにつらい

・・ふだんの状態について

冬が辛い、食欲は普通、食事時間は規則的15分くらい、規則的、空腹感はある、胸焼け腹が張ることはめったにない。

間食は毎日、たばこ飲酒はしない。飲み物は毎日1600cc以上。

口は時々かわく。

便通は5日に1回、薬は服用しない、出きらない 感じはない、
バナナこぶし大、便器に付着することはない。
いつか出るかなという感じでさほど苦しい感じもない。

小便は1日7回、残尿感、尿切れの悪さはない。夜間排尿もない。

寝つきはよい、眠りは深い、寝起きは普通、疲れが残ることがよくある。
就寝は12時起床は6時。

初経は12歳 周期は不規則
生理に伴う体調不良はない
生理痛は2日目に鈍痛程度
生理は小さい塊や粘った膜がある、量は普通、多いのは二日目
1年前から妊娠を希望。

・時系列の問診

3600グラムで出生 

子供の頃から冷え性で冬に足首から下がとくに暖まらない感じ。

12歳 初経の頃から月経は不規則で疲れやすい(継続)
 (母親はタフな人だが、自分は疲れやすいと思う)
  中高校生はスポーツをしていてさほど便秘と意識したことはなかった。
  大学受験のころ運動をやめたからか、便秘が5日に1回程度になった、
   苦しくないので対応していない。(継続)

20歳 体重57キロ 月経は28日から45日ぐらいできていた

31歳 仕事で非常によく歩いた、生活も規則正しかった、ヨガをした。
  このときは1年間月経が28日周期で来ていた
  便秘はあまり変わらないが、冷えはそれほどきつくなかった

32歳 職場が変わり座りっぱなしになった。月経周期45日 夏は暑くてクーラーの直撃を受け、冬はとても寒い。動かないので冷えも悪化、むくみも出てきた。

  婦人科受診、エコーでの所見は多膿疱性卵巣ぎみであるがホルモンなどの状態はよいので、経過観察となった。

・切診など

・・脉診
右尺弱い
全体に遅脉

・・舌診
舌尖紅
淡紅から淡白気味
舌裏怒脹少し
歯痕あり胖嫩

・・腹診
脾募あり、肝の相火なし、腹部全体に温
臍上向き
関元やや抜け
少腹急結やや抵抗はあるがなし。

・・経穴診
右太淵腫れ
右内関陥凹
外関抜け、陥凹
復溜奥に冷え
左右足三里こそげ右>左
左公孫こそげ
左右三陰交こそげ
右臨泣つまり

・・その他
夕方足がむくむ(足首すっきりしていない)

・五臓の弁別

・・肝

生理周期が不規則(おくれがち)
舌裏怒脹少し
右臨泣つまり
寝つきはよい
肝の相火なし、腹部全体に温
臍上向き
少腹急結やや抵抗はあるがなし。

中高校生はスポーツをしていてさほど便秘と意識したことはなかった。
生理は小さい塊や粘った膜がある

31歳 仕事で非常によく歩いた、生活も規則正しかった、ヨガをした。
  このときは1年間月経が28日周期で来ていた
  便秘はあまり変わらないが、冷えはそれほどきつくなかった

・・心

舌尖紅
右内関陥凹

・・脾

飲み物は毎日1600cc以上
便通は5日に1回 苦しくない
(大学受験のころ運動をやめたからか、便秘が5日に1回程度になった継続)

中高校生はスポーツをしていてさほど便秘と意識したことはなかった。
空腹感はある、胸焼け腹が張ることはめったにない。
間食は毎日、
便の形状 バナナこぶし大、便器に付着することはない。
左右足三里こそげ右>左
左公孫こそげ
左右三陰交こそげ
脾募あり

・・肺

右太淵腫れ

・・腎

冬がつらい、子供の頃から冷え性
飲み物は毎日1600cc以上
便通は5日に1回 苦しくない
翌日に疲れが残ることがよくある
小便は1日7回、残尿感、尿切れの悪さはない。夜間排尿もない。
生理周期が不規則(おくれがち)
座りっぱなしの仕事で冷えが悪化、むくみの出現、月経周期45日に(32歳)

右尺弱い、全体に遅脉
夕方足がむくむ(足首すっきりしていない)
関元やや抜け
外関抜け、陥凹
復溜奥に冷え
腹部全体に温

・・気虚

座りっぱなしの仕事で冷えが悪化、むくみの出現、
月経周期45日に(32歳)
歯痕あり胖嫩

・・気滞

中高校生はスポーツをしていてさほど便秘と意識したことはなかった。
運動をやめたら便通が悪くなった(大学受験のころから、いまでも継続)
よく歩き規則正しい生活をしていたら月経が28日できた(31歳)

右の首の筋がパソコン仕事をするとすごくはって辛くなる
(とくに所見なし)

・病因病理

子供の頃から疲れやすく足首から下が暖まらないという感じの冷え性気味であったことから腎の陽気が不足しがちで肝鬱も強い傾向があったのではないかと思われる。

大学受験までは積極的に運動をしていたため気血の巡りがそれなりによかったが、運動をやめてしまったので便通が5日に1回ほどになった。この便秘はあまり苦しくなく、ご本人もいつか出るという感じであり、生命力が不足気味であるものの、それなりのバランスがとれていたと思われる。また月経も遅れがちになりながらも周期的にきていたということから、腎気を中心とする生命力の不足があったのではないかと思われる。

31歳の時に、非常によく歩く職場になり、またヨガをしていた。

歩くことやヨガで気血の巡りがよくなり、肝気を中心に全身の気機がのびやかに循環することができたため、月経が28日周期で来潮した。また全身の気血の巡りがよいことで冷えもさほどきにならなかったが、気虚が補われていたわけではなかったためか便秘はあまり変わらずに経過した。

その後、職場がかわり、座りっぱなしになったため気血の巡りが再度悪くなり、腎の陽気不足が強くなったため、冷えも悪化しむくみも出てきた。また月経周期も延び45日程度となってしまった。

・弁証論治

弁証
腎の陽虚を中心とする気虚
任督衝脈の虚

論治
温陽補腎
温養任督衝脈

・治療指針

子宮を養う主導となる腎の陽気をたて、一源三岐である任督衝脈を充実させ妊娠に致るように導く。

・治療経過

2011年9月初診 週に1度の鍼灸治療開始
2ヶ月8診にて妊娠。その後も週に一度鍼灸治療
2012年6月無事、安産にて男児出産